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一般2025年08月01日 特殊詐欺最悪597億円 上半期、警官かたり65% SNS型も深刻、警察庁 提供:共同通信社

 警察庁は31日、今年上半期(1~6月)の特殊詐欺被害額が、同期としては過去最悪の約597億3千万円(暫定値)に上ったと発表した。昨年同期の約2・6倍に当たる約370億円の増加。このうち警察官をかたり捜査名目で金をだまし取る「ニセ警察詐欺」が約389億3千万円で、特殊詐欺全体の65・2%を占める。交流サイト(SNS)を介した投資、ロマンス詐欺の被害総額は計約590億8千万円で、昨年同期から約71億円減ったが、依然深刻な状況にある。
 2024年の特殊詐欺の被害額(確定値)は約718億8千万円、SNS型詐欺は約1271億9千万円で、いずれも過去最悪だった。特殊詐欺については既に昨年の8割超に達しており、今年も過去最悪を更新する可能性が高い。
 特殊詐欺の上半期認知件数は1万3213件で、前年同期から4256件増えた。ニセ警察詐欺の認知件数は4737件で特殊詐欺全体の35・9%だった。電話で接触後、LINE(ライン)などに誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を提示する手口が典型。捜査対象になっていると告げ「容疑を晴らすため」といった理由で送金を要求する。
 SNSを介した投資詐欺の認知件数は2884件(昨年同期比702件減)、被害額は約351億2千万円(約153億3千万円減)だった。投資詐欺を巡っては、著名人に成り済ました広告による手口で被害が急増したことを受けて政府が昨年6月、SNS事業者に広告の事前審査の強化などを要請していた。
 SNS上での恋愛感情に乗じたロマンス詐欺の認知件数は2461件(937件増)、被害額は約239億6千万円(約82億4千万円増)だった。接触ツールはマッチングアプリが最も多く、インスタグラム、フェイスブックと続く。
 特殊詐欺とSNS型詐欺には匿名・流動型犯罪グループ(匿流)が関与しているとみられる。警察庁は情報収集・分析を強化し、警視庁には10月、全国の捜査員を招集して指示役など中核摘発を目指す専従の捜査チームを設ける。

刑法犯認知数3年連続増 上半期、令和で最悪

 今年上半期に全国の警察が認知した刑法犯の件数は、昨年同期より1万6056件増(4・6%増)の36万5963件だったことが31日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。上半期としては3年連続の増加。新型コロナウイルス禍前だった2019年の36万3654件(確定値)を上回り、令和で最悪となった。
 詐欺が3万2413件(19・4%増)、窃盗が24万3529件(2・9%増)で、全体の増加に影響した。警察庁の担当者は「引き続き厳しい状況にあり、対策を進める」と話した。
 窃盗のうち、自動車盗が29・2%増、オートバイ盗が30・1%増、万引が6・6%増だった。殺人や放火などの重要犯罪は7031件(3・6%増)。強盗や不同意性交(旧罪名含む)の増加が影響したとみている。
 ひったくりなどの街頭犯は11万8021件(2・7%増)だった。
 摘発は14万1195件(5・8%増)で9万4406人(4・4%増)だった。来日外国人の摘発は7710件(41・5%増)で3355人(19・3%増)だった。
 暴力団犯罪の摘発は3939件(14・6%減)で1999人(19・1%減)だった。件数では窃盗が最も多かった。

ターゲット拡大、高額化も 「犯罪関与調べる」と要求

 特殊詐欺被害の悪化の要因となっている「ニセ警察詐欺」では、携帯電話に音声ガイダンスなどで端緒となる電話がかかってくるケースが7割近くを占め、高齢者だけでなく20~30代の若者にもターゲットが広がる。「あなたのお金が犯罪に関与しているか判断する」などと告げ、口座に入金されている全額を振り込ませる手口もみられ、被害の高額化も深刻だ。
 年齢層別の認知件数では、30代が973件で最も多く、次いで20代が884件。20~30代で約4割を占める。被害の端緒となる電話は固定電話が30・5%で、携帯電話が68・3%だった。
 犯人側が音声ガイダンスを使い、無差別かつ大量に電話をかける手法も目立つ。通信会社などを装い「2時間後からこの電話は使えなくなる」などと音声を流し、手続きのためとする番号を押すと、通信事業者を名乗る人物が「携帯が犯罪に使われている」などと告げ、偽の警察官につなぐ。
 その後はやりとりを交流サイト(SNS)に移し、犯罪に関与しているかどうか調べるといった理由で金を振り込ませる。既遂1件当たりの被害額は他の特殊詐欺の3倍超に当たる約828万円で、60代以上では約1559万円に上る。
 警察庁幹部は「これまで以上に被害者の保有するお金がだまし取られている。警察への信頼を逆手に取った卑劣な手法だ」と悪質性を強調。改めて警察官がSNSで連絡したり、逮捕を免れることを理由に金銭の振り込みなどを指示したりすることはないと訴え、冷静な対応を求めている。

(2025/08/01)

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