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紛争・賠償2023年11月12日 例わずか、公開原則反す? 「重要性考慮し対応を」 法廷での映像再生 提供:共同通信社

 横浜地検の取り調べで検事に侮辱されたなどとして、元弁護士の江口大和(えぐち・やまと)氏(37)=犯人隠避教唆罪で有罪確定=が国に損害賠償を求めた訴訟では、国側が証拠提出した取り調べの録音・録画映像の法廷での取り扱いが議論の的となった。憲法は裁判の公開原則を保障しており、江口氏側は全て再生するよう主張したが、東京地裁は認めなかった。法廷での公開例は少ないとされ、専門家は、証拠の重要性などに応じて公開していくべきだと指摘する。
 「裁判官の心証形成のためだけではない。裁判が国民からの信頼を得るに足るものなのかが問われている」。10月に開かれた口頭弁論で江口氏側は、傍聴人もいる法廷で映像を流すことの意義を強調した。
 訴訟では「ガキ」などの検事の発言自体にほぼ争いがない一方、それが侮辱や名誉毀損(きそん)に当たるのかが争点だ。江口氏側は「検事の声色や態度も検討が必要」とし、国賠訴訟という性質上、いっそう国民の目に触れさせるべきだとした。だが地裁は具体的な説明をせずに必要ないと判断、江口氏の尋問の際に必要な範囲で再生を認めた。江口氏は「ほんの一部しか流せず残念だ」と話した。
 民事裁判での映像証拠の取り扱いを巡っては、名古屋出入国在留管理局の施設で収容中に死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟で、死亡前の様子が写った居室内の監視カメラ映像の再生が認められた例がある。
 元札幌高裁部総括判事の草野真人(くさの・まさと)弁護士によると、時間の制約やプライバシーの観点から、実務上、法廷で再生されるケースは多くない。例えば交通事故の責任を巡る裁判では、ドライブレコーダーなどの映像が証拠として出されることがあるが、裁判官が自室で見て判断することがほとんどだという。
 草野弁護士は「法廷で調べるのが原則であり、証拠の重要性などを考慮して決めるべきだ」と話した。

裁判の公開原則

 憲法82条は「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」と規定し、裁判官が公序良俗に反するとして非公開と決める場合を除き、裁判は公開が原則となっている。法廷で傍聴人がメモを取る権利が争われた「レペタ訴訟」で最高裁大法廷は、公開原則について「裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある」と指摘した。

(2023/11/12)

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