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運輸・交通2022年04月29日 75歳以上実車試験スタート 5月、サポカー限定免許も 死亡事故割合は高止まり 「高齢ドライバー対策」 提供:共同通信社

 新たな高齢ドライバー対策として5月13日から、一定の違反歴がある75歳以上を対象とした運転技能検査(実車試験)と、先端技術を搭載した「安全運転サポート車(サポカー)」の限定免許制度がスタートする。近年も全国各地で悲惨な事故が相次ぎ、75歳以上による交通死亡事故の割合は高止まりしている。自動車教習所では新制度に向けた準備が急ピッチで進む。

教習所指導員ら準備着々 不合格「免許失うことに」

 新ルールの大きな柱の一つ、運転技能検査(実車試験)は免許有効期限の6カ月前から繰り返し受検可能だが、期限までに合格できないと免許を更新できない。「落ちた人は免許を失うことになるので、採点は高い公平性が求められます」。制度開始を目前に控え、教習所などの関係機関は着々と準備を進めている。
 3月中旬、東京都小平市の新東京自動車教習所。副所長の横川亘(よこかわ・わたる)さん(52)が指導員5人に身ぶり手ぶりを交え、検査の内容や手順を説明した。
 警察庁によると、免許更新時の誕生日の160日前を起点として過去3年間、信号無視や逆走など11種類の違反のうち一つでもあった75歳以上を実車試験の対象としている。教習所などで実際に運転してもらい、100点満点からの減点方式で、普通免許は70点以上が合格となる。
 説明会に集まった5人は教習所や運転免許試験場で高齢者を指導できる資格を持ち、日頃から高齢ドライバーに教えている。会では「受検者から採点に異議が出た場合はどう対応するのか」などの質問が出た。
 続いて教習所のコースに移動。教習車を交差点の停止線を越えて止め、車の位置を変えながら採点のポイントを確認した。指導員の松見昭(まつみ・あきら)さん(73)は終了後の取材に「試験を通して、どうしたら事故を起こさないか分かってもらうことが大事だ」と話した。
 一方、サポカーは、安全運転を支援する先端技術を使った車で、高齢者向けに推奨されている。限定免許は本人が申請でき、2種類の車を運転できる。
 一つは国の性能認定を受けた衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)と、ペダルを踏み間違えたときに急加速を防ぐ装置のある車。もう一つは、2021年11月に義務付けられた保安基準を満たした車だ。
 警察庁によると4月22日現在、限定免許で運転できるのは国内メーカー8社の126車種、344型式に限られている。
 免許証に「普通車はサポートカーに限る」と記載され、対象外の車を運転すると道交法違反となり、違反点数は2点。各地の警察では、運転免許センターや教習所などでサポカー試乗会といった普及啓発の取り組みを進めている。

全体の15%、過去最高割合 操作ミス多発、各地で暴走

 警察庁によると、2021年に発生した75歳以上のドライバーによる車やバイクの死亡事故は346件。アクセルやブレーキの踏み間違いなどの操作ミスが目立った。死亡事故全体(2289件)の15・1%を占め、統計が残る1986年以降で最高の割合となった。
 75歳以上の免許人口10万人当たりの件数は5・7件で、75歳未満の2・6件と比べ2倍以上。346件の種類別では、電柱や標識などへの衝突が89件、出合い頭が54件、正面衝突が45件と多く、人が横断中の事故も37件あった。
 深刻な死傷事故も依然続いている。宮崎市の中心街で15年10月、当時73歳の男性が運転する車が歩道を約700メートル暴走し、歩行者ら2人が死亡した。
 16年11月には東京都立川市の病院敷地内で、当時83歳の女性の車が暴走。歩道の男女2人が犠牲になった。女性は入院中の夫を見舞い、帰宅する途中だった。
 21年11月には、大阪府大阪狭山市のスーパーの店先で当時89歳の男性の車が暴走し、高齢の男女3人が死傷。亡くなった87歳の男性は自らの事故を避けるため、数年前に運転免許を返納しながら犠牲になった。

