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不動産損害額・評価額算定事例集

編集/不動産価額評価実務研究会 代表/馬橋隆紀(弁護士)

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不動産紛争における価額算定の考え方を解明!

◆不動産の損害額や評価額をめぐり争われた裁判例について、最近の事案を中心に民法の類型別に分類・整理。
◆判決文の中から請求額・認容額・算定の考え方を抽出し、表形式で掲載。
◆個々の判例を通じて不動産評価の手法と損害額の算定方法を分析・検討。

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商品情報

商品コード
0578
サイズ
B5判
巻数
全6巻・ケース付
ページ数
5,348
発行年月
2007年9月

目次

第1章 占有・所有権侵害
第1 占有関係
建物の占有者が権原なく敷地を占有する場合の、敷地の賃借人に対する損害(最判昭44・7・8)
低地所有者から高地所有者に対し認められた、高地からの下水の流水の差止め及び下水管の撤去並びに不法行為に基づく損害賠償額(横浜地判昭53・5・11)
実体のない賃貸借契約に基づき建物を不法に占有している者に対して建物所有者が請求した所有権に基づく明渡しと損害賠償がいずれも認められた事例(東京地判平27・3・24)
民法859条の3の「居住の用に供する建物」に該当せず、所有権に基づく建物明渡請求が認められた事例(東京地判平28・8・10)
自己の所有ではない甲土地と自己の所有する乙・丙土地という三筆に跨る建物の全部について、乙・丙土地の所有者による建物収去土地明渡請求を認めた事例(東京高判平29・4・12)
使用貸借契約の終了により占有権原を喪失した被告会社らに対する損害賠償請求等の一部が認容された事例(東京地判平30・1・11)
土地の所有者が、土地の占有者らに対し、占有が無権限であるし、仮に土地賃借権を承継していたとしても賃料不払により解除したと主張して、土地の明渡しを求めるとともに、賃料相当損害金の支払を求めた事例(東京地判平30・3・22)
「相続分のないことの証明書」と法的効果、取得時効との関係(東京地判平30・7・12)
区分所有者の民泊営業行為が管理規約に違反するとして、建物の区分所有等に関する法律57条1項に基づく使用停止請求と不法行為による損害賠償請求が認められた事例(東京地判平30・9・5)
行政財産である土地及び建物の使用不許可処分に市長の裁量権の逸脱は無いとして、土地建物明渡し等を認めた原審の判断が維持された事案(大阪高判平30・10・17)
滞納租税の公売手続における国税徴収法124条1項の規定により消滅する抵当権に対抗できない借地権の帰趨(東京高判平31・1・30)
土地使用貸借において借主の死亡による終了を認めず信頼関係破壊による解約を認めた例(名古屋高判令2・1・16)
水力発電所の送水管について地役権が認められた例(東京地判令2・3・31)
採石法28条による採石権の存続期間の更新が認められなかった事例(東京高判令3・2・18)
河川の敷地占用の許可を求める申請に対する市長の不許可処分について適切な理由が提示されなかったとして当該処分が取り消された事例(東京高判令3・4・21)
第2 共有関係
共有者からの共有物を侵害する第三者への損害賠償(最判昭51・9・7)
共有の建物及び敷地を分割するに当たり、部屋ごとに分割し、それに付随する敷地利用権を一体とした区分所有権に分割した後の、不足分についての価格賠償(東京地判平4・5・6)
共有物を裁判上分割する際のいわゆる全面的価格賠償(最判平8・10・31)
共有物分割における全面的価格賠償が認められる要因(最判平10・2・27)
いわゆる全面的価格賠償の方法による共有物の分割を命じた上での土地の持分についての移転登記手続請求等(最判平11・4・22)
全面的価格賠償の方法による共有物の分割の判決の主文(大阪高判平11・4・23)
路地状敷地として申請することの同意と土地共有者の拒絶(東京地判平21・5・12)
マンション管理組合である原告が、元理事である被告に対し、マンションの出納帳や日誌等の返還を請求するとともに、強制執行不奏功の場合に備えて損害賠償請求をし、さらに外壁塗装工事費用の分担金の支払を求めた裁判で、原告の請求の一部が認められた事例(東京地判平21・12・25)
マンションの管理組合法人の理事会、理事長等を誹謗する文書を掲示し、管理を阻害した場合の区分所有者に対する損害賠償(東京地判平23・2・17)
マンション管理規約の運用変更により、区分所有者による事務所としての利用が拒絶された場合(東京地判平23・2・21)
事務管理における費用償還請求権(東京地判平23・5・13)
区分所有者の共同の利益に反する行為に対する管理組合による原状回復及び損害賠償請求について(東京地判平23・8・25)
管理組合からの管理費請求と組合からの退会・管理費の消滅時効(東京地判平23・10・11)
夫婦の共有するマンションから閉め出された夫から妻への共有持分権侵害に基づく損害賠償請求(東京地判平23・11・8)
別荘地の管理業者からの管理契約、不当利得、事務管理に基づく管理費等の請求について(東京地判平23・11・29)
マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らを誹謗中傷する内容の文書を配布する行為が、建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地があるとされた事例(最判平24・1・17)
サンルームの設置が建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとされた事例(東京地判平24・1・25)
通路用地の売買契約について売主に動機の錯誤が認められた事例(東京地判平24・3・9)
管理費等に関する将来請求の可否、及び相続財産管理人選任と管理費等の消滅時効に関する事例(東京地判平24・4・18)
管理費を滞納する区分所有者に対する区分所有法59条に基づく競売請求(東京地判平24・9・18)
区分所有者が専用庭に物置を設置したことが管理規約等の禁止事項に該当するとされた事例(東京地判平25・3・5)
区分所有者の管理組合法人に対する損害賠償請求が当事者間の別の裁判で成立した和解の趣旨に反して認められないとされた事例(東京地判平25・3・21)
区分所有法31条1項後段に該当する管理規約及び店舗使用細則の変更において区分所有者の承諾がないことからその変更決議が無効とされた事例(東京地判平25・6・13)
複数の不動産の共有物分割に関する訴訟上の和解及び共有物分割協議において、一部の土地に対する評価に誤りがあったとして錯誤無効を主張することの可否(東京地判平25・7・16)
マンション居住者がマンション管理規約に基づく専有部分の利用制限について無効であると主張した事例(東京地判平25・7・17)
マンションの管理組合であるXが、区分所有建物の共有者の1人であるYに対し、未払の管理費・修繕積立金等及び遅延損害金を請求するとともに、管理規約に定める管理費等の滞納があった場合の違約金としての弁護士費用等及び遅延損害金の支払を求めた事案(東京地判平25・11・13)
マンション管理組合が、組合員である会社に対し、同社が管理規約及び使用細則に違反して表示・看板を設置したとして、その撤去・修復及び看板設置料相当額の損害金等の支払を求めた裁判で、表示等の設置は管理規約等に違反しないと判断された事例(東京地判平25・11・28)
マンションの区分所有者らが、マンション1階の駐車場として使用されている建物部分は自分らの専有部分であると主張し、管理組合に対してその明渡し等を請求した事例(東京地判平26・10・28)
マンションの区分所有者が店舗営業のために区分所有建物を第三者へ賃貸した後、マンション管理組合から、共用部分へ設置されたプロパンガスのボンベや電気動力メーターの撤去を求められ、これにより第三者が出店を断念し賃貸借契約が解除された事例(東京地判平26・11・19)
土地の所有者が、その一部が同土地上にある建物の共有者に対して、所有権に基づいて請求した建物収去土地明渡しが認められた事例(東京地判平27・3・20)
共有物分割請求において全面的価格賠償による方法を認めた事例(東京地判平27・7・2)
区分所有者がバルコニーに設置されている手すり用ガラスの不具合に関して管理組合に損害賠償を請求したものの、請求が認められなかった事例(東京地判平27・7・17)
商業ビルの区分所有者が、共有持分権に基づき、多目的ホールや管理室等について共有者全員持分全部移転登記の抹消登記手続などを求め、その一部が認容された事例(東京地判平27・10・15)
代償分割の方法による共有物分割請求が認められなかった事例(東京地判平28・8・22)
共有物である複数の土地に係る分割に対して行われた地方公共団体による不動産取得税の賦課決定が取り消された事例(東京地判平28・11・30)
全面的価格賠償の方法による共有物分割を認めた事例(東京地判平28・12・6)
窓ガラスの専用使用権を有する区分所有者から管理組合に対する窓ガラスの取替補修工事の請求が認められなかった事例(東京地判平29・1・17)
区分所有者の駐車場内等での猫に対する餌やり行為等により信頼関係が破壊されたとしてマンションの管理組合による駐車場賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平29・2・1)
マンションの管理組合は区分所有建物の共用部分について民法717条1項の占有者とはいえず、また同管理組合には債務不履行もないとして、区分所有者からの相殺の抗弁を排斥した事例(東京高判平29・3・15)
共有物分割請求について、「共有者間に協議が調わないとき」という民法258条1項に定める訴訟要件を欠くとされた事例(東京地判平29・3・16)
所有権保存登記及び所有権移転登記がされた建物が別の建物の附属建物の一部であるとして抹消登記手続の請求がいずれも認められた事例(東京地判平29・5・12)
管理規約に違反する深夜の店舗営業について、管理規約又は建物の区分所有等に関する法律57条1項及び4項に基づく差止請求と管理規約に基づく訴え提起のための弁護士費用相当額の請求が認められた事例(東京高判平29・7・5)
別居中の妻に対する競売による共有物分割請求が認められなかった事例(東京地判平29・9・11)
マンションの共用部分に設置された駐車場を不法に占有していることが区分所有者の共同の利益に反する行為に該当して、建物の区分所有等に関する法律57条1項に基づく駐車場の明渡請求と不法行為による損害賠償請求が認められた事例(東京地判平29・10・19)
財産分与の申立てを含む離婚訴訟の係属中に提起された共有物分割請求訴訟が信義則違反・権利濫用に当たるとして棄却された事例(東京地判平29・12・6)
和解契約における別荘地の管理組合の組合員としての地位確認及び義務履行承認に関する意思表示に錯誤が認められた事例(東京地判平30・3・2)
リゾートマンションの駐車場に放置された自動車を撤去するために制定された使用細則で定める違約金について請求の一部が認められた事例(東京地判平30・3・13)
不動産の共有持分を有する者ら(夫及びその父親)による同不動産の占有者(妻)に対する建物明渡請求が棄却された事例(東京地判平30・7・13)
区分所有者による建物の区分所有等に関する法律6条1項及び3項に基づく使用差止請求が認められなかった事例(大阪地判平30・9・19)
総会決議又は細則に基づく個別の電力供給契約の解約申入れについて団地建物所有者が義務を負わないとした事例(最判平31・3・5)
共有持分権の贈与契約を締結した原告が同持分権に基づき被告名義の各持分全部移転登記の抹消登記手続を求めた事例(東京地判令2・6・3)
区道の区域決定が存在しないことの確認を求める請求がされた事例(東京地判令3・3・18)
専有部分でグループホームを運営する行為の停止を請求した事例(大阪地判令4・1・20)
裁判所が釈明権を行使しなかったことが違法とされた事例(最判令4・4・12)
第2章 通行権
袋地所有者から囲繞地所有者に対する電気引込線の架設工事・排水管の設置工事の妨害禁止及び損害賠償(大阪地判昭60・4・22)
建築基準法42条2項の規定により指定された道路(いわゆる2項道路)上にブロック塀が設置された場合の同ブロック塀の収去請求及び慰謝料額(最判平5・11・26)
自己所有地に隣接する土地を通路として使用していた者が、通行地役権の確認や使用契約に基づく違約金の支払などを求めた事例(東京地判平21・10・30)
私道の通行権に関して土地の売主に情報提供義務違反があったとして買主の売主に対する不法行為責任に基づく損害賠償請求が認められた事例(東京地判平25・3・7)
土地の旧所有者が締結していた私道使用契約の効力が新所有者にも承継されて自動車の通行を含む通行権が認められると判断された事例(東京地判平25・3・26)
土地の前所有者であり賃貸人である者と賃借人間で成立した賃貸目的物に係る通行使用権留保の合意が土地所有権の移転に伴って順次移転したものとして、賃借人に対する現所有者の当該通行使用権に基づく損害賠償請求及び区分所有法10条に基づく売渡請求が認められた事例(東京地判平27・11・27)
私道につき黙示の通行地役権の成立を認め、かつ当該私道を取得した譲受人は本件地益権について登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないとしつつも、黙示の合意で成立した本件地役権を譲渡人が譲受人に明示的に承継させる義務を負うものではないとした事例(東京地判平28・2・2)
地役権設定契約を有効と判断し、自動車の通行を認めた事例(東京地判平28・2・26)
自動車での通行を含む囲繞地通行権を認めたものの通路部分の土地上及び地中にライフラインの配管等を設置する権利は認めなかった事例(東京地判平29・2・9)
通行を目的とする地役権は認め、門柱の設置や植樹を目的とする地役権は認められなかったが、樹木を収去して明け渡す義務は信義則上認められないとされた事例(東京高判平29・11・30)
私道所有者からマンションを所有する不動産業者への妨害予防請求が認められなかった事例(東京地判平30・1・31)
隣接土地上建物居住のX・Y・他者らの三者間において、道路に接する部分を共同利用するための本件協定を締結していたところ、Xが、同協定から脱退したと主張するYに対し、本件協定に基づく通行権の確認や通行妨害禁止等を求めたほか、Yの行為による名誉感情及び人格権の侵害を主張して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、本件協定は組合契約といえ、Yの主張する脱退は、組合に不利な時期のものでありやむを得ない事由もないから許されない。また、本件協定は暫定的なものとは認められず、詐欺や錯誤、権利濫用も認められないとする一方、Yの各行為がXの名誉感情又は人格権を侵害して社会通念上容認できないものとまでは認められないとして、請求を一部認容した事例(東京地判令2・1・17)
通行地役権がYらの通行妨害行為により侵害されたと主張して、Xが共同不法行為に基づく損害賠償を求めた(本訴)のに対し、Yらが、Xに対し、Xが無効な承諾書をもとにY2所有地を掘削・占有したこと等により損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた(反訴)において、Xの請求とYらの反訴請求をいずれも全部棄却した事例(東京地判令2・3・26)
本件土地所有のX及び土地上に建物を所有するX会社が、隣接の土地及び土地上建物を共有するYらに対し、本件Y土地は、分筆・分譲された際に、訴外亡Bと訴外亡Cとの間で、本件X土地を要役地、本件Y土地の一部である本件通路を承役地とする本件通行地役権を設定する旨黙示的に合意されたと主張し、本件通路上にある本件Y建物の撤去等を求めるとともに、X1がYらに対し、本件通行地役権を有することの確認とその地役権設定登記手続を求め、同請求が認められない場合の予備的請求として、X1が本件通路について民法213条又は210条所定の囲繞地通行権を有することの確認を求めた事案において、通行地役権設定の黙示的合意も、本件通路について囲繞地通行権も認められないとして、各請求を棄却した事例(東京地判令2・3・27)
建築物の新築に際して、隣地に上水道及びガスの導管を設置する権利を有することの確認がされ、隣地所有者に同工事への承諾等が命じられた事例(東京地判令2・3・27)
通行地役権の確認請求を認容する一方、地役権の侵害を理由とする損害賠償請求が否定された事例(東京地判令2・6・9)
第3章 担保権
譲渡担保設定物件の火災保険金請求(最判平5・2・26)
法定地上権の成否と最低売却価額(仙台高決平元・10・6)
合体して新建物となった旧建物の抵当権(最判平6・1・25)
共同抵当の目的とされた不動産の売買契約が詐害行為に該当する場合の価額賠償額(最判平4・2・27)
不動産譲渡担保における無清算特約と清算額(東京地判平4・11・19)
法定地上権成立範囲と地代額(数量指示売買に関する規定の類推適用の可否)(東京地判平5・9・7)
短期賃貸借契約による損害(最判平8・9・13)
譲渡担保設定後の短期賃貸借契約による損害(大阪高判平7・1・25)
抵当権の設定された土地に第三取得者が建物を再築した場合の最低売却価額(大分地決平7・3・15)
抵当権に基づく物上代位による賃料差押えと配当額(民法375条(旧374条)の適用の可否)(東京高判平8・9・26)
民法388条後段(旧388条但書)所定の手続を経る前の法定地上権の消滅請求(東京地判平8・6・21)
更地の第1順位根抵当権者が、根抵当権設定後同地上に建設された土地所有者の所有にかかる建物に同一順位の共同根抵当権の設定を受けた場合の法定地上権の成否(東京地判平8・12・13)
建物明渡し及び賃料相当損害金の支払を命ずる仮執行宣言付判決に対する控訴に伴う強制執行停止のための保証供託金還付請求権の行使(東京地判平8・12・19)
