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Q&A 高齢者の生活・介護支援の手引

編集/高齢者権利擁護研究会 代表/野田愛子(弁護士)、梶村太市(桐蔭横浜大学法科大学院客員教授・元東京地裁判事)、冷水豊(日本福祉大学大学院客員教授)

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概要


◆介護保険制度、成年後見制度、地域の権利擁護制度をはじめ、老人福祉、高齢者医療、年金、相続に至るまで、高齢者に関わりの深い諸制度を幅広く採り上げてあります。
◆Q&A方式で図表などを交えてわかりやすく解説するとともに、高齢者をめぐる代表的な紛争事例も採り上げていますので、自治体・関係施設の職員、弁護士をはじめとする専門家の方まで幅広くご利用いただけます。

商品情報

商品コード
0492
サイズ
B5判
巻数
全3巻・ケース付
ページ数
3,398
発行年月
2000年2月

目次

第1編はじめに

 第1 人口高齢化と高齢社会対策
○わが国の人口高齢化の動向
○高齢社会対策の理念
○高齢社会対策の沿革と課題
○社会保障制度の沿革と改革推進
○東日本大震災における被災高齢者に対する施策
 第2 認知症高齢者の権利擁護
○認知症高齢者の権利擁護の必要性と理念

第2編高齢者対策の制度

第1章介護保険
 第1 あらまし
○介護保険制度創設の背景と経緯
○老人福祉制度、旧老人保健制度との関係
○介護保険制度の仕組み
○平成17年度の介護保険法改正の概要
○平成23年度の介護保険法改正の概要
○被保険者
○被保険者の資格の得喪
○保険料の賦課・徴収
○介護保険事業計画と老人福祉計画との関係
○不服がある場合の審査請求など
○介護保険法の円滑な実施のための特別対策
○身体拘束の廃止
○介護関係の資格にはどのようなものがあるか
○情報開示の標準化とは
○介護サービス情報公表制度
○後期高齢者医療制度と介護保険法の関係
○業務管理体制の整備と事業の休・廃止届
 第2 要介護認定
○要介護者・要支援者とその認定基準
○要介護認定等の手続の流れ
○介護認定審査会
○要介護認定等の更新、要介護状態区分の変更、取消し
 第2の1 介護支援専門員
○介護支援専門員の養成
○介護支援専門員の役割
○介護支援専門員の登録・移転・変更
○介護支援専門員証の交付申請と更新
○介護支援専門員の義務
 第3 保険給付
○保険給付の種類
○居宅サービスの内容
○居宅サービスと実質的な「施設」との関係
○居宅介護支援の内容
○施設サービスの内容
○地域密着型サービスの内容
○介護予防サービスの内容
○介護予防支援の内容
○地域密着型介護予防サービスの内容
○介護保険3施設の具体的相違点は
○保険給付を受けるための手続
○ケアマネジメントの手順
○介護職にとってのICF(国際生活機能分類)はなぜ必要か
○介護サービス計画の作成
○介護報酬の設定
○被保険者の費用負担
○居宅サービス等給付の支給限度額
○介護給付費の審査・支払い
○保険給付の制限
○他の保険制度による給付との関係
○居宅介護福祉用具購入費の支給
 第3の1 地域支援事業等
○地域支援事業
○介護予防事業とは
○包括的支援事業とは
○介護予防・日常生活支援総合事業とは
○権利擁護事業とは
○地域支援事業の任意事業とは
○地域包括支援センターの概要
○地域包括支援センターの運営
○地域ケア会議とは
○保健福祉事業とは
○介護支援ボランティア制度とは
○地域ケア体制の整備
○地域包括ケアとその推進事業
○地域包括支援センター等機能強化事業
○集合住宅等に居住する要介護者等に対する総合支援事業
 第4 介護サービス事業者の指定
(1)居宅サービス・介護予防サービス
○指定居宅(介護予防)サービス事業者の指定手続
○訪問介護・介護予防訪問介護の指定基準
○訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護の指定基準
○訪問看護・介護予防訪問看護の指定基準
○訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションの指定基準
○居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導の指定基準
○通所介護・介護予防通所介護の指定基準
○療養通所介護の指定基準
○通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーションの指定基準
○短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)の指定基準
○短期入所療養介護・介護予防短期入所療養介護の指定基準
○特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護の指定基準
○外部サービス利用型特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護の指定基準
○福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与の指定基準
○特定福祉用具販売・特定介護予防福祉用具販売の指定基準
(2)地域密着型・地域密着型介護予防サービス
○指定地域密着型(介護予防)サービス事業者の指定手続
○定期巡回・随時対応型訪問介護看護の指定基準
○夜間対応型訪問介護の指定基準
○認知症対応型通所介護・介護予防認知症対応型通所介護の指定基準
○小規模多機能型居宅介護・介護予防小規模多機能型居宅介護の指定基準
○認知症対応型共同生活介護・介護予防認知症対応型共同生活介護の指定基準
○地域密着型特定施設入居者生活介護の指定基準
○地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の指定基準
○複合型サービス事業の指定基準
(3)居宅介護支援・介護予防支援
○居宅介護支援・介護予防支援の指定基準
(4)施設サービス
○介護老人福祉施設の指定基準
○介護老人保健施設の許可基準
○介護療養型医療施設の指定基準

