一般2026年06月08日 訪問介護、カスハラ深刻化 医療含めた「安全対策を」 埼玉ケアマネ殺害1週間 提供:共同通信社

埼玉県川口市で介護支援専門員が訪問先の住宅で殺害された事件は8日で発生から1週間。訪問介護の現場では、利用者や家族らによるカスタマーハラスメント(カスハラ)が相次いでいる。2022年にも同県ふじみ野市で医師が訪問先で殺害される事件が起きており、識者は、訪問医療の従事者を含めて「安全対策の必要性が改めて問われている」と警鐘を鳴らす。
「ケアマネジャーを刃物で刺した。これから自分も刺す」。1日午後3時ごろ、無職の男(60)から110番があった。県警によると、血を流して倒れていた鈴木希代子さん(63)を川口署員が見つけ、男は自ら首を切った。いずれも搬送先の病院で死亡した。
鈴木さんは、男と同居する90代母親のケアマネジャーとして複数回訪れていた。1日は医師の訪問診療に付き添う予定で、医師は鈴木さんが襲われた後に到着したとみられる。
介護関係者が利用者や家族からカスハラを受けるケースは後を絶たない。ケアマネジャーの専門団体「日本介護支援専門員協会」が24年11~12月に調査すると、介護支援専門員らの33・7%が過去1年間に言葉の暴力や精神的な攻撃などを受けたと回答した。身体的な暴力を受けたとする回答も一部あった。
誰から受けたかを複数回答で聞くと、家族らを挙げたのは約7割、利用者本人としたのは約4割だった。自由記述の回答には「太ももを手で触られた」「1人で訪問するのも怖いことがある」といった意見があった。
ふじみ野市でも22年1月、訪問診療に訪れた医師が患者の家族に散弾銃で撃たれ殺害された。事件後、県は患者やその家族の暴力、ハラスメントについて相談を受ける専用窓口を設置していた。
鈴木さんが殺害された事件を受けた再発防止策として、厚生労働省は3日、利用者宅を複数人で訪問する際の経費を補助すると自治体に通知した。森ノ宮医療大の武ユカリ教授(在宅看護学)は、介護の現場は人手不足であり複数人で訪問する職員を確保するのは困難な状況だと指摘し「介護や医療関係者だけでは突発的な暴力を防ぐことは難しい。警察の関与も含め、行政や地域住民との連携態勢の構築が必要だ」としている。
埼玉ケアマネ殺害事件 埼玉県川口市飯原町の住宅で1日午後、介護支援専門員鈴木希代子さん(63)が血を流して倒れているのが見つかり死亡した。県警は住人の無職男(60)=死亡=が鈴木さんを刃物で襲った後、自殺を図ったとみて殺人事件として捜査。司法解剖の結果、鈴木さんの首に複数の切られた傷があり、失血死とみられることが判明した。男は110番の際「お金をだまし取られる」と話したが、トラブルは確認されず、県警は思い込みを募らせて殺害したとみている。
(2026/06/08)
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