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税務ニュース2019年09月13日 顧問契約解除で報酬請求、税理士勝訴(2019年9月16日号・№803) 東京地裁、租税回避に利用されない範囲での税理士の判断を相当と評価

  • 税理士業務に係る顧問契約の解除をめぐり、税理士が納税者に対して顧問報酬等(58万3,200円)の支払いを求めた事件。
  • 東京地裁は、簡易課税選択を求める納税者への対応は専門家の判断として相当と評価。税理士の行為は顧問契約の債務不履行に該当しないと判断し、税理士の報酬請求を容認(令和元年5月29日判決)。

 本件は、税理士と納税者との間で税理士業務に係る顧問契約を締結したが、納税者が税理士から簡易課税制度の適用について何ら説明がなかったことなどの行為を踏まえて契約を解除したもの。納税者は顧問契約上の債務不履行になるとし、顧問契約は解除と同時に終了したから解除後は顧問報酬の発生がないと主張した。一方で税理士は、すでに税務処理に関与した時点で簡易課税制度の届出期間を過ぎていたほか、納税者においては飲食店経営につき親会社から業務委託方式をとっているため、簡易課税制度を適用すると二重に経費を控除することになってしまうことから、租税回避とならない範囲で決算案を作成しており、債務不履行にはならないと主張。顧問契約の解除は、契約に基づく解約申入期間(6か月間)の経過後であるとして争っていた。
 納税者の主張に対し裁判所は、税理士は業務委託方式による場合に業務委託料を売上高として申告した上、更に簡易課税制度を適用すると、既に経費等が控除されている売上高から重ねて仕入金額を控除することとなり問題があると判断したことは、売上高を5,000万円以下とする決算案を提示することなく、違法な租税回避に利用されない範囲で納税者の採用する業務委託方式及び可能な限り希望に沿う内容の決算案を作成したものと認められるとし、専門家の判断として相当なものであったと評価されるべきであるとした。
 また、裁判所は、税理士には簡易課税制度の適用要件等について十分な説明をしていなかったという点で、納税者の納得を得にくい状況を招いた可能性もあると指摘したが、税理士が依頼を受けた時点で、簡易課税制度選択届出書の提出期限が過ぎていたことにより、簡易課税制度の適用を受けることができないことは明らかであったことや、納税者が採用する業務委託方式を前提とする限り、今後も簡易課税制度の適用を受けることはできないとし、そのことについて数種類の決算案を作成し、説明もしていることからすると、税理士の行為が顧問契約の債務不履行に当たるということはできないと判断。納税者に対し、税理士に顧問報酬等の支払いを命じる判決を下した。

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