カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

一般2022年06月17日 食べログ「独禁法違反」 優越性乱用、店の評点下落 東京地裁、賠償命令 提供:共同通信社

 飲食店情報サイト「食べログ」で評点を不当に下げられ客が激減したとして、焼き肉チェーン店を経営する「韓流村」(東京都港区)がサイトを運営する「カカクコム」(渋谷区)に約6億3905万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、3840万円の賠償を命じた。評点を決定する「アルゴリズム(計算手法)」を2019年5月に変更した際、チェーン店が下方修正される内容にした部分が独禁法の禁じる優越的地位の乱用に当たると判断した。
 アルゴリズムの妥当性が争われた初の司法判断とみられる。食べログは外食時の店選びに幅広く利用され、1カ月の利用者が8700万人以上に上る影響力を持つ。詳細な内容が非公開となっている評点算出過程は以前から飲食業界で疑問や不満の声が出ており、公正化が求められそうだ。
 林史高(はやし・ふみたか)裁判長は韓流村にとって「食べログの有料店舗会員でなくなった場合、経営上大きな支障を来し、著しく不利益な要請を受けても受け入れざるを得ない状況だった」として食べログの取引上の優越性を認定した。
 その上で、19年5月のアルゴリズム変更は「優越的な地位を利用し、相手方が不利益になるように取引をしたと言える」として独禁法上の不公正な取引に当たると判断。変更に伴って受けた損害額は21店舗での売り上げ減少額のうち、1カ月当たり160万円の2年分として算定した。
 韓流村側が併せて求めた変更後のアルゴリズムの使用差し止めについては、変更の内容が明らかにされれば消費者もその前提で店を選ぶようになるとして「売り上げ減が今後も続くとは直ちに判断できない」と退けた。
 韓流村は請求が退けられた部分を不服として控訴する方針。カカクコムもホームページ上で「不当な判決と考えている。控訴審で問題点を指摘し、当社の正当性を改めて主張する」と控訴の方針を示した。
 食べログ側はアルゴリズムの変更を「消費者の利益に資する目的があり、評点の変動も当然に想定されている」と主張していた。評点を決定するアルゴリズムは不正な評点操作の可能性を理由に詳細が公表されておらず、今回の訴訟では当事者に限って開示された。
 判決などによると、食べログのアルゴリズム変更後、韓流村が展開する「KollaBo」21店のうち大半で評点が平均約0・2ポイント下落。減少幅が最大0・45ポイントに上った店舗もあり、食べログ経由の客が減少した。

判決要旨

 飲食店情報サイト「食べログ」の評点下落を巡る16日の東京地裁判決の要旨は次の通り。
 【訴訟の概要】
 食べログでは2019年5月、店の評点を算出する手法「アルゴリズム」に関し、チェーン店の評点を下方修正する変更を実施し、現在まで継続している。原告側の焼き肉店チェーン「韓流村」はこの変更が独禁法が禁じる優越的地位の乱用などに当たると主張。食べログ側に対し、アルゴリズムの使用差し止めや、評点の下落に伴う客の減少で被った損害額の一部として約6億3905万円の賠償を求めた。
 【アルゴリズムの変更が優越的地位の乱用に当たるかどうか】
 原告側の焼き肉店チェーン「韓流村」は、食べログの有料会員登録をした飲食店としての地位を継続するのが困難になると、経営上大きな支障を来し、食べログ側が著しく不利益な要請をしても受け入れざるを得ない状況にあると認められる。食べログ側は韓流村との間で優越的地位にある。
 アルゴリズムを変更した行為は、店舗会員でありチェーン店に該当する韓流村にとって不利益となるような取引を実施することに当たる。
 食べログ側があらかじめ公表していた評点の意義や評価方法などに照らし、韓流村にとってはあらかじめ計算できない不利益を与えるものだ。公正な競争秩序の維持、促進の観点から是認される商慣習に照らし不当と言える。
 当該のアルゴリズム変更は、食べログ側が取引上の地位が優越していることを利用し、正常な商慣習に照らして不当に、相手方に不利益になるように取引を実施したものであり、独禁法上の不公正な取引方法を用いたものと言うべきだ。従って優越的地位の乱用に該当し、独禁法に違反する。
 【アルゴリズムの使用差し止めの可否】
 そもそも評点は消費者による飲食店選びの唯一の指標ではなく、アルゴリズム変更後の韓流村21店舗では食べログ経由の来店人数などが一定の程度で推移しており、変更に起因する営業利益の減少と認められる損害額は韓流村の営業利益の約2割にとどまる。
 これとは別個に信用やブランド価値の毀損(きそん)を生じさせるとは認められない。変更後のアルゴリズムが今後適用され続けるとしても、食べログ側が変更内容を明らかにした場合、消費者もそれを前提に飲食店選びをするようになると考えられる。
 こうした諸事情の下では、アルゴリズム変更の独禁法違反の該当性や、これに起因する営業利益の減少が今後も同様に継続するとは直ちに断じることはできない。変更が今後適用され続けても、韓流村に著しい損害の恐れがあるとは認められない。従って、アルゴリズムの使用差し止めを求める請求は理由がない。
 【損害額】
 韓流村21店舗の食べログ経由による来客や売り上げの変化などを総合考慮すれば、アルゴリズム変更と因果関係のある損害額は、営業利益の減少額のうち1カ月160万円の24カ月分に当たる3840万円が相当だ。
 【免責規定の適否】
 食べログ側が情報の掲載に関し、店舗会員への損害賠償責任を負わないとの規約は、食べログ側に故意や重大な過失がある場合には適用されないと解される。食べログ側は優越的地位の乱用を基礎づける事実を認識しながら、チェーン店にとって不利益になるのを容認してアルゴリズムを変更しており、故意や重大な過失があると認められ、賠償責任は免責されない。

