○壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

平成十三年六月十二日国土交通省告示第千二十六号
平成一七年七月二一日国土交通省告示第六九一号
平成一九年五月一八日国土交通省告示第六〇三号
令和元年六月二五日国土交通省告示第二〇三号

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第八十条の二第一号の規定に基づき、壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を第一から第八までに定め、第三十六条第一項の規定に基づき、壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準のうち耐久性等関係規定を第九に、同条第二項第一号の規定に基づき、同令第八十一条第二項第一号イに規定する保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合に適用を除外することができる技術的基準を第十に、それぞれ指定する。

壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

第一 適用の範囲等
壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法は、建築基準法施行令(以下「令」という。)第三章第六節に定めるところによるほか、次に定めるところによる。
一 地階を除く階数が五以下で、かつ、軒の高さは二十メートル以下とすること。
二 壁式鉄筋コンクリート造の建築物の構造部分を有する階の階高(床版の上面からその直上階の床版の上面(最上階又は階数が一の建築物にあっては、構造耐力上主要な壁と屋根版が接して設けられる部分のうち最も低い部分における屋根版の上面)までの高さをいう。)は三・五メートル以下とすること。
三 平成十九年国土交通省告示第五百九十三号第二号イを満たすものであること。
四 構造耐力上主要な部分を、プレキャスト鉄筋コンクリートで造られた部分を含む構造とする場合にあっては、プレキャスト鉄筋コンクリートで造られた部材相互又はプレキャスト鉄筋コンクリートで造られた部材と現場打ち鉄筋コンクリートで造られた部材の接合部(以下「接合部」という。)は、その部分の存在応力を伝えることができるものとすること。
(平一九国交通告六〇三・一部改正)
第二 コンクリート及びモルタルの強度
一 コンクリート及びモルタルの設計基準強度は、これらを構造耐力上主要な部分に使用する場合にあっては一平方ミリメートルにつき十八ニュートン以上としなければならない。
二 モルタルの強度は、令第七十四条(第一項第一号を除く。)及び昭和五十六年建設省告示第千百二号の規定を準用する。
(平一七国交通告六九一・平一九国交通告六〇三・一部改正)
第三 接合部に使用する構造用鋼材の品質
接合部に使用する構造用鋼材は、日本産業規格(以下「JIS」という。)G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)―二〇〇四、JIS G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)―二〇〇四若しくはJIS G三一三六(建築構造用圧延鋼材)―一九九四に適合するもの又はこれらと同等以上の品質を有するものとしなければならない。
(平一七国交通告六九一・令元国交通告二〇三・一部改正)
第四 基礎ばり
基礎ばり(べた基礎及び布基礎の立上り部分を含む。以下第五において同じ。)は、一体の鉄筋コンクリート造(二以上の部材を組み合わせたもので、部材相互を緊結したものを含む。)としなければならない。
第五 床版及び屋根版の構造
構造耐力上主要な部分である床版及び屋根版は、鉄筋コンクリート造とし、かつ、水平力によって生ずる力を構造耐力上有効に耐力壁及び壁ばり(最下階の床版にあっては、基礎ばり)に伝えることができる剛性及び耐力をもった構造としなければならない。
(平一九国交通告六〇三・一部改正)
第六 耐力壁
一 耐力壁は、釣り合い良く配置しなければならない。
二 各階の張り間方向及びけた行方向に配置する耐力壁の長さの合計を、それぞれの方向につき、その階の床面積で除した数値(以下「壁量」という。)は、次の表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に掲げる数値以上としなければならない。
表一
数値
(単位 一平方メートルにつきセンチメートル)
地上階
最上階から数えた階数が四及び五の階
一五
その他の階
一二
地階
二〇
表二
数値
(単位 一平方メートルにつきセンチメートル)
地上階
地階を除く階数が四及び五の建築物の各階
一五
地階を除く階数が一から三までの建築物の各階
一二
地階
二〇
三 次のイからハまでに該当する場合にあっては、前号表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に掲げる数値から五を減じた数値を限度として、イからハまでのそれぞれに掲げる数値を前号表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に乗じた数値とすることができる。
イ 耐力壁の厚さが第五号イの表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に掲げる数値を超える場合 第五号イの表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)の数値に耐力壁の長さの合計を乗じた数値を、耐力壁の厚さに当該耐力壁の長さの合計を乗じた数値の和で除した数値
ロ 令第八十八条第一項に規定するZの数値(以下「Zの数値」という。)が一未満の地域の場合 Zの数値
ハ 耐力壁に使用するコンクリートの設計基準強度が一平方ミリメートルにつき十八ニュートンを超える場合 十八を使用するコンクリートの設計基準強度(単位 一平方ミリメートルにつきニュートン)で除した数値の平方根の数値(当該数値が二分の一の平方根の数値未満のときは、二分の一の平方根の数値)
