一般2026年01月26日 県の補償「不満」住民7割 健康被害、土地下落を懸念 埼玉陥没1年アンケート 提供:共同通信社

埼玉県八潮市で昨年1月に県道が大規模陥没した事故で、県による金銭補償の対象となった周辺住民に共同通信がアンケートを実施したところ、回答した世帯の7割が補償内容に不満を抱いていることが25日までに分かった。発生から28日で1年たつが、下水から発生した硫化水素の臭いによる健康被害や、土地などの資産価値下落を懸念する住民が多く、生活再建は見通せないままだ。
アンケートは昨年12月上旬~今年1月下旬、県が補償対象としている陥没現場から約200メートル以内に住む419世帯に依頼し、うち112世帯から回答を得た。
県は対象世帯に対し、一律の金銭補償として単身世帯に5万円、さらに家族が1人増えるごとに2万円を支払うと決定。他にも、悪臭で窓を開けられずエアコンなどを使った場合の電気代や、家屋の修復費用も補償するとしている。
アンケートの回答では県が提示した補償内容全般について「やや不満」が38%、「非常に不満」が32%に上った。主な理由を複数回答で尋ねると「金額が少ない」が31%と最多で、「行政の説明不足」22%、「申請手続きが煩雑」18%などが続いた。
日常生活で不安なことについては「健康被害」が最も多い35%。続いて「資産価値の下落」20%、「行政による補償」17%との回答があった。県は健康被害について、医師の診断書などで事故との因果関係が証明された場合、補償する考えを示している。
陥没事故は昨年1月28日に発生し、転落したトラックの男性運転手の救助は難航。同5月2日、県警や消防が下水道管内を捜索し、男性の遺体を発見した。
県は、県道の仮復旧を今年3月末までに完了することを目指している。下水道管の複線化など対策工事には5~7年を見込み、完全復旧の時期は未定としている。
続く悪臭「毎日が不快」 周辺住民、サビ被害も
「悪臭で毎日が不快だ」「健康被害が出てこないか不安」。昨年1月に起きた埼玉県八潮市の県道陥没事故後、周辺住民は下水から出る硫化水素に悩まされてきた。悪臭に加え、共同通信のアンケートでは車などのサビ被害を訴える声も相次いだ。物価高の中、陥没現場を迂回(うかい)する車の燃料費などで生活費の負担が増しているとの意見もあった。
昨夏は猛暑が続き、悪臭が強まったという住民は「ペットの犬の目や皮膚の炎症がひどく、数カ月治療した」と回答。県に治療費などの補償を相談したが、断られたといい「もやもやが続いている」と回答した。
県の事故後の対応については「詳しい状況の説明が遅かった」「説明会の案内が来ない」といった厳しい意見もあった。
現在の住宅について「ついのすみかだと思っていたが、娘は引っ越したいようだ。土地価格が下落しているのでは。引っ越そうにも費用がない」との声も。陥没のイメージが残り「八潮に住みたいという人がいなくなるのではないか」と風評被害を心配する人もいた。
相次ぐ陥没、対策急務 自治体、財源確保に苦悩
埼玉県八潮市の道路陥没事故のように、埋設配管の破損が要因の陥没は各地で相次いでいる。国は対策として、下水管の維持管理を担う地方自治体に高頻度の点検を求める方針で、関連法改正も視野に入れる。自治体は点検や修繕にかかる費用の財源確保に悩むが、住民の負担増に直結する使用料値上げには慎重だ。
国土交通省によると、2024年度の道路陥没は47都道府県で計9866件。要因のうち、側溝など道路排水施設(3583件)に次いで多いのが下水道で1331件だった。最近では今年1月9日、新潟市で腐食した下水管の破損に伴う陥没が起き、けが人も出た。
八潮市の事故を受け国が自治体に要請した重点調査では、25年9月末時点で36都道府県の計75キロメートルが「原則1年以内の速やかな対応が必要」と判定された。国は今年中にも、点検頻度を上げる基準改正に乗り出す方針。
自治体の下水道事業は、住民が支払う料金収入で点検や修繕などのコストを賄う原則があるが、負担は大きい。宮崎市は配管の設置年代や老朽化の状況に応じて改築や交換を順次進める方針で、費用は10年間で約300億円に上る。
国は八潮市の事故を教訓に、26年度、大型管などの交換費補助や、代替配管をあらかじめ整備する「複線化」への財政支援を始める予定。国交省幹部は「今後は自治体側でも、適切な料金水準に引き上げる検討をしてほしい」と強調する。
日本下水道協会のアンケートでは、約4割の自治体が、28年度までに料金改定の予定がないと回答した。ある自治体関係者は「値上げは住民の反発が大きい。議会の承認を得るのも一苦労だ」と吐露した。
(2026/1/26)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