判決のポイント

 一、食べログ側は原告チェーン店との間で優越的地位にある。
 一、評点の算出方法「アルゴリズム」をチェーン店が下方修正されるようにした2019年5月の変更は原告にとって不利益な取引に当たる。
 一、変更は優越的地位の乱用に該当し、独禁法に違反する。
 一、損害額は21店舗の営業利益減少分のうち1カ月当たり160万円として算出し、24カ月分で計3840万円。

情報サイト公正化へ戒め 食べログ評点下落訴訟

 【解説】飲食店情報サイト「食べログ」を巡り、飲食チェーン店の評点が一律に下方修正されるようにしたアルゴリズム(計算手法)の変更を独禁法違反とした16日の東京地裁判決は、飲食店に対する食べログの地位の優越性を認め、運用の公平性を求めた。情報サイトの強い影響力を背景に、店舗へ不利益を強いる一方的な変更を戒めたと言える。
 情報サイトは評点で口コミの内容を相対化・可視化することでユーザーの利便性を向上させ、同時に飲食店の客足も左右する存在になっている。だが、評点を決定するアルゴリズムの詳細は明らかにされていない。サイト側に都合のいいプランを契約していない飲食店の評点が引き下げられているのではないかと飲食店側には不信が渦巻く。
 判決は「取引上の優越性を認識しながら、チェーン店にとって不利益になることを容認してアルゴリズムを変更した」と食べログ側を批判。今後はアルゴリズムの設定理由を丁寧に消費者や飲食店へ説明する責任が求められそうだ。
 知らない街でもスマートフォン一つで口コミなどの飲食店情報を調べられるサイトの存在はユーザーにとってもメリットが大きい。食べログは問題点を指摘されながらも運用を続けていく中で、消費者の利便性と評点算出の公正さや透明性をどう両立させるのかを模索していくことになる。

原告側「意義ある判決」 評点方法の透明化求める

 「われわれの主張がほぼ全面的に認められた。非常に意義がある」。飲食店情報サイト「食べログ」の評点が不当に下げられたかどうかが争われた訴訟で、東京地裁が16日、食べログ側に損害賠償を命じたことを受け、原告の焼き肉チェーン店「韓流村」(東京都港区)の代理人弁護士は判決を高く評価し、評点方法の透明化を求めた。
 判決後、皆川克正(みながわ・かつまさ)弁護士が東京都内で記者会見し、食べログなどの「プラットフォーマー」の影響力が強まっていると指摘。食べログの評点方法を「ブラックボックスだ」と批判し「可能な限り評点の基準を開示し、公平、公正さを実現するよう努めるべきだ」と強調した。
 一方、判決が評点を決める「アルゴリズム(計算手法)」の差し止め請求を認めず、損害賠償の額も低額にとどまった点などを不服とし、控訴する考えを示した。「二審では追加の証拠を出し、よりしっかりと請求を認めてもらいたい」と述べた。

