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家族2021年04月13日 家族の世話担う中学生5% 高校4%、ヤングケアラー 障害の父母も、初の調査 提供:共同通信社

 きょうだいや家族の世話をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援に向けた厚生労働省と文部科学省による初の実態調査で、「世話している家族がいる」とした中学生が5・7%(約17人に1人)、高校生が4・1%(約24人に1人)いたことが12日、分かった。クラスに1~2人いる計算で、うち2~3割が父母を世話し、理由は身体障害が多かった。厚労省の担当者は「予想以上に多い」としている。
 ヤングケアラーは学業や進路への影響だけでなく、同世代からの孤立を招くと指摘される。世話する中高生の6割超が誰にも相談したことがなく、担当者は「問題が知られておらず、適切な支援につながっていない可能性がある」としている。
 両省は福祉サービスにつなぐ仕組みを整理し、5月に相談窓口拡充などの支援策をまとめる。
 定時制、通信制高校生への抽出調査も別途実施。世話する生徒の割合が全日制の2倍超となり、深刻な状況が浮かんだ。
 昨年12月~今年1月、公立中754校と全日制高249校の2年生を対象にアンケート。中学生5558人、高校生7407人から回答を得た。
 世話する生徒に対象を尋ねると、きょうだいと答えた中学生が61・8%、高校生が44・3%。理由は幼いからが7割を占めた。父母を世話する中学生は23・5%、高校生は29・6%。理由は、身体障害が最も多く中学生で20・0%、高校生で15・4%に上った。1~2割の生徒が、高齢や介護が必要な祖父母を世話しているとした。
 世話をする頻度は半数弱が「ほぼ毎日」と回答。費やす時間は「一日3時間未満」が最多で、平均は中学生は4・0時間、高校生は3・8時間。7時間以上と答えた生徒も1割いた。半数以上が「特にきつさは感じていない」としたが、1~2割は「精神的にきつい」と答えた。
 生徒全体の8割が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と回答。認知度を上げる取り組みも求められる。
 学校側も、半数が該当する生徒がいると回答したが、中学の4割弱、高校の6割が市区町村が設置する要保護児童対策地域協議会に通告するなど学外の支援につないでいなかった。

定時制、通信制さらに深刻 「家族の世話」2倍超

 厚生労働省と文部科学省による「ヤングケアラー」の実態調査で「世話をしている家族がいる」と答えた定時制高校生は8・5%、通信制高校生は11・0%で、全日制(4・1%)の2倍を超えた。都道府県で1校ずつの抽出調査だが、定時制、通信制の生徒が深刻な状況に置かれていることが分かった。
 「精神的にきつい」と答えた生徒は定時制29・0%、通信制40・8%と全日制の1・5~2倍となっており、担当者は「家庭の事情から全日制に通えず、支援が必要な生徒が多く在籍している可能性がある」としている。
 世話の対象となる家族は、きょうだいが4割で最も多かったが、父母が3割を超え、全日制よりも割合が多かった。通信制の生徒の6割が世話をする頻度を「ほぼ毎日」と回答。4人に1人は、1日7時間以上を世話に費やしているとした。
 定時制では2割、通信制では4割が「自分の時間が取れない」と回答。通信制の12・2%が、世話をしていることで「進路の変更を考えざるを得ない、もしくは変更した」としている。
 両省は昨年12月~今年2月、各都道府県で公立定時制高校、通信制高校をそれぞれ1校ずつ抽出。調査に応じた学校に在籍している2年相当の定時制の生徒366人、通信制の生徒446人から回答を得た。

「余裕欲しい」切実な声 中高生のヤングケアラー

 「夜遅くまで世話して授業に集中できない」「少し余裕が欲しい」。ヤングケアラーに関する初の全国調査には、家族の世話を担う中高生から切実な声が寄せられた。
 障害があるきょうだいの世話をしている生徒は「昨年の休校中は預かってくれる所がなく、別のきょうだいと交代で世話をし、その間は勉強ができなかった」。別の生徒も「睡眠時間も削られ、授業中眠く、集中が途切れることがある」と学業への影響を訴えた。
 「今の状態はしんどい。ここから逃げだしたいわけではなく、私にも少し余裕が欲しい」「誰かに相談する余裕なんてない。今日一日どう過ごすかでいっぱい」と切迫感のある内容も。「障害者への支援が少ないから、家族に負担がかかる」と福祉政策への疑問を呈する声もあった。
 ある生徒は「先生に事情を説明しても表面的なことを言われ、欠席や遅刻が家庭の事情でも内申点で跳ね返ってくる」と不信感をあらわ。別の生徒は「友だちと暗い話をすると空気が悪くなるので」と相談しにくい雰囲気があるとした。
 必要な支援については、家族を預かってくれるサービスの拡充や、会員制交流サイト(SNS)や電話での相談窓口の整備を求める声があった。
 「否定せず、話だけ聞いてほしい」「相談できる先生が一人でも増えてくれれば」と周囲の理解を求める意見も多かった。

家族全体のケア必要 識者談話

 ヤングケアラーに詳しい西南学院大の安部計彦(あべ・かずひこ)教授(児童福祉学)の話 市区町村などの要保護児童対策地域協議会がヤングケアラー支援の要となるが、虐待対応に追われる地域が多く、支援は不十分だ。早期発見には、生徒が欠席や遅刻した際に学校の教員がしっかり事情を聴き、家庭環境を把握することが重要となる。抜本的な解決には、家族全体へのケアが欠かせない。それぞれのケースで、福祉の担当者、スクールソーシャルワーカー、医師などを交えた検討会議を開き、適切な公的サービスにつなぐための仕組みづくりが必要となる。

教育機会保障の工夫を 識者談話

 酒井朗(さかい・あきら)・上智大教授(教育社会学)の話 ヤングケアラーは学校で悩みを打ち明けにくく、教員には欠席日数の多さや学習状況の変化から、支援の必要性を察知する想像力が求められる。福祉的支援による負担軽減だけでなく、遅れがちな学習を地域と連携して支援するといった教育機会を保障する工夫もしてほしい。学校が子どものつらさを受け止めることが、心理的な支えにつながる。そのためには教員が向き合う余裕をつくる必要があり、働き方改革の推進が欠かせない。

ヤングケアラー

 「YOUNG(若い)」と「CARER(世話する人)」を組み合わせ、英国で生まれた言葉とされる。日本ケアラー連盟などによると、大人が担うような家事や病気や障害がある家族の介護を日常的に行っている18歳未満の子どもを指す。幼い弟妹の世話や日本語が話せない家族の通訳を務めている子どもも含まれる。自由な時間が取れず、学業や進路に影響を及ぼすだけでなく、健全な発育や人間関係の構築を阻むとされている。英国では1980年代に、こうした子どもの研究が始まり、支援のための法整備が進んだ。

(2021/04/13)
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