第2章老人福祉
 第1 あらまし
○老人福祉法の仕組み
○老人福祉法の措置と介護保険制度の関係
○老人福祉計画
○新ゴールドプランの達成状況
○高齢者リハビリテーション
 第2 在宅福祉サービス
○ホームヘルパー養成研修事業
○生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)運営事業
○福祉サービス第三者評価
○在宅介護支援センター運営事業
○老人クラブ活動等事業とは
○訪問看護支援事業とは
 第3 老人福祉施設
○老人福祉施設の種類
○特別養護老人ホームの設置運営基準
○地域密着型特別養護老人ホームの設置運営基準
○既存の特別養護老人ホームでユニットケアを導入するための留意事項
○老人福祉施設のサービス評価事業
○老朽民間老人福祉施設の整備
○老人休養ホームの設置運営
○軽費老人ホームの設置運営基準
○都市型軽費老人ホームの設置運営基準
○高齢者介護施設における感染症対策
 第4 介護サービス
○介護相談員派遣等事業
○ケアプラン指導研修事業
○ケアプラン点検支援マニュアルとは
○認知症ケアマネジメントのためのセンター方式とは
○サービス事業者振興事業
○福祉用具・住宅改修研修事業
○福祉用具・住宅改修活用広域支援事業
○福祉用具・住宅改修地域利用促進事業
○福祉用具の消毒工程管理認定制度とは
○福祉用具選定のガイドラインとは
○福祉用具・住宅改修情報システムとは
○個室・ユニットケア指導者養成研修事業
○苦情・事故等活用研修事業
○離島等サービス確保対策事業
○地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金および地域介護・福祉空間整備推進交付金とは
○苦情解決事業
○社会福祉法人等による生活困難者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度
○介護職員等による喀痰吸引の実施制度

第3章高齢者の医療・保健
 第1 あらまし
○新たな高齢者医療制度の創設
○高齢者の保健事業
 第2 医療
(1)後期高齢者医療制度
○後期高齢者医療制度の運営の仕組み
○高齢者医療における今後の施策
○被保険者資格
○保険料
○一部負担金
○保険給付サービス
○保険外併用療養費
○高額医療・高額介護合算制度とは
(2)前期高齢者医療制度
○前期高齢者の医療費の財政調整制度
 第3 健康診査・保健指導
○特定健康診査・特定保健指導の対象者と実施方法
○後期高齢者健康診査・後期高齢者保健指導の対象者と実施方法
 第4 健康増進事業など
○健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)とは
○健康増進法とは
○健康増進法に基づく健康増進事業

第4章民間サービス
 第1 シルバーサービス
○民間事業者によるサービスの種類
○有料老人ホーム等
○シルバーマークとは
 第2 非営利民間団体によるサービス
○住民参加型在宅福祉サービス

第5章その他の高齢者対策
 第1 年金
○公的年金制度の仕組み
○年金給付の種類
○近年に改正された年金制度の概要
○年金時効特例法
○国民年金保険料の納付・免除制度
○総報酬制とは
○老齢基礎年金の支給要件
○老齢基礎年金の支給額
○老齢厚生年金の支給要件
○老齢厚生年金の支給額
○老齢年金支給の繰上げ・繰下げ
○退職共済年金の支給要件
○退職共済年金の支給額
○障害年金の支給要件
○障害年金の支給額
○遺族年金の支給要件と支給額
○個人年金のあらまし
○確定拠出年金とは
○年金に関する相談先
○年金加入記録の確認
○現況確認の方法について(現況届)
○年金証書をなくしたとき
○年金差止めの通知が来たとき
○年金を受けている人やその配偶者が死亡したとき
○配偶者が年金を受けられるようになったとき
○障害が重くなったとき
○海外に移住した場合の年金
 第2 生活保護
○生活保護制度のあらまし
○生活保護の動向
○介護扶助の内容
○生活保護の実施機関と利用手続
○保護の決定の方法
○収入の認定方法
○保護施設の種類
○医療機関の指定等
○介護機関の指定等
○被保護者の権利・義務
○無許可の施設等に入所している要保護者に対する生活保護の実施と支援
○不服申立制度
○自立支援プログラムとは
○セーフティネット支援対策事業の実施
○要保護世帯向け不動産担保型生活資金の活用
 第3 住宅対策
○住宅改造等の補助制度
○高齢者の居住の安定の確保に関する方針
○サービス付き高齢者向け住宅事業の登録制度
○サービス付き高齢者向け住宅
○地方公共団体による高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給の促進
○終身建物賃貸借制度
○マイホーム借り上げ制度とは
○住宅のバリアフリー改修および特定断熱改修工事促進税制
 第4 雇用対策と高齢者教育
○高年齢者の雇用促進
○高年齢者雇用安定助成金
○労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)
○特定求職者雇用開発助成金
○トライアル雇用奨励金
○高年齢者雇用アドバイザー
○ボランティア活動や生きがいとしての就労等
○老人クラブや高齢者大学
 第5 高齢者虐待の防止
○高齢者虐待防止・養護者支援法成立の背景
○高齢者虐待防止・養護者支援法の概要
○高齢者虐待の種類
○養護者による高齢者虐待への対応
○養介護施設従事者による高齢者虐待への対応
○高齢者虐待防止体制の整備
○高齢者虐待におけるやむを得ない事由による措置の活用
○高齢者虐待対応帳票とは
 第5の1 認知症対策
○認知症対策の推進(オレンジプラン)
○認知症対策等総合支援事業
○認知症地域医療支援事業
○認知症対策普及・相談・支援事業
○市町村認知症施策総合推進事業
○都道府県認知症施策推進事業
○高齢者権利擁護等推進事業
○若年性認知症対策総合推進事業
○市民後見推進事業
○認知症サポーターキャラバン
 第6 その他
○障害者総合支援法とは
○リバースモゲージ制度
○個人情報保護法の施行に伴う対応は
○いわゆるバリアフリー新法とは
○郵便投票
○ST(スペシャル・トランスポート)サービスとは
○安心生活創造事業の実施
○高齢者の孤立死に関する対策

