税務ニュース2021年01月15日 コロナ禍における消費税の総額表示対応(2021年1月18日号・№866) 消費税転嫁対策特措法が今年度末で期限切れ 小売業界等の要望通らず
令和3年度税制改正議論において注目を集めていた論点の一つが、消費税の総額表示義務(消法63条)の“復活”だ。
周知のとおり、総額表示義務については平成25年10月1日以降、値札の貼り替え等の事業者の事務負担に配慮する観点から、表示価格が税込価格と誤認されないための措置を講じることを条件に、税込価格の表示を要しないこととする「総額表示義務の特例」が消費税転嫁対策特別措置法により講じられてきた(同法10条)。
こうした中、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限が令和3年3月31日をもって切れることから、スーパー、アパレル、食品等の比較的中堅・小規模の小売業界を中心に、税抜価格の恒久化を要望する声が上がっていたところだ(本誌850号9頁参照)。
しかし、令和3年度税制改正ではこれらの業界の要望は届かず、消費税転嫁対策特別措置法は予定通り令和3年3月31日をもって失効することが確定している(与党版令和3年度税制改正大綱20頁参照)。経過措置、猶予措置等は一切講じられない。
ただ、本誌取材によると、執行上は令和3年4月1日を境とした厳格な切り替えまでは求められない模様だ。元々、総額表示義務には消費税法上の罰則もない上、コロナ禍、しかも緊急事態宣言が発せられている状況の中、値札の貼り替え等の作業を強いるのは酷だろう。もちろん、消費税転嫁対策特別措置法が失効することになる以上、表向きには税抜き表示の継続を許容するようなリリースが課税当局側から発せられる可能性は高くないが、徐々に総額表示に切り替えていくような対応も事実上許容されることになろう。
令和3年度税制改正議論の中では、期限通りの廃止はやむを得ないとしても、その後一定期間、総額表示義務が貫徹されず、税抜価格のままの値札が残っていた場合でも、執行上、総額表示義務違反を問わないよう求める声も上がっていた。税抜表示の恒久化は叶わなかったものの、こちらの要望は結果として実現したに等しいと言えそうだ。
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