突然「がくっと下がった」 苦境に立たされた原告

 突然、自分の店の評価が軒並み「がくっと下がった」―。飲食店情報サイト「食べログ」の評点を巡る訴訟の原告で、焼き肉チェーン店「韓流村」の社長任和彬(イム・ファビン)さん(51)は約3年前、スマートフォンの画面を見て自分の目を疑った。
 2019年5月の朝、月2回更新される食べログの評点をチェックすると、すぐに異変に気付いた。当時の約20店舗の大半で評点が下がり、中には0・45ポイントも減っていた店もあった。
 「われわれの店だけなのか」。慌てて部下と一緒に調べると、競合店でも同様の現象が起こっているように見えた。「意図的に下げられたのでは」。疑問を持ち、公正取引委員会に情報を提供。食べログ側に説明を求めたが明確な回答はなかった。
 その後も評点は低水準のままで、店舗全体で月額当たり2千万円を超える赤字が出るように。20年5月、食べログ側を提訴した。情報サイトの影響力は大きく、任さんは「訴訟を起こすのはかなりの勇気が必要だった」と振り返る。
 訴訟が長引く間に経営は悪化。今年6月までに一部の店舗を閉鎖せざるを得なかった。
 任さんの思いは複雑だ。食べログは飲食店情報サイトの先駆け的存在で「その功績は本当に素晴らしい」。ただ評点の算出方法が不透明で「最近まで『おいしい店』だったのに、理由も分からず『まずい店』に転落する怖さもある」と指摘。「店側だけでなく、お客さんにとっても正確な情報を提供するシステム作りをしてほしい」と望んだ。

サイト運営への影響必至 採点が店舗の客足左右

 飲食店情報サイト「食べログ」の店舗の採点を巡り、東京地裁が独禁法が禁じる優越的地位の乱用に当たるとの判断を示したことで、今後のサイト運営に影響が出るのは必至だ。店舗の採点や表示順位は、店側の売り上げや客足を左右する半面、評価の方法が不透明で「ブラックボックス」となっているとの指摘があった。運営会社には、採点の方法を示すなど透明性向上が求められる。
 飲食店情報サイトはインターネットの普及に伴って広く浸透し、飲食店の経営に大きな影響を持っている。加盟店によっては「新規の来店客のほとんどが情報サイトを経由している」という事情を抱える。サイトの運営に不満があっても、経営を続けるために泣き寝入りせざるを得ないのが実情だ。
 サイトに掲示される店舗の評価は、独自の「アルゴリズム(計算手法)」を用いて算出しており、外部から基準は見えない。公正取引委員会が2020年に公表した調査によると、評価への不満や疑問を表明する加盟店が31・5%に上った。
 最近では、店舗を探す際にグーグルマップやインスタグラムを使うことも一般的になり、「かつてのように『食べログ1強』の時代ではなくなっている」(IT企業関係者)という。
 食べログを巡っては、好意的な口コミの投稿を請け負う「やらせ業者」が順位を操作していた問題が12年に発覚した。またしても信頼が問われる事態となった。

恣意的な仕様変更困難に 識者談話

 伊永大輔(これなが・だいすけ)東京都立大教授(経済法)の話 デジタル・プラットフォーマーがランキングなどで非常に多く使っているアルゴリズム(計算手法)を一方的に変更することが独禁法違反になると明確に認定した初めての判決で非常に意義がある。一方的なやり方では、状況次第で優越的地位の乱用の対象になると警鐘を鳴らした。恣意(しい)的な仕様の変更は難しくなるだろう。事前に内容を通知したり、不服申し立ても合理的なものは受け付けたりして不合理な変更をさせない仕組み作りにつながることを期待する。あらゆるデジタル・プラットフォーマーにとっても対岸の火事ではないと襟を正すきっかけになる。

食べログ

 2005年3月開設のレストラン検索・予約サイト。カカクコム(東京都渋谷区)が運営している。飲食店の住所や営業時間、メニューなどを掲載。ユーザーは店の味や雰囲気、総合評価などを、それぞれ1・0~5・0の評点を付け、感想や写真とともに「口コミ」として投稿できる。食べログ側はユーザーの評点をまとめ、独自の点数を付けて表示している。サイトを通じて予約や割引クーポン入手もできる。カカクコムによると、掲載店舗数は82万店以上。22年3月現在、1カ月当たり約8763万人の利用者がいる。

優越的地位の乱用

 取引上、立場が強い企業が地位を利用して相手の企業や個人事業主らに不利益を強いる行為。公正で自由な競争を企業に促すルールを定めた独禁法で禁止され、公正取引委員会が違反を認定すれば排除措置命令などの行政処分を出す。公取委は近年、インターネットサービスの基盤を提供するデジタル・プラットフォーマーへの監視を強化。通販サイト「楽天市場」が打ち出した送料無料化制度を巡っては、優越的地位の乱用の疑いがあるとして2020年2月に東京地裁へ緊急停止命令を申し立てたケースもある。

アルゴリズム

 問題や課題を解決するために定めた手順や計算手法のこと。コンピューターにアルゴリズムを実行させるには、プログラミング言語を使って記述する。IT企業などはコンピューターを活用して膨大なデータを収集し、複雑な計算手法を通すことで、消費者に有益な情報を提供している。インターネットの検索エンジンで利用されているほか、飛行機の空席状況に応じて同じ路線で運賃を変動させるダイナミックプライシングもその一例。

(2022/06/17)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

  • bnr-購読者専用ダウンロードサービス
  • 法苑
  • 裁判官検索