第3編権利擁護制度

第1章成年後見制度
○成年後見制度創設の背景
○成年後見制度と介護保険制度
○新しい成年後見制度の特色
○成年後見制度の三類型
○後見・保佐・補助開始の審判の要件と手続
○補助の対象となる「特定の法律行為」
○成年後見人等の選任
○複数の成年後見人の選任
○成年後見人等の解任
○成年後見人等の権限と職務
○成年後見人等による医療行為の同意
○成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分するとき
○成年後見人が行う身上監護
○成年後見人による被後見人死亡後の事務
○被後見人本人の法律行為の効力
○成年後見制度と成年被後見人・被保佐人・被補助人の自己決定権の尊重
○成年後見監督人等の選任
○成年後見人の不正行為等への対応
○成年後見人、成年後見監督人の報酬
○審判前の保全処分
○任意後見制度のあらまし
○任意後見の契約・任意後見人の権限と職務
○任意後見監督人の選任・職務
○法定後見と任意後見の関係
○法定後見の登記
○任意後見契約の登記
○終了の登記
○登記事項の非公開の原則
○知的障害等の子供を持つ人の成年後見制度の利用
○成年後見制度創設の流れと今後の課題
○成年後見利用支援事業のあらまし
○財産管理委任契約
○後見制度支援信託

第2章地域の権利擁護制度
○地域の権利擁護制度を実施するにあたっての2つの目的
○日常生活自立支援事業の法的位置付けと仕組み
○社会福祉法における権利擁護制度と民法の成年後見制度
○援助の範囲1(福祉サービス利用援助、日常的金銭管理、書類預り)
○援助の範囲2(定期的な訪問による生活変化の察知)
○制度の位置付けと実施体制
○福祉サービス利用援助における専門員、生活支援員の役割
○日常生活自立支援事業の利用に必要とされる契約締結能力の程度
○契約締結能力を審査する機関
○適切な制度運営の確保
○生活支援員の金銭管理の根拠
○外国籍の人や未成年の知的障がい児の利用
○高齢者夫婦世帯単位での利用
○保証人になれるか
○推進事例1 東京都社協における権利擁護の取組み、区市町村への支援
○支援、取組事例1 市社会福祉協議会に権利擁護支援課を設置し、展開している事例
○支援、取組事例2 在宅の知的障がい・精神障がいの方への支援事例
○支援、取組事例3 市民後見人、生活支援員の支援事例
○支援、取組事例4 消費者被害を受けている高齢者の支援事例
○支援、取組事例5 見守りを中心とした高齢者の支援事例

第3章その他の団体の権利擁護の取組み
○日本司法支援センターの取組み
○弁護士会の取組み
○司法書士会の取組み
○自治体の取組み
○日本社会福祉士会等その他の取組み
○認知症高齢者を支える家族の会の取組み
○家庭問題情報センターの取組み

第4編相続・税金等

第1章相続等
 第1 相続
○法定相続の仕組み
○遺産分割の方法
○相続人がいないとき
○相続人が遺言者より先に亡くなったとき
○借地権・借家権の相続
○生命保険金の相続
○墓地の相続
○借金の相続
○営業財産の相続
○生前贈与と遺産分割
○寄与分が認められるとき
○信託を活用した相続とは
 第2 遺言
○遺言できる内容
○遺言の方法
○自筆証書遺言の仕方
○公正証書遺言の仕方
○秘密証書遺言の仕方
○遺言撤回の自由
○遺言書を見つけたとき
○遺言執行者の選任
○遺言執行費用
○遺留分
 第3 贈与
○負担付贈与
○死因贈与

第2章税金
 第1 相続・贈与の税金
○平成25年度税制改正に伴う相続税・贈与税の見直し
○相続税の仕組み
○相続財産の評価方法
○相続税の計算方法
○相続税の税額控除
○相続税の申告および納税
○贈与税の仕組み
○贈与税の計算の仕方
○贈与税の配偶者控除
○連続贈与
○贈与税の申告
○相続時精算課税制度
○住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
○小規模宅地等を有する場合は
 第2 年金・保険の税金
○公的年金にかかる税金
○個人年金にかかる税金
○生命保険金にかかる税金
 第3 その他
○所得税の老人配偶者控除
○所得税の老人扶養控除
○所得税の医療費控除
○所得税の医療費控除(介護保険サービス利用時の場合)
○税金に関する相談先

第5編高齢者に対する保健福祉相談
○高齢者の生活相談援助
○福祉事務所の取組み
○保健所等での相談
○高齢者総合相談センターの取組み
○社会福祉協議会の取組み
○民生委員・児童委員の役割

