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債権管理2026年01月22日 2025大連講演会の模様など 一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 執筆者:菅原哲朗

1 中国のインターネットサービスは急速に進んできている。欧米と異なり、先ずは動いて失敗すれば撤退するビジネスモデルの発達は中国が一番だ。
 法律事務所のある大連中心・裕景ビル前の広場にも美団配送ロゴ入りワッペンのついた黄色のヘルメットをかぶり黄色ジャンバーを着てネット注文された商品を手際よく運ぶバイクが動き回り、車道・歩道も構わずバイクが通行するので歩行者優先の交通ルールはない。
 現在、紙幣の元札は巷にほとんど流通せず、スマートフォン機器の発達で買物・食事の金銭決済は「アリペイ」・「ウィーチャットペイ」がほとんどだ。電池切れでスマートフォンの財布を使用できなくするわけにはいかない。充電器を持ち歩く。

2 2025年11月26日、大連で一般社団法人日中法務交流・協力日本機構主催による講演会が星海広場を見渡す中国律師事務所の会場で開催された。毎年大連市で開催されてきているが、今回の講演会のテーマは「日中両国の弁護士が教える中国における債権回収のポイント」だった。
 概要は、日本・中国の法制度を踏まえて、日本人の弁護士と中国人の律師(弁護士)から「債権回収のポイント」、「裁判手続きの流れ」、「財産情報調査」、「強制執行の手続き」、「司法の限界として破産の問題」について、WEB参加及びリアルで出席の参加者に向けて約3時間講演した。
 当然ながら債権者にとって、約束通りに債務者がお金を払うならば何も問題はない。債務不履行の者がいるので、法律に基づく強制力を使う必要があり、弁護士が登場する。
 債務者の財産を調査し、裁判・仲裁・調停等の法律手続きを取り、強制執行でお金を回収する法的手続きを日中弁護士がそれぞれ語った。
 強制執行として中国人律師が指摘する「アリペイ」・「ウィーチャットペイ」の差押え、特別な執行措置として「外国人債務者の出国制限」があり、その他中国人富裕層債務者へ効果のある航空機・新幹線や星付き賓館での高額消費を規制する「制限消費令」は違反の処罰が罰金だけでなく有期懲役・拘禁刑も含む刑事罰で厳しいと語られた(参考「最高人民法院による被執行者の高消費制限に関する若干の規定」第11条)。
 以前、大連の地下鉄で顔写真付きで信用制裁が発布されたそうだが、中国で債務不履行者がブラックリストに掲載されることは新聞・テレビ・インターネットで公表されることを意味する。

3 私の専門分野はスポーツ法である。スポーツ事故を防止する方策を例えにして、在中国駐在人向けにまとめの挨拶で短く語ったのは、裁判になる前の予防法学の視点である。
 日本でも中国でも破産をなす者、資産が無い債務者から債権は回収できない。長年のビジネス老朋友(ラオポンヨウ)でも、いつもと違い代金の支払いがおかしい、会社経営が円滑ではないと危険を感じ取ったら「面倒くさい、マー良いわ」と思わずに、自分の感覚を信じて動くことが法リスク管理の基本だと述べた。

(2025年12月執筆)

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一般社団法人日中法務交流・協力日本機構からの便り 全124記事

