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2023年09月15日 更新
判決日 2023年03月23日令和3(ネ)2139号
国家賠償請求控訴事件
大阪高等裁判所
判示事項
1 旧優生保護法3条から13条まで(優生条項)は、優生手術の対象者の幸福追求権、自己決定権を侵害するとともに、特定の障害等を有する者について不合理な差別的取扱いを定めるものであるから、明らかに憲法13条、14条1項に反して違憲である。したがって、これらの規定に係る立法行為は国家賠償法上違法であり、これを立法した国会議員には少なくとも過失がある。
2 除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、旧優生保護法に基づき優生手術が行われた時であるから、本件訴えの提起時には20年が経過している。
3 被控訴人は、前記旧優生保護法を改廃して、優生手術を受けた者に補償措置を講ずることを怠り、同法を合憲の法律として平成8年まで存続させ、また、優生手術を施行する際に、その法的根拠や理由を対象者が十分に理解できるように説明や通知をすることを怠った結果、控訴人らが優生手術を受けたことのみならず、優生条項が明らかに憲法上の権利等を違法に侵害するものであると認識することを妨げ、控訴人らの権利行使を著しく困難とする状況を殊更に作出し、その後も、旧優生保護法の違憲性やその責任を争い、その状況を解消しなかった。控訴人らについて、除斥期間の適用を認めることは、個人の尊厳を基本原理とする日本国憲法が容認せず、著しく正義・公平の理念に反するから、被控訴人が優生条項を憲法の規定に違反していると認めた時、又は優生条項が憲法の規定に違反していることを最高裁判所の判決により確定した時のいずれか早い時期から6か月を経過するまでの間は、除斥期間の経過による効果が発生しないものと解するのが相当である。
結果 その他
裁判長裁判官 中垣内健治 裁判官 髙橋伸幸 裁判官 國分晴子
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2020年07月02日平成27(ワ)1061号
損害賠償請求事件
大阪地方裁判所 堺支部 第1民事部
判示事項
1 在日韓国人である原告が勤める被告会社の職場において,韓国人等を誹謗中傷する旨の人種差別や民族差別を内容とする政治的見解が記載された文書等が大量に配布されたことにつき,労働契約に基づき労働者に実施する教育としては,労働者の国籍によって差別的取扱いを受けない人格的利益を具体的に侵害するおそれがあり,その態様,程度が社会的に許容できる限度を超えているとして,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
2 被告会社において,従業員に対し,都道府県教育委員会開催の教科書展示会に参加し,被告会社等が支持する教科書の採択を求めるアンケートを提出することなどを促したことにつき,業務と関連しない政治活動に当たり,労働者である原告の政治的な思想・信条の自由を侵害する差別的取扱いを伴うものであり,原告の人格的利益を侵害する違法があるとされた事例
3 原告が本件訴えを提起したところ,被告会社の職場において,本件訴えを誹謗中傷する旨の従業員の感想文等が配布されたことにつき,原告の裁判を受ける権利を侵害するとともに,職場における自由な人間関係を形成する自由や名誉感情を侵害する違法があるとされた事例
結果
裁判長裁判官 中垣内健治 裁判官 横路朋生 裁判官 山田雅秋
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