カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

一般2025年07月28日 国謝罪拒否、受給者憤り 全面解決、長期化の様相 生活保護訴訟 提供:共同通信社

 生活保護減額の違法性が争われた訴訟は、6月に最高裁で勝訴した受給者が憤りを募らせる事態となっている。敗訴した厚生労働省が謝罪を拒絶しているほか、被害回復策の検討を専門家に委ねると決めたためだ。結論が出る時期ははっきりせず、全面解決は長期化の様相を呈している。
 ▽300人
 問われたのは、厚労省が2013~15年に行った生活保護基準の引き下げだ。6月27日の最高裁判決は、専門家の審議を経ておらず違法と判断した。受給者の窓口となる自治体は、この基準に沿って保護費を減らしたため、減額処分を取り消した。国の賠償責任は否定した。
 「最高裁は職責を果たした。原告は十数年間にわたって闘い、300人の弁護士が関わった。厚労省がきちんと対応しなければ、次の訴訟を検討してもよいのではとの声が弁護団で出ている」。原告を支援する小久保哲郎(こくぼ・てつろう)弁護士は7月7日、東京都内で開いた記者会見で語気を強めた。
 原告側が求めているのは大きく三つ。①受給者への謝罪②減らされた分の保護費を追加支給③再発防止策の実施―だ。判決後、3回にわたって厚労省に実現を申し入れたが、応対した室長級の職員らは、ほぼゼロ回答に終始した。
 対照的なのは、障害者らの強制不妊手術を可能にした旧優生保護法。最高裁が24年に違憲と判決し、翌日には担当大臣、2週間後には首相がそれぞれ謝罪している。
 ▽リスク
 なぜ謝罪しないのか。旧優生保護法では国の賠償責任が認められたのに対し、今回は否定されたのが影響しているようだ。厚労省幹部は将来的に謝罪する可能性には含みを持たせつつ「通常、謝罪は国家賠償を認められたケースだ」と語った。
 福岡資麿厚労相が被害回復策などを専門家に諮ると表明したのは7月1日。最高裁は、専門家の審議を経なかったのを理由に基準引き下げを違法とした。厚労省幹部は「再び専門家の意見を聞かず、行政単独で保護費の追加支給などを決めるのはリスクが高い」と説明する。
 減額処分を取り消された自治体は国の方針が定まらないため、身動きがとれない。さらには、減額分の追加支給が決まった場合も懸念が残る。被告自治体の一つ、愛知県豊橋市の担当者は「当時の受給者全員の記録が残っているかどうか確認できていない状況」と話した。記録がないと関連作業に手間取りそうだ。
 原告には高齢者が多く、2割超の232人が既に死亡している。一方、厚労省の専門家会合は、第1回の日程すら発表されていない。原告の神奈川県の高橋史帆(たかはし・しほ)さん(42)は「これ以上引き延ばさないでというのが私たちの願いだ」と早期解決を訴えた。

(2025/07/28)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事・動画の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索