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判例からみた 書証の証拠力

編集/大阪地裁民事事実認定研究会 代表/小野憲一(大阪地裁所長代行者)

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概要


多様な書証の証拠力を実務的な観点から解説!

◆書証の証拠力(実質的証拠力)の有無について言及した裁判例を集積し、準文書を含む文書の類型ごとに分類・整理した事例解説集です。
◆各事例では、事案の概要・事実関係・裁判所の判断を簡潔にまとめるとともに、書証の着眼点を示して、どのような書証に、どのような証拠力があると判断されたかを詳しく解説しています。
◆日頃から民事訴訟の事実認定に携わる現役の裁判官が執筆しています。

商品情報

商品コード
50890
ISBN
978-4-7882-7971-1
JAN
9784788279711/1923032050005
サイズ
A5判
巻数
1
ページ数
484
発行年月
2015年3月

目次

第1章 総論
1 はじめに
2 形式的証拠力と実質的証拠力
3 文書の種類と実質的証拠力
4 準文書

第2章 文書の実質的証拠力
 第1 処分証書
1 各種契約書
(1)売買契約書
 1 買主について個人の名義で契約書が作成されていても、当該個人が代表者を務める会社に契約の効力が及び得るとされた事例
 2 目的たる土地の利用方法に関する特約が記載されていない売買契約書が、同特約が存在しないことの証拠になるとされた事例
 3 売買契約書において売買の対象が一筆の土地と表示されていても、その対象が当該一筆の土地の一部であるとされた事例
 4 売買契約書、覚書が、そこに対象土地の地積として記載された地積と一致する地積の土地の売買の証拠にはならないとされた事例
(2)金銭消費貸借契約書、借用書
 5 原判決が上告人の債務の弁済について、完済の事実をうかがわしめる証拠の取捨につき、何ら明確な判断を示すことなしに、漫然と残額完済を認めるに足る適確な証拠がないとした点に、審理不尽ないし理由不備の違法があるとされた事例
 6 金員借用証をもって被上告人とその妻の共同借受けの認定資料とし、被上告人1人に貸し付けたものであるとの上告人らの供述を排斥した原審の判断について審理不尽ないし理由不備の違法があるとされた事例
 7 契約条項の一部が捨印の利用により補充された点につき、当該補充部分に関する合意の成立が否定された事例
 8 総勘定元帳の記載等や確定申告書類を提出しない被控訴人の訴訟態度等に照らし、貸付けの事実が認定できないとして、被控訴人が提出した借用証書・公正証書等に依拠して貸付債権の存在を認定した原判決が取り消された事例
(3)保証契約書(保証書)
 9 保証契約の成否の認定に当たり、取引の実情、経験則に基づかずにみだりに証拠を排斥した違法があるとされた事例
 10 関係者の供述のみに基づき保証書及び保証委託契約書の記載に反して保証の範囲を認定することが経験則ないし採証法則に違反するとされた事例
(4)賃貸借契約書
 11 賃貸借契約延長証書につき、賃借人が急いでいたので同書面の但し書記載部分を十分に了解しないでこれに署名押印したと認定した原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例
(5)業務委託契約書
 12 弁護士と依頼者との間に作成された委任契約書に記載のない事項について、委任契約の成立が認められた事例
(6)業務協定書
 13 A川流域の住民有志が結成したダム建設に対する対策委員会と電力会社との間に締結された協定書等につき、法的拘束力を欠くとした原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例
 14 オートバイ等の輸出に関する協定書に係る協定の有効期間に関し、期間内に約定の台数のオートバイを輸出することにより被上告人が指定輸出業者たる地位を取得したとした原審の判断に法律行為の解釈を誤った違法があるとされた事例
(7)出資契約書、入会契約書
 15 ゴルフクラブの預託金制の平日会員としての入会契約の関係書類に会員権の譲渡を禁止する旨が直接明記されていなくとも、譲渡禁止特約が付されたものとされた事例
 16 不動産証券化商品の勧誘に当たり、原告が投資リスクを理解した旨の記載のある重要事項確認書に署名押印をしたとしても、証券会社において説明義務を尽くしたとはいえないとされた事例
(8)(根)抵当権設定契約書
 17 根保証契約の保証の限度額が明示されなかった場合に、同限度額が同時に設定された根抵当権の極度額と同額であり、両者が併せて同金額の範囲内で債務の支払を保証又は担保するものであるとされた事例
(9)経営指導念書
 18 経営不振となった関連会社の支援要請のため、母体行が融資銀行に確認書(いわゆる経営指導念書)を差し入れたとしても、母体行が関連会社の債務を連帯保証したものと認めることはできないとされた事例
(10)覚書、念書、合意書
 19 原告が差し入れた念書の文言によれば、原告の任意退職の意思表示は念書の作成によって確定的に表示されたものであるとして、これと異なる認定をした原審の事実認定が経験則に違反するとされた事例
 20 人事部長による退職届の受領をもって、雇用契約の解約申込みに対する即時承諾の意思表示がされたと解すべきであるとして、いまだ承諾の意思表示がなく退職の意思表示が有効に撤回されたとした原判決が破棄された事例
