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民事2025年08月08日 建設石綿、4百人に52億円 7社謝罪も、東京訴訟和解 提供:共同通信社

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、健康被害が生じた元労働者や遺族らが建材メーカーに損害賠償を求めた東京第1、2陣訴訟は7日、東京高裁で和解した。原告計446人が和解に応じ、うち計400人に対し、主要メーカー計7社が1人当たり平均1千数百万円、計約52億円を賠償し、謝罪する内容。弁護団は「これまでにない大規模な和解で意義がある。同種訴訟への影響も大きい」としている。
 和解したメーカーは、ニチアス、太平洋セメント、エム・エム・ケイ、エーアンドエーマテリアル(いずれも東京都)、ノザワ(神戸市)など。「適切な警告表示を怠ったことで甚大な被害を生じさせた」とし「深くおわびする」との謝罪も盛り込まれた。
 第1陣訴訟は2008年に起こされた。最高裁は21年、この訴訟を含む4件の上告審判決で国の責任を認定。その上でメーカーの損害への関与度を原告ごとに検討する必要があるとして、審理を高裁に差し戻していた。第2陣訴訟は14年に提訴された。
 第1陣訴訟では原告372人のうち332人が、第2陣訴訟では原告131人のうち114人が和解協議に臨み、それぞれ302人、98人への賠償に至った。経験した現場数が基準に満たなかった元労働者らは対象外となった。

遺族ら「勝利」も涙 建設アスベスト和解成立

 「建材メーカーに勝利和解」「責任認め謝罪」。アスベスト(石綿)被害を巡る東京第1、第2陣訴訟の和解成立後、原告や弁護団は晴れやかな表情を浮かべ、東京高裁前でこう記された垂れ幕を掲げた。最初の提訴から17年余り。すでに8~9割の被害者が亡くなり、遺族が闘いを引き継いできた。「亡くなった後では本当の解決ではない」。画期的な和解の一方、涙も見られた。
 第1陣訴訟の原告、埼玉県川越市の大坂春子(おおさか・はるこ)さん(82)は2003年に夫を、14年に息子をそれぞれ中皮腫で亡くした。尋常ではない痛みに苦しんだ息子は「お母さん、まだ死にたくない」と言って息を引き取ったという。報告集会では「ようやく和解できた」と語ったが、この17年間、責任を認めないメーカー側の対応に苦しんだ日々を回顧し、声を震わせた。
 亡くなった兄の遺族として第2陣訴訟の原告に加わり、左官工だった自身も第3陣訴訟の原告となっている東京都武蔵村山市の吉田重男(よしだ・しげお)さん(76)は、病気による息苦しさを抱えながらこの日に臨んだ。「今日の内容は良かった。和解が控える3陣や、その他の訴訟でもきっと成立すると思う」。仲間のために前を見据えた。

アスベスト(石綿)被害

 石綿は極細繊維からなる天然鉱物。安価で断熱性や耐火性に優れ、高度経済成長期に建築材料に広く使われた。しかし粉じんを吸い込むと、じん肺や肺がん、中皮腫の原因になることが分かり、規制が進んだ。潜伏期間は数十年に及び「静かな時限爆弾」と呼ばれる。2005年、兵庫県尼崎市にあるクボタ旧神崎工場の元従業員らの健康被害が発覚し、社会問題化。元工場労働者らの訴訟で14年、元建設労働者らの訴訟で21年、最高裁がそれぞれ国の賠償責任を認めた。

(2025/08/08)

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