同一所有者に帰属する土地及びその地上建物に共同抵当権が設定された後、建物が取り壊されて新建物が建築され、新建物に前記抵当権者とは異なる債権者のために第1順位の抵当権が設定され、土地建物が一括売却された場合の配当額(大阪地判平9・3・21)
帰属清算型の譲渡担保における清算金の額が確定する「売却等」の意義(東京高判平9・7・31)
先順位共同根抵当権者が共同根抵当権の一部を放棄し一部の不動産の対価のみから配当を受けた場合の後順位根抵当権者の不当利得返還請求(東京地判平9・9・17)
配当異議の申出をしなかった抵当権者の不当利得返還請求事例(東京地判平12・9・14)
抵当権設定契約を締結したが、抵当権の設定登記を受けることができず、抵当権を行使することができなくなったことによる損害額(東京地判平12・9・25)
配当留保供託すべきことを異議事由とする場合の配当異議の利益の有無。租税債権と私債権間の民法394条2項後段(旧但書)の適用の有無(東京高判平13・3・28)
複数の物上保証人所有の不動産に別々の共同抵当権が設定され、そのうちの1つの不動産につき同順位である場合の配当計算(最判平14・10・22)
法定地上権が成立しないものとして配当額を算定した事例(東京地判平13・11・27)
不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額に反映されていない場合の配当額(最判平14・1・22)
先順位担保権者の債権額を誤認して被担保債権の一部について競売を申し立てた根抵当権者による、後順位抵当権に対する不当利得返還請求(大阪高判平16・9・2)
建物の一部が抵当権設定されていない土地上にある場合の競売(大阪地決平16・11・1)
抵当権の目的であるホテルの建物に対するホテル運営管理委託契約による委託料についての不動産収益執行(福岡高決平17・1・12)
第1順位及び第3順位の根抵当権を有する債権者が、両根抵当権に基づく物上代位による債権差押えにより賃料を取り立てた後に、不動産が競売された場合(大阪高判平17・2・25)
地主の借地権保存義務(東京地判平20・10・20)
民事執行法56条は代払の許可を受けた差押債権者等に代払を義務付けるものではないと判断された事例(東京地判平25・1・23)
債務者所有不動産と物上保証人所有不動産とに共同抵当権が設定され、同時配当が実施される場合の割り付け(東京地判平25・6・6)
共同担保とされている債務者所有の甲不動産と債務者・物上保証人が共有する乙不動産について競売が申し立てられ同時配当が実施されることとなったが、この配当額の割付けについて民法392条が適用されなかった事例(大阪地判平26・12・4)
買戻特約付売買契約について譲渡担保契約と認定した事例(東京地判平29・7・28)
抵当権の被担保債権が免責決定を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効(最判平30・2・23)
不動産売買における買主が、根抵当権の実行により損害を受けたとして、売主に対して、民法567条に基づく損害の賠償等を請求した事案(東京高判令元・7・3)
契約上の地位を目的物とする譲渡担保契約の成否が問題となった事例(東京地判令2・2・26)
担保不動産競売事件で、根抵当権者たる信用保証協会に対して配当されるべき金銭について、租税債権者(地方自治体)に配当されたとして不当利得返還請求訴訟を提起した事例(神戸地判令2・5・28)
担保不動産競売の債務者が免責決定を受けた後、同債務者が死亡した場合に、その相続人が当該競売不動産を買い受けることの可否(最決令3・6・21)
債務者所有の不動産に対する根抵当権設定契約の締結が詐害行為に該当するとされた事例(東京地判令3・9・8)
第3章の2 保 険
火災保険の契約締結直後の火災により建物が焼失したケースにおいて保険金の支払請求が認められた事例(東京地判平27・1・14)
建物の火災で、保険会社が保険契約者に支払うべき保険金額として、建物の再調達価額(震災による損害を考慮したもの)、外構・付属物の損害額合計、設備什器評価額、残存物片付け費用及び特別費用保険金を認定した事例(東京地判平27・7・17)
放火を原因とする火災保険の保険金請求において、放火の犯人は保険契約者の意を通じた者であると推認できるとして、本件火災は本件免責条項に該当し、保険金請求を棄却した事例(東京地判平28・1・15)
Xが所有する自宅建物が火災により全焼し、Yとの火災共済契約に基づき共済金等の支払を請求したことに対し、YがX自身による他の可能性があるとして支払を拒絶したことについて、本件火災がXの故意又は重過失によるものとはいえないとした上で請求を一部認容した事例(東京地判平28・1・28)
火災保険契約に基づく保険金請求権が認められなかった事例(東京地判平28・6・7)
火災保険契約に基づく保険金請求が認められた事例(東京地判平29・1・27)
ホテルで発生した火災について、X又はXと意を通じた者の関与による放火が原因である高度の蓋然性が認められ、保険免責事由に該当するとして、保険請求が棄却された事案(東京地判平29・6・8)
火災保険契約に基づく保険金請求権が放火を理由に認められなかった事例(東京地判平29・11・29)
建物の外見に黒色の物質が生じた場合において、保険事故は存在せず、また、万が一保険事故が存在しても、外見上の損傷であって建物の機能に直接影響が及んだものとはいえず、保険免責事由に該当するとして保険請求が棄却された事案(東京地判平30・1・19)
建物の火災が保険契約者又はその意を受けた者によって起こされたものであるとはいえないとして、火災保険金の支払請求が認容された事例(大阪地判平31・3・27)
建物の実質的所有者の故意による放火について、信義則上、被保険者の故意による保険事故と同視することができるとした事例(東京高判令2・2・27)
保険金の誤払いについて民法478条の適用が争われた事例(東京地判令2・7・7)
建物内部及び家財の損傷について所有者家族の承諾が問題になった事例(東京地判令2・9・30)
所有建物が全焼したとして保険会社に約定保険金の支払を求める事案において、火災の出火箇所が複数箇所であること、出火箇所から灯油成文が検出されたことなどから放火であるとした上で、原告の同居人が家財を移動させていたことなどから原告又はその意を受けた者の故意による火災であるとして、保険会社の免責事由を認め、原告の請求を棄却した事例(東京地判令2・10・1)
建物の床の汚損等が「不測かつ突発的な事故」に当たらないとして家庭用火災保険に基づく保険金請求を否定した事例(名古屋高判令2・11・11)
第4章 執行関係
第1 競売評価への異議申立て
平坦部分の奥行きが約4.5m余の土地について、それが約12mあるとする評価書及び現況調査報告書の作成が違法であるとして認められた、国及び評価人に対する損害賠償請求(札幌地判平6・3・3)
マンションの2室間の隔壁の一部が除去され、一体利用ができるよう改造された場合の評価額(東京高決平10・2・17)
最低売却価額の決定に基づく売却代金の割付方を不服とした配当異議の訴え(大阪地判平10・7・16)
執行裁判所の裁判官が、強制執行停止決定が提出された後も、現況調査及び不動産鑑定評価の実施を中止しなかったことに対する損害賠償請求(東京地判平13・5・24)
不動産競売手続における評価人が、実際の土地の地積が登記簿上の地積の約1.66倍あるにもかかわらず、実際の土地の地積が登記簿上の地積に一致しているものと判断した場合の、評価人に対する損害賠償請求(東京地判平14・7・15)
競売手続で買い受けた建物に現況調査報告書及び評価書に記載のない白アリ被害が発生していた場合の買受人による売却許可決定の取消の可否(東京高決平19・12・7)
不動産競売により購入した土地を実測したところ、地積が現況調査報告書の記載を下回るとして、不足する土地面積の価格相当額等の損害賠償を求めた事案(東京地判平20・1・17)
違法な競売手続停止の仮処分をされた者の損害(盛岡地判平20・9・2)
建物建築工事請負代金債権を被担保債権とする敷地の商事留置権の成立を肯定し、これにより無剰余になったとして担保不動産競売手続を取り消した原決定を、商事留置権は成立しないとして取り消した事例(東京高決平22・9・9)
競売で取得した建物付き土地が新たに建物を建築することのできない土地であることが判明したことにより、買受人が、配当を受けた債権者に対し競落代金の返還請求をした事件(名古屋高判平23・2・17)
不実の登記がなされた不動産所有者からの所有権抹消登記請求を認め、同不動産に抵当権の設定を受けた第三者についての民法94条2項の類推適用(東京地判平24・9・25)
不動産競売事件において、売却対象物件上に駐車されていた車輌から死体が発見されたことについて、これを知らなかった買受人が、執行官の現況調査に注意義務違反があったとして国に対し損害の賠償を求めた事例(東京地判平25・4・24)
不動産競売事件において、本件土地が建築基準法上の接道義務を充足しておらず、建物の再建築ができないものであるにもかかわらず、評価人がこれを考慮せず誤った評価をしたこと、執行裁判所がこれらを看過して競売手続を進めたことを理由に国に対し損害賠償請求を求めたが、その請求が棄却された事例(東京地判平25・9・10)
担保不動産競売手続の停止を求める仮処分を申し立てた所有者に対し、その仮処分は不法行為を構成するとして所有者に対する損害賠償を認めた事例(東京地判平26・5・27)
管理費を滞納する区分所有者に対する区分所有法59条に基づく競売請求が認められた事例(東京地判平27・2・20)
民事執行法184条において、買受人が所有権者に不動産を喪失させてまで買受人の利益を保護する必要性がないといえる特別の事情がある場合には、信義則上所有者と買受人の関係において、同条の適用を否定する余地があるとしつつ、かかる特別事情は存在せず、同条の適用を認めた事例(東京地判平27・6・16)
収益不動産を競売により買受人となり所有権を取得した者が、現況調査報告書において、契約書記載の賃料額と実際に支払われている賃料額とに齟齬があるにもかかわらずこれが記載されていなかったとして、国に対する国家賠償請求が認容された事例(大阪高判平29・1・27)
強制競売手続の売却許可決定より前に相続放棄の申述が受理されたとしても民事執行法84条2項の「債務者」に該当するとされた事例(東京地判平29・9・27)
後順位根抵当権者の先順位根抵当権者に対する配当異議の訴えが認められなかった事例(横浜地判平29・12・22)
第1の2 競売請求
管理費等の滞納を理由とする建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条に基づく分譲マンションの競売請求(東京地判平25・5・8)
マンションの管理組合が、当該マンションの区分所有者に対し、主位的に建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条1項に基づき当該マンションの専有部分及び敷地利用権の競売を求めた事案において、マンション管理組合の請求を認容した事例(東京地判平26・3・27)
10年近く管理費等を滞納している区分所有者の区分所有権及び敷地持分に対し、マンションの管理組合による建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条1項に基づく競売請求を認容した事例(東京地判平27・7・8)
管理費等を滞納しているリゾートマンションの区分所有者に対し、マンションの管理組合による建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条1項に基づく競売請求を認容した事例(東京地判平27・12・21)
区分所有者がマンションの管理組合に対する管理費、修繕積立金を15年弱にわたり滞納したことに基づき、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条による競売の申立てが認容された事例(東京地判平28・2・2)
管理費及び修繕積立金の滞納に基づく競売請求を認容した事例(東京地判平29・3・31)
管理組合法人による管理費を滞納する区分所有者に対する建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)59条に基づく競売請求が認められた事例(東京地判平29・11・10)
マンションの管理組合の理事長であるXが、ほかの区分所有者からの授権を受け、同マンションの区分所有権を有するYに対し、Yがペットの管理を適切に行わない、共用部分に私物を放置する、管理費等を滞納する、定期的な検査等に非協力的であるなどと主張して、建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づき、Yの区分所有権及び敷地利用権の競売の請求をするとともに、Yが区分所有権を有する部分の使用禁止及び共用部分である玄関ドアの補修作業を妨害しないことを求め、加えて、Yの上記行為が他の区分所有者に対する不法行為に当たるとして、共用部分の補修費用や慰謝料等の損害の賠償を求めた事案(東京地判平30・3・2)
特別代理人は弁明の機会を付与される権限を有するなどと判断された事例(札幌地判平31・1・22)
先取特権を有する債権者の配当要求が、配当要求債権について差押えに準ずるものとして消滅時効の中断(改正前民法147条2号)の効力が認められるとした事例(最判令2・9・18)
第2 賃借権の評価
最低売却価額の決定に重大な誤りがあるが、最高価買受申出人の申出額が適正額に達している場合(名古屋高決平7・8・14)
路線価図において借地権割合5割とされている借地について、借地権割合を建付地価格の1割とみた評価に重大な誤りがあるとした事例(東京高決平8・12・3)
最低売却価額の決定及び物件明細書の記載に誤りがあった場合の、売却許可取消事由の有無(東京高決平9・12・26)
第3 債権者が敗訴した場合と仮差押解放金
被告の原告所有不動産に対する仮差押えにつき、被保全権利につき本件訴訟でこれを棄却する判決が確定し、また、その被保全権利が存在しないとして保全異議手続によって取り消されて確定している場合には、特段の事情のない限り被告の過失が推定されるとして、原告の請求に係る仮差押解放金の利息相当金及び本案訴訟に対する応訴費用と保全異議申立てに関する弁護士費用が本件仮差押えと相当因果関係のある損害であるとして原告の損害賠償請求を全部認容した事例(東京地判平18・11・22)
東京都内の本件土地を購入した買主が、近隣に暴力団事務所が存在することが判明したことを理由に、売主に対し、主位的に本件売買契約の債務不履行等を主張して売買代金の返還を、予備的に売主の説明義務に基づく不法行為を主張して損害の賠償を求め、これに対し、売主が、買主の仮差押えの執行は不法行為に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を反訴として請求した事案について、買主の本訴請求を排斥し、予備的請求を認めつつも、売主の反訴も認容した事例(東京地判平25・8・21)
第4 その他
区分所有建物について第三者との間で賃貸借契約を締結したところ、その建物の共用部分の自由な出入り及び使用を害するなどして区分所有建物の使用を妨害し、その結果第三者への賃貸借契約の履行が不可能になった場合のその妨害者に対する損害賠償(東京地判平20・9・22)
マンション内に遺体が4か月放置されていた場合における買受人による売却許可決定の取消の可否(名古屋高決平22・1・29)
不動産仮差押決定が保全異議の申立てにより取り消されたが、仮差押えにより不動産を処分できなかったこと等による損害の発生が否定された事例(東京地判平26・8・5)
不動産の買主からの処分禁止の仮処分が認められた後、本案訴訟で買主の敗訴が確定した場合に、仮処分命令申立てに関する過失がないとされた事例(東京地判平26・8・18)
担保不動産競売手続における評価書の作成についての国に対する国家賠償責任又は民法715条1項に基づく損害賠償責任(東京地判平26・11・5)
国税の担保として提供された不動産について、公売公告取消訴訟の係属中に売却決定がされた場合でも、当該公売公告の取消しを求める訴えの利益は認められるとされた事例(東京地判平27・7・17)
仮差押えの時点で、土地及び建物の所有者が同一であったときに、本差押えの時点で土地が第三者に譲渡された場合の法定地上権の成否(最判平28・12・1)
強制執行のために支出した費用を不法行為に基づく損害賠償として請求することが認められなかった事例(最判令2・4・7)
第5章 売 買
第1 契約締結前の事情
借地権付建物として競落された建物に借地権が付いていなかった場合と売却代金の返還(最判平8・1・26)
高額な転売利益が得られると勧誘されマンションを購入したが、転売損がでた場合の損害(大阪高判平8・9・25)
分譲業者が駐車場利用につき説明義務違反があった場合の損害(契約締結上の過失)(横浜地判平9・4・23)
隣接地の高架道路建設計画を説明されずに宅地を購入した場合の損害(松山地判平10・5・11)
建築確認付きの土地売買交渉において、建築確認がされた後の買受け取りやめと損害(契約締結上の過失)(東京地判平12・12・4)
変圧器付きの電柱の存在を説明されずにマンションを購入した場合の損害(東京地判平14・2・22)
団地の建て替えに際し建て替え後の団地内の分譲住宅を購入するか否かの意思を決定するにつき重要な事実の説明を公団から受けなかったことの損害(最判平16・11・18)
マンション購入後すぐに北側隣地に3階建て建物が建設された場合の売買代金の返還請求(東京地判平18・8・30)
マンション購入後、売主によって付近に別のマンションを建築され、隅田川花火大会の花火の観望が妨げられた場合の損害(東京地判平18・12・8)
土地売買契約の契約締結準備段階における信義則上の義務違反と損害(東京地判平20・7・31)
