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契約違反と信頼関係の破壊による 建物賃貸借契約の解除-違反類型別 賃貸人の判断のポイント-

編集/弁護士法人 御堂筋法律事務所

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概要


「信頼関係の破壊」の判断のポイントを賃貸人の視点から解説!

◆実務上の重要性が増している建物賃貸借契約について、賃借人による契約違反の類型及び建物・賃借人の種別ごとに契約解除の可否の判断を整理し、分析しています。
◆信頼関係の破壊に関する賃貸人・賃借人の主張と裁判所の判断を対比して掲げたうえで、事実経過及び裁判所の判断理由を示し、解説を加えています。
◆賃貸借契約に関連する事項について、適宜「コラム」を設けて解説しています。

商品情報

商品コード
5100047
ISBN
978-4-7882-8497-5
JAN
9784788284975/1923032040006
サイズ
B5判
巻数
1
ページ数
308
発行年月
2019年1月

目次

第1章 総 論
 第1 賃貸借契約の解除について
 第2 賃貸借契約の解除に関する法的な手続
コラム 賃借人に不利な規定の有効性
コラム 債権法改正について

第2章 金銭債務不履行
 第1 賃料の不払
1 賃貸人の賃料増額請求に対し、賃借人が従前賃料と同額以上を供託していたが、適正賃料額に比して著しく低額であって(適正賃料額2万円に対して供託額2,000円)、長期間著しく低額の供託を継続したことが信頼関係を破壊するとして、契約解除を認めた事例(横浜地判平元・9・25判時1343・71)
2 賃料の支払を1か月分(1万3,000円)でも怠ったときは当然解除となる旨の訴訟上の和解条項に基づく契約の当然解除が認められないとされた事例(最判昭51・12・17判時848・65)
3 店舗の賃貸借契約につき、19日間はエアコンの不具合により貸室は使用収益に適さない状態にあり、その間の賃料は発生しないとされたが、賃借人にはそれ以外の期間4か月弱分、43万6,485円の賃料未払があるとして、解除を肯定した事例(東京地判平26・8・5(平25(ワ)31726・平26(ワ)13214))
4 店舗の賃貸借契約につき、約2か月分の賃料不払等約298万円及び敷金の一部不払200万円があるものの、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして、解除が否定された事例(東京地判平24・10・3(平24(ワ)10805))
5 漏水事故を理由に5か月分(137万2,500円)の賃料の支払を止めた場合において、賃料の支払を止めるに至った経緯及びその後の滞納解消等の経過をもって、契約解除が否定された事例(東京高判昭54・12・18判時956・65)
6 修繕を要すとして、賃借人が減額した賃料の支払を継続した場合に(差額36万5,250円)、減額がやむを得ない不具合であること、賃借人が入居当初に不具合を主張してから4か月以上改善されなかったこと等の事情を勘案し契約解除が否定された事例(東京地判平23・12・15(平23(レ)462・平23(レ)881))
 第2 電気料金の不払
7 賃借人が、賃料は支払いつつ、電気料金とごみ処理費用(電気料金3か月分及びごみ処理費用1か月分、合計約46万円)のみ意図的に賃貸人に支払わなかった場合に、賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平28・7・28(平27(ワ)34152))
 第3 更新料の不払
8 更新料支払の合意は法定更新の場合にも適用されると判断した上、更新料の不払を理由とする建物賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平5・8・25判時1502・126)
9 更新料の支払を定める特約の有効性及び解除の効力等が争われた事案において、特約の有効性を認めつつ、賃借人がそれまで請求を受けていなかった過去4回分の更新料について突如一括して催告を受けたために支払を拒絶したとしても、それのみでは信頼関係の破壊は認められないとした事例(東京地判平23・2・25(平22(ワ)33088))
 第4 信用不安
10 賃借人の保証金について国税滞納処分による差押えがなされた場合に、著しい信用不安を理由とする契約解除が認められなかった事例(東京地判平22・3・16(平21(ワ)12359))

