環境2025年12月24日 メガソーラー規制決定 新規事業の支援廃止 提供:共同通信社

政府は23日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の規制強化に向けた関係閣僚会議を開き、対策パッケージを取りまとめた。市場価格に上乗せして電気を買い取る制度について、2027年度以降の新規事業は「支援の廃止を含めて検討する」と明記した。環境破壊の恐れがある開発に歯止めをかける狙い。年明けにも経済産業省の審議会で正式に決める。
木原稔官房長官は会議で、メガソーラーの導入時は地域の理解促進や環境への配慮を徹底する方針を表明した。対策パッケージで「不適切な事例を抑止することが可能になる」と強調した。
メガソーラーのように太陽光パネルを地上に置く事業への支援をやめる。事業者には負担増となるため、太陽光発電の普及が停滞する可能性がある。既存設備や住宅用への補助は続ける。公共施設や工場の屋根を活用したり、次世代技術を開発したりする事業には支援を強化する。
国と地方自治体が安全性の確保などに向け連携を強めるため「再エネ地域共生連絡会議」を新設する。第三者機関が建設前に設備計画を確認する仕組みを構築。環境影響評価(アセスメント)を義務付ける対象の拡大も検討し、来年1月に有識者会議を立ち上げる。
北海道の釧路湿原国立公園周辺などでメガソーラー開発を巡るトラブルが相次ぎ、経産省や環境省などが9月から規制の議論を本格化していた。
メガソーラー規制ポイント
大規模太陽光発電所(メガソーラー)の規制強化に向けた対策パッケージのポイントは次の通り。
一、市場価格に上乗せして電気を買い取る制度について、2027年度以降の新規事業は支援廃止を含めて検討。
一、既存設備や住宅用への補助は継続。
一、国と地方自治体が連携を強めるため「再エネ地域共生連絡会議」を新設。
一、第三者機関が建設前に設備計画を確認する仕組みを構築。
一、環境影響評価(アセスメント)を義務付ける対象の拡大も検討。
CO2削減目標に影響限定的 メガソーラー規制で環境相
政府の大規模太陽光発電所(メガソーラー)規制強化策に関し、石原宏高環境相は23日の閣議後記者会見で「二酸化炭素(CO2)削減目標の達成に与える影響は限定的で、計画を見直す必要はない」との認識を示した。太陽光発電は今後、住宅や建築物に設置するタイプの普及が期待されるが、地上設置型は拡大の余地が少ないため。
日本はCO2を含む温室効果ガス排出を2030年度に13年度比で46%減、35年度に同60%減とする目標を掲げる。太陽光や風力など再生可能エネルギーの比率を40年度に全体の4~5割にするとしており、石原氏は「再エネ導入は必要不可欠だ」と改めて強調した。
また開発に着手済みのメガソーラーに関しては「制度改正をさかのぼって適用するのは困難だ」と指摘。森林法など既存の規制で対応し、悪質な発電事業者から電力を購入しないよう企業に呼びかけるとした。
政府目標の達成難しい SMBC日興・浅野達氏 識者談話
SMBC日興証券の浅野達(あさの・いたる)サステナビリティ・リサーチ室長の話 大規模太陽光発電所(メガソーラー)など事業用太陽光発電への支援が実際に廃止となれば影響は大きい。制度は事業者にとって長期の資金計画を見積もる裏付けとなっており、事業用太陽光発電の導入は減少する可能性が高い。政府はエネルギー基本計画で発電量に占める太陽光の割合を2040年度に大幅に増やす目標を掲げているが、事業用太陽光発電を今以上のペースで増やさないといけない。このままでは達成が難しいだろう。
メガソーラー
太陽光発電所のうち、一般的には出力千キロワット以上の大規模な施設を指す。政府はエネルギー基本計画で、発電量に占める太陽光の割合を2024年度の9・9%から40年度に23~29%とする目標を掲げており、メガソーラーは促進策の一つ。普及に伴って発電に適した土地は減っており、乱開発による自然環境への悪影響や災害時の安全性が懸念されている。
(2025/12/24)
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