別荘地の売買契約において近隣に産業廃棄物の最終処分場又は中間処理施設の建設計画があることを告げなかった場合の売買契約取消しと損害(東京地判平20・10・15)
土地の所有者が条例に定める利害関係者への説明義務を怠ったままリゾートホテルの建設を進めたことによる損害(東京地判平24・4・26)
購入したマンションの1室での学習塾開業への期待は法的保護に値するが、これに対するマンション管理組合の担当者による侵害行為はなく、同担当者の言動と学習塾開業の断念との間に相当因果関係もないとした事例(東京地判平24・8・9)
地中の雨水管は土地の瑕疵にあたるが、国有地の売払の際の物件調書に雨水管の存在を記載する義務はないとした事例(東京地判平25・3・28)
借地権付建物売買において、売主が買主に対し、隣地の一部について用益権がないのにこれがあるかのように装う等した場合に、不法行為責任が認められた事例(東京地判平25・12・26)
分譲マンションの販売後、その隣地に予定していたマンションを建築した売主に説明義務違反があったとして損害賠償責任が認められた事例(大阪高判平26・1・23)
買主と直接の委託関係のない不動産仲介業者(売主側の宅地建物取引主任者等)に、売主の権利の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとした事例(東京地判平27・1・7)
不動産の買受け希望者が宅建業者に交付した預け金の返還請求権が、宅地建物取引業法64条の8第1項の「その取引により生じた債権」に該当すると主張して、宅地建物取引業保証協会に対し同条2項の認証を求めた事例(東京地判平27・8・31)
建物の売主と買主間において、敷地所有権を敷地所有者から買主に移転するとの合意をして建物を買い受けたがこれが履行されなかったため、売主と買主に売買契約を締結させた者に買主に対する不法行為責任を認めた事例(東京地判平28・2・25)
太陽光発電事業をするために買った土地について、売電ができないことになったことを理由に錯誤無効を主張して残代金を支払わない買主に対し、売主が債務不履行解除を主張して違約金の支払を求めた事例(東京地判平28・6・30)
購入した不動産において強盗殺人があったことを知りながら告知しなかったとして買主から売主に対し不法行為に基づく損害賠償を求めた事例(神戸地判平28・7・29)
購入した土地は都市計画法における開発許可を得なければ建築物を建築することができない土地であったなどとして、本件土地及び建物の買主が、仲介会社及び売主に対し、説明義務違反を理由に不法行為(共同不法行為)に基づく損害賠償を求めた事案(東京地判平28・9・8)
本件建物が東京都建築安全条例に違反していることに関し、仲介業者であるY1らにおいて説明義務違反があるとして、仲介会社に条例違反解消のために要した擁壁設置費用相当額の支払の責任を認めた事例(東京地判平28・11・18)
不動産売買契約の違約金請求が権利濫用に当たるとして争われた事例(東京地判平28・11・30)
共同住宅の販売業者が、共同住宅の建築に用いる予定であった免震ゴムの製造会社に対し、免震ゴムの欠陥のために顧客との契約の解除及びそれに伴う違約金の支払を余儀なくされたなどと主張して損害賠償を求めた事例(東京地判平29・2・27)
不動産の買主が、売主(会社)の代表取締役と自称する者との間で取引を行ったところ、同人は売主の代表取締役ではなく手付金を騙し取られたことについて、その原因は登記官が登記申請書添付書面に使用されていた偽造印と真正な提出印鑑の各印影が異なっていることを看過して不実登記を作出した点にあると主張して、国家賠償を求めた事例(東京地判平29・3・15)
不動産の売主が、買主に対し、本件売買契約は買戻特約付売買契約で実質は金融取引であり、売主は、買主から売買代金名下に高利で融資を受けたと主張し、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反の高利での資金融資、倉庫の損壊行為、買戻資金の調達妨害につき不法行為に基づく損害賠償を求めるとともに、予備的に利息制限法の制限利率を超過する利息部分について不当利得に基づく利得金の支払を求めた事例(東京地判平30・2・27)
売買締結が遅れたり、これを訴訟で争ったり、明渡しが遅れたりしたことが、不法行為に当たらないとして、売買代金との相殺を認めなかった事例(東京地判平30・3・22)
委任契約により寄託した金員の返還を求めたところ、これが受任者が委任者のために支出した必要費といえるかが争われた事例(東京地判平30・4・26)
多額の債務を負担し、土地建物以外に財産を有していなかった状態で土地建物を廉価で親族に売却した行為が、詐害行為に当たるとして、売買契約の取消し及び所有権移転登記抹消登記手続が認められた事例(東京地判平30・5・23)
借地権付建物の売買契約において、売主が地主から融資承諾書面の発行についての事前承諾を取得すべき債務を負担することまでの合意は認められないとして、売主の債務不履行を否定した事例(東京地判平30・7・4)
駐車場2台付の賃貸収益物件であるとの広告を見て投資用に土地建物(アパート)を購入した買主が、法令上、駐車場1台分は賃貸することができなかったから、売主及び仲介業者は虚偽の広告により土地建物を売ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平30・7・11)
区分所有建物の取得が弁護士法73条に違反するものであり、これに基づく建物明渡請求が権利の濫用として認められないとした事案(熊本地判平31・4・9)
土地の売買契約における買主であるXが、購入した土地の専有面積が売買契約で告知された専有面積に不足するとして、売主のY1と仲介業者であるY2に対し、損害賠償等を請求した事例(東京地判令2・9・24)
第2 仲 介
隣地に開発計画があることの告知義務の違反と不動産仲介業者の負担すべき損害賠償額(東京高判昭53・12・11)
賃貸店舗の差押登記の有無を調査しなかった宅地建物取引業者の賃借人に対する損害賠償額(東京地判平4・4・16)
建築基準法上の接道義務を果たしていなかった場合の損害(東京地判平6・7・25)
土地建物の売買において、元の所有者が建物の附属物置で自殺したことが土地建物の隠れた瑕疵に当たるとされ、売買契約の解除による代金全額の返還が認められた事例(東京地判平7・5・31)
不動産仲介業者の説明義務違反による損害(東京高判平12・10・26)
マンション購入後に南側敷地に2階建て建物が新築・販売された場合におけるマンション販売業者及び媒介業者の買主に対する損害賠償責任(東京地判平13・11・8)
土地購入後、近接してコンクリート擁壁が設置された場合の損害(千葉地判平14・1・10)
建物を再建築できない土地を販売した売主・仲介業者の買主に対する損害賠償額(東京地判平14・6・24)
火災による建物焼損を説明されずに土地建物を買い受けた場合の損害(東京地判平16・4・23)
隣地所有者と境界に争いがある土地の売買を仲介した業者の買主に対する損害賠償額(東京地判平17・2・10)
不動産仲介業者が売買契約成立直前に契約から排除された場合の、依頼者に対する仲介手数料請求及び売買契約を成立させた別の不動産仲介業者に対する損害賠償請求(横浜地判平18・2・1)
事故物件(建物で自殺者が出た)を競落後転売した売主と売買契約を仲介した業者の責任(東京地判平18・7・27)
マンションの売買において、室内の防火戸の電源スイッチが切られて作動しない状態で引き渡されたことにつき、売買の目的物に隠れた瑕疵があったとして、売主に損害賠償義務が、販売代理人である宅地建物取引業者に操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があったとして賠償義務が認められた事例(東京高判平18・8・30)
中途解約制限条項を入れることなく、一般的な賃貸借契約のひな形を使用して契約書を作成したことによる仲介業者の責任(福岡地判平19・4・26)
建築基準法上の接道義務に違反する土地を購入し、違反を看過したまま建物が建築された場合の土地の売主及び土地を仲介し建物を建築した建築請負業者の責任(東京地判平19・7・19)
不動産仲介の専属専任媒介契約の有効の認定と同契約に基づく約定報酬の支払の請求が認容された事例(東京地判平19・10・24)
不動産の買主を探す仲介依頼を受け、買主を紹介し、売買契約が成立、その報酬の支払を拒んだ場合の仲介手数料の支払請求(東京地判平20・6・17)
宅地建物取引業の免許を受けていない紹介者による、不動産仲介業者に対する契約に基づく不動産売買の紹介料の請求(東京地判平20・12・4)
媒介契約書がない場合の仲介手数料請求権とその額(東京地判平20・12・8)
売買契約後の売主と買主のトラブルと仲介業者の仲介手数料請求権(東京地判平21・1・16)
売主の民事再生手続の開始を理由に不動産売買契約の合意解除をした場合における買主の仲介手数料支払義務(東京地判平21・3・27)
購入した土地に法的規制があり買主の予定していた建物が新築できない場合における不動産仲介業者及び売主の説明義務違反による損害(東京地判平21・4・13)
媒介契約書の不作成を理由に媒介契約の不成立又は無効を主張し、あるいは解除による報酬請求権の不発生ないし消滅を主張した売主の仲介手数料支払義務(東京地判平21・5・19)
買主が不動産仲介業者の詐欺によって売買契約を締結させられた場合の損害(東京地判平21・9・3)
売主が媒介契約書の不作成を理由に媒介契約の不成立を主張し、あるいは売買契約の解除による媒介契約の失効を主張した場合の仲介手数料(東京地判平21・9・25)
他人物売買において売買契約の債務不履行解除がなされた場合における売主及び買主の仲介手数料(東京地判平21・10・13)
入札方式による高額な不動産の売買契約締結に際し、信託銀行が不動産の媒介業務をした場合における買主の媒介手数料支払義務(東京地判平21・12・9)
買い受けた建物の雨漏り及び敷金の引受義務について仲介業者による説明義務違反を認め、受水槽については説明義務違反を認めなかった事例(東京地判平21・12・25)
土地の買主が宅地建物取引業法64条の8第1項の権利を実行するため、宅地建物取引業保証協会に対し同条2項の認証の意思表示を求めた事例(東京地判平22・2・26)
当初の買付申込金額の撤回がされ、低額で売買契約を締結した場合の、不動産媒介契約における媒介業者の善管注意義務違反の有無(東京地判平22・11・17)
マンション売買の仲介をしたXが、Yに対して未払分の仲介手数料を請求した(本訴請求)のに対し、Yがマンション売買契約は解除されたとして、既払分の仲介手数料の返還を求めた(反訴請求)場合の仲介手数料の算定(東京地判平23・1・20)
宅地建物取引業者が宅地建物取引業保証協会に対し、仲介取引に関する説明義務違反がなかったのに宅地建物取引業保証協会が十分な調査を行わずに宅地建物取引業法64条の8第2項に基づく認証を行ったとして不法行為に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平23・3・15)
不動産の信託受益権の購入に関する仲介等の業務委託契約における違約条項の解釈及び銀行融資特約の有無(東京地判平23・4・14)
不動産仲介業者に対する媒介契約上の注意義務違反及び書面の不交付等を理由とする損害賠償(東京地判平23・6・3)
他人物売買における不動産仲介業者の注意義務と損害賠償(東京地判平23・8・8)
媒介契約に基づく報酬と融資特約の解除(東京地判平23・9・6)
不動産仲介業者が隣地建物の越境について説明をしなかった場合の損害賠償責任(東京地判平23・9・12)
顧客が所有する不動産について、宅地建物取引業者が顧客から買い取った直後に転売し、差額を得たことについて、顧客が宅地建物取引業者等に対し、不法行為に基づく損害賠償請求等をした事案(福岡高判平24・3・13)
媒介契約書を作成することなく媒介行為をした不動産仲介業者の報酬請求(名古屋高判平24・9・11)
仲介業者の仲介による売買契約解除直後に、同一当事者間で売買契約を締結した場合の、仲介業者の報酬請求権の成否及び割合(東京地判平24・11・16)
越境の事実及び隣地の使用権限に係る事項等について売主及び仲介業者に説明義務違反があるとしたが、損害は生じていないとして請求を棄却した事例(東京地判平24・12・21)
不動産の瑕疵について、売主及び仲介業者に、信義則上の説明義務が認められた事例(東京地判平25・3・22)
不動産売買の仲介等に関する業務提携契約を締結した者が、不動産情報の提供や仲介支援業務を行ったとして、仲介業者に対し、本件契約及び商法512条に基づき、相当額の報酬を求めた事例(東京地判平25・4・26)
一棟の賃貸マンションを買い受けたところ、そのマンションの一室で自殺があったことが判明した場合における売主及び売主の依頼を受けた宅地建物取引業者の責任(東京地判平25・7・3)
不動産購入の媒介依頼を受けていた不動産仲介業者が、依頼者が売主側の仲介業者と媒介契約を締結し不動産売買契約を成立させた事案において、依頼者に対する報酬の支払、売主側の仲介業者に対する損害賠償の支払がいずれも認められた事例(東京地判平25・7・3)
不動産仲介業者のXが、Xの従業員が紹介し、現地案内した土地をYが購入したにもかかわらずYが仲介報酬を支払わないとして、Yに対し、①Yの故意によってXの仲介行為が妨害されたから民法130条に基づきXの仲介行為により土地売買契約が成立したものとみなし得るとして仲介契約に基づき、②仲介契約が成立していないとしても商法512条に基づき、仲介報酬請求権を取得したとして、売買代金6億4500万円の3%相当額に6万円を加算した金額の仲介報酬を請求した場合の算定(東京地判平25・9・30)
買主側の仲介業者が複数関与していた不動産取引において、買主側の仲介業者として関与したXが同じく買主側の仲介業者であったYに対し、Y及び訴外Aが買主から仲介報酬全額を受領したことでXの仲介報酬請求権を侵害したと主張して損害賠償等を求めた場合の損害の算定(東京地判平25・10・28)
不動産売買において、不動産仲介業者に20数年前の自殺の事実について一定の範囲で調査・説明義務があるとして損害賠償責任が認められた事例(高松高判平26・6・19)
中古建物を購入した売主が、仲介業者に対し、建物の延長保証に関する調査・説明義務を怠ったことにより、媒介料相当額及びメンテナンス工事費用相当額の損害を被ったとして債務不履行責任に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平27・10・29)
土地を購入した買主が、売買契約を仲介した会社の従業員から、土地の用途制限・建築制限について適切な説明を受けなかったために、会社用建物の建築が可能な土地であると信じて購入したものの、実際にはそれが不可能であったことから、売買契約を解除せざるを得なかったとして、仲介業者の従業員に対し不法行為責任に基づき、仲介業者に対し使用者責任に基づき損害賠償を求めた事例(東京地判平27・11・26)
マンション購入希望者が、不動産仲介業者である会社の従業員から、第二の申込者が購入希望価格を上げた旨の虚偽の説明を受けたため、購入資金を準備するため投資用アパートを売却せざるを得なくなった等とし、仲介会社に対し不法行為に基づき損害賠償を求めた事例(東京地判平28・2・3)
Yとの間で不動産売買の媒介契約を締結したXが、Yに対して仲介報酬の請求をしたところ、報酬支払の条件が成就したとはいえないこと、Yが条件の成就を故意に妨害したとは認められないとして、Xからの請求を棄却した事例(東京地判平28・8・26)
タワーマンションの一室を購入した買主が、ベッドルームの天井高に関し、売主らに対し、信義則上の説明義務を怠った共同不法行為があると主張して損害賠償を求めた事例(東京地判平29・1・16)
土地の購入者が、土地の前所有者の相続人から所有権移転登記の抹消を求められた訴訟の認容判決が確定したため、土地の売主である有限会社の代表取締役及び仲介業者に対し不法行為に基づく損害賠償を求めるとともに、公証人に注意義務違反があったとして国家賠償を求めた事例(東京地判平29・2・22)
不動産売買契約が詐欺により取り消され仲介業者に対する手付金返還請求訴訟が確定した後、宅地建物取引業保証協会の認証に誤りがあるとされたが、同協会に対する不法行為責任及び弁護士費用の請求は認められなかった事例(東京地判平29・2・28)
不動産の仲介等を目的とする株式会社であるXが、Yとの間で、不動産売買媒介契約を締結し、本件不動産の所有者であるAとの交渉に当たっていたところ、同契約の有効期間中に、Yが、不動産仲介業を営む他の会社であるBとの間で不動産売買媒介契約を締結した上で、Aとの間で本件不動産についての売買契約を締結したことから、Xが、Yに対し、Yは故意にXの報酬請求権発生の条件成就を妨げた(請求原因1)、ないしは、本件特約に基づくXの寄与割合に応じた報酬請求権が発生した(請求原因2)として、報酬の支払を求めた事案(東京地判平29・3・1)
大規模工場跡地の信託契約、信託受益権売買契約、土地賃貸借契約等に関し、買主側の仲介業者等として関与する予定であったX1が、売主側の仲介業者であったYに対し、Yから取引に関与することを違法に拒絶されたとして不法行為に基づく損害賠償の支払を求めるとともに、X1の代表取締役X2が、Yに対し、Yから反社会的勢力に属する者であると不当な指摘をされ、名誉と信用を棄損されたとして慰謝料の支払を求めた事例(東京高判平29・7・12)
中古建物の買主が、売主及び仲介業者に対し、雨漏りが生じていることを故意に隠し、あるいは必要な調査を怠ったとして共同不法行為に基づく損害賠償の支払を求め、予備的に売主に対し瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平29・7・14)
不動産売買対象地から環境基準を超えるヒ素が検出されたことを理由に、特約による買主からの契約解除が認められるとともに、仲介業者から買主に対する商法512条による仲介報酬相当額の請求が認容された事例(名古屋高判平29・8・31)
