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家族2020年11月17日 20年来の議論、一歩前進 子の人権、制度設計に課題 生殖医療の特例法案提出 提供:共同通信社

 与野党6党は16日、第三者が絡む生殖補助医療で生まれた子の親子関係を明確にするための民法の特例法案を議員立法で参院に提出した。約20年にわたって続く議論はようやく法案提出に至り「一歩前進」と評価する声もある。一方で、子の出自を知る権利の保障や具体的な制度設計は積み残された。国会審議でも焦点となりそうだ。
 ▽超党派合意
 「個人的に関わって20年。ようやく国民に(問題を)知っていただく機会を得たのはうれしい。良い形で日本のコンセンサスを作れるように取り組みたい」。16日、自民の野田聖子氏は記者団にこう述べ、表情を引き締めた。
 民法772条には「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子」と規定するが、生殖補助医療は想定していない。法制審議会(法相の諮問機関)は2001年、法改正に向けた検討を始めたが、国会の反対意見などにより03年9月の会議を最後にストップしたままだ。
 精子提供や代理出産では親子関係の認定を巡って裁判になる例も少なくないが、判断は明治時代に設けられた規定の解釈に委ねられており、司法は国会に立法を促してきた。
 今回の法案は自民党の部会が16年にまとめたもので、超党派の合意が成立し、提出に至った。菅政権が不妊治療への保険適用拡大を目指し、生殖補助医療への関心が高まっていることも追い風になったとみられる。
 ▽最初の一歩
 法案提出について、第三者の精子を使った人工授精(AID)を長年行ってきた慶応大病院の田中守(たなか・まもる)教授(産科)は「最初の第一歩としては非常に重要だ」と歓迎する。ただ「出自を知る権利など解決が難しい問題が山積みになっている」と指摘。「これから先の方が重要だ」と語る。
 卵子提供で2人の子を授かり、当事者のための自助グループを運営する女性は「法が成立すれば、卵子提供を巡る環境整備が進むと願いたい」と期待を寄せた。
 ▽慎重論
 一方で慎重な議論を求める声も相次ぐ。
 23歳の時、自分がAIDで生まれたと母から告げられた東京都の石塚幸子(いしづか・さちこ)さん(41)は「法案は生殖技術で生まれた子の法的地位の不安定さを解消するとしており、そのこと自体に正面から反対はできない」と複雑な気持ちを抱く。
 その上で「子どもが一番悩むのは、法的な身分の不安定さではなく、親が告知をせず、自分が知りたいときに提供者を知ることができない点だ」と強調。仮に法が成立すれば、子の出自を知る権利が置き去りにされたまま、第三者が介在する生殖技術が進められてしまうことを危ぶむ。
 また社会学などの研究者らで作る「代理出産を問い直す会」は「生殖ビジネスを拡大させ、女性への搾取を加速させる危険性がある」として法案の破棄を求める。同会代表で、東京電機大の柳原良江助教は「一番の問題は卵子提供者や出産者、生まれる子どもの健康リスクが全く調査、研究されていないことだ」と指摘した。
 日弁連も「法案は、基本理念や基本的な制度基盤の整備について不十分」とする会長声明を発表。出自を知る権利や情報管理制度が盛り込まれていない点などを問題点として挙げ、審議を十分に尽くすよう求めている。

(2020/11/17)

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