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売買2020年09月10日 被害1兆円、やっと是正へ 販売預託禁止、実効性は? 預託法改正 提供:共同通信社

 安愚楽牧場やジャパンライフなど、大規模な消費者被害が繰り返し起きた販売預託商法の禁止を、消費者庁が打ち出した。有識者検討会の報告書を受け、預託法を来年にも改正する。この商法が事実上放置されてきた約35年間、消費者が受けた被害総額は1兆円超とみられる。問題を長年訴えてきた被害者や専門家からは、禁止の実効性を疑問視する声も上がる。
 ▽詐欺的装置
 「本質的に反社会的な性質があり、行為それ自体が無価値」。8月に公表された報告書は、問題点を明確に指摘した。販売預託商法の典型的な仕組みは(1)顧客に販売した商品を企業が預かる(2)企業は預かった商品を別の人に貸し付けるなどして運用、利益を生み出す(3)顧客に年数%の配当を出し、商品は企業が買い取る―。商品は安愚楽では牛で、ジャパンライフでは磁気製品だった。
 顧客には元本と配当が残り、定期預金と似ているが、企業にとって運営は非常に難しい。最低でも年数%の利益を常に出さねばならず、仮にそんな事業があるなら、顧客の金を集めるより銀行の融資の方が低利でいい。
 結局、まともな事業がないまま、高配当を新規の契約金から出す自転車操業状態になり、配当のため新規契約を増やし、新規契約者への配当用に、さらに契約を増やす。
 巨額被害を生む詐欺的装置とも言えそうだ。預託法のきっかけとなった豊田商事の被害は2千億円で、安愚楽は4300億円、ジャパンライフの負債は2400億円、ケフィア事業振興会は2100億円を不正に集めたとされる。これだけで1兆円を上回る。
 一方で、預託法は無力だった。規制すべき商品を一つ一つ指定し、契約時の書類交付を義務付け、虚偽の説明による勧誘も禁じているが、この商法そのものが持つ危険性には触れなかった。
 ▽不安視
 一橋大の松本恒雄(まつもと・つねお)名誉教授(消費者法)は「実質的には金融商品取引法上の『集団投資スキーム』でも、同法の規制対象にはならない。金融庁の厳しい監視の目から、預託法が悪質業者を守っていた」と分析。さらに「規制が常に後追い。業務停止処分を出しても無視されていた」と批判する。実際、ジャパンライフは何度も処分を受けたことを逆手に取り、「処分されても配当は滞らないので安全」と勧誘した。
 「法を改正しても、消費者庁の人員で抜け目なく禁止できるのか」。安愚楽で約4千万円の損失を被った東京都の川口瑞夫(かわぐち・みずお)さん(56)は不安視している。
 安愚楽について「テレビや新聞でも宣伝しており、国が定期的に監査していると思っていた」が、消費者庁は破綻まで継続的な監査をせず、会員数分の牛が存在しない実態を把握していなかった。監査や規制が不十分だったと知り「がくぜんとした」と振り返る。 
 松本教授も「巧みに宣伝文句や社名を変える業者をどう止めるか。消費者庁の人員で網羅的に調査や処分をするのは限度がある。罰則を引き上げ、実効性のある法にするべきだ」と話している。

預託商法

 商品や施設利用権を3カ月以上、消費者から預かり、企業が運用などする取引。うち、消費者庁が禁止する販売預託商法は(1)「第三者にレンタルする」「事業に活用する」とうたって商品を販売する(2)一定価格での買い取りや高配当を約束する(3)商品を預けさせ、定期的に配当金を渡す―取引。消費者庁によると、現在も販売預託商法を採用する企業は40社ある。消費者がもともと所有する乗り物や住居、服などの資産や技術を共有して使う「シェアリングエコノミー」は販売を伴わない合法的な預託商法。

(2020/09/10)

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