宅地建物取引業者の説明義務違反を認めず、宅地建物取引業者から不動産の買主に対する媒介契約に基づく仲介報酬の支払請求が認められた事例(東京地判平29・11・8)
不動産売買が不法行為に該当するとされた事例(東京地判平29・11・20)
不動産仲介業者に対して不法行為に基づく損害賠償請求がされた事例(東京地判平30・1・31)
不動産売買において仲介業者だけでなく売主に説明義務違反に基づく損害賠償責任を認めた事例(東京地判平30・3・19)
被告会社の従業員による執拗な虚偽の勧誘により、取引価値のない土地を二重に購入する売買契約と交換契約を締結させられた原告(当時77歳)が、被告会社、同社取締役及び、同社専任宅地建物取引士に対し不法行為に基づく損害賠償請求、被告会社に対し土地の所有権移転登記の抹消登記請求を求め、裁判所が、財産的損害の限度での賠償請求と所有権移転登記の抹消登記請求を認容した事例(東京地判平30・3・27)
買主側の不動産仲介業者について、売主に対して物件状況確認書を交付するよう求める義務、雨漏りの調査確認義務違反、境界明示義務免除特約の説明義務違反のいずれをも否定した事例(東京地判平30・3・28)
ビルの売却を依頼した委任者が、受任者が買取りを打診していた買主に直接接触し売買契約をした場合に、受任者の報酬請求権の条件成就の妨害に当たらず、また、受任者の期待権侵害もないとした事例(東京地判平30・3・30)
違約金が宅地建物取引業法64条の8第1項の「その取引により生じた債権」に当たるとした事例(東京地判平30・7・30)
不動産売買契約が解除された場合には仲介手数料を返還する旨の約定が有効とされた事例(東京地判平30・10・1)
不動産仲介業者に詐欺、説明義務違反が認められず、売買契約の錯誤無効も認められなかった事例(東京地判平30・10・1)
不動産を親族に遺贈する旨の遺言作成後、売却のために不動産業者との間で専任媒介契約を締結した行為の民法1023条2項に定める「抵触」の該当性(東京地判平30・12・10)
架空の土地購入話により、所有権及び手続費用等名目の金銭を詐取された被害者の、加害会社の代表取締役に対する損害賠償請求が一部認められた事例(さいたま地判平31・2・15)
訴外会社である共同買主から交付された手付金の一部をもう一方の共同買主に預託したところ、預託された買主が費消したことで損害を被ったとして債務不履行による損害賠償請求、預託契約による預託金返還請求をするとともに、宅地建物取引業保証協会に対して宅地建物取引業法64条の8第1項の認証を求めた事例(東京地判平31・4・24)
いわゆる原野商法的な取引を行った会社に、同社の名目上の代表取締役をあっせんした被告の行為が、同社による違法な不動産取引等を容易にするものであり、民法719条2項の幇助に当たるとされた事例(東京地判令元・5・29)
仲介手数料請求に対し、損害賠償請求権による相殺が主張された事例(東京地判令元・6・25)
宅地宅建取引業者との媒介に基づき、不動産の売買契約を締結した売主が、その後、当初の買主とは別の買主に不動産を売却した場合における宅建業者の媒介報酬請求権発生の成否について肯定された事例(東京地判令元・9・20)
土地の売買契約において、売買契約書の真正な成立を判断するに際し、民事訴訟法228条4項の推定が覆された事例(大阪地堺支判令2・1・20)
管理組合法人代表者による売買と表見代理(東京地判令2・1・30)
土地の売買契約において、民事訴訟法228条4項により売買契約書の真正な成立は認めつつも、売買契約締結当時の売主の意思能力を否定し、売買契約の効力を認めなかった事例(大阪高判令2・8・28)
無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は無効であるとした事例(最判令3・6・29)
第3 危険負担
注文者の責めに帰すべき事由により履行不能となった場合の請負人の報酬の評価(東京地判平5・10・5)
原始的不能で無効な契約を締結したことにより損害を被ったとして不法行為等に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判令元・12・24)
第4 契約不適合(瑕疵担保)の損害賠償
宅地の地中に産業廃棄物や建物基礎等が存在することによる損害(東京地判平4・10・28)
造成された宅地及びその土地上の建物の売買において土地の不等沈下により建物に傾斜が生じた場合の損害(千葉地松戸支判平6・8・25)
暴力団事務所が存在することによる近隣地の損害額(東京地判平7・8・29)
土地建物の売買において、建物内で売主の親族が自殺していた場合の瑕疵の有無と損害賠償額(浦和地川越支判平9・8・19)
土地中の埋設物が低層建物の建築には問題がなくても、買主の目的たる中高層建物建築に支障がある場合の損害賠償(東京地判平10・11・26)
購入した住宅の屋根裏に多数のコウモリが棲息しており駆除及び補修が必要であった場合の瑕疵の有無及び損害額(神戸地判平11・7・30)
軟弱地盤の不同沈下により建物が傾斜したり壁に亀裂が入ったりした場合の、建物建築請負業者及び土地付建物の売主に対する損害賠償額(京都地判平12・10・16)
造成分譲した宅地において地震による損害が生じた場合の瑕疵担保責任と損害賠償額(仙台高判平12・10・25)
新築建売住宅の欠陥と売主、請負人及び工事監理者に対する瑕疵担保及び不法行為に基づく損害賠償額(大阪高判平13・11・7)
土地付建売住宅の売買において、土地が軟弱地盤であることによる損害(東京高判平13・12・26)
マンション建設用地として購入した土地中に建物のコンクリート基礎やオイル類が埋没されていたことによる損害(東京地判平14・9・27)
新築マンションの1階部分に毎年のように浸水被害が発生する場合の損害(東京地判平15・4・10)
原子力関連施設の臨界事故による風評により製品の償却を余儀なくされたことによる損害(水戸地判平15・6・24)
購入した土地の地中にコンクリート塊、木屑、ビニール塵その他の産業廃棄物が埋設されていたことによる損害(静岡地富士支判平15・8・19)
分譲目的で購入した土地中に隣地所有者と共有共用の配水管及び浄化槽が埋設されていた場合の損害(東京地判平16・10・28)
住宅用地として買った土地中にガソリンスタンドの埋設基礎等の障害物が存在したことによる損害賠償額(瑕疵担保責任免除特約の抗弁)(札幌地判平17・4・22)
市から購入した土地に陶器の破片や屑が埋められていたことによる損害賠償額(名古屋地判平17・8・26)
購入したマンションの居室が行政水準を超える濃度のホルムアルデヒドに汚染されていることによる損害賠償額(東京地判平17・12・5)
原子力関連施設の臨界事故により、造成中の販売予定の宅地の価格が下落した場合の損害(東京高判平17・9・21)
購入した中古住宅に白アリの侵食による欠陥及び建ぺい率規制違反がある場合の損害賠償(東京地判平18・1・20)
マンションの共用部分の瑕疵が、補修後も区分所有権の交換価値を低下させていることを理由として、売主であるマンション分譲業者に瑕疵担保責任に基づき財産的損害、慰謝料、弁護士費用などの賠償義務を認めた事例(福岡高判平18・3・9)
売買の目的である土地上にかつて存在した建物内で殺人事件があった場合の土地の瑕疵と損害賠償(大阪高判平18・12・19)
売買の目的である土地中にコンクリートガラやコンクリート基礎等の地中埋設物が存在し、また土地上にかつて存在した共同住宅の一室で焼身自殺があった場合の土地の瑕疵と損害賠償(東京地判平19・7・5)
購入した土地中に埋設された建築資材、ガラ、ビニール紐等の大量の廃棄物について、買主が盛土部分に残土以外の異物が存在することを認識していた場合の瑕疵担保責任(東京地判平19・7・23)
新築建物入居後にいわゆるシックハウス症候群に罹患した場合の建築請負業者に対する損害賠償請求(東京地判平19・10・10)
購入した土地から基準値を超える有害物質が検出された場合の損害賠償(東京地判平19・11・28)
居住用建物の敷地として購入した土地につき、近隣の廃棄物処理施設の操業により、土地及び周辺環境が汚染された場合の損害(横浜地小田原支判平20・3・25)
賃貸による収益物件として一棟のマンションを販売した不動産業者が、当該マンションで飛び降り自殺があったことを買主に告知、説明すべき義務に違反した場合の損害(東京地判平20・4・28)
仲介業者が居住目的が実現できない可能性を告知しなかったことによる損害賠償(大阪地判平20・5・20)
土地の売買において、当該土地の隣人による脅迫的言辞のため事実上建物の建築が制限される場合の瑕疵と損害賠償(東京高判平20・5・29)
土地の買主が、売買の後に、地上建物と接続していない地下室があることが判明したとして、隠れた瑕疵として請求した賠償を認めた事例(東京地判平20・5・29)
建物の売買において、木造3階建居宅としての構造上の安全性を有すべきところ、これを欠く瑕疵があり、売主が、瑕疵担保責任として賠償義務を負うとした事例(東京地判平20・5・29)
中古建物に雨漏りによる腐食及びシロアリによる侵食があった場合の損害賠償(東京地判平20・6・4)
購入した土地中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして、瑕疵担保責任に基づく損害賠償として調査及び対策費用に加えて弁護士費用の損害を認め、売主の説明義務違反を根拠として債務不履行に基づく損害賠償請求については否定した事例(東京地判平20・7・8)
マンション建設用地として購入した土地中にコンクリートガラ、がれき類、廃プラスチック、金属くず、紙くず、木くず等の地中障害物が存在することが土地売買の目的物の隠れた瑕疵に当たる場合の損害賠償(東京地判平20・8・5)
土地の売買において、当該土地に多量の埋設物(廃棄物)があること及びそれによる土壌汚染が判明し、買主が、売主らに瑕疵担保に基づき契約解除及び売買代金相当の損害賠償請求をしたが、地中の廃棄物の存在それ自体は民法570条の隠れた瑕疵とはただちにはいえず、廃棄物や土壌汚染の処理に要する費用の高額化は、隠れた瑕疵に当たるとした場合の損害(東京地判平20・9・24)
マンション建設用地として購入した土地中にタイル、レンガ、コンクリート等の地中障害物が存在することが土地売買の目的物の隠れた瑕疵に当たる場合の損害賠償(東京地判平20・10・15)
土地及び同地上の新築建物の買主が、同土地付近に道路計画が存在し、これが事業化されたときは同土地の30%以上が収用され建物を取り壊さなければならないことが判明したとして、売主及び仲介業者に対し、説明義務違反による損害賠償を請求した事案において、収用の可能性だけでも隠れた瑕疵であり、説明義務の対象であるとして、前記計画が存在することの評価損及び弁護士費用相当額を認めた場合の損害賠償(東京地判平20・10・24)
環境基準値を大幅に超えるヒ素による土壌汚染が判明した場合の損害賠償(東京地判平20・11・19)
宅地の汚水管等の一部にこう配不足や、崖面に擁壁が設置されていないことによる損害(東京地判平20・12・19)
宅地の地中に井戸が存在することによる損害(東京地判平21・2・6)
土壌が油分で汚染されていたことによる損害(東京地判平21・3・19)
宅地の売買において土壌汚染及び地中障害物が存在したことによる損害(東京地判平21・4・14)
宅地の地中に基準値を超えた土壌汚染があることによる損害(東京地判平21・6・10)
賃貸物件たる建物内で睡眠薬自殺があった場合の当該建物及びその敷地の売主が買主に対し負うべき責任と損害額(東京地判平21・6・26)
敷地が軟弱であるのに布基礎により建物を建築したこと、擁壁の排水管の設置数不足などが不法行為に当たるとして土地建物の買主から建物施工業者及び売主に対してなされた損害賠償請求(東京地判平21・7・14)
宅地に岩塊、コンクリート埋設物等の地中埋設物があり、建物を建築するに当たり工法変更が必要となった場合の損害(福岡地小倉支判平21・7・14)
宅地の接する土地が建築基準法上の「道路」ではない場合の損害(東京地判平21・10・29)
マンションの売買契約において居室内で死亡事件のあったことを買主に告げなかった場合における売主の債務不履行責任(大阪地判平21・11・26)
信託受益権売買契約の目的物である建物に法律上の瑕疵があった場合の損害(東京地判平21・12・11)
購入した土地建物の建物の一室内において売買契約締結後引渡し前に賃借人が自殺していた場合の損害(横浜地判平22・1・28)
売買契約の目的物である土地上にあった建物で火災死亡事故が発生していた場合の損害(東京地判平22・3・8)
土地の現況と公図の記載に齟齬がある場合、買主から売主に対する瑕疵担保責任及び仲介業者に対する説明義務等違反の有無(東京地判平22・3・9)
マンションの完成後の法改正により、使用した床材がホルムアルデヒド発散建築材料として居室の床の仕上げに使用することが禁止された場合の売主及び施工業者に対する損害賠償請求(東京地判平22・5・27)
売買契約締結当時はその有害性が認識されていなかったフッ素が含まれていた場合の損害(最判平22・6・1)
新築建物の買主が瑕疵ある同建物の設計者や工事施工者らに対して不法行為に基づく建替費用相当額の損害賠償を請求した訴訟において、同建物に買主が居住していたことを利益と認めず損益相殺をしなかった事例(最判平22・6・17)
買い受けた土地に環境基準を超える鉛や六価クロムを含む皮革等の燃え殻が多数埋設されていた瑕疵があるとして、土地の買主及びその土地に建物を建築する予定であった者が、土地の売主に対して損害賠償を請求した事例(東京地判平22・6・29)
マンションの購入者が、モデルルームとは異なる瑕疵があり、虚偽の説明等があったとして売買契約の解除を求めた事例(東京地判平22・10・7)
マンションの敷地の売買契約において、売主が敷地内の地中杭の撤去を怠り買主に損害を与えたとして、買主からの売主の代理人である弁護士に対する賠償請求(大阪地判平22・10・21)
売買契約の目的物である建物で賃借人の営業が建築基準法違反により継続できない場合の売主の瑕疵担保責任の成否(東京地判平22・11・11)
地中に大量の埋設物があり、敷地の二重利用となる問題があって、将来的にセットバックを要する可能性があることなどの土地を売却した買主に対する損害賠償(東京地判平22・11・25)
建物建築請負契約に基づき建築された建物に瑕疵があり、建物を存続させて瑕疵を修理する費用が、建物を取壊して建替える費用を上回る場合(神戸地判平23・1・18)
売買の目的物である土地中に法令の基準を超える六価クロム等が存在した場合の損害賠償(東京地判平23・1・20)
土地の売買において土地に区の指導要綱所定の基準を超える油分が存在している場合の損害賠償(東京地判平23・1・27)
マンションの居室の購入者が売主に対し、同室が従前風俗営業に使用されていたとして瑕疵担保責任に基づく損害賠償等をした事例(福岡高判平23・3・8)
原則として建物の建築を禁止し、例外的に建物を建築できる場合であっても、崖部分への壁の設置や建物の擁壁の設置等を要することになる崖条例の存在を重要事項説明書で説明しなかった場合の損害算定(東京地判平23・4・20)
新築マンションの売買契約において、契約締結後、建築中に共用部分で死亡事故が発生した場合の売主に対する債務不履行責任等に基づく手付金の返還及び損害賠償の請求(東京地判平23・5・25)
不動産の買主の売主に対する瑕疵担保責任又は説明義務違反に基づく損害賠償請求及び仲介業者に対する仲介契約における善管注意義務違反に基づく損害賠償請求について(東京地判平23・6・29)
買い受けた不動産からヒ素が検出された場合における不動産売買契約書にある「環境基準」の解釈について(東京地判平23・7・11)
共同住宅・店舗として建築された建物を買い受けたXらの、建物に瑕疵があることを理由とする、設計及び工事監理者と建築請負人に対する、不法行為に基づく損害賠償の請求(最判平23・7・21)
自宅の新築工事後、引渡しを受けた建物に雨漏りがあり補修工事を実施する必要がある場合の損害賠償請求(東京地判平24・3・27)
買主が土地建物の電気設備に不具合が生じていることを認識して買い受けた場合の損害(東京地判平24・4・27)
建築後28年を経過した建物の売買におけるエレベーターや建物1階部分の構造等に瑕疵がある場合の損害(東京地判平24・5・31)
中古の建物及びその敷地について建物が傾斜していたことについての売主の瑕疵担保責任又は不法行為責任(東京地判平24・6・8)
土地建物を購入した買主が、売買契約締結から約8年後に建物を建て替えようとしたところ、建物にアスベストが使用され、また土地からヒ素が、土地周辺からは六価クロムが検出されたとして、売主に各有害物質の除去費用の支払を求めた事例(東京地判平24・8・9)
土壌汚染対策法の指定調査機関による土壌調査を行った後、将来土壌汚染が発見されても一切の責任を負わない特約付きで売却された土地の売主の責任(東京地判平24・9・25)
工場跡地の売買契約において土壌中にアスベストが含まれていた場合の瑕疵担保責任(東京地判平24・9・27)
マンション建築目的で購入した土地について、隣地建物の基礎の越境、土壌汚染、地中物の存在という隠れた瑕疵があったとして売主の瑕疵担保責任が認められた事例(東京地判平24・12・13)
引渡し前に天災地変により生じた建物の毀損を売主が修復して引き渡さなかったことについて、売主の帰責性がないとされた事例(東京地判平25・1・16)
中古住宅とその敷地を購入したところ、擁壁に耐震性がなかったこと及び境界ブロック塀が隣地に越境していたことについて売主に瑕疵担保責任が認められ、不動産仲介業者に越境に関する説明義務違反による債務不履行責任が認められた事例(東京地判平25・1・31)
売買目的物である土地に建築安全条例の適用により新たな擁壁を設置しなければ木造の建物を建築できない事例(東京地判平25・2・5)
