警察2025年12月19日 ドローン規制、範囲拡大へ 性能向上、施設周辺千メートルに テロ懸念で法改正目指す 提供:共同通信社

警察庁は18日、ドローンの規制強化について議論していた有識者検討会の報告書をまとめた。ドローンの性能向上と普及に伴い、テロの脅威が高まっているとして、飛行禁止エリアを首相官邸などの対象施設周辺の約300メートルから約千メートルに拡大。同庁は小型無人機等飛行禁止法改正を目指し、次期通常国会への同法改正案の提出を検討している。
報告書などによると、同法が成立した2016年ごろに比べ、ドローンの飛行速度は時速約50キロから70~80キロ程度となり、海外製では150キロもある。映像を無線送信できる距離も、200~300メートル程度から500メートル~10キロ程度に。80グラム~5キロ程度だった積載重量は30キロまで増え、銃を搭載し発射の反動に耐えられる機体もある。
赤間二郎国家公安委員長は18日の記者会見で「ドローンの入手が容易となり、テロリストらによる悪用が懸念される。飛行速度が向上し、対処に必要な時間的猶予の確保が困難となっていることや、遠方から操縦した攻撃が可能となっていることが指摘された」と述べた。
報告書では対象施設周辺(イエローゾーン)での飛行を、ただちに摘発できるようにするべきだとした。現行法では、施設上空(レッドゾーン)での飛行は摘発可能だが、イエローゾーンでは警察官らによる飛行停止などの措置命令に従わない場合に限り、摘発対象となっている。
先進7カ国首脳会議(G7サミット)や国内要人が参加する記念式典などの会場についても、期間を定めて対象施設にすることも盛り込んだ。原子力事業者が電波妨害(ジャミング)などの危害排除措置を取れると条文に明記することや、事業者と警察との連携強化の必要性も指摘した。
小型無人機等飛行禁止法は首相官邸の他に、皇居や原発、空港や自衛隊施設などの上空や周辺でドローンなどの飛行を原則禁止している。
報告書のポイント
ポイント
ドローン規制強化に関する有識者検討会報告書のポイントは次の通り。
一、飛行禁止エリアを対象施設周辺約300メートルから約千メートルに拡大。
一、周辺での飛行について、警察官らによる措置命令を経なくても摘発可能に。
一、重要国際会議の会場などを、期間を定めて対象施設として指定可能に。
一、原子力事業者の対処権限を明確化。
ドローン規制を巡る経過
2015年4月 首相官邸屋上で、微量の放射性物質が入った容器を取り付けたドローン発見
16年3月 ドローンの飛行を規制する小型無人機等飛行禁止法成立
19年5月 自衛隊や在日米軍の施設周辺を飛行禁止にする改正法成立
10~11月 関西空港周辺でドローン情報相次ぐ
20年6月 空港周辺を飛行禁止にする改正法成立
25年7月 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の上空で正体不明の光が目撃される。九電社長は「ドローンと思うのが自然」と発言。その後、県警は「航空機と勘違いした可能性が高い」と指摘
10月 ドローンの飛行規制強化に関する有識者検討会の初会合
12月 有識者検討会による報告書決定
小型無人機等飛行禁止法
2015年4月、首相官邸屋上でドローンが見つかった事件を機に、16年3月に成立した。国の重要施設などの上空や周辺での飛行を原則禁じ、法改正で防衛関係施設や空港も対象に加えた。対象施設の管理者などによる飛行は可能だが、事前に都道府県公安委員会への通報が必要となる
(2025/12/19)
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