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税務ニュース2016年03月07日 D&O保険料会社持ちでも給与課税なし(2016年3月7日号・№633) 社外取締役全員の同意か報酬委員会等の同意条件に

D&O保険料会社持ちでも給与課税なし
社外取締役全員の同意か報酬委員会等の同意条件に

D&O保険の保険料を会社が負担した場合でも給与課税不要に。
ただし、①取締役会の承認、②「社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会」の同意又は「社外取締役全員」の同意の取得、の2つの条件をともに満たすことが条件。
新たな取扱いは非上場企業にも適用。
 D&O保険は第三者訴訟(役員の不法行為や重過失の結果として取引先や従業員などの第三者に損害を与えた場合に、第三者から役員に提起される訴訟)をカバーする「普通保険約款」と株主代表訴訟をカバーする「株主代表訴訟補償特約」に分けられる。このようにD&O保険の中身を2つに分けているのは、「会社の損害に対する役員の損害賠償責任」に係る保険(株主代表訴訟特約)の保険料を会社に負担させると、役員が会社に損害を発生させないようにするインセンティブが削がれ、会社法上の忠実義務違反(355条)に該当しかねないとの指摘があったため。こうした会社法上の考え方を受け、税務でも「株主代表訴訟補償特約」に係る保険料を会社が負担した場合には、役員に対し「給与課税」を行うこととしてきた(個別通達「会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて」)。
 株主代表訴訟補償特約の保険料はD&O保険全体の1割に過ぎないが、社外取締役などには負担させにくいため、「保険料+給与課税額」相当額を役員報酬に上乗せしている会社も多かった。
 こうした中、経済産業省は昨年7月、法務省と調整の上で、株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担したとしても会社法上は問題ないとの解釈を示したところだ(コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会の「法的論点に関する解釈指針」)。
 これを受け国税庁は2月24日付で「新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて(情報)」を公表、22年ぶりに個別通達の内容を見直した。具体的には、①取締役会の承認、②社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会(報酬委員会等)の同意又は社外取締役全員の同意の取得、の2つの条件を両方とも満たした場合には、役員への給与課税を不要とした。これらの条件は上記「法的論点に関する解釈指針」で例示されていたものと同じである。この結果、給与課税額と保険料相当額を役員報酬に上乗せしてきた会社にとっては、給与課税額分負担が減ることになる。
 個別通達見直しは、コーポレートガバナンス・コードとは関係のない非上場の中小企業にも及ぶことになる。


重要資料
個人課税課情報
法人課税課情報
第2号
第1号
平成28年2月24日 国税庁
個人課税課
法人課税課

新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて(情報)
 標題のことについて、経済産業省から照会があり、これに対して次のとおり回答しましたので、今後の執務の参考とされたい。

(照会要旨)
1 会社法の解釈の明確化
(1)従前の取扱い
 会社役員賠償責任保険は、会社法(商法)上の問題に配慮し、従前、普通保険約款等において、株主代表訴訟で役員が敗訴して損害賠償責任を負担する場合の危険を担保する部分(以下「株主代表訴訟敗訴時担保部分」といいます。)を免責する旨の条項を設けた上で、別途、当該部分を保険対象に含める旨の特約(以下「株主代表訴訟担保特約」といいます。)を付帯する形態で販売されてきました。
 また、株主代表訴訟担保特約の保険料についても、会社法(商法)上の問題に配慮し、これを会社が負担した場合には、会社から役員に対して経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象とされていました(別添「会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて」参照。(編注:略))。
(2)会社法の解釈の明確化  このような状況の中、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(経済産業省の研究会)が取りまとめた報告書「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」(平成27年7月24日公表)においては、会社が利益相反の問題を解消するための次の手続を行えば、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができるとの解釈が示されました(当該報告書の別紙3「法的論点に関する解釈指針」11~12頁参照)。
① 取締役会の承認
② 社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得
2 新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い  今般の会社法の解釈の明確化を踏まえると、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができる場合には、株主代表訴訟敗訴時担保部分を特約として区分する必要がなくなることから、普通保険約款等において株主代表訴訟敗訴時担保部分を免責する旨の条項を設けない新たな会社役員賠償責任保険の販売が想定されます。
 以上を踏まえると、今後の会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いはどのようになりますか。
(注)損害保険会社各社において、普通保険約款等の変更に時間を要する等の事情があることも考慮し、普通保険約款等を変更するまでの暫定的な取扱いとして、普通保険約款等において設けられている株主代表訴訟敗訴時担保部分を免責する旨の条項を適用除外とし、普通保険約款等の保険料と株主代表訴訟敗訴時担保部分の保険料が一体と見なされる旨の特約を追加で付帯したものについても新たな会社役員賠償責任保険に含まれるものと考えます。
(回答) ○ 照会内容を前提にすれば、今後の会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについては、以下のとおりに取り扱われるものと考えます。
 ① 新たな会社役員賠償責任保険の保険料を会社が上記1(2)①及び②の手続きを行うことにより会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はないと考えられることから、役員個人に対する給与課税を行う必要はありません。
 ② 上記①以外の会社役員賠償責任保険の保険料を会社が負担した場合には、従前の取扱いのとおり、役員に対する経済的利益の供与があったと考えられることから、役員個人に対する給与課税を行う必要があります。

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