一般2025年05月29日 AI活用促進へ新法成立 国に調査権、罰則なし 提供:共同通信社

人工知能(AI)に特化した初の法律が28日、参院本会議で自民党や立憲民主党など与野党の賛成多数により可決、成立した。国の調査権限を明記するなど悪用リスクに対応しつつ、活用や研究開発の後押しに軸足を置いたのが特徴。このため踏み込んだ規制は避け、罰則は設けなかった。国民に広がる不安を解消できるかが今後の焦点となる。
新法の名称は「人工知能関連技術の研究開発および活用の推進に関する法律」。首相をトップとする「AI戦略本部」を政府の司令塔として設置する。その下には有識者会議を設け、技術や倫理など多様な専門家の意見を政策に反映させる体制をつくる。
AIの情報処理に必要となるデータセンターの整備や人材育成の方針などを定めた「AI基本計画」を年内に作る。新たな指針も策定し、本物そっくりに作った偽の画像や音声を指す「ディープフェイク」など生成AIによる不適切な出力を抑制するよう事業者らに要請する。
それでもなお残る懸念に対しては、技術動向の調査や事業者に対する指導、助言といった方法で国が直接対応する。事業者には国の施策に協力する責務を定め、悪質な事例は国が公表して広く注意を呼びかけることも想定する。新法の付則では、技術革新などを踏まえて規制の在り方を柔軟に見直す可能性も示した。
AIの法整備を巡っては、欧州連合(EU)が世界初の包括的な規制法を2024年に発効させるなど海外の動きが先行した。日本も政府を挙げてAIの普及に備える構えだが、海外事業者の実態把握などには限界もあり、リスク対応の実効性が今後の課題となる。
AI新法のポイント
人工知能(AI)新法のポイントは次の通り。
一、技術動向の調査や事業者に対する指導といった方法で国が悪用リスクに対応。
一、罰則規定を設けないなど踏み込んだ規制は避け、事業者の研究開発を後押し。
一、国の調査に事業者が応じる責務を規定。悪質な事例は国が公表し、広く注意を呼びかけ。
一、首相をトップとする「AI戦略本部」を創設。事業者や利用者に向けた指針を新たに策定。
(2025/05/29)
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