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実務家・企業担当者が陥りやすい ハラスメント対応の落とし穴

共著/山浦美紀(弁護士)、大浦綾子(弁護士)

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概要


落とし穴から適切な対応方法を知る!

◆誤解・誤認が生じやすい事例を示し、的確な判断を行うための法的論点や実務上の留意点を解説しています。
◆複数の対応方針が考えられる事案では、別の視点からとして検討の手がかりを紹介しています。
◆多種多様なハラスメント問題の相談を受けている弁護士が豊富な知見をもとに解説しています。

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商品情報

商品コード
5100309
ISBN
978-4-7882-9275-8
JAN
9784788292758/1923032033008
サイズ
B5判
巻数
1
ページ数
214
発行年月
2023年12月

目次


第1章 ハラスメント対応の体制を整備・変更するときの落とし穴

【1】 ハラスメント行為に関する規定は、法律上の定義と一致させなくてもよい!?
POINT ・会社は、雇用管理上の措置義務の具体化として、ハラスメント関連法上のハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発しなければならない。
【2】 ハラスメント防止規程は就業規則と異なるもの!?
POINT ・会社は、ハラスメント関連法上の雇用管理上の措置義務の履行として、ハラスメントに関する方針の明確化及びその周知・啓発をすべきであるが、その具体化として、就業規則自体に定める方法の他に、ハラスメント防止規程等の別規程に定める方法がある。
【3】 人的資源が限られた小規模な職場でも、自力でハラスメント対応の体制を整えなければならない!?
POINT ・企業規模の大小を問わず、全ての事業主がハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を負う。
【4】 ハラスメントには専用の相談窓口を設置しなければならない!?
POINT ・会社は、雇用管理上の措置義務の具体化として、ハラスメントの相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならず、相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する必要がある。
【5】 相談窓口の担当者は1名のみでも対応できる!?
POINT ・ハラスメント関連法上、会社は、相談窓口の担当者を定め、ハラスメントに該当するか否か微妙な場合も含めて広く相談に対応できるようにするべきであるが、それと併せて、相談者・行為者等のプライバシーを保護するための必要な措置も要請されている。
【6】 相談員や調査員と利害が相反する場合は、途中で担当を外せば十分!?
POINT ・相談者や相手方と、ハラスメント相談員や調査員との利益相反を排除する措置を講ずるべきである。
【7】 ハラスメント調査結果への不服申立手続の制度化は必要!?
POINT ・ハラスメント調査は「迅速かつ正確」であることが求められる。
【8】 カスタマーハラスメントに該当する相談は、社内向けのハラスメント相談窓口で受け付けなくてよい!?
POINT ・パワハラ指針は、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主からのパワーハラスメント等に対しても、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備をすることが望ましいとしている。

第2章 相談者からの相談を受けたときの落とし穴

【9】 部下からハラスメントの相談を受けた上司は、責任を持って単独で問題を解決するべき!?
POINT ・上司が相談を受けた場合にも、会社は職場環境配慮義務を負う。
【10】 同じ従業員からハラスメント相談が繰り返されており、内容は同じだが、調査を行わなければならない!?
POINT ・ハラスメント関係指針上、会社にはハラスメントに該当するか否か微妙な場合にも相談対応をすべき義務がある。
【11】 嫌悪感を抱いているだけの場合はハラスメントとして対処しなくてよい!?
POINT ・ハラスメント関係指針において、ハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応をし、適切な対応をするという措置が会社に義務付けられている。
【12】 取引先からのセクハラには効果的な対策が難しい!?
POINT ・取引先などの外部の事業主や労働者からのセクハラも、措置義務の対象とされている。
【13】 部下がトランスジェンダーであることを人事部に伝達するとアウティングになる!?
POINT ・パワハラの6類型の1つの「個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)」の該当例として、「労働者の性自認について、了解を得ずに他の労働者に暴露すること」が挙げられている。他方、非該当例として、「労働者の了解を得て、性自認について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと」が挙げられている。
【14】 いわゆる「交際型セクハラ」は、職場におけるセクハラではないため、会社が介入すべきではない!?
POINT ・環境型セクハラとは、職場において行われる性的な言動により労働者の就業環境が害されるものをいう。
【15】 ハラスメントの相談があったことを相手方に伝えないまま、再発防止などの対策はできる!?
POINT ・ハラスメント調査を進めるにあたっては、相談者の意向を尊重するべきである。
【16】 従業員の家族等からのハラスメント相談は受け付けなくてよい!?
POINT ・ハラスメント関係指針は、ハラスメント相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備を事業主に義務付けているが、この場合の相談は「労働者からの相談」に限定されている。
【17】 会社に相談のないまま労災申請されたハラスメント事案については、社内調査をする必要はない!?
POINT ・ハラスメント社内調査を進めるかについては、ハラスメント被害申告者の意向を尊重する。
【18】 ハラスメント被害申告者が、被害状況を社内外へ情報発信することを止めることはできない!?
POINT ・被害申告者は、職場での自らの立場を守るとか、再発を防ぎたいという目的で、自ら事実であると信じている内容を周囲に話している。

