民事2023年11月17日 4人殺害の罪、32歳男起訴 女性刺し警官に発砲、長野 提供:共同通信社

長野県中野市で警察官2人と住民女性2人が殺害された事件で、長野地検は16日、殺人と銃刀法(許可銃砲の発射制限)違反の罪で同市、農業青木政憲(あおき・まさのり)容疑者(32)を起訴した。8日までの3カ月間の鑑定留置で、刑事責任を問えると判断したもようだ。
起訴状によると、5月25日午後4時20分~25分ごろ、近くに住む竹内靖子(たけうち・やすこ)さん(70)と村上幸枝(むらかみ・ゆきえ)さん(66)をナイフで突き刺すなどして殺害。
午後4時40分ごろには、中野署地域課の池内卓夫(いけうち・たくお)警部(61)=2階級特進=にハーフライフルを発射し、玉井良樹(たまい・よしき)警視(46)=同=にハーフライフルを発射した上ナイフで刺し、いずれも殺害したとしている。地検は認否を明らかにしていない。
県警は翌26日、自宅に立てこもった青木被告の身柄を確保し、池内警部への殺人容疑で逮捕。7月28日にかけて3回、殺人容疑で再逮捕した。
捜査関係者によると、起訴前の取り調べでは事実関係を認めていた。逮捕当初は「(死亡した女性らに)『独りぼっちだ』と悪く言われたので刺した。射殺されると思ったので警察官も殺した」などと供述していた。
被告の責任能力、争点に 公判前整理に半年以上も
長野県中野市の4人殺害事件で、16日に殺人などの罪で起訴された青木政憲(あおき・まさのり)被告(32)の裁判員裁判では、刑事責任能力の有無や程度が争点となる見通しだ。初公判前の整理手続きには半年以上を要するとみられる上、改めて精神鑑定が行われた場合は、公判開始がさらに先延ばしになる。
弁護人によると、被告は県警の取り調べに事実関係をおおむね認めた。長野地検は鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断したとみられるが、捜査段階では供述内容に曖昧な部分もあったとされる。被害者数などから死刑求刑も予想され、責任能力を巡り、検察、弁護側の激しい応酬も見込まれる。
また、争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きには、一定の時間を要するのは必至。最高裁の統計によると、裁判員裁判の同手続きの平均期間は昨年、11・5カ月だった。
元裁判官の水野智幸(みずの・ともゆき)法政大法科大学院教授(刑事法)は「初公判までは半年から1年くらいはかかるだろう。弁護側は裁判員法に基づいて精神鑑定を請求できるため、実施されればさらに3、4カ月を要する」とみる。
被告は逮捕直後、2人の警察官に「射殺されると思ったので殺した」と説明していたが、「覚えていない」など供述の変遷も見られた。水野教授は「被告の供述が罪を逃れたいという心理なのか、精神障害によるものなのか、専門家に判断を求めながら審理することになる」と見通した。
「絶対に許せない」 死亡女性の遺族がコメント
長野県中野市で4人を殺害したとして殺人罪などで青木政憲(あおき・まさのり)容疑者(32)が起訴されたことを受け、死亡した住民女性2人それぞれの遺族が16日、代理人弁護士を通じて「絶対に許すことはできない」などとするコメントを発表した。
村上幸枝(むらかみ・ゆきえ)さん(66)の遺族は「大切な家族を突然失い、私たちの生活は一変しました。家族みんなで食卓を囲み笑い合うことも、生き生きと趣味を楽しむ姿を見ることも、あの笑顔に会うことも、もうかないません」と記した。
「私たちの気持ちは一歩も前に進むことはなく、会いたくて涙があふれ止まらなくなることがあります」と吐露し、「被告人には極刑をもって罪を償ってほしい」と求めた。
竹内靖子(たけうち・やすこ)さん(70)の遺族は「なぜ妻・母を殺害したのか? どんな考えだったのかを知りたい。そして責任を取ってほしいです」とした上で「何げない日々がとても幸せだったと思います」と述懐。
今年は家族で旅行に行こうと話していたといい「楽しみにしていましたが二度とかなうことはありません」と無念さを訴え、「今でも妻・母は長期の入院で病院にいるので家にいないのだと錯覚を起こすこともあります」と喪失感をつづった。
(2023/11/17)
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