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2024年03月27日 更新
判決日 2024年01月25日令和5(行コ)38
難民の認定をしない処分取消等請求、訴えの追加的変更申立控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項 1 控訴人は、ミャンマーのラカイン州で出生したイスラム教を信仰するロヒンギャで、幼少時にヤンゴンへ移住して生活していたところ、民主化運動のデモに参加して禁固刑に処せられ、その際にロヒンギャであることを理由に暴力を受け、出所時に今後は政治活動に一切関わらない旨の誓約書に署名したが、その後も政治活動を行い、不正な手続で出国した後、日本においてロヒンギャ団体の会員となり、ミャンマー大使館前のデモに参加し、その写真が新聞に掲載されるなどしており、ミャンマーにおいてロヒンギャが迫害されている状況を踏まえると、控訴人には看過できないような人種、宗教及び政治的意見に関する事情が積み重なっており、ミャンマーに帰国すれば、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす程度の迫害を受けるおそれがある客観的・現実的な危険があったと認められ、控訴人は難民に該当するとして、平成28年6月の法務大臣の難民不認定処分を取り消した事例
結果
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 上杉英司 裁判官 亀村恵子
(原審) 名古屋地方裁判所
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2023年11月30日 令和2(行コ)31
生活保護基準引下げ処分取消等請求控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項 1 厚生労働大臣が行った、「生活保護法による保護の基準」の、生活扶助基準の引下げ等を内容とする厚生労働省告示による改定(本件改定)は、以下の各点において、いずれも統計等の客観的数値等との合理的関連性及び専門的知見との整合性を欠いており、裁量権の範囲を逸脱しているし、少なくともこれを濫用するもので、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法である。 (1) 年齢階級別、世帯人員別、級地別の生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態とのかい離を是正するためのゆがみ調整について、専門家らを構成員とする生活保護基準部会による検証結果によれば生活扶助基準が増額されるべき生活保護受給世帯についてまで、合理的根拠なく検証結果を2分の1しか反映させずに不公平を残存させた。 (2) 物価動向を勘案したデフレ調整として一律に生活扶助基準の引下げを行うことについて、平成23年の時点で、物価下落により、生活保護受給世帯の可処分所得が実質的に増加して、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との間の不均衡が、生活扶助基準を引き下げることによる是正を相当とする程度のものになっていたとは認められない。 (3) デフレ調整について、①専門家らがそのままでは消費水準を示すものではないと指摘する物価を指標として、その変動(物価指数)を単独で直接考慮し、②学術的裏付けや論理的整合性を欠いた厚生労働省独自の指数である生活扶助相当CPIを用い、③テレビ、パソコン等の教養娯楽用耐久財のウエイトが大きく、生活保護受給世帯の消費実態とはかけ離れた、平成22年基準の総務省CPIウエイトを使い、④平成20年を始期として、前年からの物価上昇を考慮せず、同年以降の物価下落のみを考慮して、4.78%もの大幅な生活扶助基準の引下げを行った。 (4) デフレ調整により、物価下落率に基づくものとして生活扶助基準を4.78%減額させるとともに、それだけで生活扶助費が約90億円も削減されるゆがみ調整を、生活保護受給世帯の実質的購買力の維持に配慮することなく、専門家らへの諮問等もなく、併せて行って、上記下落率を超える引下げを行った。 2 前記1のとおり違法な本件改定を行った厚生労働大臣には、少なくとも重大な過失があるものと認められ、本件改定は、国家賠償法1条1項の適用上も違法と評価される。 3 本件改定による生活保護受給者への影響は重大で、生活扶助費の減額により余裕のない生活を長期間強いられた控訴人らの精神的苦痛は、金銭的、経済的な問題の解消によって全てが解消される性質のものではなく、処分の取消しによっても、その全てが慰謝されるとは認められないから、被控訴人国は、控訴人らに対し、損害賠償義務を負う。
結果
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 寺本明広 裁判官 亀村恵子
(原審) 棄却 名古屋地方裁判所
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2022年11月15日令和3(ネ)833号
地位確認等請求控訴事件、同附帯控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項
1 民法上の保佐(準禁治産)等の制度は、本人の財産権等を擁護することを目的とするもので、警備業法における規制とは制度の趣旨が異なり、これを借用して被保佐人(準禁治産者)であることを警備員の欠格事由と定めた警備業法の本件規定(14条、3条1号)は、その制定当初から、憲法14条1項(法の下の平等)、22条1項(職業選択の自由)に反するものであったとした事例
2 本件規定が憲法に違反していることは、平成22年7月頃には、国会にとっても明白であり、警備員をしていた被控訴人が被保佐人となり欠格事由に該当したことで退職した平成29年3月まで、約6年8か月にわたって本件規定を改廃しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、その違法性は大きいとした事例
3 本件規定が職業選択の自由そのものを制約するもので、被控訴人が習熟しており、生計維持のためにも必要な社会経済活動を制限され、同程度の能力を有する法定後見制度を利用しない者との間で不平等な扱いを受け、社会生活をしていく中でその能力を発揮する主要な場を奪われ、個人としての自立等を妨げられ、自己実現のできる重要な機会を強制的に奪われたことなどを考慮すると、慰謝料は50万円が相当であるとして、原審の認容額(10万円)から増額した事例
結果 棄却
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 末吉幹和 裁判官 寺本明広
(原審) 岐阜地方裁判所
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判決日 2020年12月23日令和2(行コ)12号
議員除名処分取消等請求控訴事件
札幌高等裁判所 第2民事部
判示事項 普通地方公共団体(政令指定都市)の議会がその所属議員に対してした懲罰としての除名処分の取消し等を求める請求について,自らの政治的主張を追求するために臨時議長の職権を濫用して非民主的かつ偏頗な議事運営を行った行為は極めて悪質であり,同議会がこのような元議員の行為についてその自律権の行使として除名の懲罰を選択したことがその裁量権を逸脱又は濫用したものであるとはいえないなどとして,元議員の請求を全部認容した原判決を取り消し,その請求を全部棄却した事例
結果 破棄自判
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 片山信 裁判官 井出正弘
(原審) 札幌地方裁判所 令和1(行ウ)13号
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判決日 2016年07月13日平成27(行コ)71 号
難民不認定処分取消等請求控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第4部
判示事項 ネパール国籍を有する男性が,帰国すれば,政治的意見を理由に特定の政治組織から迫害を受けるおそれがあるなどと主張して,法務大臣がした難民の認定をしない処分の取消請求等を求めたところ,控訴審においてこれを棄却した原審を取り消した事例(なお,参考として原審判決を別紙1(PDFファイル)として添付した。)
結果
裁判長裁判官 藤山雅行 裁判官 上杉英司 裁判官 長谷川恭弘
(原審) 名古屋地方裁判所 平成26(行ウ)136 号 棄却
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