第6編高齢者をめぐる紛争事例

第1章消費者契約関係
 第1 金融取引
○脳塞栓で入退院後自宅療養していた高齢者の手形取引連帯保証に意思能力を認めた事例(仙台高判昭56・1・20判タ436・165)
○銀行とアルツハイマー型の老人性痴呆症患者との間で締結された連帯保証契約が無効ないし不成立とされた事例(福岡地判平9・6・11金融法務1497・27)
○痴呆高齢者の手形の裏書が無効であるとされた事例(東京地判平10・3・19金融法務1531・69)
○高齢者に対する変額保険の勧誘について適合性原則違反および説明義務違反がないとされた事例(東京地判平7・3・24判タ894・202)
○高齢者との間で相続税対策として締結された家族型変額保険契約について、錯誤無効を認めた事例(東京地判平8・7・30判時1576・61)
○高齢者に対するワラントの勧誘が適合性の原則に反せず、説明義務違反もないとされた事例(東京高判平7・5・31判タ897・144)
○高齢者に対するワラントの勧誘につき、説明義務違反を認めた事例(東京高判平8・11・27判時1587・72)
○判断能力が不十分な独居老人の金融資産を不法に領得しようとして、自らが経営する有料老人ホームへ入居させて預貯金を無断で払い戻す等したとして、同人死亡後の相続人から老人ホーム経営者の相続人らに対する不法行為を理由とする損害賠償請求が認容された事例(東京地判平16・2・16判例集未登載)
○銀行の従業員が長年にわたり高齢者の預金通帳、印鑑を預かり、預け入れ、払戻し等の事務を代行し、高額の使途不明金を発生させた場合について、これを看過、黙認した銀行の使用者責任(不法行為責任)が肯定された事例(東京地判平13・7・12判時1766・55)
○85歳の女性への金融商品の売買の勧誘が、女性の投資目的、財産状態、投資経験等からして過大な危険を伴う取引に積極的に勧誘したものと評価することはできないとされた事例(東京地判平17・5・30判例集未登載)
○海外通貨先物オプション取引を高齢の専業主婦に勧誘したことが適合性原則に違反し違法とされた事例(東京地判平17・2・24判例集未登載)
○証券会社の従業員が高齢者に円建他社転換特約付債権(EB)を勧誘して販売したことにつき、適合性の原則違反が否定され、証券会社の従業員の説明義務違反が肯定された事例(名古屋地判平17・8・10判時1925・128)
○高齢者に対する外国為替証拠金取引の勧誘について、業者の適合性の原則違反、断定的判断の提供が否定されて、説明義務違反、両建違法による不法行為責任が肯定された事例(東京地判平17・10・17判時1951・82)
○金融商品取引に関するいかなる許可登録もしていなかった被告会社との間で株式取引を行っていた高齢者の原告が、被告会社が行っていた商法は顧客らに対して株式を購入するとして金銭の交付を受けながら現実には株式を買い付けることなく、買い付けをした旨の報告書および預り証のみを送付して金銭を騙取する「株式売買仮装取引」であった旨主張して、被告会社とその代表取締役に対して損害賠償の支払を求めた事案につき、欠席裁判により原告の請求が容認された事例(東京地判平19・4・25平18(ワ)2843)
○床下換気扇等の取付を業とする会社の従業員の勧誘により床下換気扇、防湿剤等の購入契約を締結した高齢者が、当該購入契約がいわゆる「点検商法」によるもので、特定商取引法に基づく解除等により契約が解消されたとして床下防湿剤の撤去を求めた場合に、建物への換気扇等の設置の必要性及び相当性に関する重要事項について販売担当者から告げられた内容が事実と異なるなどとして、消費者契約法に基づく契約の取消しが認められた事例(東京地判平17・3・10平15(ワ)18148)
○金の先物取引について、外交員らが取引の勧誘の際に、金の価格が下落するおそれがあったことなど、高齢者である消費者に対して、「不利益となる事実」を故意に告げていなかったとして消費契約法4条2項による取消しを認めた事例(札幌高判平20・1・25金判1285・44)
○老人性認知症等で行為能力のない代表役員から、事前にその息子に包括的代理権が授与されており、ファイナンスリース契約は有効に締結されたとして、未払リース料の請求が認容された事例(東京地判平20・6・19平19(ワ)11709)
○業者との間で梵鐘製作を目的とする請負契約を締結し、代金の一部を支払った契約当時91歳の高齢者の契約の効力を争って不当利得の返還等を求めた事案において、消費者契約法4条2項の重要事実に係る不利益事実の不告知があると認め、同契約を取り消して原告の請求をほぼ認めた事例(大阪地判平23・3・4判時2114・87)
○契約当時70歳の女性に行われた仕組債の購入勧誘について、女性がいわゆる
富裕層であり、本件契約前後にも元本割れリスクのある金融商品を購入した経験がある顧客であることを理由に、適合性原則の違反はなかったとして銀行の損害賠償責任が否定された事例(東京高判平23・11・9判時2136・38)
 第2 不動産取引
○高齢者が自活のため土地を駐車場として利用することを理由とする借地契約更新拒絶に正当事由を認めた事例(東京地判昭59・7・10判時1159・130)
○建物賃貸借契約における賃借人の年齢等に関する錯誤を要素の錯誤と認め、契約無効とされた事例(東京地判平2・4・24判時1368・79)
○禁治産者がその宣告前にした連帯保証契約等が無効と判断された事例(東京地判平8・10・24判時1607・76)
○痴呆性高齢者が不動産売買における代理権授与の際に意思能力を喪失していなかったとされた事例(東京地判平8・11・27判時1608・120)
○90歳の認知症に罹患した高齢者である売主が締結した不動産の売買契約が、売主に意思能力がないことを理由として無効とされた事例(東京地判平20・12・24判時2044・98)
○認知症高齢者の判断能力の低下に乗じてされた土地の売買につき、高齢者に不利かつ有害な不公正な取引であり、公序良俗に反し無効とされた事例(大阪高判平21・8・25判時2073・36)
 第3 福祉・医療契約
○老人ホームのサービス内容が不十分であるとの退去者からの損害賠償請求が認められた事例(津地判平7・6・15判時1561・95)
○ヘルパー派遣の要件に該当するのに派遣しなかったことが違法と判断された事例(東京地判平8・7・31判時1593・41)
○有料老人ホームの入居者死亡による返還金の受領権限は、契約上返還金受取人として届け出られている者が有するとされた事例(東京高判平9・6・30判時1610・75)
○入浴サービス提供中に、風呂場で高齢者を落としてしまい、高齢者が負傷した事例
○ホームヘルパーの派遣を週3回、1回2時間とする変更の措置について、派遣基準に違反しないとし、国家賠償請求が棄却された事例(大阪高判平13・6・21判例地方自治228・72)
○医院でデイケアを受けていた79歳の男性が、デイケアから帰宅した際、医院の送迎バスを降りた直後に転倒して骨折し、その後に肺炎を発症して死亡した事故につき、医院設置運営者の債務不履行責任が認められた事例(東京地判平15・3・20判時1840・20)