第3章 無断転貸及び無断譲渡
 第1 無断転貸(一般及び個人)
11 家屋の一部無断転貸借につき、背信行為と認めるに足りない特段の事情がないと判断され、契約解除が有効とされた事例(最判昭43・9・12判時535・52)
12 無断転貸借が背信行為に当たるとして解除権が発生した場合には、その後に無断転貸借が終了したという一事のみによって解除権の行使は妨げられないと判断された事例(最判昭32・12・10判時137・7)
13 1か月未満の転貸事案につき、賃貸借契約の解除が認められた事例(最判昭33・1・14民集12・1・41)
14 無断転貸がなされてはいるが、その使用収益形態は賃借人と転借人の共同経営であり、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして、賃貸人による解除が認められなかった事例(東京地判平24・1・19(平22(ワ)24975))
コラム 賃貸居室内における転借人等の自殺について
 第2 無断転貸及び無断譲渡(法人関係)
15 会社分割及び株式譲渡がなされ、それによる賃借人の人的、物的要素の変更の程度が重大といえる場合には、実質的な賃借権譲渡に当たるとして、賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平22・5・20(平20(ワ)36400))
16 賃借建物での営業委託が実質的には営業の賃貸借に当たると判断した上、建物の無断転貸を理由とする建物賃貸借契約の解除が認められた事例(大阪高判平5・4・21判時1471・93)
17 個人事業主である賃借人が会社を設立して、賃貸人の承諾なくして当該会社に賃貸物件を使用させている事案において、背信行為と認めるに足りない特段の事情が存在し、民法612条の解除権は発生しないとされた事例(最判昭39・11・19判時396・37)
18 賃借建物での営業委託が実質的には転貸に当たると判断したが、信頼関係の破壊があったとはいえないとして、契約解除が認められなかった事例(東京地判平25・3・7(平23(ワ)29604))
19 賃貸人に無断で「のれん分け」の試用として賃借人以外の者に営業を任せたことは無断転貸に当たるが、信頼関係の破壊があったとはいえないとして、契約解除が認められなかった事例(東京地判昭61・10・31判時1248・76)
20 内縁関係の解消に伴い、当初の賃借人である内縁の夫が建物を退去し、内縁の妻が継続して建物を使用し続けた場合に、これを賃借権の譲渡があったと評価し、かかる賃借権の譲渡の事実を知りながら2年半にわたり賃貸人が賃料を受領していた場合に、内縁の妻に対する建物明渡請求が認められなかった事例(京都地判昭54・3・27判タ387・94)

第4章 無断増改築
21 簡易粗製の仮設的工作物を賃借家屋の裏側に接して付置するなどの改造工事を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかった事例(最判昭39・7・28判時382・23)
22 新たに外壁を築造し、シャッターを設置するとともに、壁面の一部及び天井を撤去の上築造するなどの改修工事を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかった事例(東京地判平6・12・16判時1554・69)
23 部屋と部屋の間の壁を撤去するなどの無断改築を理由に賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平18・11・30(平17(ワ)4075・平18(ワ)8275))
24 建築材料販売等ホームセンター用店舗の賃貸借契約について、賃借人による建物敷地への工作物等の設置を理由に賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平4・4・21判タ804・143)