  1. 2025大連講演会の模様など
  2. 撤退における労務リスクについて
  3. 中国からの撤退について
  4. 中国の離婚法制
  5. 大連訪問と中国の銀行更新手続き
  6. 中国における定年延長の決定
  7. 刑法改正のポイント
  8. 中国「会社法」改正のポイント
  9. 中国に銀行預金を残して死亡した場合の解約手続について
  10. 中国所在の不動産を巡る紛争と裁判管轄の問題
  11. 「老後は旅先で」~シニアの新しい生き方~
  12. 中国に出資しようとする外資企業に春が来た
  13. 「企業国外投資管理弁法」の概要
  14. 楽しさと便利さが、庶民の生活を作る。
  15. 中国会社法「司法解釈(4)」の要点解説
  16. 日本産業考察活動メモ
  17. 長江文明・インダス文明、再来の始まりを予感
  18. 中国国務院より「外資誘致20条の措置」が公布されました
  19. 中国の対日投資現状とトレンド(2)~中国の対日投資の論理とトレンド~
  20. 観光気分の危機管理
  21. 訴訟委任状に公証人の認証が必要か?
  22. 『外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法』の解説
  23. 婚活は慎重に!とある中国人女性と日本人男性の事例
  24. 新旧<適格海外機関投資家国内証券投資の外国為替管理規定>の比較
  25. 中国では、今年から営業税から増値税に切り換え課税するようになりました。
  26. 土地使用権の期限切れ
  27. 過度な中国経済悲観論について思うこと
  28. 『中華人民共和国広告法(2015年改正)』の施行による外資企業への影響(後編)
  29. 203高地への道
  30. 中国大陸における債権回収事件(後編)
  31. 中国大陸における債権回収事件(前編)
  32. 訪日観光は平和の保障
  33. 大連事務所15周年&新首席代表披露パーティーを行いました
  34. 再び動き出した中国の環境公益訴訟
  35. 「国家憲法の日」の制定
  36. 中国独占禁止法
  37. 道路の渡り方にみる日中の比較
  38. 日本の弁護士と中国の律師がともに講師となってセミナー
  39. 日中平和友好条約締結35周年に思う
  40. 中国におけるネットビジネス事情
  41. 敦煌莫高窟観光の人数制限と完全予約制の実施
  42. 両国の震災支援を両国民の友好につなげたい
  43. 公共交通機関のサービス体制
  44. 「ありがとう」を頻繁に口にすることの効果
  45. 久しぶりの上海は穏やかだ
  46. 事業再編の意外な落とし穴
  47. 強く望まれる独禁法制の東アジア圏協力協定化
  48. いまこそ日本企業家の心意気を持って
  49. iPadに見る中国の商標権事情
  50. 人民元と円との直接取引がスタート
  51. 中・韓のFTA(自由貿易協定)交渉開始と日本
  52. 固定観念を打破し、異質を結びあわす閃きと気概
  53. 若い世代を引きつける京劇
  54. 大都市は交通インフラが課題だ!
  55. 杭州市政府の若手職員の心意気
  56. 13億4000万人を養う中国の国家戦略
  57. 「命の安全」を考える。
  58. 大連で労働法セミナーを開催しました
  59. 中国でも「禁煙」規定が発効
  60. 中国における震災報道から思う
  61. IT通信手段は、不可欠だ。
  62. 日本人は計画的?中国人は行きあたりばったり?
  63. 広州・北京に見るストライキ事情
  64. 商業賄賂で処罰
  65. 大連事務所は開設10周年を迎えました!
  66. 顔が見える交流
  67. 日本は人治、中国は法治?!
  68. 日本の公証人制度
  69. 充電スタンド建設の加速
  70. 上海の成熟した喧噪と法意識の違い
  71. 中国における日本人死刑執行の重み
  72. 中国の富裕層は日本経済の「救世主」か
  73. 日本に追いつき追い越せ/パートII
  74. 国際交流を望む中国研究者にとって日本は遠い国だ
  75. 「文化産業振興計画」の採択
  76. 国慶節に思う
  77. IC身分証明と在日外国人取締強化
  78. 「日本人は・・・・・」「中国人は・・・・・・・」
  79. 中国の携帯電話産業
  80. メラミン混入粉ミルク事件
  81. 大連市の公証人役場
  82. 東北アジア開発の動きと長春の律師
  83. 循環型経済促進法の制定
  84. 北京オリンピックと私たち
  85. 四川大震災に想う
  86. 日・中企業間の契約交渉の実例
  87. 東アジア共同体
  88. レジ袋の有料化
  89. 通訳の質について
  90. 「中国餃子バッシング」に思う
  91. 中国の休日
  92. インドを見てから、あらためて中国を見る
  93. 日中韓の国境は障害を乗り越え、確実に近くなっている。
  94. 北京市の自転車レンタル事業から中国の環境政策を見る
  95. 福田首相と日中友好
  96. 上海の空、東京の空 四日市公害裁判提訴(1967年)から40年後の今に想う
  97. 物権法の制定過程
  98. 司法より行政に権力がある
  99. 中国の『走出去』戦略を読む
  100. 中国の環境問題
  101. 中国のオーケストラ
  102. 春節
  103. 「いじめ」は共通語だ!
  104. 中国を見る眼
  105. 最高人民法院を訪問しました
  106. 機内食のコップ あっという間の進歩
  107. 冷静な眼と暖かい心
  108. 自主的な総合的力量を備える
  109. 宴席は丸か四角か
  110. 「十一五」規画始動!
  111. 依頼人の人権擁護
  112. 身の安全
  113. 中国で「勤勉さ」を学ぶ
  114. 203高地や旅順口などの戦跡を訪れて思う
  115. 「ソウルで味わった韓流の逞しさ」
  116. 中国と日本の立法・行政・司法
  117. くれぐれも御用心
  118. 海外旅行は、法リスクの宝庫だ。
  119. 互いの理解
  120. 信頼関係の形成に向けて
  121. 中国憲法における「改革・開放」路線
  122. 苦情処理センターの効用
  123. 信頼できる中国人パートナーを得る
  124. 外国への進出と契約

執筆者

菅原 哲朗すがわら てつろう

弁護士

略歴・経歴

(出 身)1948年 東京都生まれ

(学 歴)1972年 東京都立大学法学部卒業
     1975年 司法研修所卒業 (司法修習27期)

(職 歴)1975年 弁護士開業 (第二東京弁護士会)
     2000年 中国大連市外国法弁護士事務所開設

(役 職)

 元日本スポーツ法学会会長
 公益財団法人日本スポーツ協会国民スポーツ大会委員会委員
 公益財団法人日本スポーツ協会アンチ・ドーピング委員会委員長
 第二東京弁護士会スポーツ法政策研究会代表幹事
 一般財団法人モーレイ育英会理事
 一般社団法人心身統一合氣道会理事
 元独立行政法人国立国際医療研究センター理事
 独立行政法人日本スポーツ振興センタースポーツ団体ガバナンス支援委員会委員長

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