誤った構造計算を行った建築士に対し、建物の基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき義務を怠ったとして不法行為責任を認めた事例(福岡高判平25・2・27)
ルーフバルコニー付きの居住用マンションの買主が、上階のバルコニーのアルミ手すりの縦格子が施工不良のために下階に落下するという瑕疵により、ルーフバルコニーを使用できなかった場合の損害の算定(東京地判平25・3・11)
Y2の媒介によりY1から中古マンションの一室を購入したXが、同マンションに瑕疵があったために損害を被ったとして、Y1に対しては、主位的に売買契約における説明義務違反による不法行為ないし債務不履行による損害賠償請求を、予備的には内装工事に関する債務不履行ないしは瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求め、Y2に対しては、説明義務違反による不法行為ないしは債務不履行による損害賠償請求を求めた場合の算定(東京地判平25・3・18)
土地区画整理事業の施工地区内の土地を売買により取得した買主が、その後土地区画整理組合から賦課金を課されたことについて、売買当時、賦課金を課される可能性が存在したことをもって、土地に瑕疵があるといえるのかが問題となった事例(最判平25・3・22)
土地付き建売住宅を購入した買主が、購入した住宅には補修不能な施工上の瑕疵があると主張して、売主(会社)及びその代表者、仲介業者(会社)の代表者に対して不法行為責任等に基づく損害賠償を求めたところ、建替費用等の損害賠償が認められた事例(大阪高判平25・3・27)
売買目的物である土地の地表から0.5mの地下水位から地下水が湧出している点について瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が認められた事例(名古屋地判平25・4・26)
土地の地中に産業廃棄物、鉛汚染があることが判明した土地の売買契約において、不動産業者である買主に対して売主に説明義務違反があるとして不法行為責任が認められた事例(大阪高判平25・7・12)
ダイオキシン類の存在は売買契約の瑕疵に当たるが、土壌汚染を免責対象とする免責条項により免責されるなどとした事例(東京地判平25・11・11)
売買契約により取得した土地について、コンクリート杭及び土壌汚染が存在していたとして、買主から売主に対してなされた瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が認められた事例(東京地判平25・11・21)
土地及び建物の買主が、購入した土地には産業廃棄物が埋設されヒ素により汚染されているという瑕疵があったと主張して、売主に対しては、瑕疵担保責任、債務不履行又は不法行為に基づき、仲介業者に対しては不法行為に基づき、連帯しての損害賠償を求めたが、買主の請求がいずれも棄却された事例(東京地判平25・12・10)
中古マンションの買主が、売主に対しては、不法行為、瑕疵担保責任又は債務不履行に基づき、仲介業者に対しては債務不履行に基づき、売買代金相当額等の損害賠償を求めたが、買主の請求がいずれも棄却された事例(東京地判平26・1・15)
土地区画整理事業の対象となっている土地を購入した買主の地位を承継した者が、売買契約締結後に土地区画整理組合から課せられて支払った賦課金について、売主が賦課金等を支払う旨の合意があったと主張して合意に基づき、また、賦課金発生の可能性が民法570条の隠れた瑕疵に当たる旨主張して瑕疵担保責任に基づき、売主の相続人らに、賦課金の法定相続分相当額の請求をしたが、請求がいずれも棄却された事例(東京地判平26・4・16)
隣接する土地上の建物及び同建物に設置された照明灯が越境していたことが、本件土地の隠れた瑕疵に当たらないとされた事例(東京地判平26・5・23)
17年前に発生した火災事故で、死亡者が出たことについて、土地の瑕疵に当たらないし説明義務違反もないとして、損害賠償請求を棄却した事例(東京地判平26・8・7)
土地建物を購入した買主が、土地の中には大量の埋設物が存在し、これは土地の瑕疵に該当すると主張して、売主に対し瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求をした事例(東京地判平26・10・23)
海岸を埋め立て造成した宅地が東日本大震災により液状化し被害が発生したことについての、分譲会社・ハウスメーカー等の不法行為責任・瑕疵担保責任(東京地判平26・10・31)
土地建物の買主らが、東日本大震災により土地が液状化したことによって建物が傾くなどの被害を受け、建物を建て替えざるを得なくなったと主張して、売主らに対し、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求をした事例(東京地判平27・1・14)
いわゆる建売住宅である土地建物の買主が、東日本大震災により土地が液状化したことによって建物や塀・門扉が傾くなどの被害が生じたことについて、売主に対し、瑕疵担保責任及び不法行為に基づく損害賠償請求をした事例(東京地判平27・1・30)
中古マンションの1階の居室を購入した買主が居室の床下ピットに水が溜まることが目的物の隠れた瑕疵に当たるとして損害の賠償を請求した事例(東京地判平27・3・5)
売主が売買契約につき心裡留保があり買主は悪意とする売買契約の無効主張が認められなかった事例(東京地判平27・3・10)
東日本大震災による液状化現象によって生じた建物の被害についての損害賠償請求が否定された事例(東京地判平27・3・27)
地中障害物について錯誤無効による売買契約の無効が認められた事例(東京地判平27・4・13)
建物建築請負契約の注文者が、建築された建物には、溶接の欠陥や内ダイアフラムの未施工、鋼材の板厚不足等の瑕疵があったと主張して、建築業者に対して、瑕疵担保責任又は不法行為責任等に基づき、損害賠償を求めた事例(名古屋高金沢支判平27・5・13)
土地及び建物の買主が、本件建物(中古建物)には建築基準法違反である日影制限違反及び北側斜線制限違反の瑕疵があったと主張して、売主に対して瑕疵担保責任に基づき、仲介業者に対して説明義務違反等の不法行為責任に基づき損害賠償を求めた事例(東京地判平27・6・16)
路地状部分により公道に接する土地を購入した買主が、売主に対し、隣地建物が路地状部分に越境しており建物の建築確認を得ることができないという瑕疵があったため、隣地建物の改修工事費用等の損害を被ったとして、瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平27・11・25)
建築後23年を経過したアパートの売買契約において、引渡後に雨漏り、腐蝕等が発見されたとして売主に対して瑕疵担保責任等、仲介業者に対して調査・説明義務違反による損害賠償請求を求めた事例(東京地判平27・11・30)
購入した築23年の中古建物について外壁に爆裂部が存在する等の瑕疵があると主張して損害賠償を求めたが、経年劣化を理由に瑕疵に当たらないと判断された事例(東京地判平28・7・14)
土地の売買契約において基準値超のヒ素が検出されたことが、売買契約上の瑕疵担保条項にいう「瑕疵」に該当するとして、汚染土壌除去のために負担した費用相当額の損害賠償請求を認容した事例(東京地判平28・11・25)
建物の地盤が不同沈下した場合に、Yが提案した工法の費用、慰謝料及び弁護士費用の賠償を認めた事例(東京地判平29・3・24)
不動産売買契約の目的物である敷地の擁壁部分にひび等が存在していたが、瑕疵担保免責特約の存在等を理由に瑕疵担保責任ないし説明義務違反が認められなかった事例(東京地判平29・9・12)
地中に多数の転石が存在していた場合の売主の信義則上の説明義務(東京地判平29・10・20)
地中障害物についての瑕疵担保に基づく損害賠償額(東京地判平29・10・27)
瑕疵担保責任(契約不適合責任)等の有無の判断は売買契約当時の事情を基に判断すべきとされた事例(東京地判平29・1・12)
売買の目的物である建物内で過去に自殺があったことを理由とする売買契約解除が争われた事案(東京地判平29・5・25)
埋蔵物の告知義務違反を理由とする損害賠償請求がされた事例(東京地判平30・2・16)
購入した建物のエレベーターが半年余りで使用できなくなったことについて、売主の瑕疵担保責任及び説明義務違反が認められないとして損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平30・3・19)
物流センター建設のための土地建物売買契約において土壌に石綿を含有したスレート片の破片が混入していた場合に売主の瑕疵除去義務違反及び瑕疵担保責任が認められた事例(東京高判平30・6・28)
公衆浴場であった本件不動産の売主に、土壌汚染された本件土地の状況の説明義務違反ないし瑕疵担保責任が存在しないとされた事例(東京地判平30・9・18)
免震建物として購入した区分所有建物に、免震にかかる品質に関する技術的基準に適合しない建築免震用積層ゴムが用いられていたという隠れた瑕疵があったとして、同建物評価額と瑕疵が存在しないと仮定した場合における時価との差額を損害として、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求をしたところ、同規定による賠償の範囲は履行利益を含まない等の理由により請求を棄却した事例(東京地判平30・10・4)
引渡までに土地の造成を完了して引き渡す旨の説明を受けた買主が、これを信じて売買契約を締結し引渡をうけたところ、一部しか造成が完了しておらず、実際には法令上宅地造成工事規制区域に属しており、宅地造成ができないことが判明したケースにおいて、詐欺取消による売買代金及び諸費用の返還が認められた事例(東京地判平30・12・4)
建物購入者が売主に対し建物に雨漏り及び給湯設備の瑕疵があったとして瑕疵担保責任に基づき損害賠償請求をした事例(東京地判平31・1・16)
共同住宅の建築工事を請け負った建築業者が注文者に対し請負契約に基づく残代金の支払を求め、注文者が建築業者らに対し建築された建物には重大な瑕疵が多数あるとして建替費用相当額等の損害賠償を求めた事例(大阪高判平31・4・12)
築27年を経過した中古マンション一棟の売買契約において最上階の部屋に雨漏り被害があったケースで契約上の瑕疵担保責任に基づく修補費用請求の一部が認められた事例(東京地判平31・4・24)
市の一般競争入札による不動産の売買契約に関し、買主が解体撤去予定の建物にアスベストが残存していたことについて、売主に説明義務違反があったとして不法行為に基づく損害賠償請求等をした事例(東京高判令元・5・16)
土地売買契約において引渡を受けた後、地中にコンクリート塊、木材等の埋設物が発見されたため、主位的に瑕疵担保責任、予備的には債務不履行責任を理由に解除及び損害賠償を求めたが、瑕疵担保責任の期間制限を徒過しているとして、請求が認められなかった事例(東京地判令元・9・17)
売買目的物である土地の土壌に法令で規制対象となる物質が基準値を超えて存在していることなどを理由に、瑕疵担保責任に基づき損害賠償を求めた事例(大阪地判令3・1・14)
第5 債務不履行の損害賠償
飲食店として使用する予定で購入したマンションに構造上の欠陥があるとされた場合の損害額(東京高判平元・8・10)
不動産業者間の土地取引における行政指導による建築制限の存在についての説明義務違反による損害と損害賠償額の予定(東京高判平2・1・25)
損害賠償額の予定の特約がある売買契約が履行不能となったため買主が填補賠償を請求した場合における請求し得べき損害額(東京地判平2・4・17)
建替目的の土地建物の売買契約において売主側の不動産仲介業者が区の指導要綱の内容を説明しなかった等の説明義務違反があった場合の損害(東京地判平9・1・28)
売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償の範囲及び請負人に対する損害賠償(神戸地判平9・9・8)
宅地建物取引業者であるマンションの分譲・販売業者が隣接地の建物の建築計画を告知しなかった場合に負うべき損害賠償額(東京地判平11・2・25)
宅地建物取引業者である仲介業者に公道に通じる道路の通行の可否につき説明義務違反があった場合に負うべき損害賠償額(奈良地葛城支判平11・8・31)
公法上の規制により、賃貸借契約の目的が達成できない場合の損害(東京地判平13・8・31)
建設業の許可のないことを説明せず建物建築を請け負った不動産業者の与えた損害(東京地判平17・1・26)
売買契約における資金調達義務違反についての損害賠償額(東京地判平17・5・11)
不動産の売買契約につき、買主が期限までに金融機関の融資実行の承認が得られなかったので不動産を第三者に売却した場合の責任(東京地判平17・10・26)
売買された土地が鉛等により土壌汚染されていたことが判明した場合における売主の説明義務違反と損害額(東京地判平18・9・5)
賃貸建物内で賃借人が自殺した場合における賃借人の相続人及び連帯保証人の債務不履行責任(東京地判平19・8・10)
土地所有者に対し、融資を受けてビルを建築した後その敷地の一部を売却して返済資金を調達する投資プランを提示・説明したが、同ビルの建築後に敷地の二重使用の問題があって敷地の一部を売却して融資金を返済することができなくなった場合における同プランを提示・説明した建設会社と融資を実行した銀行の説明義務違反による賠償額(大阪高判平19・9・27)
マンション売買契約の特約に基づく違約金請求が信義則上制限された事例(福岡高判平20・3・28)
土地建物の売買契約において通路部分につき隣地所有者との間で境界に争いがあるにもかかわらず、境界を特定しなかった売主の債務不履行責任(東京地判平20・12・26)
売買契約上の負担削減義務にいう負担と債務不履行責任(東京地判平21・4・13)
土地の売主が隣接土地所有者から私道掘削承諾書を取得して買主に交付すべき義務と債務不履行責任(東京地判平21・6・30)
売買の目的である不動産に関する賃貸借契約を売主が解除して賃借人の賃借権を消滅させることは民法557条1項に規定される「契約の履行」に該当するか(東京地判平21・10・16)
土地の売主が白紙解約特約に基づき売買契約の解除を主張し、同じ土地を第三者に売却し所有権移転登記をした場合において、解約は無効であり二重譲渡により土地の取得ができなかったとして、買主が売主に対し債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償を請求した事例(東京地判平22・3・30)
購入したマンションと同じ建物内に暴力団関係者が居住していた場合における仲介業者の債務不履行責任(東京地判平22・9・10)
建築基準法に定める接道要件を満たさないことについて仲介業者の説明義務(千葉地判平23・2・17)
2400棟を超す膨大な棟数の建物に使用された住宅用床材の瑕疵に係る損害の算定(東京地判平23・3・3)
建築予定の商業施設に出店する目的の定期建物賃貸借予約契約が履行不能となった際の賃貸人の義務(東京地判平23・5・26)
ビルの売買契約と売主の賃借人の明渡義務の不履行(東京地判平23・5・27)
Xは、その所有する土地を分筆した後、Yとの間でその一方の土地を売却する内容の不動産仲介契約を締結したところ、Yには、分筆の結果、残余の土地に存在する建物につき、建ぺい率違反が生じることの説明義務は存在しないとして、Xの説明義務違反に基づく、債務不履行、不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平24・1・30)
住宅ローン特約の適用につき、信義則上排除されるべき事情は認められないとして、同特約に基づく売買契約の解除の主張が認められた事例(東京地判平24・4・27)
土地建物(賃貸用アパート)の売買契約等における税制改正に関する要素の錯誤の有無(東京地判平24・8・22)
マンションの売買における以前の漏水事故に関する説明義務違反(東京地判平24・11・7)
売買目的物である土地の地中から大量のがれき等の産業廃棄物が出てきた場合の瑕疵担保責任並びに債務不履行責任(東京地判平25・1・21)
売買契約の対象となっていた抵当権付不動産が競落により第三者の所有に帰した場合に売主に債務不履行責任が認められた事例(東京地判平25・2・14)
不動産の売主が、買主に対して履行遅滞を理由として売買契約を解除し、債務不履行に基づく損害賠償を求めたが、買主の同時履行の抗弁権の存在効果は消滅していなかったので、買主による履行遅滞は違法ではないとして債務不履行責任が否定された事例(東京地判平25・4・4)
土地を買い受けて賃貸人となった者が、土地賃借人に対し、建物の元共有者から建物の共有持分の譲渡を受けていたのに、これについて賃貸人の書面による承諾を得ていなかったことなどを理由として、建物の収去及び土地の明渡しを請求した事例(東京地判平25・4・16)
新築建物を分譲して販売する売主が買主名義で建物表題登記をした場合に履行の着手を認めて買主の手付放棄による解除の意思表示の効力を否定した事例(東京地判平25・4・18)
司法書士であるYに根抵当権設定登記抹消登記手続と建物所有権移転登記手続を依頼したXが、Yが本件建物の所有権移転に不都合である差押えがなされていることを報告しなかったとして、説明義務違反による損害賠償の支払を求めた事案(東京地判平25・8・27)
20年以上前に引き渡された建物について、施工を原因としてプール屋根の鉄骨に錆による腐食が生じていることが判明したとして、注文者から施工者及び設計監理者に対してなされた債務不履行による損害賠償請求が時効の完成を理由に、不法行為による損害賠償請求が除斥期間の経過を理由にいずれも棄却された事例(東京高判平25・10・31)
宅地建物取引業者である売主が売却した給油所及びその敷地に瑕疵があり、この売主に調査説明義務違反が認められたものの、他方、買主自身も給油所を経営しており給油所の開設に関する手続き等を認識していたものとして、買主の損害について過失相殺として3割を減じた事例(東京地判平26・3・26)