団塊世代、75歳以上に 免許返納増加、21年51万人

 団塊世代が徐々に75歳以上となる現状から、高齢ドライバー対策は喫緊の課題だ。警察庁は道交法の改正を重ねるなどして、免許の自主返納制度の創設や認知機能検査の強化といった取り組みを進めてきた。
 自主返納制度が始まったのは1998年4月。20年以上が経過したが、東京・池袋で2019年4月、当時87歳の男性が運転する車が暴走して母子2人が死亡した事故をきっかけに増加した。21年の返納者は51万7040人に上り、このうち75歳以上が27万8785人と半数以上を占めた。
 17年3月に施行された改正道交法では、75歳以上の免許更新時に判断力や記憶力を調べる認知機能検査を強化。認知症の恐れがあると判定された場合は、医師の診断を経て免許の取り消しや停止となる。
 今年5月施行の改正法では、運転技能検査(実車試験)の導入のほか、認知機能検査の内容も変わる。現行は「認知症の恐れ」「認知機能低下の恐れ」「認知機能低下の恐れなし」の3区分だったが、医師の診断が必要かどうかで分ける「認知症の恐れあり」「なし」の2区分とした。

対策と代替手段ともに必要 東京経済大の青木亮教授 識者談話

 高齢者は危険の認識や反応が遅れるため、運転すれば一定数の事故が起きるのは避けられない。技能が落ちたらやめるべきだが、それでも続ける人には、自分はできるという思い込みもある。
 そのため、安全運転ができない人が免許を更新できないようにし、事故を防止する運転技能検査(実車試験)や免許の返納を促す施策は一定の合理性がある。
 ただ、地方を中心に車を主な移動手段にしている人は生活の足を失い、代替手段が必要になる。現時点ではバスが最も一般的な方法だ。地域の人やボランティアの車に相乗りするライドシェアはうまくいった事例がある一方、地域で合意できず始められなかったところもある。自動運転技術が発展すれば解決策になり得るが、まだ時間がかかるだろう。
 既に国や自治体の施策でバスやタクシーの補助制度は設けられているが、利用しにくい場合がある。免許を失う前から利用経験をしてもらうような、スムーズに移行するための取り組みが求められる。
 また、車がないと困る人は「安全運転サポート車(サポカー)」が選択肢になる。メーカーが力を入れており、普及が進むだろう。ただ、普通免許で運転できるため、サポカー限定免許を取得する人は少ないと思う。
 高齢化が進み、70、80代を支えている60代も10年後は支援を受ける側になるかもしれない。支援の需要は増えるが、地域ごとの事情があり、一つの方法で解決はできない。実情に合わせ、いろいろな手段を組み合わせることが必要だ。
   ×   ×
 あおき・まこと 67年、東京都生まれ。09年から現職。専門は交通政策。

高齢者事故対策を巡る経過

 1998・4 運転免許の自主返納制度が始まる
 10 免許更新時の高齢者講習を開始
 2009・6 免許更新時の認知機能検査開始
 15・10 宮崎市で当時73歳の男性の車が歩道を暴走し歩行者ら2人死亡
 16・11 東京・立川市の病院敷地内で当時83歳の女性の車が暴走し歩道の2人死亡
 17・3 認知機能検査を強化する改正道交法施行
 19・4 東京・池袋で当時87歳の男性の車が暴走し母子2人が死亡、9人が負傷
 20・6 一定の違反歴がある75歳以上を対象とした運転技能検査(実車試験)と、「安全運転サポート車(サポカー)」限定免許を新設する改正道交法が成立
 21・11 大阪府大阪狭山市のスーパーの店先で当時89歳の男性の車が暴走し3人死傷
 22・5 運転技能検査とサポカー限定免許制度を開始

(2022/04/29)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

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