四 壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の耐力壁の中心線により囲まれた部分の水平投影面積は、六十平方メートル以下としなければならない。ただし、令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
五 耐力壁は、次のイからハまでに定める構造としなければならない。
イ 耐力壁の厚さは、次の表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に掲げる数値以上とすること。ただし、令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、当該計算に基づく数値(当該数値が十二センチメートル未満のときは、十二センチメートル)とすることができる。
表一
耐力壁の厚さ
(単位 センチメートル)
地上階
地階を除く階数が一の建築物
一二
地階を除く階数が二の建築物
一五
地階を除く階数が三以上の建築物
最上階
一五
その他の階
一八
地階
一八
表二
耐力壁の厚さ
(単位 センチメートル)
地上階
最上階及び最上階から数えた階数が二の階
一二
その他の階
一五
地階
一八
ロ 縦筋及び横筋の鉄筋比(耐力壁の壁面と直交する断面(縦筋にあっては水平断面、横筋にあっては鉛直断面)におけるコンクリートの断面積に対する鉄筋の断面積の和の割合をいう。以下この号において同じ。)は、それぞれ次の表一(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては表二)に掲げる数値以上とすること。ただし、令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、当該計算に基づく数値(当該数値が〇・一五パーセント(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては〇・二パーセント)未満のときは、〇・一五パーセント(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては〇・二パーセント))とすることができる。
表一
鉄筋比(単位 パーセント)
地上階
地階を除く階数が一の建築物
〇・一五
地階を除く階数が二以上の建築物
最上階
〇・一五
最上階から数えた階数が二の階
〇・二
その他の階
〇・二五
地階
〇・二五
表二
鉄筋比(単位 パーセント)
地上階
地階を除く階数が二以下の建築物の各階
〇・二
地階を除く階数が三以上の建築物
最上階
〇・二
最上階から数えた階数が二及び三の階
〇・二五
その他の階
〇・三
地階
〇・三
ハ プレキャスト鉄筋コンクリートで造られた耐力壁にあっては、その頂部及び脚部に径十二ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
(平一七国交通告六九一・平一九国交通告六〇三・一部改正)
第七 壁ばりの構造
壁ばりは、次に定める構造としなければならない。
一 丈は四十五センチメートル以上とすること。ただし、壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の地上部分について、令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
二 複筋ばりとすること。
三 主筋は、径十二ミリメートル以上とすること。
四 あばら筋比(はりの軸を含む水平断面における一組のあばら筋の断面の中心を通る直線と、相隣り合う一組のあばら筋の断面の中心を通る直線とではさまれた部分のコンクリートの面積に対するあばら筋の断面積の和の割合をいう。)は、〇・一五パーセント(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分にあっては〇・二パーセント)以上とすること。
(平一七国交通告六九一・平一九国交通告六〇三・一部改正)
第八 接合部の構造
接合部は、次に定める構造としなければならない。ただし、令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、第一号の規定は適用しない。
一 耐力壁相互の鉛直方向の接合部は、ウェットジョイントによるものとし、径九ミリメートル以上のコッター筋によって構造耐力上有効に接合することができるものとすること。
二 床版、屋根版、壁ばり及び耐力壁の水平方向の接合部は、その部分の存在応力を伝えることができるものとすること。
三 接合部に使用する鉄筋、金物等は、防錆上及び耐火上有効に被覆すること。
(平一七国交通告六九一・一部改正)
第九 耐久性等関係規定の指定
令第三十六条第一項に規定する耐久性等関係規定として、第二第一号及び第三に定める安全上必要な技術的基準を指定する。
(平一七国交通告六九一・平一九国交通告六〇三・一部改正)
第十 令第三十六条第二項第一号の規定に基づく技術的基準の指定
令第三十六条第二項第一号の規定に基づき、令第八十一条第二項第一号イに掲げる保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合に適用を除外することができる技術的基準として、第一第二号及び第三号(令第八十二条の二に規定する層間変形角が二千分の一以内である場合に限る。)、第二第一号(軽量骨材を使用する場合であって、令第八十二条の二に規定する層間変形角が二千分の一以内である場合に限る。)、第五、第六第二号(令第八十二条の二に規定する層間変形角が二千分の一以内である場合に限る。)並びに第七第二号及び第三号に定める技術的基準を指定する。
(平一九国交通告六〇三・追加)

附 則
1 この告示は、公布の日から施行する。
2 昭和五十八年建設省告示第千三百十九号は、廃止する。

附 則(平成一七・七・二一国交通告六九一)
この告示は、公布の日から施行する。

附 則(平成一九・五・一八国交通告六〇三)
この告示は、平成十九年六月二十日から施行する。

附 則(令和元・六・二五国交通告二〇三)
この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から施行する。