税務ニュース2020年06月05日 コロナで一時帰任中の滞在費用も損金に(2020年6月8日号・№837) ただし、契約上「出向先」が全額負担とされていれば寄附金認定も
コロナ禍の第一波が到来した際には、多くの日本企業が海外駐在員を日本に一時帰任させた。日本では緊急事態宣言が全面解除されたとはいえ、世界全体で見れば感染者数は増え続けており、いまだ「感染が収まった」と言える状況にはない。米国では全50州で段階的に経済活動を再開しているが、他州に先行して経済活動を再開したジョージア州など10州では感染者数が増加に転じている。こうした中、出向元である日本企業の中には、駐在員を引き続き日本に滞在させているところも多いと思われる。
駐在員の一時帰任、日本滞在に伴い、例えば往復の旅費、日本での滞在費用(ホテル・ウィークリーマンション等での滞在費用)、子息の学費など様々な費用が発生するが、果たしてこれらの費用が法人税上、出向元において損金となるのかとの疑問がある。
本来、駐在員の出張旅費等は、「出向先」の業務を遂行するために支出されるものであることから、出向先が負担するのが一般的となっている。ただ、今般の一時帰任には、コロナ禍を受け、「出向元」である日本企業が駐在員の健康・安全に配慮し日本に呼び戻したという事情がある。この点を踏まえれば、駐在員の日本での滞在費用は「出向元」において損金算入することが可能であると考えられる。
ただし、出向先と出向元の間で締結される出向契約の内容によっては、寄附金課税の問題が生じる可能性もあるので注意が必要だ。例えば、契約上、出張旅費をはじめとする駐在員に係る費用の全てを「出向先」が負担するとなっている場合において、「出向元」がその一部の費用を負担した場合には、当該出向元の負担分は、「出向元」から「出向先」への寄附金と認識されるリスクがある。
逆に言えば、(実際の課税関係は個々の事実認定による面はあるものの)出向先が全ての費用を負担するという契約内容となっていない限り、今般の一時帰任に伴う費用を出向元である日本企業が負担したとしても、出向元(日本企業)において損金算入できることになる。
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