企業法務2025年08月03日 厚生年金加入漏れ97万人 事業者が保険料負担逃れ 依然多く、23年推計 提供:共同通信社

 厚生年金に入る要件を満たしながら、国民年金にしか加入していない人が2023年時点で約97万人に上ることが、厚生労働省の推計で分かった。背景には雇用する事業者が保険料の負担を逃れようとしていることがあり、加入から漏れていると老後の年金額は本来よりも少なくなる。厚労省などは対策を進め9年で半減したものの、依然として加入していない人が多い現状が明らかになった。
 厚労省が23年の国民年金加入者に対する調査結果から推計した。
 厚生年金は現在、全ての法人事業所と従業員5人以上の個人事業所(一部業種を除く)に加入義務がある。将来の年金受給額を手厚くするため、政府はパートら短時間労働者の加入対象を拡大しており、今年6月成立の年金制度改革法では、企業規模要件(従業員数51人以上)と年収要件(106万円以上)の撤廃が決まった。
 保険料率は18・3%で労使が折半する。事業者が保険料負担を嫌がって、手続きをせずに適用逃れするケースが後を絶たないとみられる。厚労省によると、25年3月末時点では約15万事業所が加入逃れの疑いがある。
 厚労省と日本年金機構は国税庁から提供を受けた事業所の情報を活用し、未加入の事業所を割り出し、指導している。加入漏れは14年調査では約200万人と推計。前回20年調査では約105万人となり、減少傾向にある。
 40年間保険料を納めると、老後に受け取れる年金額(25年度)は、国民年金が1956年4月2日以後に生まれた人の場合、月6万9308円。厚生年金は平均的な給与で働いた夫と専業主婦のモデル世帯で、月23万2784円となる。

厚生年金

 会社員や公務員らが対象の公的年金。加入者は2023年度末時点で約4672万人。納めた保険料に応じ、将来受け取れる額が変わる。自営業者や学生らを含む全国民共通の基礎年金(国民年金)に上乗せする形となるため「2階部分」と表現される。政府は短時間労働者の加入を進めるため、徐々に要件を緩和している。

(2025/08/03)

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