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民事2024年03月27日 犯罪給付金、同性間も対象 殺人事件巡り最高裁初判断 事実婚該当性、再審理へ 提供:共同通信社

 20年以上同居していた同性パートナーを事件で殺害された男性が、配偶者として「犯罪被害者給付金」を受給できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴(はやし・みちはる)裁判長)は26日、支給対象の「事実上婚姻関係と同様の事情(事実婚)にあった者」に同性パートナーも該当し得るとの初判断を示した。
 その上で、同性パートナーの場合は支給対象外とした二審名古屋高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。今後は男性がパートナーと事実婚の状態だったと言えるかどうかが検討される。
 犯罪被害者等給付金支給法は支給対象となる被害者の配偶者について、婚姻を届け出ず事実婚の状態だった相手を含むと規定。訴訟では同性パートナーも規定に該当するかどうかが焦点だった。
 判決は給付金制度の目的が遺族の精神的、経済的打撃の早期軽減などにあるとして「被害者と共同生活を営んでいた者が異性か同性かで、軽減の必要性が直ちに異なるものではない」と指摘。被害者と同性との理由だけで事実婚に該当しないと判断していた二審判決には「明らかな法令違反があり、破棄を免れない」と結論付けた。
 裁判官5人のうち4人の多数意見による結論。今崎幸彦(いまさき・ゆきひこ)裁判官は反対意見を付け、同性パートナーシップの法的保護を巡る全般的な議論の蓄積が十分ではないとして「現時点では先を急ぎすぎている。同性パートナーは事実婚に該当しないと解すべきだ」との見解を示した。
 一審名古屋地裁判決は「同性間の共同生活関係を婚姻関係と同視できるとの社会通念が形成されていない」として該当しないと判断。二審名古屋高裁判決は現行の法体系で「婚姻」「配偶者」は異性間の関係のみを意味しており「同性間を含むとの解釈は困難」と指摘して対象外とした。
 男性は愛知県在住の内山靖英(うちやま・やすひで)さん(49)。二審判決などによると、2014年12月、パートナーが内山さんの同僚だった男に殺害された。男は殺人罪などで懲役14年が確定。内山さんの給付金申請は愛知県公安委員会が配偶者と認めず、不支給とした。

救済に道「ようやく安心」 弁護団、波及効果を期待

 「ようやく安心できた」。最愛の同性パートナーが突然殺害された事件から9年余り。犯罪被害者給付金を巡る訴訟の原告内山靖英(うちやま・やすひで)さん(49)は、同性間でも遺族として給付金を受給可能な救済の道を開いた26日の最高裁判決後、ほっとした様子を見せた。弁護団は、他の公的給付制度への波及効果に期待を寄せた。
 言い渡しが終わった最高裁前では大雨の中、弁護団が「同性パートナーを犯罪被害者遺族と認める」と書かれた垂れ幕を掲げた。事件のショックで言葉をうまく発することができなくなった内山さん。「判決後、いろいろな人が笑顔で肩をたたき抱きしめてくれた」との喜びのコメントを弁護団が代読した。
 パートナーが異性か同性かで受給の可否が決まってしまう現状を変えたいとの思いで訴訟に臨んできた。「犯罪で大切な人を失ったつらさに違いはないはず」との信念を持ち、実名や顔も公表した。
 事件後の日々を「夫婦同然の家族を失った喪失感、悲しさに加え、殺害された恐怖感もあった」と振り返る。これまで経済的、精神的損害の回復として受け取ったのは、加害者側からの約30万円だけだ。
 東京都内で開いた記者会見では、弁護団が判決の影響について説明。犯罪被害者に関する法律と同様に、公的給付金などを受給できる配偶者について「事実婚を含む」と定めた法令は200以上あるとされる。最高裁判決の個別意見では今回の判断が他の法令にただちに影響を及ぼすとは言えないとの言及があった。
 ただ弁護団の堀江哲史(ほりえ・さとし)弁護士は「例えば労災の死亡事故などの給付金では、制度の目的を踏まえれば同性か異性かで支給の可否を区別する合理性がない」と指摘。法令によっては「同性の事実婚の場合、給付金などの支給対象となる余地がある」との見解を示した。

権利拡大につながる判決 識者談話

 諸沢英道(もろさわ・ひでみち)・元常磐大学長(被害者学)の話 同性カップルの権利拡大につながる判決だ。犯罪被害者給付金の支給は、同性・異性にかかわらず被害者遺族の生活支援が目的というのが世界的な潮流で、日本は法整備が遅れていた。今回の判決が、国に法改正を促すきっかけになると期待したい。ただ、判決は同性パートナーを「事実婚と同様の事情」とする場合の要件を示さず、抽象的な表現に終始した。一定の年数以上共同生活を営んでいる、周囲がパートナーと認識しているなど具体的な要件を示してほしかった。

犯罪被害者給付金

 殺人など故意の犯罪行為で死亡した被害者の遺族や、重傷や障害を負った被害者の経済的・精神的負担を緩和するため、国が支給する一時金。遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金の3種類があり、いずれも都道府県公安委員会が支給の可否を裁定する。支給額は被害者の年齢や勤労収入の額などに基づいて算定される。1974年の三菱重工ビル爆破事件を契機に制度創設の声が高まり、81年に給付が始まった。

(2024/03/27)

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