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家族2021年04月05日 性虐待、認定したのに無罪 法律課題、裁判官の理解も 「#ジェンダー ともに」性暴力 提供:共同通信社

 11年前に17歳だった女性への強姦(ごうかん)罪に問われた男性を無罪とした3月の横浜地裁川崎支部判決(江見健一(えみ・けんいち)裁判長)が、波紋を広げている。判決は男性による長期の性的虐待を認定したにもかかわらず、起訴された罪について女性の供述の信用性に疑問があると判断した。検察側は控訴せず確定したが、専門家は、裁判官が性暴力被害者の心理を十分に理解していない点や、公訴時効の期間が短過ぎる刑法、刑事訴訟法の問題点を指摘する。

ステレオタイプ

 判決によると、男性は女性が小学生の頃から母親と交際。2010年にレイプしたとして、強制性交罪ではなく法改正前の強姦罪で起訴された。
 「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」共同代表で被害者支援に携わるカウンセラー周藤由美子(すとう・ゆみこ)さんは判決について「被害者心理を十分に理解していない」と感じた。
 判決は女性の日記を基にレイプの有無を判断。妊娠への不安に触れていない点などから「17歳で性交の意味を解しなかったとは考えられない」とし、レイプされたという主張に疑問を呈した。
 周藤さんは「知識や経験が不足し、実際に何をされたのか確信が持てない若年の被害者は多い。女性が書いたように、実際にレイプされた日に『私何されたの』などと日記に記載することも不思議ではない。実態は、裁判官の想定するステレオタイプな被害者像とは違う」と話す。
 判決はさらに、女性が医師に被害を明かした手記も検討。性器の挿入に関する記述がないことを不自然と指摘した。この点も、周藤さんは「書くことはトラウマと向き合うこと。最も傷ついた部分だけ申告できないケースも実際に見ており、おかしくない」と説明。「性暴力被害特有の心理を、裁判官になった後はもちろん、法科大学院などの教育段階でしっかり学ぶべきだ」と訴えた。

時効の壁

 女性が警察に相談したのは約9年8カ月後の19年10月。強姦罪の時効は10年で、直前で訴えたことになる。一方、強制わいせつ罪の時効は7年で成立し、性器を触られるなど長期間の性虐待を罪に問えなかった。
 性暴力被害者はショックによる記憶障害などから、被害を訴え出るまでに長い時間を要するケースが多い。大阪大の島岡(しまおか)まな教授(刑法)によると、ドイツなどヨーロッパの国では、未成年に対する性犯罪は、被害者が成人または30歳になるまで時効が停止され、韓国のように13歳未満や障害者への性犯罪の時効が撤廃された国もある。日本の時効については「短過ぎる。延長か、成年に達するまで停止する措置が必要」と指摘する。
 性暴力に詳しい寺町東子(てらまち・とうこ)弁護士は、男性器の挿入がないと強制性交罪が成立しない点も問題視する。「幼児は性器が未発達で、指や舌、物を挿入される被害も多い。子どもの頃の被害を訴える力を持てるようになるのは20代後半以降とも言われ、強制わいせつ罪を適用できるケースでも時効が壁になる」と指摘する。
 法務省の有識者検討会は現在、刑法の性犯罪規定の見直しについて議論している。寺町弁護士は「今回の無罪判決は、現行法の不備を凝縮して明示した。法改正しなければ、子どもの頃の性的虐待は門前払いが続くだろう」と強調した。

(2021/04/05)
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