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2024年12月05日 更新
裁判官の異動履歴(官報から参照)や、その裁判官が扱った主な判決(裁判所ウェブサイトから引用)などを掲載し、随時更新しています。
※できる限り正確な情報を提供できるよう努めておりますが、誤りがないことを保証するものではありません。
判決日 2024年10月03日令和5(ネ)839
損害賠償請求控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項
結果
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 寺本明広 裁判官 亀村恵子
(原審) 津地方裁判所 令和2(ワ)564 棄却
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2024年01月25日令和5(行コ)38
難民の認定をしない処分取消等請求、訴えの追加的変更申立控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項 1 控訴人は、ミャンマーのラカイン州で出生したイスラム教を信仰するロヒンギャで、幼少時にヤンゴンへ移住して生活していたところ、民主化運動のデモに参加して禁固刑に処せられ、その際にロヒンギャであることを理由に暴力を受け、出所時に今後は政治活動に一切関わらない旨の誓約書に署名したが、その後も政治活動を行い、不正な手続で出国した後、日本においてロヒンギャ団体の会員となり、ミャンマー大使館前のデモに参加し、その写真が新聞に掲載されるなどしており、ミャンマーにおいてロヒンギャが迫害されている状況を踏まえると、控訴人には看過できないような人種、宗教及び政治的意見に関する事情が積み重なっており、ミャンマーに帰国すれば、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす程度の迫害を受けるおそれがある客観的・現実的な危険があったと認められ、控訴人は難民に該当するとして、平成28年6月の法務大臣の難民不認定処分を取り消した事例 2 裁判所が弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して事実についての判断をするに当たっては、難民認定申請者が客観的資料を提出しなかったり提出までに一定の期間を要したからといって、直ちに難民であることを否定すべきではなく、本人の供述するところを主たる資料として、恐怖や国家機関ないし公務員に対する不信感等による供述への逡巡、時間の経過に伴う記憶の変容、希薄化の可能性、民俗、宗教、置かれてきた環境等の背景事情の違いなども考慮した上で、基本的な内容が首尾一貫しているか、変遷に合理的理由があるか、不合理な内容を含んでいないか等を吟味し、難民であることを基礎付ける根幹的な主張が肯認できるか否かを検討して行うべきであり、国連難民高等弁務官駐日事務所作成の「難民認定基準ハンドブック」に記載されている難民申請者が置かれている状況や難民申請者が感じる恐怖などは、重要な経験則を示すものとして、尊重すべきであるとした事例 3 行政処分庁がロヒンギャの迫害主体であるミャンマー人を控訴人の難民認定申請時の通訳に充てたことから、通訳の正確性について適正に担保されていたとは認められないなどとし、このことをも考慮した上で、控訴人の供述等の変遷による信用性の減殺を認めなかった事例 4 口頭弁論終結時においても、ミャンマーでは、国家機関による民族浄化が行われるなど、ラカイン州外のロヒンギャであっても、迫害の恐怖を抱く客観的事情が存在し、前記1のような状況にある控訴人が難民に該当することは明らかで、法務大臣は難民の認定をしなければならず、裁量の余地はないとして、出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定による難民の認定を命じた事例 5 令和4年1月の難民不認定処分についての取消し及び認定の義務付けの各請求は、平成28年6月の処分の取消し及び認定の義務付けの各請求が認められるため、訴訟要件を満たさないとして、いずれの訴えも却下した事例
結果
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 上杉英司 裁判官 亀村恵子
(原審) 名古屋地方裁判所
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2023年11月30日令和2(行コ)31
生活保護基準引下げ処分取消等請求控訴事件
名古屋高等裁判所 民事第2部
判示事項 1 厚生労働大臣が行った、「生活保護法による保護の基準」の、生活扶助基準の引下げ等を内容とする厚生労働省告示による改定(本件改定)は、以下の各点において、いずれも統計等の客観的数値等との合理的関連性及び専門的知見との整合性を欠いており、裁量権の範囲を逸脱しているし、少なくともこれを濫用するもので、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法である。 (1) 年齢階級別、世帯人員別、級地別の生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態とのかい離を是正するためのゆがみ調整について、専門家らを構成員とする生活保護基準部会による検証結果によれば生活扶助基準が増額されるべき生活保護受給世帯についてまで、合理的根拠なく検証結果を2分の1しか反映させずに不公平を残存させた。 (2) 物価動向を勘案したデフレ調整として一律に生活扶助基準の引下げを行うことについて、平成23年の時点で、物価下落により、生活保護受給世帯の可処分所得が実質的に増加して、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との間の不均衡が、生活扶助基準を引き下げることによる是正を相当とする程度のものになっていたとは認められない。 (3) デフレ調整について、①専門家らがそのままでは消費水準を示すものではないと指摘する物価を指標として、その変動(物価指数)を単独で直接考慮し、②学術的裏付けや論理的整合性を欠いた厚生労働省独自の指数である生活扶助相当CPIを用い、③テレビ、パソコン等の教養娯楽用耐久財のウエイトが大きく、生活保護受給世帯の消費実態とはかけ離れた、平成22年基準の総務省CPIウエイトを使い、④平成20年を始期として、前年からの物価上昇を考慮せず、同年以降の物価下落のみを考慮して、4.78%もの大幅な生活扶助基準の引下げを行った。 (4) デフレ調整により、物価下落率に基づくものとして生活扶助基準を4.78%減額させるとともに、それだけで生活扶助費が約90億円も削減されるゆがみ調整を、生活保護受給世帯の実質的購買力の維持に配慮することなく、専門家らへの諮問等もなく、併せて行って、上記下落率を超える引下げを行った。 2 前記1のとおり違法な本件改定を行った厚生労働大臣には、少なくとも重大な過失があるものと認められ、本件改定は、国家賠償法1条1項の適用上も違法と評価される。 3 本件改定による生活保護受給者への影響は重大で、生活扶助費の減額により余裕のない生活を長期間強いられた控訴人らの精神的苦痛は、金銭的、経済的な問題の解消によって全てが解消される性質のものではなく、処分の取消しによっても、その全てが慰謝されるとは認められないから、被控訴人国は、控訴人らに対し、損害賠償義務を負う。
結果
裁判長裁判官 長谷川恭弘 裁判官 寺本明広 裁判官 亀村恵子
(原審) 棄却 名古屋地方裁判所
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
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