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行政2025年11月12日 「紛失防止タグ」悪用規制 位置特定、ストーカー対策 改正案を閣議決定 提供:共同通信社

 政府は11日、スマートフォンで位置を特定できる「紛失防止タグ」を無断で他人の所持品に取り付けることを規制するストーカー規制法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。衛星利用測位システム(GPS)機器の悪用は規制されていたがタグは対象外で、被害が増えている。被害者から申し出がなくても、警察の職権で加害者へ「警告」を出せるようにもする。成立すれば公布から20日後に施行される。
 11日の閣議後記者会見で、赤間二郎国家公安委員長は「重大事件へ発展することのないよう、取り組みをさらに充実させる」と述べた。
 タグは無線通信を利用し、スマホと連携して位置情報を取得する。本来は貴重品などに取り付け、紛失した場合に発見できるようにする用途だが、ストーカー目的で取り付けられる被害が増えている。警察庁によると、2023年の関連相談件数は196件で、24年は370件。今年は既に昨年の相談件数を上回った。
 政府はドメスティックバイオレンス(DV)防止法改正案も提出。裁判所が出す「接近禁止命令」の対象行為にタグの無断取り付けを加える。
 ストーカー規制法に基づく行政指導の「警告」は、より重い行政処分の「禁止命令」に比べ手続きが簡素で早期に出せる。被害者が加害者への措置をためらっても警察の職権で実施することで、行為のエスカレート抑止を図る。
 神奈川県警に元交際相手からのストーカー被害を訴えていた川崎市の岡崎(おかざき)彩咲陽(あさひ)さん(20)が殺害され、今年4月に遺体が見つかった事件で、県警は警告などを出しておらず、必要な措置を的確に実施できるようにする。
 また探偵業者など第三者が、加害者に被害者の情報を提供する恐れがある場合、提供しないよう警察が求める規定を新設。被害者の学校や職場に加害者が侵入する事案も発生していることから、地域住民だけでなく被害者の勤務先や学校にも、安全確保などの援助に努めるよう明記した。

改正案のポイント

 ストーカー規制法改正案のポイントは次の通り。
 一、スマートフォンとつないで位置を特定できる「紛失防止タグ」を無断で取り付ける行為を規制。
 一、ストーカー行為をやめさせるための「警告」を、被害者の申し出がなくても警察の職権で可能に。
 一、探偵業者など第三者が加害者に被害者の情報を提供する恐れがある場合、提供しないよう警察が求める。
 一、地域住民に加えて、被害者の勤務先や学校も安全確保などの援助に努める。

手軽さ裏目、危害のリスク 近年普及、規制の穴ふさぐ

 紛失防止タグはインターネットや家電量販店で、数千円程度で購入でき、手軽に利用できるため近年普及しているが、ストーカーなどの犯罪への悪用も目立つ。居場所を突き止めようとする加害者は相手への強い執着を抱え、危害を加える恐れがある。警察庁の担当者は「法改正でストーカー行為の〝抜け穴〟をふさぎたい」と話す。
 タグは近距離無線通信「ブルートゥース」を使い、スマートフォンと連携して位置を特定する。2021年施行の改正ストーカー規制法で衛星利用測位システム(GPS)機器を無断で取り付ける行為が規制されたが、タグ自体が位置情報を発信しないため、規制の対象外だった。
 タグは500円玉大のサイズで、荷物に忍ばせても見つかりにくい。本来は落とし物をしても見つけやすくする目的で財布や鍵などの貴重品に取り付けられるが、その便利さに目を付ける加害者もいる。
 同庁によると、滋賀県で22年、男が知人女性の車に自らの車を衝突させ、女性を連れ去ったとして、監禁容疑で現行犯逮捕された。男は女性の車にこっそりタグを取り付け、位置を調べていた。
 客として入った店でやりとりしたり、街ですれ違ったりしただけで、「好みだから」と相手の所持品にタグを取り付けるケースもある。同庁幹部は「被害者の不安感は大きい」と事態を重く見る。
 悪用は海外でも起きており、業者側も対策を講じている。「AirTag(エアタグ)」の名称でタグを販売する米アップルは、自身の所持品ではないタグが近くにある場合、スマホに警告を表示させるなど悪用を防ぐための仕組みを導入している。

新たな手口、見直し重ね ストーカー規制法 Q&A

 政府が「紛失防止タグ」の規制を柱とするストーカー規制法の改正案を閣議決定しました。
 Q どのような改正ですか。
 A スマートフォンで位置を特定できる紛失防止タグを、被害者が知らないうちに所持品に取り付けられる被害が増えているため、無断での取り付けを規制します。
 Q 衛星利用測位システム(GPS)機器については規制されていました。
 A 2021年施行の改正法で、GPSなどを利用した位置情報の無断取得を規制しました。紛失防止タグはGPSと違い、それ自体が位置情報を発信しないため規制の対象外でした。
 Q ストーカー行為を法規制するきっかけは何ですか。
 A 1999年に埼玉県桶川市で女子大学生が殺害された事件を機に、ストーカー規制法が2000年に施行されました。
 Q その後も痛ましい事件が起きています。
 A 新たな手口が出てくるたびに、規制法を改正しています。13年の改正では、神奈川県逗子市で起きた女性刺殺事件を受け、執拗(しつよう)なメール送信をつきまとい行為に加えました。16年の改正では、東京都小金井市で音楽活動をしていた女性が刺傷した事件などを受け、交流サイト(SNS)でのメッセージの連続送信などを規制しました。

ストーカー規制法

 埼玉県桶川市で起きた女子大学生刺殺事件を機に2000年に施行。恋愛感情や恨みの感情を満たす目的で付きまとったり、面会を要求したりする行為を規制する。行為を反復した場合は罰則を科す。警察は同法に基づく行政措置の「警告」や「禁止命令」を実施できる。禁止命令は加害者の聴聞が必要で、命令に反して繰り返した場合はより罰則が重い。17年施行の改正法で警告を経ずに禁止命令を出せるようになり、21年には衛星利用測位システム(GPS)機器を利用した位置情報の無断取得を規制した。

紛失防止タグ

 落とし物の発見などを目的として、所持品に取り付ける電子機器。近距離無線通信「ブルートゥース」を使い、タグが発信する信号を周囲にあるスマートフォンが検知して位置情報を取得する。持ち主はスマホなどで場所を確認できる。米アップルの「AirTag(エアタグ)」などの商品がある。

(2025/11/12)

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