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民事2022年05月19日 民事裁判IT法が成立 全手続きオンライン可能 25年度まで段階実施 提供:共同通信社

 民事裁判の提訴から判決までの全ての手続きをオンラインでできるようにする改正民事訴訟法などが18日、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。紙や対面でのやりとりが中心だった裁判の姿が変わり、2025年度までに段階的に実施される。法改正が不要な非公開の争点整理など一部手続きでは、裁判所と弁護士事務所をインターネットでつないでやりとりする動きが進む。
 オンライン利用が義務となるのは弁護士ら代理人による提訴に限られるが、膨大な量の紙の資料や移動時間が省け効率化が進むため、積極活用が予想される。
 提訴時は原告側が訴状の電子データをオンラインで提出し、被告側が裁判所のサーバーにアクセスして閲覧、ダウンロードする。代理人を付けない「本人訴訟」はオンライン提訴の義務化から除外。IT機器に不慣れなデジタル弱者の存在を踏まえ、憲法の「裁判を受ける権利」に配慮した。
 口頭弁論はウェブ会議でできるようにし、遠隔地に住む場合などに限定していた証人尋問も可能になる。判決文は裁判所が双方に送信する。
 憲法では「裁判の公開の原則」が定められており、傍聴はできる。裁判官がいる法廷にモニターが設置され、やりとりを見る形になる。
 離婚調停もウェブ会議で参加でき、対面せずに離婚成立が可能となる。
 判決時期が見通せないほど審理が長期化するのを避けるため、6カ月以内に結審し、さらに1カ月以内に判決を言い渡す訴訟手続きを新設。双方の同意や、公平性を害さないことを要件とした。証拠収集の態勢が劣る当事者に不利になるため消費者事件と労働事件を除外する。
 民事裁判のIT化を巡っては経済界から利便性で国際的に後れを取っているとの批判があった。政府は将来的に、本人訴訟も含め全ての人にオンラインを活用させたい考えだ。
 今回の法改正では、性犯罪やドメスティックバイオレンス(DV)の被害者が提訴するなどした場合、訴状などに氏名や住所を記載しなくてよい秘匿制度も設けた。

デジタル弱者への対応必須 司法アクセス、手段十分に

 2025年度までに実施される民事裁判手続きのオンライン化では、パソコンなどのIT機器に不慣れなデジタル弱者が、司法にアクセスする手段を十分に確保することが必須になる。
 法制審議会(法相の諮問機関)の部会では、全事件のオンライン義務化を求める意見も出たが、弁護士の委員が「司法へのアクセスを後退させてはいけない」と主張。義務化は弁護士ら代理人による提訴に限られ、代理人を付けない「本人訴訟」は対象から外れた。
 ただ、弁護士にもITが得意でない人はいる。日弁連は弁護士への周知を徹底し、研修を実施。制度開始までに使い方を習熟してもらう考えだ。民事裁判IT化を担当する杉村亜紀子(すぎむら・あきこ)事務次長は「みんなが初めて使うシステム。よくある質問をサイトに載せるとか、場合によっては専用の問い合わせ窓口が必要になるかもしれない」と話す。
 将来的には、本人訴訟も含めてオンライン化が事実上義務となる可能性がある。日弁連は、ITに不慣れでも裁判を起こしたい人をサポートするため、各地の弁護士会内に書類を電子データ化するスキャナーなどを設置したり、IT関連の手続きを助言する弁護士を紹介したりすることを検討している。
 もともと司法にアクセスしづらいと指摘されている障害者が、さらに利用しづらくならないような手だても欠かせない。日弁連の人権擁護委員会が取りまとめた障害者団体へのアンケート結果では、裁判のIT化に関し、電子データでの訴状作成と、本人確認時のID・パスワード入力のサポートを8割以上が希望している。
 18日に成立した改正法は付帯決議で、政府と最高裁に「障害者のアクセス向上に資する法整備の要否も含め検討し、必要な措置を講じること」と求めた。

民事裁判IT化のポイント

 一、2025年度までに提訴から判決までの手続きをオンラインでできるようにする。
 一、弁護士ら代理人にオンライン提訴を義務化。デジタル弱者に配慮し、本人訴訟は義務化の対象から外す。
 一、口頭弁論や証人尋問はウェブ会議が可能となり出廷が不要に。法廷にモニターが設置され、傍聴可能。
 一、判決文は電子データ化し、裁判所が送信することができる。

民事裁判IT化を巡る経過

 2018年3月 政府の有識者検討会が民事裁判のIT化を提言
 19年12月 法務省や最高裁などの研究会が、オンライン提訴を段階的に導入するなどとした報告書取りまとめ
 20年2月 森雅子法相(当時)が法制審議会に諮問
 21年2月 法制審部会が中間試案取りまとめ。その後意見公募を実施
 3月 法務省が刑事手続きのIT化に関する検討会を設置
 22年1月28日 25年度までに提訴から判決までをオンラインで可能にする民事訴訟法改正などの要綱案を法制審部会が取りまとめ
 3月8日 政府が民事訴訟法などの改正案を閣議決定。その後国会で審議入り
 5月18日 改正民事訴訟法などが参院本会議で可決、成立

民事裁判のIT化

 インターネットを通じた訴状提出や審理のウェブ会議、記録のペーパーレス化など、手続きを効率化するための制度改革。経済界を中心に望む声が強かった。非公開の争点整理でのウェブ会議は法改正が不要で、全国の裁判所で順次導入されている。刑事手続きでもIT化の議論が進み、法務省の検討会は、オンラインでの令状の請求・発付や、証拠書類の電子データ化を提案している。

(2022/05/19)
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