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一般2020年03月09日 性暴力被害、守る社会へ 12回目のフラワーデモ 延べ1万人、怒りの声続々 「2020 国際女性デー」 提供:共同通信社

 花を手に、性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」が8日、38都道府県の47都市で実施された。当初は47都道府県で実施予定だったが、新型コロナウイルスの影響を受け、一部地域ではインターネット動画中継や会員制交流サイト(SNS)上に投稿する形に変更した。デモは毎月開かれて1年近く続き、節目の12回目となる今回は国連の「国際女性デー」(3月8日)に合わせて開催。被害者を十分に守れない司法制度や、問題の深刻さに無理解な社会に対する怒りの声が上がった。
 デモは昨春、性犯罪で無罪判決が相次いだことに抗議し、昨年4月11日に東京、大阪で始まった。被害者や支援者、賛同者が多く集うようになり、その後は開催場所を増やしながら毎月11日に開かれた。呼び掛け人によると、今年2月までに延べ1万人以上が参加した。
 名古屋市の繁華街・栄には8日夕、約90人が集まった。名古屋ではデモ開催のきっかけの一つとなった、実の娘への性交で一審無罪となった男性に対する高裁判決が12日に言い渡される。デモに参加した女性(29)は、自身の父親からの性被害を語り「無罪はとてもショックだった。高裁は実態に見合った判決を出してほしい」と訴えた。
 東京のデモはネット動画中継サイト「ニコニコ動画」を通じて実施。約6千人が視聴した。被害者らでつくる団体「Spring」の代表理事山本潤(やまもと・じゅん)さんらが、JR東京駅前から「みんなもう限界。私もずっと前から限界だった。性暴力が無罪になるこんな時代はもう嫌だ。皆さんの声を広げ、安心して暮らせる社会をつくりましょう」と呼び掛けた。ツイッターでは、色とりどりの花の写真とともに、多くの投稿が寄せられた。
 デモの呼び掛け人は作家の北原(きたはら)みのりさんや、出版社「エトセトラブックス」代表の松尾亜紀子(まつお・あきこ)さんら。花をシンボルにしたのは、被害を訴える人に「あなたの話を聞く」と寄り添う気持ちを表すため。参加者は花を手に持ったり、花の絵が描かれた紙を持参したりして集った。
 全国一斉の開催は今回で区切りとなるが、今後も続く可能性がある。エトセトラブックスは4月、各地のフラワーデモ関係者の声をまとめた書籍を出版する見通し。売り上げは、デモの活動資金に充てるほか、性被害の当事者団体に寄付する予定だという。

苦しみ、言葉にできる場所 性被害の放置、浮き彫りに 「フラワーデモ」

 性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」は、開催場所や人数を増やしながら続き、1年弱で延べ1万人超が参加するムーブメントとなった。偏見や二次被害を恐れて沈黙してきた被害者らは、苦しみや怒りを言葉にできる場所を求め、デモが受け皿になった。これまでに打ち明けられた被害は深刻な内容ばかり。社会が性暴力被害を軽視し、対策を放置している現実が浮き彫りになった。
 ▽自尊心
 東京都の30代の派遣社員野村舞(のむら・まい)さん=仮名=はJR東京駅前のデモに何度も参加した。「わたしは独りじゃない」と勇気をもらえたためだ。2月には震えながらマイクを持ち「なぜ被害者が責められ、早く忘れなさいと言われ、なかったことにされるのか」と訴えた。
 職場の上司に約2年前から断続的に10カ月間、性被害を受けた。警察は「証拠がない」と門前払いし、弁護士は「なぜ上司の呼び出しに応じたのか」となじった。会社は上司を処分せず、逆に野村さんとの契約を打ち切った。絶望から何度も死を考えた時、ツイッターでデモを知った。
 昨年4月、東京駅前には大勢の人の輪ができていた。被害を隠さなくてよく、「つらい」と言える場所。誰にも理解されないという思いはほぐれ、「自分自身でいられる」と自尊心が回復していくのを感じた。
 自分と同じように、被害を「なかったこと」にされた人も大勢いた。こうした苦しみや孤独を社会は知らない。昨年7月、ツイッターでハッシュタグ「#性被害者のその後」をつけ、自分の思いを投稿。「このタグを使って」と呼び掛けると、どんどん広がった。「思い出して泣いてしまう」「この怒りをどこにぶつけたらいい?」。投稿は今も続く。
 ▽変化
 「これまで社会は被害者の訴えを『聞く力』がなかった」。デモの呼び掛け人で作家の北原(きたはら)みのりさんはそう指摘する。1回だけの予定で始めたデモは、賛同者が次々と現れ、各自の街で声を上げるようになった。
 周囲の変化も感じた。福岡高裁は2月、酔いつぶれた女性への準強姦(ごうかん)罪に問われた男に逆転有罪判決を言い渡した。一審の無罪判決は、北原さんらがデモを始めたきっかけの一つ。「性被害への理解を深める方向に変わりつつあるのでは」と期待を持てた。
 次の焦点は刑法改正だ。今年は性犯罪規定の見直し時期。現行法は「暴行・脅迫」の立証を捜査側に求めるなど高いハードルを課し、被害者が泣き寝入りする原因と批判されてきた。デモでも「被害者を守る法律を」という声が上がる。
 改正を求める市民団体のインターネット署名には8万超の賛同が寄せられた。北原さんは力を込める。「性被害という痛みの記憶でデモが生まれ、社会の聞く力を変えた。次は社会が変わる番。刑法改正を実現させて」

(2020/03/09)

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