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労働保険2026年01月15日 労災遺族年金、男女差解消 農林水産業、保険制度適用 法改正へ、労政審報告書 提供:共同通信社

 厚生労働省の労働政策審議会の部会は14日、労災保険法改正に向けた報告書をまとめた。労災で亡くなった人の配偶者らが受け取る遺族補償年金の支給要件における男女差の解消や、農林水産業の小規模な事業主への労災保険制度の強制適用が柱だ。厚労省は今後、労災保険法改正案を国会に提出する方針だ。
 厚労省によると、配偶者間で男女差のある年齢要件は、労災補償年金制度が創設された1965年以来、変更されていない。現状では、夫を亡くした妻に年齢制限はないが、夫は妻の死亡時点で原則55歳以上でなければ受け取れない。当時は夫と死別した女性による生計維持は困難との考えが背景にあった。
 女性の就業率上昇や共働き世帯の増加を踏まえ、報告書は「夫にのみ課せられた支給要件を撤廃することが適当」と指摘した。
 労災保険は原則、労働者を雇用すれば強制適用される。一方、農業で労働者5人未満など、小規模な個人経営の農林水産業は実態把握が困難といった理由から「暫定任意適用事業」として任意加入が認められている。報告書は、小規模な事業主への強制適用を提言。その上で事務負担の軽減や、施行までの準備期間が必要だとした。新たに強制の対象となるのは、最大約16万事業主とみられる。
 背景には、第1次産業での労災の深刻化がある。労政審資料によると、10万人当たりの死亡事故者数(2023年)は全産業1・1人に対し、農業11・6人で、増加傾向だ。保険適用で労働者を保護する狙いがある。
 また、労災に関する時効の期間について、2年から5年への延長を一部の疾患で認めた。発症後の迅速な請求が困難な場合があるとして、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾患を対象に挙げた。

制度設計は半世紀以上前 「不合理」違憲訴訟も Q&A「遺族補償年金の男女格差」

 厚生労働省の労働政策審議会の部会は、労災保険法改正に向けた報告書をまとめ、遺族補償年金について、男女で格差のある支給要件の撤廃を提言しました。
 Q 格差の内容は。
 A 生計を維持していた夫を亡くした妻は、年齢に関係なく受給できます。一方、夫が同様に妻を亡くした場合には、55歳以上か、一定の障害のある状態でなければ年金を受け取れません。
 Q 格差の理由は。
 A 制度設計された1960年代には、一家の稼ぎ手が男性、家事・育児が女性というモデルが想定され、女性は独力では生計維持ができないとの考えが背景にあったと言われています。制度創設から半世紀以上が経過し、男女の就労状況や家族の在り方が変化しているとの認識を基に、労政審部会は撤廃に向けた議論を進めていました。夫のみ年齢要件があるのは男女差別で憲法違反だとして、訴訟も起こされています。
 Q 原告の受け止めは。
 A 昨年7月に仙台地裁に提訴した岩手県の自営業の男性(59)は、共働きだった妻を亡くした時、54歳でした。世帯収入は半分以下に。男性は取材に「不合理な制度なので、自分のように法改正の前に妻を亡くした人たちも広く救済してほしい」と話しました。厚労省の担当者は「今後の議論による」とした上で「一般論としては、法改正後の人が対象となるケースが多い」と言います。

ジェンダー平等の契機に 識者談話

 労働法とジェンダー法に詳しい早稲田大の浅倉むつ子(あさくら・むつこ)名誉教授の話 労災保険制度の遺族補償年金について、男女差のある支給要件の撤廃は当然だ。少数ではあっても、妻が生計維持していた場合の夫が年金を受け取れない状態は明白に法の下の平等に反するため、撤廃は遅かったと言える。この制度は、年齢要件がある夫への差別と考えられるが、妻が夫に年金を残すことができないという観点では、女性差別もはらむ。要件が撤廃されても、背景にあった男女の収入格差や、固定的性別役割分担の実態は解消されないままだ。今回の法改正がジェンダー平等を考える契機ともなることを願う。

労災保険法

 労働者の業務や通勤による災害に対し、公正な保護を行うための保険給付制度を定め、1947年に制定された。社会復帰の促進も図り、労働者の福祉の増進が目的だ。費用は原則、事業者負担の保険料でまかなわれ、療養、休業、障害、遺族への給付がある。原則的には、1人でも労働者を雇用していれば、同制度が強制適用される。農林水産業の一部は「暫定任意適用事業」として、強制適用の例外となっている。

(2026/01/15)

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