マンション建築に際してエレベーター設置業務に従事していた作業員が死亡した場合について、売買契約の解除事由にならないとして、売主が手付金全額を違約金として充当することは信義則に反し、権利濫用に当たるものではないとした事例(東京地判平26・4・15)
建物賃貸人であるXが、賃借人の妻が同建物内で自殺をしたために、同建物について賃料を減額しなければ新規に賃貸することができなくなったとして、賃借人に対して、債務不履行に基づく損害賠償を求めるとともに、連帯保証人に対して同額の保証債務の履行を求めた事案(東京地判平26・8・5)
売買契約の目的物である土地内に設置された擁壁が越境していたことが隠れた瑕疵に当たるとされたが、損害と瑕疵との因果関係がないとして瑕疵担保責任が否定された事例(東京地判平27・1・15)
購入した中古住宅用建物の床面が傾斜していた場合において、売主に対する瑕疵担保責任は否定されたが、建築会社の不法行為責任が認められた事例(東京地判平27・4・10)
市場価格より高く不動産を購入した買主が、実質は前主との間の売買契約であり、売主との間に仲介契約が存在するとして売買代金額の差額を損害として請求した事例において仲介業者であることは否定したものの、民事訴訟法248条により買主の損害額を算定した事例(東京地判平27・5・15)
会員業者との取引において違約金請求権が存在することを理由に弁済業務保証金1000万円について宅地建物取引業法64条の8第2項による認証を求めた事例(東京地判平27・5・25)
温泉の供給量不足と慰謝料請求(東京地判平27・8・26)
土地建物の売買契約書における、瑕疵担保責任条項と、現状有姿条項並びに経年劣化による老朽化・機能低下については容認する旨の条項を整合的に解釈し、経年劣化によらない隠れたる瑕疵について瑕疵担保責任を負う趣旨と解釈した事例(東京地判平28・1・20)
売買契約の対象となった土地に繋がる位置指定道路上の越境物の権原の有無に関する売主及び仲介事業者の説明義務違反等が否定された事例(東京地判平28・2・16)
土地の売買契約において、過去に浸水被害があったにもかかわらず、売主及び仲介業者が過去に浸水被害が存在しなかった旨の事実に反する説明を行ったことを理由とする損害賠償請求が認容された事例(東京地判平29・2・7)
不動産の第1売買から第3売買までの決済日が同日である売買契約の決済において担当者により第3売買の代金が詐取された場合に、宅地建物取引業者である買主からの既払金返還請求等を認める一方で、宅地建物取引業保証協会に対する認証請求は否定された事例(東京地判平29・5・29)
買主が売主の債務不履行を主張し、契約解除して手付金の返還及び違約金を請求したが、売主には債務不履行はないとして、売主は受領した手付金を違約金として没収できるとした事例(東京地判平29・9・5)
土地建物の売買契約において建物が国有地上に越境している可能性について説明義務違反があったとして買主から売主及び仲介業者に対し債務不履行に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平29・12・7)
売主の説明義務違反による損害賠償(東京地判平30・2・22)
土地の買主が、売主に対し土地の完全な汚染除去工事を行う責務を怠ったと主張して、売買契約を債務不履行解除し、約定の違約金及び手付金の返還を求めた(本訴)ところ、売主が、買主に対し売買残代金を支払わない債務不履行があるとして売買契約を解除し、約定の違約金から手付金を控除した額の支払を求めた(反訴)事例(東京地判平30・2・23)
地中埋設物に関する売主及び仲介業者の責任(東京地判平30・3・29)
学校法人のスポーツパーク整備計画に関する業務委託契約において、学校法人が途中で計画中止を通知し、受託者からの業務委託料及び損害賠償の支払が認められた事例(東京地判平30・4・20)
不動産の管理運用についてのアセットマネジメント契約(投資一任契約)の受託者の債務不履行責任が認められなかった事案(東京高判平30・5・23)
不動産売買に基づく売買残代金支払請求に対し、Y会社との間の債務不履行に係る損害の発生及びその額を認定した上で、同損害に基づく相殺を認めて、請求を一部認容した事例(東京地判平31・1・11)
決済期限の延長に伴って融資特約解除条項が失効するとされた事例(東京地判令元・6・11)
売主から買主へ確定測量図を交付する旨の特約が履行されなかったと判断された事例(名古屋高判令元・8・30)
借地権付建物に関する売買契約において、売主に土地所有者の氏名及び住所に関する登記事項と住民票の記載を合致させるために必要な書類を準備する義務が認められなかった事例(東京地判令2・3・10)
土壌の油汚染を理由とする損害賠償請求がなされた事例(東京地判令2・6・11)
不動産売買等の委任契約の善管注意義務違反が争われた事例(東京地判令2・6・11)
太陽光発電事業が実現しなかったことによる賠償請求がされた事例(東京地判令2・10・20)
土地の売買契約の買主が売主に対し債務の履行を求めた訴訟提起等に係る弁護士報酬につき、債務不履行に基づく損害賠償として請求することの可否(最判令3・1・22)
第6 転売利益
転売を予定する土地建物の売買の基本協定がありながら、買主が所定の国土利用計画法上の届出をしなかったことにより売買契約締結に至らなかった場合の損害(東京地判平12・5・19)
共同事業者の1人が土地の転売利益を全て取得したと認定されて課税された場合の他の事業者に対する不当利得返還請求(東京高判平14・1・29)
隣地所有者が土地の境界の確認に協力しなかったので、土地の転売ができなかったとしてなされた転売利益相当の賠償の請求に対して、これを否定した事例(東京地判平20・4・21)
借地権の負担のある土地について転売利益を分配することを内容とする業務委託契約の成立が否定された事例(東京地判平28・3・23)
転売目的で締結した不動産売買契約において転売先の資金調達の問題のため買主に違約金等が発生したケースにおいて、売主を紹介した仲介業者に対する調査説明義務違反が認められなかった事例(東京地判令元・9・17)
第7 価格補償
不動産業者が購入したマンションの価値の下落による損害(東京地判平5・4・26)
分譲地を値下販売したことによる従前の買主の損害(消極)(大阪地判平10・3・19)
住宅・都市整備公団が値下販売したことによる従前の買主の損害(消極)(東京地判平12・8・30)
住宅・都市整備公団が値下販売したことによる従前の買主の損害(消極)(東京地判平13・3・22)
旧住宅・都市整備公団からマンションを購入した者からの、売れ残り部分の値下販売による損害賠償の請求が否定された事例(福岡高判平14・2・20)
分譲マンションにつき当初の分譲から4年後に売れ残った住戸を市場価格の下限より10%以上も下回る価格で販売した売主に対し不法行為責任が認められた事例(大阪高判平19・4・13)
マンション購入者が販売業者に対して、売買後の値引き販売によりマンションの価格が下落したなどとして損害賠償を請求した事例(東京地判平20・1・28)
マンションの購入者による、詐欺又は消費者契約法4条1項1号による取消しと売れ残ったマンションの値下販売に対する損害賠償の請求(東京地判平23・11・25)
第8 代金の減額請求
土地の買主が一部第三者の所有であることを認め、建築設計を再度やり直した場合の売主に対する損害賠償額(東京地判昭57・6・17)
数量指示売買に該当することを前提に代金の減額請求が認められた事例(東京地判平5・8・30)
予定された損害賠償額(違約金)の効力(東京高判平12・7・5)
第9 その他
不動産市況の悪化を理由に土地建物の売買契約締結を中止した場合と契約締結上の過失(東京地判平20・11・10)
借地権付建物の売買契約における売買残代金の不払と同時履行の抗弁権(東京地判平20・12・1)
不動産売買契約が買主の代金不払により解除された場合に、買主が解除までの間に当該不動産の賃借人に対して立退料の一部として支払ったときの有益費償還請求(東京地判平21・9・24)
青地部分も自由に使用することができる旨の説明を受けてこれを前提に同土地を購入し転売した買主が、売買契約後に青地部分につき地上権を主張する売主に対して、同土地を転売した相手方の請求により支払った青地部分の工事費等の損害(東京地判平22・2・26)
代金不払を理由に契約を解除して約定違約金の支払を求めたのに対し、買主が代金支払前に本件土地を測量し分筆・合筆手続をするとの合意が成立しその違反があるから債務不履行がないと主張した事例(東京地判平22・11・26)
土地の買主による、根抵当権ないし抵当権の名義人である者らに対する、第三者の弁済の拒否を理由とする損害賠償請求(東京地判平23・5・13)
地方自治体が私有地を買い取ったことについて、公有地の拡大の推進に関する法律7条の定める買取価格を超えていると判断され、支出額と相当な価格の差額を当時の自治体の長に支払うことが命じられた事例(津地判平23・5・26)
建物の信託受益権を購入した買主が、容積率超過及び用途違反により建物の一部を店舗として利用することが不可能であると主張して、信託受益権の売主、受託者、仲介業者に対し、損害賠償を求めた事例(東京地判平23・6・14)
Y所有マンションからの漏水事故によって、階下のX所有マンションの価値が下落したとする、不法行為に基づく損害賠償(東京地判平23・7・14)
婚約中の女性とともに婚姻後に居住する予定のマンションを購入した者が、同マンションの分譲業者に対し、その従業員の不法行為が原因で、婚約関係が破綻させられたとして、慰謝料等の損害賠償を請求(東京地判平23・7・20)
市が契約した賃貸借契約は、工場用地の開発に協力した住民に対して賃料の名目で協力金を支払うものであるから違法・無効であると主張して、執行機関としての市長に対し、賃料としての公金支出の差止め及び市長個人に対し支払済みの賃料合計額の損害賠償をするように求めた住民訴訟(最判平23・12・2)
借入をして自己所有建物に根抵当権設定を設定していた者が、借入金を返済し、根抵当権の抹消登記を求めたところ、貸主がこれに応じなかったため、売却の機会を逸したことによる損害、及び貸主がその後も抹消登記を拒んだことにより被った損害の賠償を求めた事例(東京地判平23・12・14)
特別地方公共団体である特別区が作成した都市計画情報図の高度地区の記載について都市計画本図と齟齬があったため、誤った情報を前提としてマンション建築事業を計画し、その後誤りが発覚してマンション建築計画を断念したと主張する不動産業者から特別区に対する損害賠償請求が一部認められた事例(東京地判平24・2・8)
工場跡地をガソリンスタンド用地として購入したところ、土壌中に汚染物質が含まれていたことが判明した場合について、買主の錯誤による無効の主張が否定され、また売主の瑕疵担保責任、債務不履行責任も否定された事例(東京地判平24・5・30)
売買契約の目的物の土地に地中送電線路に必要な地上権が設定されていたことによる損害(東京地判平24・6・28)
不動産の売買契約において、境界確認書、境界確定協議書及び土地家屋調査士による確定実測図の交付を受けるまで売買代金の支払を拒むことができるという同時履行の抗弁権が認められなかった事例(東京地判平25・6・18)
Yが訴外会社から賃借した本件建物を転借したXが、Yに対し、Xが本件建物を明け渡した時点の経過をもって償却後の敷金をYがXに返還すべき義務が発生したとして、上記敷金相当額等の支払を求めるとともに、Yの転貸借契約の債務不履行に基づく損害賠償を求めた(本訴)のに対して、Yが、Xは本件建物明渡しまでの転借料をYに支払う義務があるとして、Xに対し、償却後の敷金と相殺後の金額の支払を求めた(反訴)事案(東京地判平26・7・1)
売買契約当時87歳の高齢者に対して著しく低廉な代金額で自宅を譲渡させることを内容とする売買契約について公序良俗違反による無効が認められた事例(東京地判平27・1・14)
原子力損害の賠償に関する法律3条に基づく損害賠償請求において原発事故と原告のゴルフ場の営業再開を断念したこととの間に相当因果関係がないとして請求が棄却された事例(東京地判平27・2・25)
海外不動産についての売買及び使用権を対象にした、いわゆる劇場型勧誘による組織的詐欺について、被害金額全額と弁護士費用の損害賠償が認められた事例(東京地判平27・6・25)
組織的な欺罔行為により、無価値な土地を高値で購入する旨の売買契約を締結させられたとして、不法行為に基づく損害賠償請求を求めた事案において、損害賠償請求が一部認められた事例(東京地判平27・8・3)
被相続人が別荘地として購入した土地について、相続人らが同土地のもともとの所有者であり販売者である販売会社に対し、別荘地としての利用が不可能であるから売買契約は当初から無効であると主張し、同土地の真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めるとともに、管理費を支払っている相続人が管理会社に対し既払管理費の返還及び契約解除の確認を求めた事例(東京地判平27・11・5)
売買契約書に記載された地番ではなく、現地での指示等に基づき売買の目的物たる土地を特定したと解すべき特段の事情が存在すると認定された事例(松山地判平27・12・7)
住宅地における飼い犬の鳴き声が受忍限度を超えるものであったとして、飼主に犬の管理者としての注意義務違反を認め、治療費、慰謝料等が認められた事例(大阪地判平27・12・11)
区分所有のマンションにおいて、住居部分を他の用途に使用した場合に管理費を通常の2倍とする規約が無効とされた事例(東京地判平27・12・17)
マンションの売買契約におけるローン条項に基づき、買主が行った契約の解除に対し、売主が権利濫用であるなどと主張して解除の有効性を争ったが、排斥され、解除の有効性が認められた事例(東京地判平28・11・22)
不動産売買において消費者契約法4条に基づく取消しが認められた事例(東京地判平29・9・5)
住民訴訟において、市長Y2が市有地を随意契約の方法で売却した行為は違法であり、市長Y2にY2(個人)らに対する損害賠償請求をすることを求めた事例(仙台高判平29・12・13)
ローン条項の定めのある売買契約において、ローン審査不承認について買主に帰責事由があるとされ、売主による手付金没収が認められた事例(東京地判平29・11・21)
不動産売買契約が、経済的取引としての合理性を著しく欠く取引であることなどを理由に、暴利行為に当たり、無効とされた事例(東京高判平30・3・15)
高齢の売主が居住していた物件を著しく低額で買い受けた売買契約について、買主が売主に対し、十分な説明をしないまま不合理な内容の売買契約を締結させ暴利を得ようとしたとして、公序良俗違反で無効とされた事例(東京地判平30・5・25)
建売住宅の販売について、売主(事業主)が買主(消費者)に対し、条例違反があることを故意に告げなかったとして、買主による消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)に基づく解除を認めた事例(名古屋高判平30・5・30)
市の所有地を随意契約の方法によって売却すること及び売却価額の決定に係る市長の判断がいずれも適法であるとされた事例(東京地判平30・7・25)
ローン条項に基づく解除の成否(東京地判平31・1・9)
不動産売買契約において、Yの契約違反を理由に解除し、違約金請求した事案において、契約違反に基づく解除を認める一方、Yの錯誤・消費者契約法に基づく取消しは認められないとしたが、当事者の公平の観点から、X会社がYに請求できる額は、信義則上、売却代金の1割相当のみと請求を一部認容した事例(東京地判平31・1・11)
2筆の土地に跨るマンションの区分所有権に関して建物の区分所有等に関する法律10条の売渡請求の肯否が争われた事例(東京地判令元・12・11)
市が土地所有者との間で締結した土地売買契約について、市長の裁量権の範囲を逸脱したものであり違法と判断された事例(奈良地判令2・7・21)
不動産売買契約の効力とその売買契約の融資に係る消費貸借契約の効力について判断した事例(東京高判令3・6・2)
第6章 賃貸借
第1 契約締結時
店舗の出店申入れを受けた建物所有者が契約締結を信じて準備行為をしたが、出店申入れを撤回されたため被った損害について、借主となる者の契約締結上の過失を認めたが、建物所有者に5割の過失相殺をした事例(東京地判平22・11・18)
コンビニエンスストア用の建物を建築することを前提とする建物賃貸借契約について、契約締結段階における説明義務違反が認められた事例(東京地判平29・9・5)
賃貸借契約終了通知の有効性が争われた事例(東京地判平30・1・31)
建物賃貸借契約に係る賃借人の債務を連帯保証する契約に関し、いわゆる二段の推定を適用した上、同契約の締結は日常の家事に関する法律行為には当たらない等とした事例(東京地判平30・7・25)
賃貸人に対する火災報知設備の設置義務及び賃貸人の代理をした宅地建物取引業者の説明義務がいずれも認められなかった事例(東京地判令元・7・4)
ドラッグストアの店舗として建物を利用したいと考えたYと建物所有者Xとの間で建物賃貸借契約の交渉が始まったが、Yが正当な理由なく契約の成立を妨げたとして不法行為に基づく損害賠償責任を負うとされた事例(札幌高判令元・9・3)
建物賃貸借契約を一方的に白紙撤回されたことにつき、XらがYらに対し、主位的に、同契約が成立していたのにその撤回、解除を主張して契約書の捺印を拒否したことは、Yの債務不履行、不法行為に当たり、予備的に、同契約が成立していないとしてもXの契約成立への期待を裏切る不法行為に当たるとして、債務不履行又は不法行為による損害賠償を求めるとともに、Xが台湾人を理由に同契約の解除を主張し又は締結の拒絶をしたYらの行為は不当な差別であるとして、Yらに対し、不法行為による損害賠償を求めたことに対し、人格権侵害に当たるとして、請求を一部認容した事例(東京地判令元・10・9)
第1の2 地代の算定方法