 21 覚書から合意の存在が認定できないとした原審の判断が経験則に反するとされた事例
 22 和解契約に基づく金員の支払を裏付ける書証(和解契約書、領収書等)が存在しており、その成立が立証されているから、特段の事情がない限り、支払の事実が認定されるべきであるとして、原審の認定判断に違法があるとされた事例
 23 控訴審係属中に覚書が交わされ、これにより紛争が解決したと考えた原告が控訴を取り下げ、判決が確定した事案において、同覚書上の合意は、確定判決の基準時後に被告から原告に係争土地所有権を移転する合意に当たるとされた事例
 24 土地の賃貸人及び転貸人が、転借人所有の地上建物の根抵当権者に対し、借地権消滅のおそれがある事実が生じたときは通知する旨の条項を含む念書を差し入れた場合、賃貸人等が転貸借の解除に先立ち当該通知義務を負うとされた事例
 25 主債務者の夫が確認書作成の際に保証する趣旨の発言をした場合であっても、確認書において保証ないし連帯保証する旨の記載が存しないときは、保証ないし連帯保証契約が締結されたと認められないとされた事例
 26 当事者間で「更に具体的細部事項を定めて正式契約を締結する」旨の仮契約書を取り交わした後に売買契約の締結を拒否しても違法でないとされた事例
 27 結婚式場建築のための土地売買契約の締結を目的とした売買協定を作成した後に同協定を破棄した買主たるべき者に債務不履行責任が認められた事例
(11)委任状
 28 白紙委任状による不動産売却に関する代理権授与についての認定に関して、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例
(12)公正証書(遺言公正証書を除く)
 29 土地売買契約公正証書の記載等からすれば、当事者間に売買契約又は売買の予約が成立したと認めるのが自然であるのに、これを否定した原判決の判断には、経験則に反する違法があるとされた事例
 30 賃貸人から賃借人に対して借地借家法38条2項所定の書面の交付があったとした原審の認定に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例
(13)和解調書
 31 弁護士も関与して成立した訴訟上の和解においては、和解条項それ自体に瑕疵を含むような特別の事情のない限り、和解調書に記載された文言と異なる意味に和解の趣旨を解すべきではないとして、原判決が破棄された事例
2 遺言書
(1)自筆証書による遺言書
 32 自筆証書遺言により行った法定相続人以外の者への財産の処分が包括遺贈か特定遺贈かが争われ、遺言者の真意を探求して特定遺贈であるとした事例
 33 遺言者の住所をもって表示された不動産の遺贈につき、同所にある、土地及び建物のうち建物のみを目的としたものと解することはできないとされた事例
 34 第2遺言作成当時、第1遺言を変更しなければならない事情はなく、第2遺言は、第1遺言を前提として遺産の分割方法等の希望を述べたものであるとして、自筆証書遺言2通の間に抵触がないとされた事例
 35 「法的に定められたる相続人」との遺言書の解釈に当たり、その記載のみに依拠して「法定相続人」であると解釈した原審の判断に違法があるとされた事例
(2)公正証書による遺言書
 36 公正証書遺言において、被相続人名義で契約されていた養老保険は、「金融機関に預託中の一切の預託財産」に含まれるものとされ、「その余の一切の財産」に含まれるとの被告の主張が排斥された事例
(3)手形小切手
 37 手形に保証の趣旨で裏書をした場合に、原因債務につき保証したものとは推認することができないとされた事例
 38 手形に保証の趣旨で裏書をした者が原因債務につき保証したものと推認するのが相当とされた事例
 39 手形の振出日、支払期日、額面金額に対応する貸付日、弁済期、元利金合計金額の原因債権が存在することは否定できないとした原判決の判断が経験則に反するとされた事例
 第2 報告文書
1 比較的実質的証拠力の高いと考えられる類型
(1)発注書、注文書
 40 いわゆる循環取引がされた事例において、請負契約の注文書及び注文請書が、実質的な請負契約がされたことの証拠にはならないとされた事例
 41 請負契約の注文書の「ユーザーがリース会社と契約完了し入金後払い」等の記載が、請負人に対する代金の支払につきリース契約の締結を停止条件として付した趣旨のものとは解されないとされた事例
 42 請負契約の注文書及び請書の「入金リンクとする」との記載が、請負人に対する代金の支払につき注文者が同人への注文者から請負代金の支払を受けることを停止条件として付した趣旨のものとは解されないとされた事例
(2)請求書、催告書
 43 請求書が、売買契約の成立の証拠にはならないとされた事例
 44 貸金の催告書たる内容証明郵便、同配達証明書及び仮処分申請書が、金銭消費貸借契約が成立したことの証拠にはならないとされた事例
(3)領収書、領収証
 45 Aを宛名人とするX名義の売買代金領収証があるにもかかわらず、X・A間の売買を否定したことが違法とされた事例
 46 金額及び宛名人が作成日付の半年前に記載された領収証が弁済の証拠にはならないとされた事例
 47 「売買完了」との記載がある領収証が、売買代金額減額の合意の証拠になるとされた事例
 48 領収書が、そこにおける記載等から、債務者主張の債務に対する弁済の証拠にはならないとされた事例