○介護老人保健施設に入所している95歳の女性が、自室のポータブルトイレの中の排泄物を捨てるために汚物処理場に赴いた際、コンクリート製仕切りに足を引っかけて転倒し負傷した事故につき、施設経営法人の債務不履行責任および民法717条に基づく工作物責任が認められた事例(福島地白河支判平15・6・3判時1838・116)
○通所介護サービスを受けていた95歳の女性が施設内で昼寝から目覚めた後に転倒し、右大〓骨骨折を負った場合に、介護サービス施設が債務不履行に基づく損害賠償責任を負うとされた事例(福岡地判平15・8・27判時1843・133)
○特別養護老人ホームのショートステイを利用中の老人が食物をのどに詰まらせて窒息死した場合、同ホームの設置経営者の不法行為責任が認められた事例(名古屋地判平16・7・30判例集未登載)
○介護老人施設でデイサービスをうけていた85歳女性が、トイレ内で転倒し右大腿骨頸部内側骨折の傷害を受けた事故につき、施設職員の歩行介護に過失があったとして同施設経営法人の損害賠償責任が認められた事例(横浜地判平17・3・22判時1895・91)
○要介護3の高齢者の女性が病院玄関で転倒し負傷した事故について、高齢者と訪問介護契約を締結して、病院に付き添っていたヘルパーに転倒防止を怠った過失があるとされた事例(東京地判平17・6・7判例集未登載)
○老人ホームの入居者が体調不良になり、搬送先の病院で緊急手術を受けたものの肺炎を併発して死亡した場合、老人ホーム側に医療機関への搬送すべき義務の懈怠があったとは認められなかった事例(名古屋地判平17・6・24判例集未登載)
○散歩中に排水路に転落して負傷した老人が、入院中に感染症に罹患し、虚血と心室細動をきたして致死的不整脈により死亡した場合、医師の患者に対する診察、検査、処置等の対応は医療水準に達していなかったとして、病院側の診療契約上の債務不履行責任が認められた事例(広島地判平18・4・13判タ1224・282)
○特別養護老人ホームでショートステイを利用した際、利用者に車いすを押されて転倒し、後遺症を負ったことにつき、同ホームのショートステイ利用契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求が認められた事例(大阪高判平18・8・29平17(ネ)2259)
○被告が運営する老人保健施設において骨折・褥瘡の傷害を負い、退所後に両下肢機能障害の後遺症ならびに死亡の原因は、被告施設内における患者に対する管理および治療の懈怠等にあると主張して損害賠償を求めた事案について、傷害のための治療費、傷害慰謝料および弁護士費用などの賠償が一部認められた事例(東京地判平19・4・20平13(ワ)26590)
○原告らの母親が被告の設置運営する特別養護老人ホームに入所していた際の誤嚥自己により、低酸素脳症に陥ったことに基づく損害賠償を求めた事案において、原告らの母親の直接の死因は老衰であるとしても、被告は原告らの母親が食物を誤嚥しその死期が早められたことの責任を負うとして、原告らの請求の一部を認容した事例(東京地判平19・5・28平15(ワ)25683)
○営業譲渡前の会社との間で原告が養母入居中の都市型優良老人ホームにつき、養母死亡時の入居金返還請求権の受取人となる旨の契約を締結し、当該施設の営業が被告に譲渡された場合において、当該営業譲渡の通知等に異を唱えなかったことなどに照らすと原告の黙示的な承諾があったと認められ、また、入居金返還請求権は契約上の返還金受取人のみが有するのであり、身元引受人の変更により返還金受取人が変更されることはないなどとして、養母死亡後の原告から被告に対する入居金返還請求が全部認容された事例(東京地判平19・6・20平17(ワ)23991)
○手術後に病院及び介護老人保健施設でリハビリテーションの施行を受けた原告がリハビリに非協力的であった場合に、当該施設の職員に対し、過失ないし義務違反行為によって実効的なリハビリが受けられず高度の後遺障害が残ったとして求めた損害賠償が棄却された事例(東京地判平18・1・23平16(ワ)11721)
○ショートステイ利用中に負った後遺症につき、特別養護老人ホームに対するショートステイ利用契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求が認められた事例(大阪高判平18・8・29平17(ネ)2259)
○入院中の高齢者が誤嚥により窒息して死亡した場合、当該高齢者に嚥下機能に障害があったことから、担当看護師に注意義務の過失があるとされた事例(福岡地判平19・6・26判時1988・56)
○有料老人ホームの入居者(認知症)が退去届を提出し、本人も退去している場合において、本人の意思表示による入居契約の解除が認められず、その後、その入居契約で入居者の代理人として指定されていた者から解除の意思表示がされた時点で入居契約の解除が認められた事例(東京地判平18・12・6判時1998・43)
○高齢者が、その入所している老人保健施設内で下肢を骨折し、褥瘡を生じたことについて施設運営者に過失があったとされたものの、当該骨折および褥瘡とその両下肢機能障害および死亡との間の因果関係は否定された事例(東京地判平19・4・20判タ1278・231)
○痴呆症介護施設入所者が自室のベッドから転落して受傷した事故につき、施設経営者の安全配慮義務違反が認められ損害賠償請求が認容された事例(大阪地判平19・11・7判時2025・96)
○抑制帯を使用したベッドからの転落防止措置等について、医師・看護師の過失が否定された事例(大阪地判平19・11・14判タ1268・256)
○特別養護老人ホーム入所者の施設内での誤嚥死亡事故について、当該ホームを設置した社会福祉法人の不法行為責任が認められた事例(松山地判平20・2・18判タ1275・219)
○入院中の患者に対する身体拘束が、診療契約上の義務に違反するものではなく、不法行為法上の違法性もないとされた事例(最判平22・1・26判タ1317・109)
○介護付有料老人ホームの入居金について、終身利用権金の不返還合意および入居一時金の償却合意が消費者契約法に違反しないとされた事例(東京地判平21・5・19判時2048・56)
○介護付有料老人ホームの入居に際し入居契約に基づき支払った権利金につき、当該権利金償却条項が無効であるとはいえないとされた事例(東京地判平21・9・3平20(ワ)18804)
○入院していた患者が、病院の敷地内にある建物の屋上から転落して死亡したことについて、予見可能性が認められないことを理由に、同病院の医療従事者らに患者の体幹・両上肢の抑制等の危険行動防止措置を執るべき注意義務等があったとはいえないとされた事例(東京地判平21・9・15判タ1328・196)
○指定痴呆対応型共同介護施設において入居者が2度も転倒したことにつき、施設側の損害賠償責任が認められた事例(神戸地伊丹支判平21・12・17判タ1326・239)
○介護付有料老人ホームの入居に際して、入居一時金を償却する旨の特約が消費者契約法10条に違反しないとされた事例(東京地判平22・9・28判時2104・57)
○介護老人保健施設に入所中の高齢者が転倒、骨折した事故について、施設は転倒回避義務に違反しており債務不履行責任を負うとされた事例(東京地判平24・3・28判時2153・40)