相続により、賃貸人と賃借人の人間関係に変更があった場合の土地の地代の額の算定評価(東京高判平12・7・18)
スライド法と利回り法を採用せず、差額配分法を重視して適正賃料を算出した事例(東京地判平25・9・27)
賃料増額請求において、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法、平均的活用利子率法を適用して、適正賃料を計算した事例(東京地判平30・4・13)
第2 賃料値上げ
賃料増額の和解から1年後になされた増額請求が否定された事例(東京地判平5・9・27)
固定資産税の年額の3分の1を月額賃料とする自動改定特約の効力(東京地判平6・11・28)
宅地並み課税による固定資産税等増加を理由とする小作料増額の可否(最判平13・3・28)
賃料自動増額特約の効力(事情変更の原則)(東京地判平10・2・26)
賃料自動(増額)改定特約の効力(バブル経済崩壊後)(東京高判平11・10・6)
地代等自動増額特約がある場合の減額請求(最判平15・6・12)
サブリース契約と地代の減額請求(最判平15・10・21)
いわゆる「オーダーリース賃貸」と賃料減額請求(最判平17・3・10)
管理組合による駐車場使用料の増額請求(東京地判平17・11・4)
特殊事情があるため賃料が著しく低額に定められていた賃貸借契約の地位の承継と賃料増額請求(東京高判平18・11・30)
賃料増額請求において、完全売上歩合賃料制を売上歩合制と最低保証賃料の併用型に変更することは、特段の事情がない限り許されないとした事例(広島地判平19・7・30)
不動産鑑定に不合理な点は認められないとして、同鑑定に従って適正継続賃料額を認定した事例(東京地判平20・6・23)
スライド法及び賃貸事例比較法を重視した裁判所による鑑定に不合理な点は認められないとして、同鑑定に従って賃料額を認定した事例(東京地判平20・7・9)
裁判所による鑑定について、賃貸事例比較法の抽出事例が本件建物との類似性が低いとして同法の比重を下げて修正した上で適正賃料を算定した例(東京地判平21・11・9)
不動産鑑定に不合理な点は認められないとして、同鑑定に則って適正継続賃料が認定された事例(東京地判平22・4・9)
土地の賃貸人が、借地人に対して更新料の支払及び賃料増額の確認を求め、いずれも棄却された事例(東京地判平24・6・4)
建物賃借人が支払っていた賃料が、賃料増額請求訴訟において確定した賃料に照らして過払になっていた場合、賃貸人が返還すべき過払金(東京高判平24・11・28)
賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り、前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずるとした事例(最判平26・9・25)
分譲別荘地の管理委託契約に基づく管理費の値上げを機とする分譲別荘地オーナーからの管理委託契約の解除の効力(東京地判平26・12・18)
旧建物からの立退きの対価として新建物の賃貸借契約における賃料を当時の相場の半額とした賃貸借契約において、契約締結後30年が経過した後に賃料増額の請求がされ、増額が認められた事例(東京地判平27・2・4)
市有地の賃貸借契約において、賃料が借地借家法11条1項の「不相当となったとき」に当たるとされ、賃料増額請求が認められた事例(大阪高判平27・12・11)
賃料増額請求権の行使が管理行為に該当し、2分の1の共有持分者の単独では行使することはできないとされた事例(東京高判平28・10・19)
大型商業建物の一括貸しの形態による賃貸借契約において当事者双方からそれぞれなされた賃料増額請求、賃料減額請求がいずれも否定された事例(東京地判平29・10・12)
法定更新時に更新手続を要すると認識していたとは認められず、債務不履行が認められなかった事例(東京地判平30・8・8)
賃貸人からの賃料増額請求に対して賃借人が自己に所有権がある根拠として提出した文書が偽造文書であった場合に、賃借人の所有権の主張が用法遵守義務、保管義務違反に当たるとして賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平30・9・4)
中華料理店として賃借している建物賃貸人からの賃借人に対する賃料増額請求及び賃借人からの賃料減額請求に対し、鑑定結果を是認した事例(東京地判平30・10・24)
建物賃料額の鑑定結果が争われた事案(東京地判平30・11・30)
本土地の賃貸人であるXが、賃借人であるY1らに対し、従前賃料が、その後の事情の変化により不相当に低額になったことを理由として、平成21年、平成26年、平成27年及び平成28年の各6月に賃料増額の意思表示をし、各時点における賃料増額の確認を求めた事案(東京地判平31・2・28)
建物の賃貸借契約において、賃料の一部未払い等を理由とする解除の主張については信頼関係の破壊を否定し認めなかったものの、更新拒絶の正当事由はあるとして、賃貸人の賃借人に対する建物の明渡し請求等を認容した事例(東京地判令元・5・20)
建物の賃貸人が賃借人に対し借地借家法32条1項に基づき賃料増額の意思表示をしたとして賃料増額の確認を求めるとともに更新料の支払を求めた事例(東京地判令2・6・23)
第3 賃料値下げ
ハイ・グレードをキャッチフレーズに賃貸したマンションの賃借人からの工事騒音やカビ等を理由とする賃料減額・損害賠償請求(東京地判平6・8・22)
賃貸人の修繕義務の不履行による賃料減額と損害賠償(東京地判平7・3・16)
店舗用ビルの管理の不備を理由とする賃料減額請求と連帯保証人の特別解約権(東京地判平9・1・31)
サブリース契約についての賃料減額請求と相当賃料の算定(東京高判平16・12・22)
賃料の算定と鑑定(高層ビルの賃借人からの減額請求)(東京地判平17・3・25)
いわゆる不動産変換ローン方式の一環として締結され、保証金が預託された百貨店の店舗用建物の賃貸借契約についての適正月額賃料(東京地判平18・3・24)
サブリースにおいて転借料に連動して賃料が定まる特約(賃料連動条項)がある場合に、転借料を0円とするフリーレントが賃貸人に対抗できる特段の事情(東京地判平18・8・31)
サブリース契約における建物賃料の減額請求(東京地判平18・9・8)
いわゆる「不動産変換ローン方式」の一環として締結された賃貸借契約についての借地借家法32条1項の適用の有無(東京高判平18・10・12)
不動産鑑定の一部を修正したものの、同鑑定が賃貸事例比較法を採用しなかった点は正当であるとして適正継続賃料額を認定した事例(東京地判平20・6・11)
賃料自動増額特約がある場合において賃料減額請求権を認めて鑑定結果に従って賃料額を認定した事例(東京地判平21・10・26)
特定優良賃貸住宅の借上契約についても借地借家法32条が適用されるとした上で、住宅供給公社の所有者に対する賃料減額請求を一部認容した事例(東京地判平22・2・15)
サブリース契約において賃料減額請求がされた場合の賃料相当額について、当事者間で暫定的な賃料合意があった場合(東京高判平23・3・16)
賃貸人が、建物賃借人が賃料減額の意思表示をした後、賃借人が借地借家法32条3項の「相当と認める額」を支払わないこと及び約定の更新料を支払わないことを理由にした賃貸借契約の解除(東京地判平24・9・28)
ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約と借地借家法11条の類推適用(最判平25・1・22)
ラグジュアリーホテル運営委託用に本件建物の共有持分を賃貸した場合について、従前経緯に鑑み、ホテルの事業収益に大きな比重を置かずに相当な賃料額を算出した事例(東京地判平25・10・9)
賃料額決定の事情を考慮して適正賃料を算定し賃料減額請求額を決定した事例(京都地宮津支判平27・8・28)
賃料合意に係る当事者間の事情を考慮して賃料減額請求の効力を否定した事例(東京高判平27・9・9)
月極駐車場の無断使用と損害額(大阪地判平28・12・14)
賃借人が賃料減額請求をした上で賃料額の確認を求めたことに対し、賃貸人が賃料増額請求をした上で賃料額の確認を求める反訴請求をした事案において、鑑定の結果から、賃料増額を認めた事例(東京地判平31・3・26)
老人ホームの経営に係る社会的な事情の変動を重視して賃料が不相当に高額になったと判断した上で差額配分法に重きを置いて適正賃料を算定した事例(東京地判令元・9・19)
テナントの、賃貸借契約が数量指示賃貸借であったこと、錯誤無効、同契約を締結させたことが不法行為であること等の主張が認められなかった事例(東京地判令2・5・18)
賃料自動増額特約付建物賃貸借の賃料減額請求を認めなかった前訴の後に賃借人を承継した者による新たな減額請求について、前訴口頭弁論終結前の事情も考慮しつつ、減額を認めなかった事例(東京高判令3・11・4)
第4 解約と立退料
建物賃貸借の解約申入れ後に賃貸人によりなされた立退料の提供又は増額の申出と正当事由(最判平3・3・22)
当面自己使用の必要性はないものの老朽化が著しく、修繕に過大な費用を要する賃貸建物の立退料の算定(東京高判平3・7・16)
土地賃貸借期間満了に伴う木造建物収去土地明渡請求における更地価格の約83%に相当する立退料の提供(東京高判平4・6・24)
都心にある老朽化した建物の1階店舗部分賃貸借について、土地の有効利用を図るため建て替えが必要であることなどを理由とする解約の申入れと立退料の算定(東京高判平10・9・30)
借地権価格によらない立退料の支払による、正当事由の補完(東京高判平11・12・2)
土地の有効利用を理由とする老朽化した共同アパートの賃貸借の解約申入れにおける立退料の算定方法(東京高判平12・3・23)
借地上の建物を第三者が賃借している場合の立退料(東京地判平17・4・19)
建物賃貸部分を自己使用する必要性が強い場合の立退料の算定(東京地判平17・4・27)
立退料としての代替資産取得の取得区分、課税時期及び和解金収入の所得区分(東京地判平17・5・20)
建物賃貸部分の明渡しを求める必要性は切実であるが、被告にも移転によって固定客を失う可能性や移転費用、一時休業などの損失を被るおそれがある場合の立退料(東京地判平17・9・30)
50年以上の建物の賃貸につき、正当事由の補完として立退料の支払を条件に明渡請求を認容した事例(東京地判平20・4・23)
3000万円の立退料の提供によっても更新拒絶が認められなかった事例(東京地判平20・6・11)
駅ビル8階レストラン街にある店舗の賃貸借契約について借地借家法の適用が否定された事例(東京地判平20・6・30)
ビル建て替えのため賃貸部分の明渡しが求められた裁判で立退料の支払と引換えに建物の明渡しが認められた事例(東京地判平20・7・31)
建物を取り壊し、新たなビルを取得するために賃貸人の地位を買受けた者による解約(東京地判平21・2・27)
建物の老朽化を理由とする賃貸借契約解除申入れにおいて、直ちに正当事由は認められないが、5000万円の立退料の支払により正当事由の補完がされるとした事例(東京地判平21・10・8)
更新拒絶の補完事由として裁判上の鑑定を一部修正して立退料を算定した事例(東京地判平21・12・22)
建物賃貸借において、老朽化等を理由とした更新拒絶において、立退料2000万円の支払により正当事由が具備されるとした事例(東京地判平22・2・24)
貸室の賃貸人が、賃借人に対し解約申入れを行い、解約申入れについて正当事由が存在するので賃貸借契約が終了したと主張して、賃借人及び占有者に対し、本件貸室の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求めた事例(東京地判平24・11・1)
立退料の算定と鑑定(東京地判平25・1・25)
建物の耐震性に問題がある賃貸建物について、具体的な分譲マンションの新築計画、立退料の提供を条件とする解約申入れ(東京地判平25・1・25)
昭和56年に建築されたビルの1階店舗の賃貸借についての更新拒絶の正当事由の有無(東京地判平25・2・25)
建物所有を目的とする借地契約につき5000万円の立退料の提供による正当事由があるものとして、賃貸人の更新拒絶が認められた事例(東京地判平25・3・14)
無効な特約に基づいて、賃貸人の要請に従って賃借人に対して定期建物賃貸借契約における中途解約の申入れを行った仲介業者に不法行為責任を認めた事例(東京地判平25・8・20)
建物賃貸借において、再開発計画の円滑な遂行等の事情に加えて、移転費用等と借家権の2分の1の価格の立退料の支払によって正当事由を肯定した事例(東京地判平25・9・17)
建物賃貸借契約における保証会社の保証の履行によって賃借人の賃料不払という事実に消長を来すものではなく、賃貸借契約の解除原因事実の発生という事態を妨げるものではないとして賃貸借契約の解除が認められた事例(大阪高判平25・11・22)
老朽化して耐震性能に欠けていることを理由とした店舗の賃貸借契約の更新拒絶について正当事由が認められなかった事例(東京地判平25・12・24)
道路用地として提供予定の土地上に所在する建物の賃貸借につき、立退料の支払をともにした解約申入れに正当事由があるとされた事例(東京地判平26・4・17)
築79年の木造建物賃貸借契約において、不動産業者が所有権取得後、約2か月後に行った解約申入れについて正当事由が否定された事例(東京地判平27・2・5)
建物賃貸借契約の解約申入れにおける相当な立退料の額(東京地判平27・3・6)
転貸目的の建物賃貸借契約の期間満了を理由とする明渡請求を立退料50万円の支払と引換えに認容した事例(東京地判平27・8・5)
建物の賃貸人が、賃借人に対し、主位的に債務不履行解除による賃貸借契約終了に基づく建物明渡し及び約定損害金の支払、予備的に期間満了による賃貸借契約終了に基づく建物明渡し及び約定損害金の支払を求めた事例(東京地判平28・1・12)
耐震性に問題のある建物について賃貸借契約の更新拒絶における正当事由が認められた事例(東京地判平28・3・18)
ホテル1階の一部を利用する薬局について借地借家法の適用があるか(東京地判平29・3・24)
建物賃貸借契約の期限付解約の有効性が争われた事例(東京地判平29・10・30)
賃貸借契約終了の正当事由が争われた事例(東京地判平29・12・26)
住居目的での使用が用法違反に当たらず、法定更新であるから更新料支払義務はないので、債務不履行解除は認められないとした上で、被告らの本件建物を使用する必要性は原告らに比べて高いとはいえず、立退料が正当事由を補完するに足りるとして、更新拒絶の正当事由を認めた事例(東京地判平30・2・16)
土地賃貸借契約の期間満了に基づき、土地上の建物を収去し土地を明け渡すことを求めた場合に、貸主の自己使用の必要性等の理由から、立退料の支払と引換えに、更新拒絶の正当な理由があるとした事例(東京地判平30・3・30)
ビルの一部で古美術商を営む賃借人に対する解約申入れが、建物、敷地及び隣地が有効利用されていないこと等の事情と共に立退料支払により正当事由を具備するものとされた事例(東京地判平30・5・18)
本件土地の譲受人から、使用貸借権限に基づく本件建物の所有者に対する明渡請求は権利濫用であるが、1億円の支払と引換えであれば権利濫用とはならないとされた事例(東京高判平30・5・23)
更新拒絶の正当事由を立退料により補完することを不適当とした事案(東京地判平31・1・21)
農業委員会がした賃貸借契約の解約申入れを許可する処分について、農地法18条1項、2項2号所定の許可事由があるとした事例(熊本地判令元・6・26)
賃貸借契約の更新拒絶及び受領遅滞による解除のいずれも認められなかった事例(東京地判令元・12・12)
ゴルフ練習場として使用する目的でされた土地の賃貸借契約について建物所有目的であるとして借地借家法の適用が肯定された事例(名古屋高金沢支判令2・9・30)
第5 借地権の評価
価格が著しく低廉である場合の借地権付き建物の売買契約の効力(東京地判平5・8・30)
借地権が存在することを前提に借地上の建物の不動産競売が行われたが、借地契約が借地人の地代不払により解除されていた場合における買受人の債務者に対する代金減額請求(東京地判平10・9・24)
地主による建物収去土地明渡判決が確定しているにもかかわらず、物件明細書に借地権付建物と記載し、借地権価格の90%を減価した評価に基づく最低売却価額によりなされた売却許可決定の効力(東京高決平11・11・26)
更生担保権確定訴訟において、借地権に何らの経済的利益も存在しない場合の借地権価格の評価(東京高判平13・12・20)
賃借している建物に雨漏りが生じているのに、賃貸人がその修繕をしない場合に、修繕及び雨漏りによって生じた賃借人の損害(東京地判平20・12・17)
購入した借地権に、隣接する土地上の建物等が越境していた場合の売主の責任(東京地判平20・12・26)
土地賃借人による借地権割合の確認請求(東京地判平23・7・27)
土地の所有者がその子らに対して当該土地を無償で使用収益させる旨の使用貸借契約の成立を認めたものの、当該土地の駐車場収入は所得税法上、当該土地所有者に帰属するとされた事例(大阪高判令4・7・20)
第6 借家権の評価
建物の現況調査が不十分であったことによる執行官への損害賠償請求(東京地判平9・12・9)
第7 賃貸借の目的物
賃貸人の失火により生じた賃借人所有の動産の損害(最判平3・10・17)
賃借人による失火で賃貸人の使用借権が失われたことによる損害(最判平6・10・11)
借家での自殺による土地価格下落の損害(東京地判平16・11・10)
賃借人の失火により当該建物が全焼した場合の損害の算定方法(東京地判平19・9・14)
火災により店舗内の動産が全焼した場合の損害額の算定(東京地判平20・2・26)
直接の委託関係がない第三者に対する仲介業者の告知義務(東京地判平20・3・13)
漏水事故により損害を被ったとして借主が貸主の修繕義務違反に基づく損害賠償請求をし、人件費など請求の一部のみが認められた事例(東京地判平20・3・25)
無断転貸を理由に家主からの建物明渡請求にやむなく応じた転借人に対する賃借人及び仲介業者の責任(東京地判平20・6・16)