第3章 当事者らへの事情聴取をするときの落とし穴

【19】 ヒアリングで弁明の機会を設ければ、懲戒処分では弁明の機会は不要!?
POINT ・懲戒処分については、会社によって就業規則や懲戒規程により手続が厳格に定められ、懲戒対象者への弁明の機会付与が明文化されている場合がある。
【20】 ノウハウがなくても、ハラスメント被害申告者のヒアリングは社内の実情に精通している従業員が対応するべき!?
POINT ・各会社のハラスメント関連規程に反しない範囲で、個別事案に応じた最適な担当者がヒアリングを実施するべきである。中立性、専門性を確保できる社外の弁護士にハラスメント調査を依頼することにはメリットがある。
【21】 ハラスメント調査中に被害申告者とハラスメント行為者とされる相手方の執務場所を遠ざけられなくても仕方ない!?
POINT ・会社は、ハラスメントの相談を受けた時点から、早急に良好な職場環境の回復に尽力すべきである。
【22】 ヒアリングの実施時間は業務にならない!?
POINT ・ヒアリングを業務時間内に実施することで、対象者が本来の業務から離れることになり業務が滞ってしまうし、ヒアリングを実施していることが従業員に知られて、相談者や相手方等のプライバシーの保護に反する事態となる可能性は否めない。
【23】 ヒアリングの際に録音させてほしいと求められたら許容しなければならない!?
POINT ・ヒアリング実施の際の会社側の録音は、ヒアリング経過を記録化するために必要である。ヒアリング対象者側の録音を認めるか否かは、会社側の裁量による。
【24】 ヒアリングの際に、第三者の立会いは認めなくてよい!?
POINT ・会社の就業規則等の規定に、第三者の立会いを認める根拠規定がない場合は、会社の裁量により判断する。
【25】 ハラスメント行為者がヒアリングを拒否する場合は、調査ができないので、ハラスメントの認定はできない!?
POINT ・ハラスメント行為者とされている従業員には一定の調査協力義務があることから、それを理由に事情聴取に応じるように命ずることができる。
【26】 ハラスメント目撃者の口が重い場合は、ヒアリングを諦めるしかない!?
POINT ・ハラスメントの目撃者には調査に協力する義務がある。また、会社は、目撃者がヒアリング等の事実関係の調査に協力したことを理由として不利益な取扱いを行ってはならない。
【27】 ハラスメントの被害申告者を、被害者ではなく、逆にハラスメント行為者であると認定して調査を進めることはできる!?
POINT ・ハラスメント調査は、各会社の整備したハラスメント規程に則った方法で行う。
【28】 関係者が既に退職している場合は、ヒアリングを諦めるしかない!?
POINT ・一般論として、退職者は、会社に対して調査協力義務を負わないため、任意の協力を求めることになる。
【29】 役員がハラスメントの行為者であるときは社内で処分することは難しい!?
POINT ・事業主(個人事業主であればその本人、法人であれば、その役員)によるハラスメント行為についても、会社は措置義務の履行として、相談を受け付け、調査を行い、再発防止策を講ずる必要がある。

第4章 事実認定・ハラスメント該当性判断・懲戒処分をするときの落とし穴

【30】 ハラスメントが起こった日時や場所があいまいな場合は、ハラスメントの認定をすることはできない!?
POINT ・訴訟においては、事実があったと認定されるためには、セクハラを受けたといった抽象的な供述では足りず、具体的かつ詳細な供述が必要である。
【31】 ハラスメントの被害申告者と行為者とされている従業員の証言が対立して真偽不明であるときは、被害申告者を優先してハラスメントを認定する!?
POINT ・証言が対立していても、証言の信用性を検討した上で、事実認定できる場合もあるが、それも困難であれば真偽不明となる。
【32】 会社の調査の結果、事実誤認をした場合は、会社の不法行為になる!?
POINT ・会社として十分に調査を尽くし、合理的な事実認定を行っていたかが重要となる。
【33】 懲戒処分に無効の判決が出されたら、一事不再理のルールがあるため懲戒処分をすることはできない!?
POINT ・懲戒解雇が無効となれば、当該従業員は、職場に戻ってくることになるため、改めて、ハラスメント行為者に対する措置としての必要な懲戒その他の措置を講ずることを検討する。