第2章離婚・扶養義務・相続等
 第1 離婚請求
○痴呆状態になった妻に対する離婚請求が認容された事例(長野地判平2・9・17判時1366・111)
○長年会社人間的な生き方をしてきた定年後の夫に対する妻の離婚請求が棄却された事例(東京高判平13・1・18判タ1060・240)
○長年別居している老人の夫から認知症になった老妻に対する離婚請求について、婚姻関係が破綻に瀕しているとはいえないとして、その請求が認められなかった事例(大阪高判平17・10・27判例集未登載)
 第2 扶養義務
○扶養義務者間の特別事情を考慮して、一部の者に引取扶養を、他の者に金銭扶養を命じた事例(大阪家審昭40・3・20家月17・7・132)
○扶養義務者に対してはそれぞれ金銭扶養を命じ、要扶養者は老人ホームでの生活を継続することとした事例(東京家審昭48・11・1家月26・5・92)
○扶養義務設定候補者の一切の事情から、扶養の熱意と能力の有無を審査した上で扶養義務者を指定した事例(東京家審昭51・2・2家月28・10・76)
○要扶養者の意見、従前の人間関係等を総合的に考慮し、引取扶養申立人による引取扶養を相当でないとした事例(広島高松江支決昭55・7・21家月34・5・57)
 第3 遺産分割
○被相続人の遺志を考慮して地方公共団体を特別縁故者と認め、遺産の全部を分与した事例(大阪家審昭42・4・13家月20・2・45)
○老人性痴呆の被相続人を10年間にわたり看護してきた申立人に寄与分を認めた事例(盛岡家審昭61・4・11家月38・12・71)
○相続人なく死亡した老人の相続財産を、療養看護に当たった老人ホームを特別縁故者と認めてこれに分与した事例(那覇家石垣支審平2・5・30家月42・11・61)
○遺留分減殺は、遺贈、死因贈与、その後に生前贈与の順で行われるべきであるとされた事例(東京高判平12・3・8判時1753・57)
○遺産分割協議書について、高齢と脳梗塞で老人保健施設に入所していた被相続人に何の説明もなく白紙に署名させていたものであり、押印も相続人の一人が勝手に印鑑登録をして押印したものであることなどから、遺産分割協議は無効であるとされた事例(大阪高判平19・9・11平18(ワ)19677)
○死因贈与について民法994条1項〔受遺者の死亡による遺贈の失効〕は準用されないとされた事例(京都地判平20・2・7判タ1271・181)
○パーキンソン氏病に罹患していた高齢者の公正証書遺言が、民法969条の2第1項に定める方式に従って作成され、遺言者の介助者の通訳により申述したとされた事例(東京地判平20・10・9判タ1289・227)
○非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定(民法900条4号ただし書前段)について、合憲の判断をされたが、補足意見および反対意見が付された事例(最決平21・9・30判時2064・61)
○被相続人が一度も婚姻したことがない状態で被相続人の非嫡出子として出生した子につき、その後婚姻した者との間に出生した嫡出子との関係で民法900条4号ただし書を準用する民法1044条を適用することは、憲法14条1項に違反して無効であるとされた事例(名古屋高判平23・12・21判時2150・41)
 第4 遺言の効力
○高血圧性脳症により倒れた老人の遺言書が自筆証書遺言として有効とされた事例(浦和地判昭58・8・29判タ510・139)
○公正証書遺言に意思能力の欠如および方式違反は認められず、有効であるとされた事例(静岡地沼津支判平元・12・20判タ719・187)
○老人性痴呆症状を呈する老人の遺言能力を認めた事例(和歌山地判平6・1・21判タ860・259)
○多梗塞性痴呆老人の公正証書遺言が、本心に復した状態でされたと認められ、有効と判断された事例(名古屋高判平9・5・28判時1632・38)
○入院中の老人の嘱託に基づいて作成された公正証書遺言につき遺言能力があり、口授の方式にも瑕疵がなく有効とされた事例(東京地判平9・9・25判タ967・209)
○脳梗塞を患った高齢者の公正証書遺言が有効とされた事例(東京高判平10・2・18判タ980・239)
○老人性痴呆の状態にあった者の公正証書遺言について遺言能力が否定された事例(名古屋高判平5・6・29判時1473・62)
○脳梗塞の後遺症のある老人の公正証書遺言が無効とされた事例(東京地判平6・2・28金判979・35)
○回復の見込みのない老人性痴呆患者の公正証書遺言の無効確認を遺言者生存中に求める訴えが不適法とされた事例(最二小判平11・6・11判時1685・36、原審大阪高判平7・3・17判時1527・107)
○遺言者が遺言の当時、老人性痴呆により意思無能力であったとして、公正証書遺言が無効とされた事例(東京地判平9・10・24判タ979・202)
