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家族2020年11月20日 児童虐待、最多19万3千件 19年度、増加数も記録更新 警察との連携強化背景 提供:共同通信社

 全国の児童相談所が2019年度に児童虐待として対応した全体の件数が19万3780件(速報値、前年度比21・2%増)に上ったことが18日、厚生労働省のまとめで分かった。1990年度の統計開始以来29年連続で最多を更新した。前年度からの増加数も3万3942件で過去最多だった。同省は「警察との連携強化が進んでいる」としている。
 厚労省によると、身体、ネグレクト(育児放棄)、性的、心理的の虐待4類型のうち、最多は心理的虐待で10万9118件。全体の56・3%だった。情報の経路は、警察の通告による対応が年々増え、19年度は9万6473件。全体の49・8%で10年前の15倍近くになった。心理的虐待に分類される、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の警察からの通告増加が目立つ。
 類型別で件数と全体での割合を見ると、最多の心理的虐待に続くのは、身体的虐待で4万9240件(25・4%)、次いでネグレクト3万3345件(17・2%)、性的虐待2077件(1・1%)。経路別で警察の次に多いのは、近隣知人の2万5285件(13・0%)。続いて家族親戚1万5799件(8・2%)、学校1万3856件(7・2%)となった。
 虐待対応件数は例年は夏に公表しているが、今年は新型コロナウイルス禍の影響で集計が遅れた。一方、厚労省は今年、例年にはない月次集計の速報値を6月分まで出しているが、新たに7月分は1万6556件(前年同月比6%減)と公表。前年同月比で4月は7%増、5月は2%減、6月は10%増で、同省は「原因分析には至らないが、注視する」としている。

進む増員と専門家登用 「質の担保」果たせるか

 児童相談所の対応件数増加に伴い、厚生労働省は児童福祉司を2022年度の5260人を目標に、5年で2千人増やす計画を実行中だ。現場からは急激な増員と育成のバランスの難しさに悩む声が上がり、質の担保が課題。一方、医師や弁護士ら、さまざまな専門職の登用による多角的な支援に期待が集まる。
 同省は18年に「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」を策定。17年度の3235人を基準に2千人増を掲げた。今年4月時点で4234人と半数を達成。だが1人当たりの担当件数を減らす計画は、対応件数急増が足かせになり困難が増す。
 「人材の奪い合いが生じている」との声もある中、増員は一概に喜べないとの声も。九州地方の児相職員は「育成の負担が現場にのしかかっている」と明かす。4月時点の児童福祉司の勤務年数は、1年未満が約2割。同省幹部は「質の担保も図りたい」と話す。
 児相への専門職の関与は年々進む。医師は既に約700人が活動。国は昨年6月成立の改正児童福祉法に将来的な配置義務化を盛り込んだ。同省によると、今年4月時点で全国73の児相設置自治体のうち、68自治体が医師を配置。常勤・非常勤の詳細なデータはないが非常勤が多いとみられる。
 横浜市は、市内の四つの児相全てに医師を常勤配置。小児科医と児童精神科医がおり、あざや発育具合など身体的状態の確認や、精神的に傷ついた子どもの治療をする。市の担当者は「迅速な対応が可能」と強調する。
 この他、法律的な助言が期待される弁護士は、全ての自治体で活動。契約型もあるが、常勤や非常勤が半数を超える。保健師も4月時点で180人が配置されている。
 児相に常勤勤務経験がある東京都港区の児相設置準備担当部長田崎(たさき)みどり医師は「医師不足の地域では、児相の掛け持ちで、過度の負担が生じるケースもある」と説明。学びの機会と時間が確保できる環境整備の必要性を訴えた。

虐待対応、トリアージを 識者談話

 日本子ども虐待防止学会の奥山真紀子(おくやま・まきこ)理事長(小児科医)の話 児童虐待対応件数の増加は、悲惨な死亡事例の報道による社会の意識の高まりを反映している。死亡事例の件数が大幅に増えているわけではない点に留意し、虐待を早期に発見して子どもの支援につなげる機会が増えていると考えれば悪いことではない。一方、児童相談所の負荷は重い。要因の一つは、通告から原則48時間以内に安全確認を行うルールだ。現状の件数で一律な対応は無理がある。むしろ通告などの入り口段階で緊急度に応じた「トリアージ」が必要だ。例えば「クラスA」ならば警察と児相が連携して対応、「クラスD」ならば児相ではなく市区町村が子育て支援、といったふうに。地域ごとに対応を決め、トリアージの精度を向上させ、適切な支援につなげたい。警察と「全件情報共有」を進める児相が増えているが、あまり意義は感じない。むしろ重度の事案対応に、どれだけ力を合わせられるかが問われる。

児童相談所

 子どもの福祉や権利擁護のため、児童福祉法に基づき、都道府県や政令指定都市などが設置する行政機関。11月1日現在で全国に220カ所ある。虐待を受けるなどした子どもの一時保護や保護者の指導に当たるほか、強制的に家庭へ立ち入り検査をする場合もある。虐待の相談などへの対応件数は増加傾向で、体制強化が課題となっている。

(2020/11/19)

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