民事2025年04月01日 カスハラ条例、4月1日施行 北海道や群馬、三重・桑名 提供:共同通信社

カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例が1日、北海道と群馬、東京の3都道県で施行された。三重県桑名市は悪質な事案で行為者の氏名を公表できる条例を施行。共同通信の都道府県アンケートによると、愛知と三重両県も防止条例を制定する方針だ。岩手、栃木、埼玉、静岡、和歌山の5県も「制定に向けて検討している」と回答した。
3都道県の条例はカスハラを「著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」などと定義して禁じる。一方、正当な要望や意見は業務改善に資するとして、顧客の権利を不当に侵害しないことなどを求める。いずれも罰則のない「理念条例」で、被害抑止につながるかどうかが注目される。
これに対し、桑名市の条例は市長の警告に対して改善が不十分な場合、行為者の氏名を公表可能とする事実上の制裁措置を盛り込んだ。
企業や労働者の多い東京都では昨年10月、全国に先駆けて防止条例が成立した。「何人(なんぴと)も、あらゆる場においてカスハラを行ってはならない」と明記し、顧客や働く人、事業者、都に対して責務を記載した。
都は条例の実効性を高めようと、該当し得る行為を列挙した指針(ガイドライン)と、対応方法をまとめた業界団体向けの共通マニュアルをホームページで公表した。
アンケートは2~3月に実施し、全都道府県から回答を得た。国は企業に対策を義務付ける労働施策総合推進法などの改正を目指しており、こうした動きを注視して対応を決めると答えた自治体も複数あった。
カスハラ防止条例ポイント
各地のカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例のポイントは次の通り。
一、カスハラを「著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」などと定義して禁じる。
一、正当な要望や意見は業務改善に資するとして、顧客の権利を不当に侵害しないことなどを求める。
一、北海道と群馬、東京の3都道県は罰則のない「理念条例」。
一、三重県桑名市は市長の警告に対して改善が不十分な場合、行為者の氏名を公表可能。事実上の制裁措置となる。
カスタマーハラスメント
カスタマー(顧客)とハラスメント(嫌がらせ)を組み合わせた造語で、略して「カスハラ」と呼ばれる。顧客や取引先が立場を利用して店員や公務員に暴力を振るったり、理不尽な要求をしたりする迷惑行為を指す。交流サイト(SNS)での個人情報拡散などインターネット上の被害もある。従業員が心身の不調によって退職に追い込まれるなど社会問題化している。
(2025/04/01)
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