 49 金員の預り証があるにもかかわらず、売買契約を否定したことが違法とされた事例
(4)納品書
 50 チェーン加盟店に商品を納入したことを示す納品書が、債権者・債務者間で売買契約が成立した事実の証拠にはならないとされた事例
 51 売上日記帳、納品書が、販売した個数についての証拠になるとされた事例
(5)会計帳簿、計算書類等
 52 念書及び金銭出納帳の記載及び体裁から、特段の事情のない限り、記載どおりの事実を認めるべきなのに、何ら首肯するに足る理由を示すことなくその書証を排斥した原審の判断に理由不備の違法があるとされた事例
(6)納税申告書控等
 53 交通事故損害賠償請求事件における休業損害の認定に当たり、確定申告書の記載につき、経費水増しによる過少申告が行われていたとされた事例
(7)診断書、看護記録等
 54 高齢者の認知症を専門とする医師が紛争前に検査結果に基づき作成した診断書を排斥し、意思能力を欠いていたとは認められないとした原審の判断には採証法則に反する違法があるとされた事例
 55 診療録の記載内容は、後日改変されたと認められる特段の事情がない限り真実性が担保されているとした上で、母子健康手帳とは異なる記載のある診療録の記載が真実に合致するとされた事例
 56 診療録の記載内容は、後日改変されたと認められる特段の事情がない限り、真実性が担保されていると説示した上で、Yクリニックの診療録及び麻酔記録はねつ造されたものであると判断された事例
 57 新生児が心疾患により死亡した事案において、カルテの記載には不自然、不合理な点が多々認められ、その記載部分の信用性は極めて乏しいとして、カルテの記載の信用性が否定された事例
(8)金融機関等による定型的書類
 58 金員の交付を証する領収書等が存在しないことから金員返還の合意の履行として金員が支払われた事実は認められないとした原審の認定判断について、採証法則の違背、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例
 59 いわゆる自動継続特約付きの定期預金証書を所持する者からの払戻請求に対し、領収証書を紛失したとする金融機関によるその内部文書(事故処理簿)等に基づく弁済の立証が認められた事例
(9)買付証明書、売渡証明書
 60 不動産の買付証明書が、不動産を確定的に買い受ける旨の申込みの意思表示をしたことの証拠にはならないとされた事例2 公文書
(1)全部事項証明書、登記簿謄本
 61 登記簿上の所有名義人は、反証のない限り、当該不動産を所有するものと推定すべきであるとされた事例
 62 登記はその記載事項につき事実上の推定力を有し、登記事項は反証がない限り真実であると推定すべきであるとされた事例
 63 不動産につき贈与を原因とする所有権移転仮登記が経由されているにとどまるときは、これにより仮登記権利者の所有権取得又は仮登記の当事者間における贈与契約の成立を推定することはできないとされた事例
(2)印鑑登録証明書
 64 印鑑登録証明書を添付した委任状はあるが、諸事情から代理権授与に疑いを抱くのが通常といえるとした原判決の判断が維持された事例
(3)他の事件の判決書
 65 構成員の過半数が同じ裁判所に同一取引の民事、刑事両事件が係属する場合、民事事件の判決において、自白の取消しを否定するについて、先行する刑事判決の認定事実を顧慮した形跡がないときは審理不尽の違法があるとされた事例
3 その他
(1)議事録
 66 農地の小作契約の合意解約を証する書面として提出された農地委員会の承認決議の存在を証する書面につき、肯首するに足りる理由を示すことなくこれを排斥した原審の判断に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例
 67 理事会の議事録の記載内容の信用性が肯定された事例
(2)手帳、日記
 68 原告の手帳の記載及びこれに基づく原告の供述の信用性を認めて、原告主張のセクハラ行為があったと認定した事例
 69 時間外労働等による割増賃金を請求した原告の手帳の記載の信用性を認めて、原告の勤務日が認定された事例
 70 原告が手帳に記載していた時間外勤務に関するメモは信用性が低く、これに基づき時間外労働時間を認定することはできないとされた事例
 71 バスガイドとの情交関係を理由として解雇されたバス運転手が解雇の無効を主張した事案において、情交関係があった旨の記載のある同バスガイドの手紙につき、種々の疑いがあるとして、その信用性を否定された事例
 72 会社の金銭を流用した旨の記載がある代表取締役宛ての被告の手紙につき、その内容の信用性が高いと判断し、被告の損害賠償責任が認められた事例
(3)メモ
 73 労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付の給付基礎日額の算定に当たり、原告の妻が作成したメモの記載内容の信用性を肯定し、当該メモに沿った割増賃金額を給付基礎日額に算入しなかった処分は違法であると判断された事例
(4)陳述書
 74 上司の発言内容等が記載された労働組合員名義の陳述書及びその基となった同人作成に係るノート等の形式的証拠力と実質的証拠力について詳細に説示し、その記載の信用性が認められた事例
 75 騒音被害等につき陳述書及びアンケート調査の結果を基に被害の認定をした原審の判断につき、原審が陳述書等にかなり高い証拠価値を認めたとしても、採証法則違反、経験則違背の違法はないとされた事例