○遺言の証人となることができない者が同席してされた公正証書遺言が有効とされた事例(最判平13・3・27判時1745・92)
○遺言者の署名と作成年月日以外は第三者がワープロで記載した場合、秘密遺言証書は遺言者が筆者である第三者の住所氏名を公証人に申述していないので無効であるとされた事例(東京高判平13・11・28判時1780・104)
○重度の痴呆状態にあった老人の公正証書遺言について、遺言能力を欠いていたとして、無効とされた事例(東京高判平12・3・16判時1715・34)
○93歳の男性が妹およびその子供に対し合計1億円の贈与をしたが、当時老人性痴呆症が進行していて意思能力を欠いていたとして贈与が無効とされた事例(東京地判平15・8・25判例集未登載)
○英文の自筆遺言書による遺言内容および遺言当時の遺言者の年齢・病状等から、遺言者が記載内容を正しく理解し認識した上で署名捺印したとは認められないとして、本件遺言書の効力について死因贈与契約の成立を否定した事例(東京地判平17・2・28判例集未登載)
○公正証書遺言作成当時、高齢のために聴力等の身体的機能が相当程度低下していたとはいえ、遺言内容等からその内容を理解し得ないほどに判断能力が衰退していたとは認められないとして、遺言無効確認の請求を棄却した事例(東京地判平17・2・18判例集未登載)
○高齢者の作成した自筆遺言証書が、自書したものではないとして無効とされた事例(松山地判平17・9・27(平16(ワ)248)最高裁HP)
○記憶障害などの認知症である高齢者の自筆証書遺言について、遺言者が遺言能力を欠き無効であるとされた事例(東京地判平18・7・25判時1958・109)
○信託銀行依頼にからむ複雑な公正証書遺言について、遺言当時85歳であった老人がアルツハイマー型の認知症に罹患しており、遺言能力を欠いていたとして無効とされた事例(横浜地判平18・9・15判タ1236・301)
○91歳の高齢認知症患者がした公正証書遺言について、認知症の症状が増悪していたため遺言能力を有していなかったとして無効とされた事例(大阪高判平19・4・26判時1979・75)
○高齢者に遺言能力がなく、また、あらかじめ作成した遺言公正証書の案文を公証人が読み聞かせて遺言者が手を握り返す方法は口授とは認められないとして、公正証書遺言が無効であるとされた事例(東京地判平20・11・13判時2032・87)
○高齢者およびその子が作成した自筆証書遺言につき、当該高齢者は老人性痴呆の症状が悪化し、相当深刻な見当識障害や記銘力低下が見られるなどとして、遺言能力はなかったものとされた事例(東京地判平21・7・9平18(ワ)23674)
第3章高年齢者雇用
○会社との間で定年後に嘱託としての有期雇用契約を締結し、更新してきたものの、有期労働契約の期間が経過したことを理由に雇止めを通告されたが、雇止めは無効であるとして労働契約上の地位の保全及び賃金の仮払の必要性が認められた事例(京都地判平19・10・30労判955・47)
○会社に定められた再雇用規程に基づいて定年後の再雇用を拒否したことが高年齢者雇用安定法に反する行為に当たらず、再雇用拒否に違法性はないとされた事例(岐阜地判平20・9・8労経速2016・26)
○嘱託雇用契約で働いていた原告が雇用契約が期間の定めのないものに転化したなどと主張して雇止めの効力を争い、地位確認や未払賃金の請求をした事例(東京高判平21・11・18労経速2063・21)
○60歳で定年退職したとする取扱いについて、高年齢者雇用安定法9条1項に違反するとした請求が、同条が直截的に私法的効力を認めた規定とまで解することはできず、会社が定めていた60歳定年以後の勤務措置が同条1項2号に該当するとして棄却された事例(大阪高判平21・11・27労判1004・112)
○継続雇用制度を導入した原告会社が、原告組合の組合員について継続雇用に係る団体交渉や継続雇用に応じなかったのは不当行為に当たるとして原告組合が救済申立てをしたところ、中央労働委員会が団交拒否についてのみ不当労働行為の成立を認めたため、原告会社及び原告組合ともにその取消しを求めたが、救済命令に違法はないとされた事例(東京地判平22・2・10判タ1342・153)
○就業規則に定められた定年後の再雇用基準を満たしていないことを理由とする再雇用拒否について、継続雇用制度の導入を定める本件就業規則の規定が手続的要件を欠いて無効であり、採用拒否の無効が認められた事例(横浜地判平22・2・25労判1002・5)
○会社が再雇用に応じないことは無効であるとして、地位確認を請求した事案について、会社の再雇用拒否には客観的・合理的な理由がないとして、再雇用契約の成立を認め、請求を認容した事例(東京地判平22・8・26労判1013・15)