第5章 利用に関する違反行為等
 第1 使用目的違反
25 不動産業務の事務所として賃借したビルの一室で貸机業を営んだことを理由に賃貸借契約の解除が認められた事例(東京高判昭61・2・28判タ609・64)
26 住居として賃借した建物において、用途条項に違反し会社の事務処理を行ったが、建物の価値を減ずる使用態様ではない等として賃貸借契約の解除が認められなかった事例(東京地判平15・6・20(平14(ワ)26310))
27 転借人の実質的な経営者が現役の暴力団幹部であり、賃借人代表者もその事実を知っていたとして、発砲事件の現場となった事務所の賃貸借契約の解除が認められた事例(大阪地判平6・10・31判タ897・128)
コラム 民泊について
 第2 その他用法違反
28 ビルのワンフロアの賃借人の漏水を理由とする債務不履行による解除について、漏水には賃借人の注意義務違反以外にも、競合原因があるとし、補修費用もそれほど多額とはいえず、信頼関係を破壊するほどのものではないとして、賃貸人からの解除を認めなかった事例(東京地判平13・3・7判タ1102・184)
29 建物の賃借人がその責に帰すべき失火によって賃借建物に火災を発生させ、これを焼燬させることは、賃貸人に対する賃借物保管義務の重大な違反行為にほかならず、特段の事情がない限り、賃貸人と賃借人との間の信頼関係に破綻を生ぜしめるに至るとして、賃貸借契約の無催告解除を認めた事例(最判昭47・2・18判時661・37)
 第3 ペット飼育
30 犬、猫等の飼育がペット飼育禁止特約に違反し用法違反に当たることを理由に契約解除が認められた事例(東京地判昭59・10・4判時1153・176)
31 体重2.5kgの小型犬の飼育によるペット飼育禁止特約違反を理由とする契約解除が認められなかった事例(東京地判平18・3・10(平17(ワ)8108))
 第4 居住用物件における迷惑行為
32 賃借人の子が友人の少年らと共に毎夜のごとく賃借建物で寝泊まりして騒ぐ等の迷惑行為を行ったことを理由に、賃借人に対する賃貸借契約の解除が認められた事例(大阪地判昭58・1・20判時1081・97)
33 早朝や深夜に頻繁に貸室の壁やベランダの手すりを叩いて大きな音を立て、大声で怒鳴るなどの迷惑行為を繰り返した共同住宅の賃借人に対する賃貸借契約の無催告解除特約に基づく解除が認められた事例(東京地判平28・5・25(平27(ワ)34763))
34 隣室の入居者らに対して理由なく苦情を述べ、あるいはドアを蹴って穴を開ける等の行為を繰り返した賃借人に対する賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平17・9・26(平16(ワ)27507))
35 2年以上の長期にわたって、居室内に多量のゴミを放置した賃借人に対する賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平10・6・26判タ1010・272)
36 賃借人の長期不在が常態化し、貸室の腐朽等が生じていることから賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平6・3・16判時1515・95)
37 アパートの共用部分である廊下に布団を敷いて寝る、椅子を置いてテレビを見るなどしていた賃借人に対する賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平25・5・24(平24(ワ)28046))
38 著名人である賃借人が大麻取締法違反の容疑で逮捕され、同容疑により、捜査機関が貸室を捜索し、大麻吸引器具を押収した事案において、無催告解除特約に基づく契約解除が認められた事例(東京地判平21・3・19(平20(ワ)24804))
39 マンションの一室の賃借人の子が、共用部分で排泄物を漏らすなどしたが、その後、賃借人が子に対する監督を強めたという経緯があるとして賃貸借契約の解除が認められなかった事例(東京地判平27・2・24判時2260・73)
コラム 賃貸人の義務違反
 第5 協力義務違反
40 賃貸マンションの賃借人が、賃貸マンションの漏水調査・修繕(保存行為)に協力しなかった場合に、賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平26・10・20(平25(ワ)34512))