第5章 関係者へ通知やフィードバックをするときの落とし穴

【34】 会社によるハラスメント行為者への処分に納得していない被害者から、より厳しい処分を求められた場合は、処分を再検討しなければならない!?
POINT ・ハラスメント認定した事案においては、会社は、速やかに被害者に対する配慮のための措置と、ハラスメント行為者に対する措置を適正に行うべきである。
【35】 調査の結果、ハラスメントを認定しなかった場合は、相談者には結果のみをフィードバックすればよい!?
POINT ・ハラスメント調査の結果は、ハラスメントを認定した場合も、そうでない場合も、相談者に通知するべきである。
【36】 請求があればヒアリング記録を開示するべき!?
POINT ・ヒアリングに応じた者のプライバシーの保護と、開示請求者に十分な反論や弁明の機会を与えることとのバランスを考慮して、対応すべきである。

第6章 事後対応をするときの落とし穴

【37】 ハラスメント行為者と認定された者に対して、全日在宅勤務を命じることはできる!?
POINT ・ハラスメント被害者と行為者を引き離す策として、行為者を在宅勤務させる措置は被害者の職場環境改善に資する。
【38】 ハラスメント行為者がメンタルヘルス不調と診断されたら、調査や事後対応は行えない!?
POINT ・会社は、メンタルヘルス不調者に対しては、医師の意見に従って安全配慮義務を履行する必要がある。
【39】 事後対応としての研修を実施する場合、研修の対象者はハラスメント行為者のみでよい!?
POINT ・ハラスメント行為が再発しないようにするためには、ハラスメント防止研修を実施して、改めて周知・啓発することが重要である。
【40】 社内で発生したハラスメント事案を題材に研修を実施する上で、当事者への配慮は不要!?
POINT ・社内で起こったハラスメント事例を従業員に周知することで、従業員は、ハラスメントが身近な問題であることを実感でき、より主体的にハラスメント防止に取り組む意識を持つようになる。
【41】 派遣労働者が関係するハラスメント事案の対応は、派遣会社に任せればよい!?
POINT ・派遣先、派遣元(派遣会社)ともに、措置義務を負うのが原則である。

第7章 弁護士へ依頼をするときの落とし穴

【42】 ハラスメント調査を依頼した顧問弁護士に、ハラスメント紛争の代理人を依頼できる!?
POINT ・ハラスメント事案において、どの手続をどの弁護士に依頼するかは、細心の注意を要する。
【43】 コンプライアンス研修の講師を務めた弁護士に、受講者が関係する紛争の代理人を依頼できる!?
POINT ・研修は会社からの依頼により行うものであり、弁護士職務基本規程27条2号の「相手方の協議を受けた」場合に該当しない。研修の機会に顔を合わせていることのみをもって利益相反に該当することはない。

第8章 その他ハラスメントをめぐる問題へ対応するときの落とし穴

【44】 ハラスメントの社内研修は、全従業員に共通の内容で行うべき!?
POINT ・会社は、雇用管理上の措置義務の具体化として、ハラスメントの内容及びハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することが求められている。
【45】 ハラスメントの加害者が告訴されても、会社が対応できることはない!?
POINT ・加害者が告訴された場合、会社は刑事手続の当事者ではないものの、警察での事情聴取のために従業員が呼び出されたり、警察から会社の物品や電子データの任意提出を求められたり、強制捜査(捜索・差押)の対象となったり等の様々な影響を受ける立場にある。
【46】 育児中の従業員の業務を配慮した結果、周辺の従業員間で発生した不満は我慢してもらうしかない!?
POINT ・妊娠、出産等や、育児休業に関する否定的な言動を引き起こす要因の一つには、周囲の労働者の業務負担が増大することが挙げられる。
【47】 物理的に対応が不可能であれば、トランスジェンダーの従業員のために、トイレや更衣室の配慮はしなくてもよい!?
POINT ・国・人事院(経産省職員)事件第一審判決では、トランスジェンダーの男性職員に女性トイレの利用を制限したことにつき、社会的情勢の変化も踏まえて、違法と判断されたが、同控訴審判決では、その点の判断が覆った。さらに、最高裁判決では、同控訴審判決が覆り、トイレの使用の制限が違法と判断された。会社の対応としては、最高裁判決の補足意見が参考となる。
【48】 ハラスメント関連法上の措置義務を履行していたら、会社は民事責任を負わない!?
POINT ・ハラスメント事案発生時は、被害者から会社に対する民事責任追及に備え、ハラスメント関連法上の雇用管理上の措置義務を履行しておくことが重要である。

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