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人事労務2020年06月27日 心の病、女性申請急増 19年度労災、最多更新 目立つハラスメント原因 提供:共同通信社

 厚生労働省は26日、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2019年度に労災申請したのは前年度比240件増の2060件、労災認定されたのが509件で、いずれも1983年度の統計開始以降、最多だったと発表した。女性の申請が164件増の952件と、男性に比べ大幅に増加。認定されたケースのうち自殺(未遂含む)が88人で前年度より増えた。
 認定原因では「嫌がらせ、いじめ、暴行」が79件、「セクハラ」42件など職場でのハラスメント関連が多かった。企業にパワハラ防止対策を義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が6月に施行され、厚労省の担当者は「立法の動きを受け、関心が高まったのではないか」と分析している。
 業種別の認定件数では「社会保険・社会福祉・介護事業」が48件と最も多く、「医療業」(30件)、「道路貨物運送業」(29件)と続いた。年代別にみると、20代からの申請が前年度より100件増と大幅に伸び、若い世代が精神的な負担を抱える傾向が浮き彫りになった。
 過重労働が原因の脳・心臓疾患による労災認定は216件で、22件減少した。うち死亡(過労死)は86人だった。
 業種別の認定件数では「道路貨物運送業」が全体の3割近い61件。「その他の事業サービス業」「飲食店」「飲食料品小売業」と続いた。
 認定されたケースで月平均の時間外労働をみると、発症前1カ月間については120時間以上140時間未満の33人、2~6カ月間の月平均では80時間以上100時間未満の73人が最多だった。過労死ラインは発症前1カ月間の時間外労働が100時間、2~6カ月間では平均80時間とされている。
 あらかじめ決まった一定時間を働いたとみなす「裁量労働制」の適用者で労災認定されたのは脳・心臓疾患、精神疾患を合わせて9件で、うち過労死が1人。全てシステムエンジニアなどの専門業務型だった。

「企業に厳しい対策を」 過労自殺、改善の兆しなく

 過重労働やハラスメントなどが原因の過労自殺が改善の兆しを見せない。厚生労働省のまとめでは、2019年度に過労自殺として88人が労災認定された。命より大切な仕事はない。愛する家族を失った遺族は「従業員の命と健康を守れない企業は存続させないぐらいの厳しい対策をとってほしい」と訴える。
 システム会社の社員として、茨城県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターで人工衛星の管制業務を担当していた佐藤幸信(さとう・ゆきのぶ)さん=当時(31)=は16年、自宅アパートで自殺した。
 佐藤さんの死後、母久恵(ひさえ)さん(62)=大分県=は、上司から仕事の適切な指示を受けられず「何をしていいか分からない」と悩んでいたと職場の同僚から聞いた。労災を申請、労働基準監督署は過労や上司とのトラブルが原因だったとして19年4月、労災認定した。
 勤務先企業は社長の謝罪を拒み続けた。今年6月になり、会社側との間で謝罪や上司の懲戒処分などで合意したが、いまだ不信感はぬぐえない。「本人が望んで就いた仕事だが、別の会社に勤めていれば命を失わずに済んだかもしれない」。やり切れない思いを抱え続けている。
 久恵さんは「息子の犠牲が何にも生かされないのは忍びない」と強調、過労死や過労自殺をなくすため、国にさらなる対応を進めるよう求めた。

労働災害(労災)

 労働者が仕事中にけがをしたり、仕事に起因する病気になったりする災害。死亡も含む。申請を受けて労働基準監督署が審査し、業務との因果関係が認められると労災保険法に基づき、療養費用や休業補償などが給付される。補償対象に含まれる脳・心臓疾患の認定基準は過労死ラインとされる発症前1カ月で100時間超の時間外労働などで、精神疾患は長時間労働や業務による強い心理的負荷が基準となる。厚生労働省は6月から、心理的負荷の項目にパワーハラスメントを追加した。

(2020/06/27)

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