民事2025年11月09日 水銀含む銀歯、34年末禁止 水俣条約会議、規制強化 提供:共同通信社

【ジュネーブ共同】水俣病の原因である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」のスイスでの第6回締約国会議は7日、銀歯として虫歯治療に使う「歯科用アマルガム」の製造や輸出入を2034年末までに禁止することで合意し、閉幕した。既に段階的削減の対象だったが、規制を強化した。水銀の排出を減らす一層の努力を国際社会に求めた。
欧州連合(EU)は、水銀を含んでいるアマルガムの使用を法律で禁止。カナダや米国などで安価な治療法として使われている。日本では16年に保険適用から除外され、現在は製造されていない。環境省やNPO法人「日本歯科保存学会」は、アマルガムを使っている人でも虫歯の再発などがなければ除去する必要はないとしている。
会議はスイス西部ジュネーブで3日に開幕。既に禁止が決まっている水銀を含む化粧品についても、違法な取引を防ぐ国際協力で合意した。日本は、水銀に汚染された廃棄物の管理を監視する方法について決議案を出すなど議論を主導した。期間中の関連イベントには熊本県立水俣高(水俣市)の生徒らが登壇。水俣病の原因企業チッソを設立する契機となった曽木発電所の遺構(鹿児島県伊佐市)の見学といった学習内容を発表した。
条約事務局によると、年間約1500トンの水銀や水銀の化合物が工業生産の過程で使用される。小規模な金鉱業では年間2千トン以上の水銀が排出されている。
水俣条約は17年8月に発効。現在は米国や中国を含む153カ国・地域が加盟している。
条約名の由来となった水俣病は熊本県水俣湾周辺で発生し、1956年に公式確認。65年には新潟県の阿賀野川流域で起きた新潟水俣病も公式に確認された。ブラジル北部のアマゾン地域でも同様の症状が報告されている。
水銀に関する水俣条約
水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す国際条約。鉱山での採掘から輸出入、使用、廃棄まで包括的に規制する。条約名は、熊本県水俣市でチッソの工場が毒性の強いメチル水銀を含む排水を流し、汚染された魚介類を食べた住民らが手足のしびれなどを訴えた水俣病が由来。熊本市で2013年10月に開かれた国際会議で採択され、17年8月16日に発効。153カ国・地域が加盟し、ロシアやエジプト、ニュージーランドなどは加盟していない。(ジュネーブ共同)
(2025/11/09)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