○高年齢者雇用安定法の私法的効力について、同法9条1項の規定の仕方は私法上の効力を発生させるだけの具体性を備えていると解釈するのは困難である上、同法は65歳までの雇用確保について、その目的に反しないかぎり各事業主の実情に応じた労使の工夫による柔軟な措置を許容する趣旨であるとして、同法の私法的効力が否定された事例(大阪高判平22・9・14労経速2091・7)
○会社が高年齢者雇用安定法に基づき60歳の定年後64歳まで1年ごとに雇用契約を更新する就業規則を定めている場合、定年後の雇止めをされた原告による地位確認請求について、整理解雇の要件を満たしていないとして請求が認められた事例(京都地判平22・11・26労判1022・35)
○構造改革に伴う雇用形態選択制度を導入した会社において、60歳に到達したことで定年退職とされた従業員らが、60歳定年制を定めた就業規則は高年齢者雇用安定法9条1項に違反し無効であるとして、会社で実施されたキャリアスタッフ制度に基づき雇用契約上の地位確認等を求めた事案において、退職扱いとされた従業員らはキャリアスタッフとしての再雇用を申し込んだとは認められず、従業員の地位にあるとは認め難いとして請求を棄却し、会社の導入した雇用形態選択制度は、高年齢者雇用安定法9条1項2号の継続雇用制度に該当し、高年齢者雇用確保措置を講じたといえるとして控訴を棄却した事例(大阪高判平22・12・21労経速2095・15)
○会社内で行われた構造改革に伴い雇用形態の選択を迫られた結果、60歳定年制を定める就業規則が高年齢者雇用安定法に違反するか争われた事案において、高年齢者雇用安定法は社会政策誘導立法、政策実現型立法として公法的性格を有するもので、私法的強行性は認められず、安定した雇用機会の確保という目的に反しない限り多様な雇用形態を容認しているため、会社が同法に違反した不法行為を行ったともいえないとして請求が棄却された事例(東京高判平22・12・22労経速2095・3)
第4章その他
○原告からの医療費支給申請が、老人保健法で定める医療の支給範囲を超えており、支給の必要なしとされた事例(東京地判平6・2・14判例地方自治127・66)
○86歳の高齢者がした1億4,000万円の日本赤十字社に対する寄付行為が意思無能力状態でなされたものではないとされた事例(熊本地判平17・8・29判時1932・131)
○一人暮らしの82歳の女性がした、老後の世話等をしてもらうためにした僧侶とその妻との養子縁組について、その縁組を継続しがたい重大な事由があるとしてその離縁の請求が認められた事例(東京地判平16・8・23判タ1177・262)
○生命保険会社の従業員が、高齢者に相続税対策として銀行から融資を受けて保険料を支払うことによって、変額保険に加入することを勧誘し、高齢者が変額保険に加入したことについて、説明義務違反による生命保険会社、銀行の共同不法行為責任が肯定された事例(東京地判平17・10・31判時1954・84)
○先行の任意後見契約が締結された後、高齢者である本人によって解除され、後行の任意後見契約が締結された場合、高齢者に意思能力がなかったとして、先行の契約の解除、後行の契約の締結が無効とされた事例(東京地判平18・7・6判時1965・75)
○介護用ベッドを使用していた高齢者が、同ベッドに設計上および指示・警告上の欠陥があったため当該高齢者が呼吸不全により死亡したとして、当該高齢者の相続人が製造会社に対し製造物責任、不法行為責任および債務不履行による損害賠償を求めた事案において、同ベッドに欠陥は認められないとして請求が棄却された事例(京都地判平19・2・13平16(ワ)1837)
○高齢者向け優良賃貸住宅の入居契約に付随して締結された緊急時対応サービスについて、賃貸人に、少なくとも契約上予定された範囲内において最も安全かつ迅速円滑な方法で履行する契約上の義務があり、過失によりこれを怠った場合には、契約当事者たる入居者に対し、単なる財産的損害にとどまらず、安全安心な生活を侵害されたこと自体による精神的苦痛に対する慰謝料及び弁護士費用の支払義務を負うとされた事例(京都地判平20・2・28(平19(ワ)2694)最高裁HP)
○銀行預金の返還請求訴訟の訴訟委任について、意思能力の欠如を理由として訴えを却下した原判決を取り消して返還請求者の請求が認容された事例(福岡高判平21・5・21判時2063・29)
○認知症の老人のした養子縁組届出が縁組意思を欠くものとされ、無効とされた事例(東京高判平21・8・6判タ1311・241)
○脳梗塞の後遺障害等がある者がデイサービスセンターで受けた介護サービスは、「療養上の世話」には当たらず、医療費控除の対象とはならないとされた事例(最決平21・11・13税務事例Vol42・No11・14)

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