第6章 商業テナント特有の問題
 第1 業態変更
41 賃借人が、貸室の用途をマリンスポーツ店から若者向けクラブに変更し、そのための大幅な原状変更工事を行った場合において、契約解除が認められた事例(東京地判平3・7・9判時1412・118)
42 契約書上、貸室の用途が「店舗」とだけ定められ、業種について明確な制限はないものの、20年以上ファッション関係の営業店舗として使用してきた賃借人が、賃貸人から許可を得られなかったにもかかわらず、アイスクリーム販売店に店舗の用途変更をし、大幅な内装工事を行った場合において、契約解除が認められた事例(東京地判平元・1・27判タ709・211)
43 商店街を構成する賃借区画であり、「店舗」としての利用が前提とされていたが、賃借人が物置として利用し、店舗として利用しなかった場合において、賃貸人による契約解除が認められた事例(東京高判昭55・6・20判時971・55)
44 賃借人が貸室の用途を活版印刷作業所から写真印刷作業所に変更した場合において、賃貸人による契約解除が認められなかった事例(東京地判平3・12・19判時1434・87)
 第2 設備・看板等の無断設置
45 店舗の賃借人が賃借建物の側面に自動点滅式の看板を設置したことが特約で禁じられた「付属設備の新設」に当たるとして、契約解除が認められた事例(東京地判昭60・10・9判タ610・105)
46 看板設置、共用部分への造作、動産類設置等の契約違反が認められるが、都度対応していること等の事情に鑑み、信頼関係を破壊するとまではいえないとして、契約解除が認められなかった事例(東京地判平28・5・23(平26(ワ)10246))
 第3 店舗の不適切な維持管理
47 ビルの1、2階のテナントである中華料理店が油脂を飛散させて建物を汚し、洗剤でカーテンウォールを腐食させるなどといった約定違反行為があった場合につき契約解除が認められた事例(東京地判平4・8・27判タ823・205)
 第4 ショッピングセンターにおけるリニューアルへの非協力
48 ショッピングセンターのテナントにおいてリニューアルに協力しなかったことを理由とする契約の解除が認められた事例(名古屋高判平9・6・25判時1625・48)
49 駅の地下街の賃貸借契約において、賃借人が賃貸人に無断で改装を行うなど契約の規定に反する行為をしたが、背信的かつ重大な違反行為とはいえないとして解除が認められなかった事例(東京地判平5・9・27判タ865・216)
 第5 商業施設における迷惑行為
50 建物賃貸借契約において特約により賃借人に課された付随的義務の不履行が信頼関係を破壊するとして無催告の解除が許容された事例(最判昭50・2・20判時770・42)
51 マンション内の店舗のカラオケ騒音が住民の迷惑になり、賃貸人と賃借人間の信頼関係を破壊するに足るとして店舗賃貸借契約の解除が認められた事例(横浜地判平元・10・27判タ721・189)
 第6 その他
52 賃貸人と賃借人の間で、パチンコ店舗用建物の賃貸借契約と、賃借人は賃貸人以外の者からパチンコの景品を購入してはならない旨の商取引契約が締結されたところ、賃借人が賃貸人以外の者から景品を購入し、賃貸人が景品納入者としての地位を失っている等の事情が認められる場合に、賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平2・6・29判時1377・71)
53 ショッピングセンターの一部区画で、業務委託契約に基づき物品販売を行っていた会社において、従業員がレジスターの不正操作によって売上げの虚偽報告をし、売上げを着服したことを理由とした業務委託者による契約解除が認められた事例(東京地判平21・12・28(平20(ワ)14319))
54 一つの契約で同一の賃借人に3つの店舗の賃貸借がなされた場合に、その一つの店舗の転借人がした違法行為(用法違反)により契約解除が認められても、契約解除の効力は、他の2店舗には及ばないとされた事例(東京高判平5・11・22判タ854・220)

第7章 賃貸借契約における信頼関係破壊法理に付随する諸問題
 第1 業務委託契約・混合契約と信頼関係破壊の要否
55 高速道路における売店営業の委託契約は、商品販売業務委託の準委任契約と建物賃貸借契約の混合契約であり、その更新拒絶には委任契約の解除に関する民法651条2項の法意が類推され、また、信頼関係の破壊がなされたことを要するが、本件では受託者に信頼関係破壊行為があるとし、契約終了を認めた事例(名古屋高判昭58・11・16判タ519・152)
56 百貨店から業務委託を受け、百貨店の区画の一部を管理運営している会社より更に業務委託を受けて飲食店を営んでいる会社との間の契約について、賃貸借契約ということはできず、借家法等の適用もないとした事例(大阪地判平4・3・13判タ812・224)
 第2 賃貸借契約終了後の賠償金・違約金
57 契約終了後の明渡遅延による賃料等の2倍相当額の賠償予定条項が、消費者契約法9条1号及び10条に該当しないと判断した事例(東京高判平25・3・28判時2188・57)
58 テナントビルの1フロアの普通賃貸借契約において、賃借人の債務不履行による解除の場合に、賃料の約10か月分の違約金(金750万円)の支払義務を定めた条項が公序良俗に反するとはいえないとして、有効性を認めた事例(東京地判平27・9・24(平26(ワ)5765・平26(ワ)11461))
 第3 定期賃貸借契約の適用
59 契約更新に関する条項が存在し、契約書面上、契約の更新がない旨が一義的に明示されているとはいえないとして、定期賃貸借契約に関する借地借家法38条1項の適用を否定した事例(東京地判平20・6・20(平19(ワ)7245))

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