一般2021年02月05日 相続登記義務化を答申へ 罰則導入、所有権放棄も可 法制審、不明土地問題 提供:共同通信社

所有者不明土地問題の解消策を議論していた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は2日、民法や不動産登記法の改正要綱案をまとめた。土地の相続登記を義務付け、3年以内に登記しなければ10万円以下の過料を科す。一定の要件を満たせば、相続した土地の所有権を手放せる制度も新設する。法制審は10日に上川陽子法相に答申。政府は今国会に関連法案を提出し、成立を目指す。
都市部への人口流入が続く中、相続した土地の使用予定がなく、売却も見込めないといった事情から、相続登記をせずに放置するケースは多い。国土全体では2016年時点で、九州の面積を上回る410万ヘクタールが所有者不明との推計もある。公共事業や災害復興工事に支障を来すことから、政府が関連法の整備を順次進めており、今回の法改正が「総仕上げ」(法務省幹部)となる。
要綱案では、(1)相続不動産の取得を知ってから3年以内の所有権移転登記(2)引っ越しなどで名義人の住所や氏名が変わってから2年以内の変更登記―の各申請を義務化。正当な理由がないのに怠れば、それぞれ10万円以下と5万円以下の過料とした。
一方、相続登記の際に提出する書類を簡略化するほか、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会して名義人の死亡情報や住所変更を把握できるシステムを作る。
相続した土地の所有権を手放すことを申請し、法相が承認すれば国庫に帰属させる制度も新設。ただし、土地の管理コストは本来、所有者が負担すべきだとの考えから、(1)更地である(2)担保に入っていない(3)土壌汚染がない―などを要件とし、申請者は10年分の管理費用相当額を納める必要がある。
相続開始後、親族間で遺産分割協議が行われず、長期間放置されることもある。対策として10年が経過すると、法定割合通りに自動的に分割する仕組みを設ける。
相続人と連絡が取れない場合、現行制度では、裁判所が選任する管理人がその相続人が受け継いだ財産全体を管理することになっているが、土地に特化できるようにルールを見直す。
法制審要綱案のポイント
法制審議会部会要綱案のポイントは次の通り。
一、土地の相続登記を義務化。3年以内に登記しなければ10万円以下の過料を科す。
一、相続した土地の所有権を一定要件下で手放せる制度を新設。
一、住民基本台帳ネットワークに照会し、土地の名義人情報を把握。
一、遺産分割の期限を10年とし、経過後は法定相続割合に従う。
一、相続人が不明な場合の財産管理制度を、財産全体でなく土地に特化して使えるよう見直す。
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