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一般2024年03月20日 性犯罪歴、就業20年制限 「子に加害恐れ」配置転換 日本版DBS法案を提出 提供:共同通信社

 政府は19日、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」創設法案を閣議決定し、国会に提出した。学校や保育所などに確認を義務付け、性犯罪歴がある人は刑終了から最長20年、採用されないなど就業を制限。性犯罪歴がなくても、雇用主側が子どもの訴えなどから「性加害の恐れがある」と判断すれば、配置転換など安全確保措置を行う。乱用の懸念もあり、判断基準や調査方法のガイドラインを今後策定する。
 法案の略称は「こども性暴力防止法案」で今国会成立を目指す。制度開始は準備期間を経て2026年ごろになる見通し。3年後に法律を見直す。相次ぐ子どもの性被害を根絶できるかどうかが問われる。職業選択の自由とのバランスも求められる。
 学習塾や放課後児童クラブ、スポーツクラブなどは任意の「認定制」とする。国の認定を受けた事業者は広告表示が可能となり、性犯罪歴確認や安全措置の義務を負う。
 認定を受けていない事業者や、フリーランスのベビーシッターなど雇用関係を持たない個人事業主は義務化の対象外。
 照会できるのは裁判所で有罪判決が確定した「前科」に限られ、期間は拘禁刑(懲役刑と禁錮刑を25年に一本化)が刑終了から20年、罰金刑以下は10年。痴漢や盗撮などの条例違反も含む。
 こども家庭庁が情報照会システムを構築。就労希望者について雇用主側が確認を申請し、性犯罪歴があった場合は、同庁が本人に事前に知らせる。内定を辞退すれば雇用主側に「犯罪事実確認書」を交付しない。
 既に働いている人に性犯罪歴が確認されれば、雇用主側は①子どもと接する業務から配置転換②子どもと2人きりにならないようにする―などの安全措置を取る。難しい場合、最終手段として解雇も許容されうる。
 このほか初犯対策として、性犯罪歴がなくても、子どもや保護者から相談があれば雇用主側が調査。「性加害の恐れがある」と判断した場合、同様の安全措置を行う。
 事業者には性暴力の予防に向けた職員研修や、リスクを早期に把握するため、子どもとの面談、相談体制整備も求める。

日本版DBS法案ポイント

 日本版DBS創設法案のポイントは次の通り。
 一、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」創設。就労希望者だけではなく現職者も対象。
 一、照会期間は、拘禁刑が刑終了から20年、罰金刑以下が10年。性犯罪歴があれば、就業を制限。
 一、学校や保育所などは確認を義務化。国の認定を受けた学習塾や放課後児童クラブ、スポーツクラブも義務を負う。
 一、性犯罪歴がなくても、子どもや保護者の相談を受け「性加害の恐れがある」と判断すれば、配置転換など安全確保措置を実施。

被害防止へ強い措置 日本版DBS創設法案

 【解説】政府が「日本版DBS」の創設に乗り出したのは、子どもの性被害が後を絶たないためだ。性暴力は許されない行為で、被害者の心身に深い傷を残す。法案には強い措置が盛り込まれ、子どもを守る効果が期待される。一方で、性犯罪歴のある人らを採用しないなどの就業制限には、職業選択の自由の観点から明確な基準と適切な運用が欠かせない。
 ベビーシッターによるわいせつ事件や大手中学受験塾「四谷大塚」での盗撮、旧ジャニーズ事務所の問題など性加害が続発している。自ら被害を訴えることが難しい子もいる。大人になってからも被害を思い出して苦しむ人も多いだろう。
 学校や保育所のほか、国が認定した学習塾などに性犯罪歴確認や配置転換など安全確保措置を義務化。さらに性犯罪歴がない人でも「加害の恐れがある」と判断されれば、同様の措置を求める踏み込んだ内容となった。
 ただ何が「加害の恐れがある」に当たるのか明らかではない。条件付きで解雇も容認しており、運用次第で働く人の権利侵害になりかねない。乱用を防ぐためにも、詳細な基準を十分に検討して示すことが求められる。

官房長官「子どもを守る」 性犯罪歴確認法案決定

 林芳正官房長官は19日の記者会見で、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」創設法案の閣議決定を受け、制度の必要性を強調した。「子どもを性暴力から守り、安全を確保するために必要なもので、憲法上の『職業選択の自由』との関係においても許容される」と説明した。
 子どもへの性犯罪を「被害者の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるもので、あってはならない」と指摘。「制度の創設を含めて子どもの性被害を防止するための取り組みを総合的に進める」と述べた。

労働者の権利と両立課題 識者談話

 労働法制に詳しい岐阜大の河合塁(かわい・るい)教授の話 子どもへの性暴力は、被害者に深刻な影響を与える以上、職業選択の自由を踏まえても性犯罪歴照会や一定の就業制限はやむを得ない。ただ、性犯罪歴が判明した場合に、配置転換は容認されても、生計の手段を奪う解雇には慎重であるべきだ。日本では解雇されれば再就職の際に「スティグマ」(負の烙印(らくいん))となりかねない。さらに性犯罪歴がなくても、「加害の恐れがある」と認めた場合に就業制限を求めるという仕組みは、過剰に運用される危険もある。本来職場から排除すべきではない人も含まれかねず、逆に事業者側が訴えられるリスクもある。ガイドライン策定に向け、労働者の権利と、子どもの安全確保のための実効性をどう両立させるか、丁寧な議論が必要だ。

「認定」拡大に制度周知を 識者談話

 「保育園を考える親の会」顧問の普光院亜紀(ふこういん・あき)さんの話 現在の法制度では性犯罪歴がある者でも、転職すれば、子どもと関わる仕事に就くことが可能だ。子どもが簡単に性被害を受けやすい状況と言える。子どもはわいせつ行為に対して、意図を理解したり、拒否したりすることが難しい。日本版DBSは必要な制度だ。今回の法案では、学校や保育所に性犯罪歴の確認を義務付ける一方、学習塾などの民間事業者は任意で、国による「認定制」を導入するとしている。どこまで広がるかが重要で、政府は制度の周知に努め、申請から認定までスムーズに行えるようにすべきだ。親が子どもを預ける際に「認定マークを確認するのが常識」となって初めて実効性を持つ。今回の対象には含まれなかった個人事業主や、(有罪判決以外の)行政処分への対応についても議論を深めてほしい。

日本版DBS

 子どもを性被害から守るため、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する制度。英国の「DBS」(Disclosure and Barring Service、前歴開示・前歴者就業制限機構)が先進事例で、被害が相次いでいることから子育て支援団体や保護者が創設を求めている。政府は当初、2023年秋の臨時国会への法案提出を目指した。与党から性犯罪歴の照会期間などを巡り「不十分」との指摘を受けて先送りした経緯がある。

(2024/03/20)

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