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社会保険2021年06月04日 「表層深層」75歳医療費2割負担 「全世代型」へ道筋見えず 社会保障、負担減は限定的 提供:共同通信社

 75歳以上の後期高齢者に新たな窓口負担を求める医療制度改革関連法が4日、成立した。政府は一定の収入がある高齢者にも応分の負担を求め、現役世代を含めた「全世代型社会保障」につなげたい考えだ。しかし、現役世代の負担軽減効果は限定的で、高齢化がピークに近づく2040年に向け、抜本的な改革への道筋は見えない。

かたくな

 「これまでの制度を見直し、全ての世代が支え合える社会保障制度を、何としても作り上げていきたい」。1日の参院厚生労働委員会。菅義偉首相は改革への意気込みを語った。
 75歳以上の医療費窓口負担に2割枠を新設する今回の改革は、前政権から引き継いだ目玉政策だった。19年に安倍晋三前首相が主導し「全世代型社会保障検討会議」を設置。同年12月の中間報告に負担引き上げを明記した。
 当初は翌20年6月に最終報告をまとめるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大で12月に先送りに。高齢者からの反発を懸念した公明党は、より高所得層に引き上げ対象を限定するよう求めたが、菅首相は公明より厳しい案を主張。中間を取って、単身では「年金を含む年収200万円以上」で決着した。
 これは制度を所管する厚労省が想定していた年収ラインよりも低く、対象者も多い。幹部の一人は「首相はかたくなだった。『現役世代の負担を軽くするために』という思いが強かったのだろう」と推察した。

月額30円

 紆余(うよ)曲折の末に法案提出にこぎ着けたものの、効果には疑問符が付く。
 21年度の75歳以上の医療費総額は18兆円(予算ベース)で、うち6兆8千億円を現役世代が「支援金」という形で負担している。22年度に高齢者の負担引き上げを1年間実施したと仮定すると、現役世代の支援金は720億円抑制されるが、1人当たりでは年700円、企業負担分を除くと月額約30円にすぎない。
 国会審議では「現役世代の負担軽減効果はわずかだ」との指摘が相次ぎ、立憲民主党の山井和則氏は「年700円、そのために高齢者の負担を2割にする理屈は通らない」と反発した。
 立民は、2割枠を新設せず窓口負担を原則1割のままとし、代わりに75歳以上の高所得者の保険料上限を引き上げることで、政府案と同等の財政効果を得られるとした。

弥縫策

 田村憲久厚労相は国会審議で、今回の制度改革について「将来にわたり安定的な制度にするために、弥縫(びほう)策だけではなかなか難しい」と認めた。
 水面下では75歳以上の保険料の上限引き上げや、負担能力を判断する「収入」に、貯金などの金融資産を含める―などの検討も進むが、どれも小幅な見直しにとどまる。
 高齢化のピークに近づく40年に向け、抜本的な制度改革が必要という点で与野党は一致。関連法の付則には「法律の公布後速やかに、社会保障制度の改革および少子化に対処するための施策について、総合的な検討に着手する」と書き込まれた。
 山形大の村上正泰(むらかみ・まさやす)教授(医療政策学)は「自己負担割合に収入で差をつけるのではなく、社保制度全体から考えると、今後は保険料や税の負担の在り方を議論するべきだ」と指摘する。
 ある与党のベテラン議員は「本気で改革をやるなら、『社会保障と税の一体改革』の3党合意の時のように、野党も巻き込まなければ抜本的なことはできない」と注文を付けた。

家計に配慮し緩和措置 窓口負担年2万6千円増 Q&A「高齢者医療費」

 一定の収入がある75歳以上の人の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる「医療制度改革関連法」が成立しました。

 Q 対象は。

 A (1)単身では年金を含む年収が200万円以上の人(2)夫婦の場合は年収が合計320万円以上の世帯―の約370万人です。

 Q いつから引き上がりますか。

 A 2022年10月から翌23年3月の間です。具体的な時期はこれから決めます。

 Q 一気に負担が増えると心配です。

 A 政府は持病の多い高齢者の家計への影響を配慮し、外来受診については引き上げ開始から3年間、1カ月の負担の増加幅を最大3千円に抑える「激変緩和措置」を導入します。

 Q 詳しく教えてください。

 A 例えばある月の医療費総額が5万円かかった場合、現在は1割負担のため5千円を支払えば済みます。これが2割になると1万円、1カ月で5千円の負担増です。しかし、緩和措置がある3年間は、5千円のうち3千円まで負担すればよく、残り2千円は軽減されます。つまり自分で支払う総額は8千円となります。

 Q 全体的にはどれぐらいの影響になるのでしょう。

 A 厚生労働省の試算では、緩和措置を講じても窓口負担の年間平均額が約8万3千円から約10万9千円となり、2万6千円増える見込みです。

 Q それでも引き上げるのはなぜですか。

 A 現役世代の負担を軽減するためです。これまで高齢者中心だった社会保障制度を見直し、現役世代も重視する形に転換していく狙いです。

 Q 現役世代はどれくらい負担しているのですか。

 A 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の財源は、高齢者の窓口負担分を除くと、高齢者自身が納める保険料が1割、公費が5割で、残る4割は現役世代の保険料で賄われています。21年度の現役世代の負担額は7兆円に上ります。ただ少子高齢化が進むため、今回の制度改正を踏まえても25年度には8兆円を超える推計です。現役世代の負担が大幅に減るとは言いがたい状況です。

(2021/06/04)
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