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環境2021年04月08日 「明日への挑戦」脱炭素に動く企業 提供:共同通信社

危機感共有、政府に迫る 海外の厳しい目で加速 

 政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ」と昨年10月に表明、菅義偉首相になって脱炭素社会の実現に向け大きくかじを切った。背景には、対応が欧州連合(EU)に比べて遅れ、米国、中国にも抜かれる危機感があった。
 もう一つは産業界の変化だ。事業活動の電力は再生可能エネルギーしか使わないと宣言し脱炭素に動きだす企業が増えている。理由を探った。

再エネ100

 村田製作所(京都府長岡京市)はスマートフォンや自動車に使われるコンデンサー、センサーなどの製品を生産し、9割以上を海外で販売するグローバル企業だ。昨年12月、「50年までに再エネ100%達成」を表明し、国際企業連合「RE100」に入った。
 海外では大手IT、自動車メーカーの多くが宣言しており、この表明は地球温暖化に取り組む姿勢を社として明確にする狙いがあった。さらに「これら企業に供給する部品メーカーとして環境への取り組みも『商品の価値』の一つになってきた」と坂田繁寛ファシリティ部長が解説する。
 電力使用量に占める再エネの割合は19年度が1・5%。目標達成のため(1)省エネルギーの促進(2)太陽光発電施設の自社整備(3)再エネでできた電力の購入―を進める。既に子会社の岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)にある1200台分の駐車場に、メガソーラーシステムを整備するなど10拠点以上に太陽光発電を導入した。
 EUは環境規制が緩い国からの輸入品に課す「国境炭素税」の導入を議論し米国も検討課題に挙げる。世界では二酸化炭素の排出が経営リスクとして捉えられている。
 「国内でも炭素税が導入される可能性がある。負担を下げる意味から省エネ投資を促進するが、それだけでは不十分だ」と勝間篤ファシリティ部施設課チームリーダー。「再エネ電力が海外と同じような低価格で供給されるかが達成の課題だ」と指摘した。

気候情報開示

 ESG(環境、社会、企業統治)を強く意識した経営にも村田製作所は力を入れる。ESGを重視する国内外の機関投資家の理解を得るため、多くの評価機関のチェックを受けている。
 「高く評価されることは、株価の安定だけでなく、脱炭素化、プラスチックごみの削減といった環境配慮や人権配慮の取り組みが、世の中からずれていないことの証明にもなります」と坂田氏。
 昨年2月には、主要国の中央銀行などが参加する金融安定理事会の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同も表明した。気候変動が事業に与えるリスク・機会を分析し、ガバナンス・戦略などに関連する情報の開示が求められる。
 EUや国際組織、環境保護団体が、RE100への加盟や気候リスクに関する情報公開を促し、機関投資家がその内容を評価する。海外の厳しい目を受け企業の温暖化対策が加速している。

ESG投資

 不動産業界も動いている。東京駅前の大手町、丸の内などのエリアのまちづくりをリードしてきた三菱地所も昨年1月に「RE100」に加盟し、2月にTCFD提言への賛同も表明した。
 長期経営計画では、グループ全体で事業利益360億円程度の海外アセット事業について、30年には500億円程度上乗せする目標がある。「ESG投資の割合を高める機関投資家から必要な投資を受けるには、環境への取り組みが不可欠だ」と吾田鉄司サステナビリティ推進部専任部長。
 今年1月には新丸の内ビルディングなど19棟の全電力を再エネ由来にすると発表。狙いを吾田氏は「RE100に加盟する海外企業から、東京で事務所を探す際の条件として再エネ100%を求められることもある。その需要に応えなければならない」と説明する。
 村田製作所や三菱地所が入る国内企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は昨年10月、政府の実質ゼロを歓迎するとした上で、達成に向け30年には電源構成の再エネ比率を50%に引き上げるよう提言した。政府の現行エネルギー基本計画の目標は22~24%にとどまり、大幅な上積みを迫る。その理由は明快だ。「脱炭素政策の遅れが日本企業の競争力と投資家からの評価を低下させつつある」。経済界は危機感の共有を政府に求めている。    

 (共同通信編集委員 諏訪雄三)

生産拠点の移転を懸念

 今年3月末で、世界では290超の企業が使用電力を全て再生可能エネルギーで賄う「RE100」に加盟し日本企業はうち52社を占める。ただ、100%達成の目標年は世界平均が2028年に対し、日本企業の多くは50年にとどまる。
 その主因は国内の再エネ電力の供給量が少なく、高価格なためだ。再エネ100%の電力でつくられたものしか調達しない企業も増えている。供給量が増えず価格が下がらなければ、生産拠点を海外に移さざるを得ない日本企業も出てくる。
 主要国の多くが既に電源構成の再エネ比率30~40%を達成する。日本国内では洋上風力や太陽光をさらに活用すれば30年ごろの50%達成は可能だ。欧州連合(EU)に後れを取る政府に温暖化対策でのリーダーシップ発揮は期待できないが、国際動向には敏感であってほしい。

(2021/04/08)
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