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民事2023年10月20日 持論に固執、反省見えず 苦しむ遺族諦めも 京アニ事件公判 提供:共同通信社

 36人が死亡した2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判は全日程の約半分を終えた。殺人罪などに問われた青葉真司(あおば・しんじ)被告(45)は、京アニが自分の小説のアイデアを盗用したとする持論を繰り返し主張。明確な反省の態度を見せていないままだ。やりきれぬ思いで公判を見守る遺族からは諦めの声も漏れる。
 ▽反論
 「京アニが私にしたことは不問にするのか」「(放火殺人の)被害者という立場だけ述べて、良心の呵責(かしゃく)はないのか」
 9月20日の公判。遺族の代理人らから質問を受けた被告は興奮した様子で反論した。
 被告はこれまでの公判で、事件について「(京アニの小説コンクールで)原稿を落とされたり内容をぱくられたり、一番根に持つような部分が大きかった」と説明。小説落選は、世界中に人脈を持つ「闇の人物」「ナンバー2」が「自分に発言力を持たせたくないため圧力をかけた」との陰謀論めいた主張も繰り返してきた。
 公判には京アニの八田英明(はった・ひであき)社長も証人として出廷。「人さまのアイデアを盗む会社ではない」と盗用を明確に否定したが、被告はその後も「(社長は)立場からいって、ああ言うしかないと思う」と強調した。
 ▽やり過ぎ
 一方で後悔をうかがわせるような発言も。36人が犠牲になったことに対する今の心境を「現在はやり過ぎと思っている」「いくらなんでも小説一つでそこまでしなきゃならないのかというのが自分の正直な気持ち」と明かした。
 遺族が直接「放火殺人の対象に家族や子どもがいると知っていたか」と質問した際には「申し訳ございません。そこまで考えてなかった」と謝罪の言葉も出た。ただ、被告のその他の発言から、事件に真摯(しんし)に向き合った上での謝罪ではなく、やりとりの中で反射的に口にしただけとの受け止めが大半だ。
 ▽無力感
 「むなしい」。裁判を傍聴したある遺族は力なく話す。同様の事件が二度と起きないことにつながる裁判になればと望んでいるが、被告は自分のことばかり必死に話していると感じ、諦めの気持ちも抱く。それでも「謝罪の言葉があれば少しは気持ちが変わるかもしれない」とのかすかな願いは残っている。
 犠牲になった武本康弘(たけもと・やすひろ)さん=当時(47)=の父保夫(やすお)さん(80)と、母千恵子(ちえこ)さん(75)も無力感に包まれている。「反省してない。人の忠告や話を聞き入れるだけの余裕がないのかなと思う」と保夫さん。千恵子さんも「京アニへの恨みしかないんだな、反省がないんだなということが分かっただけ」とこぼす。
 公判はなおも続くが「もうあの人の考え方は変わらないと思う」と千恵子さん。「無罪にだけはしてほしくない」と漏らしながらも「どうなってもあの子はもういない。それは変わらない」とつぶやいた。

京都アニメーション放火殺人事件

 2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオから出火、社員ら36人が死亡し32人が重軽傷を負った。京都府警は20年5月、殺人などの疑いで青葉真司(あおば・しんじ)被告を逮捕。京都地検が殺人など五つの罪で起訴した。裁判員裁判は京都地裁で9月5日から始まり、来年1月25日の判決まで二十数回開かれる予定。第12回公判まで進み、事件の経緯や動機に関する審理が終了した。今月23日の公判から、最大の争点となっている刑事責任能力の審理が行われる。

(2023/10/20)

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