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2020年08月19日 更新
判決日 2018年12月07日平成30(ネ)653 号
損害賠償請求控訴事件
大阪高等裁判所 第4民事部
判示事項 原子爆弾による被爆者の相続人が,国の公務員において,被爆者が国外に居住地を移した場合に健康管理手当等の受給権は失権の取扱いとなる旨定めた通達を作成,発出し,これに従った取扱いを継続したことは違法であるなどと主張して,当該被爆者の死亡日から20年が経過した後に,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を請求する訴訟を提起した場合において,除斥期間内に当該訴訟を提起することが客観的に可能であったとして,除斥期間について定めた民法724条後段の規定を適用することが著しく正義・公平に反することになるとはいえないとした事例。 なお,参考として,原審判決を別紙1として添付した。
結果 棄却
裁判長裁判官 田川直之 裁判官 安達玄 裁判官 石丸将利
(原審) 大阪地方裁判所 平成22(ワ)14443号 棄却
判決文判決文は裁判所ウェブサイトへのリンクです。
判決日 2018年08月31日平成28(ネ)987 号
損害賠償請求控訴事件
大阪高等裁判所 第4民事部
判示事項 1 建築作業従事者であった者又はその相続人である一審原告らの一審被告国に対する,一審被告国の旧労基法及び安衛法並びに建基法に基づく規制権限不行使を理由とする国賠法1条1項に基づく損害賠償請求について (1) ①石綿吹付作業の関係では,昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までにつき,(ア)石綿吹付作業者に対する送気マスクの着用義務付け,(イ)建材メーカーに対する警告表示の義務付け及び(ウ)事業者に対する警告表示(掲示)の義務付けに係る規制権限不行使の違法性が認められ(ただし,石綿吹付作業による間接曝露(周辺作業者や後続作業者)の関係では,集じん機付き電動工具の使用義務付けを除き,②の場合と同様である。),②建設屋内での石綿切断等作業の関係では,昭和49年1月1日から平成16年9月30日までにつき,(ア)防じんマスクの着用義務付け及び集じん機付き電動工具の使用義務付け(ただし,防じんマスクの着用義務付けのみの関係では,違法時期は平成7年の特化則改正までである。),(イ)建材メーカーに対する警告表示の義務付け及び(ウ)事業者に対する警告表示(掲示)の義務付けに係る規制権限不行使の違法性が認められ,③屋外での石綿切断等作業の関係では,平成14年1月1日から平成16年9月30日までにつき,(ア)集じん機付き電動工具の使用義務付け,(イ)建材メーカーに対する警告表示の義務付け及び(ウ)事業者に対する警告表示(掲示)の義務付けに係る規制権限不行使の違法性が認められる。 (2) 一人親方等(いわゆる一人親方及び個人事業主)の就労実態や,労働安全衛生法令及びその立法経過からみると,労働者以外の者が享受する利益は,労働者が一審被告国の規制権限行使により享受する利益に伴う反射的利益(事実上の利益)にすぎないとはいえず,国賠法1条1項の適用上,法律上保護される利益に当たると解するのが相当であり,一審被告国の規制権限不行使が著しく合理性を欠く場合には,労働者ばかりではなく,一人親方等との関係でも,同条項の適用上,違法との評価を免れない。 2 建築作業従事者であった者又はその相続人である一審原告らの建材メーカーである一審被告企業らに対する,民法719条1項前段又は後段の適用若しくは類推適用並びに同法709条に基づく損害賠償請求について (1) 一審被告企業らは,自らの製造・販売する石綿含有吹付材について,吹付工との関係で昭和47年1月1日から,建設屋内での石綿粉じん作業において使用される石綿含有建材について,同作業に従事する建築作業従事者との関係で昭和49年1月1日から,屋外での石綿切断等作業において使用される石綿含有建材について,同作業に従事する建築作業従事者との関係で平成14年1月1日から,各石綿含有建材の販売終了時まで,当該建材について適切な警告表示をすべき義務があったから,一審被告企業らに警告表示義務違反が認められる。 (2) 一審被告企業らによる石綿含有建材の製造・販売行為が加害行為に当たるというためには,それが被災者らに対する具体的危険性を有するものである必要があり,そのためには,一審被告企業らの製造・販売した石綿含有建材が,被災者らの就労した建築現場に現実に到達したことまでは必要でないが,少なくとも,被災者らの就労した建築現場に到達した(その結果,被災者らが当該建材に由来する石綿粉じんに曝露した)相当程度以上の可能性が必要であると解するのが相当である。そして,特定の企業の製造・販売した石綿含有建材が,特定の被災者が就労する建築現場に到達した相当程度以上の可能性があることが立証され,そのような立証がされた複数の企業の製造・販売した石綿含有建材に由来する石綿粉じんが共同して当該被災者に石綿関連疾患を発症させたと認められる場合には,その複数の企業は,当該被災者に対し,民法719条1項後段の類推適用により,共同不法行為責任を負う。この場合,一審原告らにおいて,他に原因者が存在しないことの主張・立証は不要である。 (判決主文で引用されている別紙3を別紙1として添付した。)
結果 その他
裁判長裁判官 田川直之 裁判官 髙橋善久 裁判官 安達玄
(原審) 京都地方裁判所 平成23(ワ)1956 号 その他
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