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コラム2006年06月26日 【SCOPE】 日本経団連がコンバージェンスで欧米との相互承認を求める(2006年6月26日号・№168)

SCOPE
EU上場外国企業の国際会計基準義務付けは2009年
日本経団連がコンバージェンスで欧米との相互承認を求める


 日本経済団体連合会は6月20日、コンバージェンス(会計基準の統合)に関し、欧米との相互承認を求める提言を取りまとめ、公表した。現在、わが国の企業会計基準委員会(ASB)が国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)との間において、民間レベルでのコンバージェンスを行っているものの、日米欧金融当局間の合意は行われていない状況だ。日本経団連では、このままでは日本の会計基準が世界的に孤立するのではないかという点を懸念しており、今後、積極的にコンバージェンスを進め、金融当局間の相互承認を求めていくとしている。

欧米間では2009年までに相互承認
 今年2月にIASBとFASBおよび両国の金融当局との間において、2009年を目処に会計基準のコンバージェンスに関する相互承認を行う合意が行われている。
 わが国の場合、IASBとの間では、企業会計基準委員会と2005年1月から具体的な検討に入っている。また、FASBとの間では、定期協議が2006年5月から始まっている。ただ、これらの協議については、民間レベルでのコンバージェンス作業であり、金融当局間の合意は行われていない。日本経団連は、このままでは日本の会計基準だけが世界的に孤立する状況を懸念。民間レベルだけでなく、日米欧の金融当局間での相互承認が必要との認識に立っている。
 今後、金融庁や企業会計基準委員会とともにコンバージェンスを強く進めていくとともに、相互承認を実現するため、欧米の金融当局に対して働きかけをしていく必要があるとしている。
 この点、金融庁でも現在のIASBやEU(欧州連合)の動きに対する問題意識は持っており、相互承認については、前向きであるようだ。


ASBとFASBの第1回定期協議が5月に開催
斎藤静樹企業会計基準委員会委員長(写真左)
ロバート・ハーズ米国財務会計基準審議会議長(写真右)

コンバージェンスの取組みが進む
 一方、EU(欧州連合)の証券規制当局から構成されるCESR(欧州証券規制当局委員会)が2005年7月に公表している国際会計基準と日本など各国の会計基準の同等性評価についての技術的助言では、日本の会計基準については、全体としては国際会計基準と「同等」であるとの評価を受けている。
 しかし、個別項目では、①非連結の適格特別目的事業体(QSPE)を連結させた補完計算書(仮定計算ベースの要約財務諸表)の作成、②企業結合(持分プーリング法)及び在外子会社の会計基準の統一に係る各差異についての補完計算書の作成、③ストック・オプションの費用化の2007年1月1日以前の実施、④関連当事者の開示などを求めている。
 この会計基準の同等性の評価については、EUが一方的に行っているものであり、金融当局間の相互承認につながる話ではない。
 しかし、前述の個別項目をみた場合、すでにストック・オプションの費用化は実施されているほか、関連当事者の開示や在外子会社の会計基準の統一についてもすでに会計基準が出来上がっている状況だ。
 残りの大きな課題は持分プーリング法の採用やのれんの償却などに限られる。セグメント情報の開示など、開示方法については今後の検討課題となるものの、会計基準自体はほぼ条件が揃っている。このため、金融当局間の相互承認を行う土台は整いつつある状況にあるといえそうだ。
 なお、同等性の評価の実施時期については、当初は2007年1月1日から実施するとしていたが、2009年1月まで先送りされる方向となっている。


IASBの存在意義が問われる
 IASBにおける業績報告や金融商品会計基準については、資産・負債アプローチに基づいており、全面時価会計につながりかねない状況だ。このため、日本の企業側としては、受け入れ難いものとなっている。
 ただ、仮に日米欧の間で相互承認が行われることになれば、米国基準を採用している企業にとっては、そのまま米国基準により財務諸表を作成することができることになる。最終的には、日本にとってIASBの存在意義が薄れることにもつながりそうな状況であり、今後の動向が注目される。

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