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医療・薬事2019年10月24日 置き去りの被害回復に道 苦渋の判断、啓発が課題 ハンセン病家族補償 提供:共同通信社

 ハンセン病元患者の家族を対象にした補償法案の基本方針が24日決まり、置き去りにされていた家族の被害回復への道が整った。だが補償額は当初の要求と開きがあり、受け入れは原告には苦渋の判断。補償が実現しても、偏見や差別を恐れ当事者が名乗り出ないことも考えられ、今後の啓発活動が課題になる。
 ▽訴え
 「最終解決に向けて、非常に大きな一歩だ」。24日夕方、参院議員会館の会議室。熊本訴訟弁護団の徳田靖之(とくだ・やすゆき)共同代表が基本方針が決まったと切り出すと、集まった原告から安堵(あんど)の声が漏れた。
 政府は原告・弁護団側と補償内容を何度も協議してきた。対象範囲については同居のおい、めい、孫を含めるなど、熊本地裁判決が認めた以上に広げることで比較的早い段階で合意が成立した。
 だが補償額の協議は難航。政府側は判決で示した最大130万円から20万円の上積みで打開を図ろうとしたが、訴訟で1人当たり550万円を求めた原告側の考えとの差は開いたままだった。
 「交渉決裂もあり得た状況」(弁護団関係者)だったが、原告側は最終的に政府が譲歩して示した最大180万円の案を受け入れた。ただ、原告団長の林力(はやし・ちから)さん(95)は記者会見で「国がこれで罪をつぐなったと合点する人はいない」と苦渋の判断だったと明かした。
 ▽思い
 元患者家族への補償が決まったことは他の訴訟の関係者にも影響を与えている。旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに強制も含めた不妊手術を施していた問題では、今年4月に一時金320万円を支給する法律が施行された。だが支給の対象は本人のみで、家族は入っていないためだ。
 現在、7地裁に20人が国家賠償請求訴訟を起こしており、原告には本人だけでなく、配偶者も含まれている。全国被害弁護団の新里宏二(にいさと・こうじ)共同代表は「産むか産まないかを決める権利は個人のものであり夫婦のもの。子を育てる喜びを奪われた本人とともに配偶者らも補償すべきだ」と強調。その上で「元患者家族訴訟の思いを受け継ぎ、全力で取り組む」と語った。
 ▽展望
 元患者家族の補償関連法は臨時国会での成立は確実となったが、懸念もある。ハンセン病問題に詳しい神戸学院大の春日勉(かすが・つとむ)教授(刑事政策)は「元患者の家族だと周囲に知られることを恐れ、請求をためらう人もいるのでは」とみる。
 訴訟関係者は、熊本訴訟の原告らは元患者の家族というだけで差別にさらされ続けている現状を話しており、実際、原告561人のうち名前を出して裁判に臨んだのは数人だった。春日教授は「待っていたら出てこない人もいる。行政は請求を促す仕組みを整えるべきだ」と指摘した。

補償法案基本方針ポイント

ハンセン病元患者家族の補償法案基本方針のポイントは次の通り。
 一、精神的苦痛の慰謝料として、元患者の親子や配偶者、同居していた1親等の姻族に180万円、きょうだいや同居のおい、めい、孫、配偶者のきょうだいなど2親等の姻族や3親等内の血族に130万円を支給。
 一、元患者の療養所入所歴は問わず、2002年以降や米国統治下にあった沖縄の被害も補償し、戦前の台湾や朝鮮半島に住んでいた家族も対象。
 一、請求期限は5年以内。外部有識者で構成する認定審査会が審査し、厚生労働相の認定で支給。
 一、訴訟中に死亡した原告には省令で、補償金と同額の「名誉回復特別一時金」を支給。
 一、前文案には「国会および政府」を主語として「深くおわびする」と記載。

(2019/10/24)

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