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環境2020年01月18日 「表層深層」再稼働推進、泥沼に 規制委判断にも疑問符 伊方原発3号機運転差し止め 提供:共同通信社

 広島高裁が再び四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを決め、各地で原発再稼働を進めてきた政府や電力業界に衝撃が走った。仮処分決定は、伊方3号機の安全性に影響する活断層調査や火山噴火想定を巡る電力会社の甘さを指弾。伊方3号機を再稼働審査に合格させた原子力規制委員会の判断にも誤りがあったと疑問符を突き付けた形だ。再稼働済みや審査中の他の原発にも不信の目が向きかねず、政府と業界が一体となった原発活用路線は泥沼にはまりつつある。

▽やり玉
 「また負けたのか」。運転差し止め決定の一報を聞いた規制委関係者は驚きを隠せなかった。「規制委の判断には、過誤ないし欠落があったと言わざるを得ない」「過小な想定を前提とした規制委の判断も不合理」。広島高裁の決定文には規制委をやり玉に挙げる言葉が並ぶ。
 伊方3号機への活断層の影響について、四国電は敷地近くの沿岸海上で音波を使った探査を行い、活断層が存在しないと結論。規制委は妥当と認めた。しかし広島高裁決定は、活断層だけでなく敷地に降る火山灰量の評価も不十分だとし、四国電の主張を受け入れた規制委の判断を誤りと断じた。
 影響は他の原発に広がりかねない。2011年の東京電力福島第1原発事故の記憶は今も残り、国民の多くは原発の安全性に不安を抱く。政府や電力業界は「世界で最も厳しい」とする規制委の審査合格を世論を納得させる切り札とし、伊方3号機を含む5原発9基の再稼働を実現した。しかし、審査に見落としや漏れがあったとなれば、この方程式が崩れる。
 「裁判所が強く警告した」。住民側弁護団の共同代表を務める中村覚(なかむら・さとる)弁護士は仮処分決定を歓迎。一方、経済産業省幹部は「規制委への指摘がいろいろ出たようだが、よく内容を精査したい」と言葉を絞り出した。

▽長期化
 「(決定に)不服申し立ての手続きをしたい。裁判所に少しでも早く認めてもらえるよう主張する」。四国電幹部は焦りを見せた。
 伊方3号機は17年12月にも広島高裁が運転差し止めを仮処分決定。同高裁の異議審で再稼働が認められるまで9カ月程度かかった。3号機は昨年12月に定期検査に入り今年4月に再稼働する計画だったが、次の司法判断が長引けば間に合わない可能性もある。
 さらに新設が義務化されたテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の設置期限が来年3月に控える。完成は1年程度遅れる見通しで、期限に間に合わない場合、伊方3号機は運転停止となる。四国電は伊方1、2号機の廃炉を決めており、唯一残る3号機の停止が長期化する可能性がある。

▽嘆き
 政府や電力会社は原発を「安く安定的に発電できるベースロード電源」として重視し、再稼働推進にこだわるが、電力業界内部では「厭戦(えんせん)」気分も広がりつつある。
 ある電力会社関係者は「(再稼働に必要な)安全対策工事を進めても、裁判という別の土俵でばっさり切り捨てられる。電力会社の取り組みはまだまだだと思われる」と嘆く。
 第1原発事故前に54基あった原発は21基が廃炉となり、審査合格済みは15基にとどまる。再稼働の見通しが立たない原発も多い。「原子力はがたがただ」。運転差し止め決定を知った別の大手電力会社関係者がつぶやいた。

(2020/01/18)

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