第3章 準文書の実質的証拠力
1 図面、公図、地積測量図
 76 公図上の各土地の位置関係が、現地の位置関係と照応するかどうかは極めて疑わしいなどとして、係争地を原告所有地に属すると認定した原審の事実認定に採証法則違反があるとされた事例
 77 境界確定において、係争各土地が隣接することについては当事者双方の主張が一致し、証人及び本人もその旨供述している場合に、これらを無視して公図のみから隣接関係を否定した原審の認定判断に違法があるとされた事例
 78 境界確定事件において、公図を証拠の一つとして採用しながら、特段の理由を付すことなく、境界線の形状につき、これと異なる認定をしたことが、経験則違背又は理由不備の違法があるとされた事例
 79 公図が、面積の測定については必ずしも正確でないとしても、地形的なものは比較的正確なものということができるから、境界確定に当たっては重要な資料と考えられるとされた事例
 80 境界確定において、換地確定図及び地積測量図に示された境界を反映し、登記簿上の面積と合致する線を境界線とされた事例
2 写真
 81 いわゆる2項道路の位置指定処分の基準時に本件通路の幅員が1.8m以上存在したかが争われた事案において、古い航空写真をデジタル化した際の解像度から生ずる誤差を考慮すると1.8m以上あったと認めることはできないとされた事例
3 DVD、ビデオテープ
 82 交通事故による逸失利益の認定に当たり、ビデオカメラで撮影された被害者の歩行状況から、撮影時までにほぼ正常に歩行できる状態に回復していたと認められた事例
 83 バス料金を着服したとして懲戒解雇されたバス運転手の地位確認請求訴訟において、会社側が撮影したビデオテープの画像等によって着服の事実が認められた事例
 84 逮捕手続の違法等を理由とする国家賠償請求訴訟において、撮影者不明であるが現場の状況を至近距離で記録したビデオテープの画像によって逮捕手続の違法等が認定された事例
4 録音テープ、音声データ
 85 名誉毀損による損害賠償請求訴訟において証拠として提出された音声データが削除等の加工をされたものと認められ、録音がないことを理由に録音されたもの以外の発言等がなかったとは認められないとされた事例

判例年次索引

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