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一般2024年09月18日 厳しい運営、支援に差 泣き寝入り防ぐ「とりで」 性被害者ワンストップセンター 提供:共同通信社

 性暴力被害者のため全国に設置されている「ワンストップ支援センター」は、泣き寝入りを防ぐ「とりで」のような存在だ。医療や心理的ケアなどを総合的に担う。年々相談は増えるが、公費負担が不十分で存続が危ぶまれる施設も出てきた。各地で支援内容にばらつきも。運営する複数の団体は国に「被害者が全国どこでも十分な支援を受けられるようにしてほしい」と要望書を出した。
 「親や学校の先生にも言えないと来所する人がいる。声なき声を聴く活動を止まらずにやっていきたい」。内閣府に要望書を出した団体の関係者は6日、オンライン記者会見で窮状を訴えた。
 団体によると、国と自治体から補助を受けて運営するが、相談が増える中で専門知識を持つスタッフを十分に雇えない状況にある。カウンセリングや法律相談など公費負担の範囲や額が自治体によって異なり、支援に格差が生じているという。
 また、証拠物の採取などで医師らが被害直後に重要な役割を果たす病院拠点型センターでは、医療従事者の支援行為が「補助対象となっていない」としている。
 2010年、大阪府松原市の阪南中央病院を拠点に開設された「性暴力救援センター・大阪SACHICO(サチコ)」。多くの被害者が駆け込んできたが、運営が厳しく、活動の維持が難しい状況に陥っている。運営するNPO法人の久保田康愛(くぼた・やすえ)理事長は、このままでは被害を1人で抱え込むケースが増えるとして「被害者に寄り添う支援ができず、深刻な影響を残してしまう」と危惧している。
 SACHICOは全国のセンターの先駆け。「誰にも言えない」と電話相談・来所した被害者に「あなたは悪くない」と声をかける。必要に応じて医師が経過を確認し、証拠を採取。緊急避妊ピルの処方なども行う。3月までの14年間で対応した初診3722人のうち9歳までが9%、10代が49%を占める。50~60代で「初めて本当のことが言えた」という人も。旧ジャニーズ事務所の性加害問題発覚後は男性の相談者も増えている。
 国と府からの補助金約1500万円(22年度)を運営費に充てるが、医師の人件費は含まれず、病院側の負担は重い。昨夏以降、複数の産婦人科医が産休を取るなどしたほか、医師の働き方改革も進み、協力を得るのが難しくなった。診察は他の医療機関に依頼しているのが現状だ。
 病院側からは本年度末までの退去を求められており、府に対して6月、支援強化を求める要望書を出した。
 NPO法人性暴力被害者サポートひろしま代表理事で、広島大ハラスメント相談室の北仲千里(きたなか・ちさと)准教授は「相談ニーズは高まるが、多くのセンターが『手弁当』で支援の質の維持に努めているのが実態で、限界だ。センター設置の根拠となる法律を作って予算を確保し、支援のばらつきをなくすべきだ」と強調した。

◎ワンストップ支援センター

 性暴力の被害者が、医療や心理、法律相談などの専門的な支援を総合的に受けられる。内閣府によると、2018年には全都道府県に設置され、現在は全国で52センター。産婦人科医療を提供できる病院に置かれた「病院拠点型」、病院から近い場所に相談センターを置く「相談センター拠点型」、相談センターと複数の病院が連携する「連携型」などがある。相談件数は年々増え、23年度は前年度比9・5%増の6万9100件。被害の相談は、全国共通の短縮ダイヤル「#8891」にかけると、最寄りのセンターにつながる。

(2024/09/18)

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