賃借した店舗に欠陥があり、賃貸借契約が解除された場合の損害(東京地判平21・8・31)
賃貸マンションの居室内で賃借人が無断で占有させていた者が自殺した場合の賃料収入減少等の損害に対する賃借人及び保証人の賠償義務(東京地判平22・9・2)
建物の排水設備が正常に作動しなくなり汚水が浸水し休業を余儀なくされた建物賃借人の損害(東京地判平22・10・21)
賃借人の原状回復義務の有無や程度について、対象設備ごとに具体的に検討した事例(東京地判平23・4・20)
漏水の損害について、再調達価格がそのまま損害として認められた事例(東京地判平23・5・24)
テナントビルの賃借人が、建物への雨水の浸水等により店舗内や建物共有部分に汚れ、破損等が発生しているとして賃貸人に対して修繕工事相当額の損害賠償及び建物の屋根工事の実施を求めた事例(東京地判平23・7・25)
マンションの管理組合が店舗専用部分におけるペットクリニックの開業を不承認としたことが、不法行為には当たらないとした事例(東京地判平27・3・4)
マンションの漏水事故に関し、上階の区分所有者の工作物責任が認められた事例(東京地判平27・3・17)
賃借していた総合スポーツクラブ施設の天井裏の屋根回り部材が腐食した場合に、その責任が賃貸人、賃借人のどちらにあるのかが問題とされた事例(東京地判平27・4・28)
マンション上階からの漏水事故及びその改修工事の解体等により、その下階の部屋を賃貸の用に供することができなくなったとして、下階所有者の上階所有者及び上階の過去所有者に対する工作物責任に基づく損害賠償が認められた事例(東京地判平27・4・28)
賃貸人に無断で第三者に建物を転貸した賃借人が、当該転借人に対して建物を適切に維持管理して使用させる契約上の義務を負うとされた事例(東京高判平27・5・27)
賃借した事務所の住所が振り込め詐欺の金員送付先住所と警察庁などのホームページに公開されていたことが判明した場合に、貸主及び不動産仲介業者の瑕疵担保責任、不法行為責任が否定された事例(東京地判平27・9・1)
建物賃貸借において建物の敷地における通常の使用を超える使用については賃貸借契約の対象に含まれず、貸主に対する妨害排除請求は認められないとした事例(東京地判平27・10・28)
飲食店を経営しているYが土地上に設置した物品等(ビニール製シート、看板、机、椅子及び照明器具等)について、使用権原を付与された事実はないとして、Xらによる妨害排除請求権が認められ、また、建物の現況把握のための立入調査について、調査を実施しても賃貸借契約における使用収益義務の実質的意味を没却するものではないとして、Xらによる立入調査権が認められた事例(東京地判平28・2・9)
不動産賃貸借の賃貸人側の仲介業者に対し準委任契約関係にない賃借人との関係で告知義務を認めた事例(東京地判平28・3・10)
建物内の店舗部分の賃貸借契約において、賃貸人が建物内のトイレを使用させる義務を負い、これを怠ったことによる損害について賠償請求が認められた事例(東京地判平28・11・4)
賃貸借契約上、事業内容を女性美容エステティックとして賃貸された本物件について、実際の事業内容が男性を顧客として想定するマッサージ店の態様で営業していたことをもって、用法遵守義務違反に基づく解除が認められ、明渡請求を認容した事例(東京地判平29・1・27)
マンションの一室を賃借したXが、その入居前に賃貸人であるYが専門業者によるハウスクリーニングを実施しなかったことについて、債務不履行責任等による損害賠償請求等を主張したところ、これが否定された事例(東京地判平29・3・9)
貸室の賃借人であるXが、賃貸人であるY1、Y1から本件貸室の管理を委託された不動産管理会社であるY2及び本件貸室の所有者であるY3に対し、本件貸室に生じた各不具合について、民法601条、606条1項及び信義則に基づき修繕等を求めたところ、Y1に対する一部の請求が認容された事例(東京高判平29・8・7)
本件建物で家電製品、日用雑貨及び食品等を販売する店舗を運営するXが、同建物で焼肉店を営むYの重過失に起因する火災により一定時間営業を休止せざるを得なくなったと主張して、Yに対し、不法行為に基づき、営業損害の賠償を求めた事案において、Yの重過失が認められ、Xの請求が認容された事例(東京地判平29・9・4)
定期建物賃貸借契約における説明書面の交付(東京地判平30・2・28)
漏水事故により賃貸借の目的物を使用させる義務の履行が不能になっているとして、賃貸人が修繕義務を負わないとしても賃料債務は消滅するとした事例(東京地判平30・3・22)
賃借人の賃貸人に対する債務不履行(履行不能)に基づく損害賠償請求が認容され、賃貸目的物において飲食店を経営する予定であった者の賃貸人に対する不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平30・7・11)
建設予定の駅ビルが完成した後の賃貸借契約の締結を目的とした予約契約が締結されたが、杭の崩落事故によりビル完成が遅延した場合に本契約締結が不能になった等として賃借人から債務不履行ないし約定解除権の行使による予約契約の解除、予約金の返還請求がされたが認められなかった事例(名古屋高判平31・2・7)
転貸借建物の賃貸人が、賃借人の賃料未払を理由に原賃貸借契約を解除したものの、同解除は賃貸人と賃借人の合意による解除であり、これによって転借人の権利は消滅しないとして賃貸人の転借人に対する建物明渡請求を棄却した事例(東京地判平31・2・21)
賃借人が賃貸人の承諾なく借家を民泊の用に供したことを理由に賃貸借契約の解除が認められた事例(東京地判平31・4・25)
鉄道高架下土地の賃貸借契約には借地法の適用がないとして、賃貸人の土地明渡請求等が認容された事例(神戸地判令2・2・20)
第7の2 修繕義務
賃借した建物の窓及びサッシの断熱性能が著しく劣っていて結露が大量発生したことについて、賃貸人に修繕義務等が生じるものではなく、賃貸借契約上の債務不履行はないとして、損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平30・2・16)
飲食店を営業目的とする建物の地下1階部分の賃貸借契約において雨漏り等がある事例で賃貸人が賃借人の求める内容の修繕義務を免れるとした事例(東京地判平30・8・21)
宅地建物調停の結果、公営住宅の他の部屋に転居することになった賃借人が新居室について市の費用での修繕を求めたところ、一部が認められた事例(高松高判令3・3・26)
第8 原状回復義務
損害特約にいう損害の範囲(大阪高判平6・12・13)
通常損耗についての原状回復義務と特約の存在(最判平17・12・16)
メッキ工場として使用されていた建物の賃貸借契約が終了した後、敷地に土壌汚染が生じたとする賃貸人による除去費用等相当額の賠償請求(東京地判平19・1・26)
建物の賃借人が建物の敷地の土壌汚染物質を除去しないで明け渡した場合、賃借人に原状回復義務違反があるとして、土壌調査費用、土壌汚染処理工事費用相当額の損害賠償義務を認めた事例(東京地判平19・10・25)
賃借人が借地上に施したアスファルト舗装を、賃貸借契約終了後、撤去しないため、賃貸人が撤去し、その工事代金相当額を賃借人に請求した事例(東京地判平21・1・27)
敷金返還訴訟において、特約に基づきハウスクリーニング費が敷金に充当されるなどと判断された事例(東京地判平21・5・21)
原状回復工事の終了が敷金返還の期限と定められた場合の回復予定工事期間の経過(東京地判平21・8・31)
賃借人が前賃借人から原状回復費用相当額を受領していたとしても、賃貸人はこれに拘束されないとした例(東京地判平21・11・24)
建物賃貸借契約終了後の原状回復義務の履行に関する損害賠償請求等(東京地判平22・11・30)
居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が、消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例(最判平23・3・24)
いわゆる敷引特約が消費者契約法10条により無効となるかどうかが争われた事例(最判平23・7・12)
賃借人が、事務所の賃貸借契約の終了に基づき賃貸人に対し、敷金の返還を求めた(本訴)のに対し、賃貸人が、建物明渡しの遅滞と原状回復が不完全であったとして、賃借人に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求めた(反訴)事案において、賃貸借契約の終了日までに、建物の鍵の返還及び原状回復工事は完了していなかったものの、賃借人が同日までに建物から事実上退去していたこと、賃貸人が原状回復工事についての協議に正当な理由なく応じないなど不誠実な対応をしたこと等の事情に照らせば、建物の明渡しが遅滞したと賃貸人が主張することは、契約当事者間の信義に反するなどとして、本訴請求を認容し、反訴請求を棄却した事例(東京地判平23・7・22)
債務不履行解除が認められず合意解除が認定された結果、建設協力金の返還請求権の喪失特約の適用が否定された事例(東京地判平23・9・15)
建物内で賃借人が自殺したケースで賃貸借契約の連帯保証人に対する原状回復費用相当損害金及び逸失利益についての損害賠償請求が一部認められた事例(東京地判平27・9・28)
保証金返還請求において通常の使用に伴い生ずる損耗とはいえない損傷についての工事費を、賃貸人が求償権を有するとして対当額で相殺し残額の限度で返還を認めた事例(東京地判平27・10・16)
賃貸目的建物の隣地にビルを建設することが賃貸借契約の条件となっていたとは認められないとして、同条件を前提とするXの各種請求が一部棄却された事例(東京地判平28・2・9)
ゴルフ場用地としての土地賃貸借契約終了時における原形復旧の具体的内容を更地にすることと認定し、更地にして明渡しをするのと引換えに保証金の返還を認めた事例(東京地判平28・7・11)
賃借人が入居中に火災を発生させたことに加えて、それ以前の劣悪な使用状況に対応する損害について原状回復義務に基づく損害賠償請求が認められた事例(東京地判平28・8・19)
建物の賃貸人であった者が、賃借人であった会社及び連帯保証人である会社代表者に対し、原状回復義務の履行を求めた事例(東京地判平28・9・13)
賃貸建物の原状回復に敷金を充当したことが不当であるとして、当該充当部分の敷金の返還を求める訴えが棄却された事例(東京地判平29・1・18)
火災により焼失したアパートの一室を賃借していた賃借人の賃貸人に対する損害賠償請求が一部認容された事例(東京地判平29・1・31)
借地借家法38条2項所定の事前説明の手続が履践の可否と明渡猶予期間が定められた場合の違約金発生の始期と終期が問題となった事例(東京地判平29・3・27)
居室の前所有者から賃貸人たる地位を譲り受けた者から賃借人への損害賠償請求が認容された事例(東京地判平29・3・30)
フローリング床について賃貸人の補修義務の履行遅滞を認め、補修義務の不履行によって居室の美観を損われ家具の配置を工夫するなど居室の使用収益に影響が生じたとして月1万円の損害を認めた事例(東京地判平29・5・22)
ペットの飼育を禁止する旨の条項に違反したことを理由とする転貸人の転借人に対する損害賠償請求が認容された事例(東京地判平29・5・29)
借主からの使用収益させる義務に違反するとの理由による賃料の不当利得返還請求は認められないとし、貸主からの未払賃料の請求及び原状回復費用の請求の一部を認めた事例(福岡地判平29・7・19)
原状回復指針の趣旨に沿った原状回復が一応なされたと認められた事例(東京地判平29・9・13)
賃貸借契約終了による賃借人の原状回復義務に残存はないとして保証金返還を認容した事例(東京地判平29・10・16)
建物の賃借人が契約内容に定められた内容以外の方法で建物内変更工事を行った事案において、賃貸人の承諾があり信頼関係が破壊されたとはいえないとして賃貸人による解除は認められないとした事例(東京地判平29・12・20)
旅館業を営業するに際して周辺住民に多大な迷惑を及ぼし、改善の気配が見られないから、更新拒絶に係る正当事由は認められるなどとして中途解約を認めた事例(東京地判平30・11・9)
賃貸借契約の約定に基づく更新による更新料の請求が認められた事例(東京地判令元・6・25)
庭付き一戸建て建物の賃貸人が、賃借人の連帯保証人に対し、賃貸借契約の債務不履行のため賃借人が負担すべき原状回復費用の支払を求めたところ、原審が、原状回復費用は賃貸人に差し入れられた敷金等により全額賄い得るとして請求を棄却したため、賃貸人が控訴し、控訴も棄却された事例(東京地判令元・7・4)
第9 賃料相当損害金
借地契約解除後の土地不法占拠による損害額の算定(東京高判昭51・5・26)
不法占拠についての判決の損害金の認容額が不相当になった場合(大阪地判平元・2・9)
更新料の一部の不払(東京地判平19・1・18)
不法占拠者に対する賃料相当損害金の算定につき、当事者から十分な算定根拠が示されなかった場合の賃料相当損害金の額の算定方法(福岡高判平19・12・20)
期間の定めのある賃貸借契約が中途解約された場合、敷金から控除されるのは、新たな賃借人が見つかるまでの相当期間の賃料相当額とされた事例(東京地判平20・5・20)
定期賃貸借契約において、賃借人の債務不履行による解除がなされた場合に定期期間満了までの賃料相当損害金を規定した違約条項の一部を無効とした事例(東京高判平21・10・29)
建物賃貸借契約における原状回復義務の範囲及び原状回復義務に争いがあった場合の明渡し時期と賃料相当損害金の範囲の考え方(東京地判平22・4・15)
マンションの区分所有者が共用部分に動産を放置している場合に、管理組合がその撤去等を請求した点は認められたが、放置していることが不法行為に当たるとして不法占有部分につき賃料相当損害金等を請求した点については原告適格が認められず請求が却下された事例(東京地判平22・6・8)
委託者が、建物所有者から不動産を購入するに当たり、受託者と不動産売買に関する建物の借地権、テナントの賃借権、設定されていた担保権等の整理を内容とする業務委託契約を締結したところ、受託者が建物のテナント賃料が税務署等に差押えられていた事実を委託者に告げなかったため損害を被ったとして行った損害賠償請求(東京地判平22・7・16)
建物賃借人が連続3日間を超えて営業を休業するときは、予め賃貸人の書面による承諾を要し、これに反したときは催告なしに賃貸借契約を解除できる旨の特約の効力(東京地判平22・10・28)
昭和22年からの土地賃貸借契約における、賃貸人からの更新拒絶の意思表示についてXの自己使用の必要性が相当高くYの自己使用の必要性は無いに等しいとして立退料の提供無くして正当事由が認められた事例(東京地判平23・4・8)
借地契約において1億4000万円の立退料の支払により正当事由が補完された事例(東京地判平23・11・25)
マンション管理の委託を受けた者が空室募集を怠った場合の損害賠償額(東京地判平24・6・6)
更新料の請求は否定されたものの、賃料の増額請求が認められた事例(東京地判平24・9・21)
団地内建物の一括建替え決議に反対し、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対するマンションの建替えの円滑化等に関する法律15条1項に基づく売渡請求(東京地判平24・12・27)
定期建物賃貸借において、借地借家法38条4項の事前終了通知がされていない場合(東京地判平25・1・22)
耐震性を満たさないことを理由とする建物賃貸借契約の更新拒絶について正当事由を認めた事例(東京地立川支判平25・3・28)
建物を譲り受けた買主が建物の地下一階部分を賃借して飲食店を営む賃借人に対し、建物の一階部分の外壁等に設置していた看板等の撤去を求めた事例(最判平25・4・9)
賃貸人から賃貸借契約の連帯保証人に対する使用料や共益費の請求の一部が、信義則に反し、権利の濫用として許されないとされた事例(東京高判平25・4・24)
マンション管理組合と紛争状態にある区分所有者らに対して、区分所有権の競売請求とともに損害賠償請求がなされた事案(東京地判平26・3・25)
マンションの建替えに参加しなかった区分所有者に対する売渡請求が有効とされた事例(東京地判平27・1・26)
増改築禁止特約違反と信頼関係の破壊(東京地判平27・3・11)
不動産投資取引と共に行われた金銭消費貸借契約の締結における銀行の説明義務違反が否定された事例(東京高判平27・5・26)
買戻特約付売買契約及び賃貸借契約の目的不動産に関し、占有改定がなされた場合、売買契約の法的性質を譲渡担保契約とした事例(東京地判平27・7・14)
市から本件各建物部分を含む各区分所有建物を賃借し、本件各建物部分を転貸している転貸人が、転借人に対し、更新拒絶による期間満了に伴う原状回復請求権に基づき、本件各建物部分の明渡及び賃料相当損害金の支払を求めた事例(神戸地判平28・12・8)
当事者双方の仮説のどちらがより矛盾がないかを検討した結果、Y1が本件建物のローンを支払った者であり、本件建物の所有者であると認めた事例(東京地判平29・3・30)
賃貸人からの賃貸借契約終了に基づく建物明渡請求及び保証会社からの賃料等に係る求償金の請求が認められた事例(東京地判平29・9・14)
賃貸借契約における自動更新条項の適用の可否が争われた事例(東京地判平29・11・15)
履行補助者の死亡に係る損害賠償請求がなされた事例(山口地判平29・11・28)
宗教活動を行う任意団体であるXが、その出家会員であるYに対し、出家会員として居住することを目的に本件建物部分を無償で使用させていたが、本件各除名処分によりYがXの会員資格を喪失したため、本件使用貸借契約を解約したなどと主張して、本件建物部分の明渡しを求めた(本訴)ところ、YがXに対し、Xの出家会員の地位にあることの確認を求めるとともに慰謝料の支払を求めた(反訴)事例(東京地判平29・12・6)
原告と被告間の転貸借契約の成立及び賃料不払解除は認めるものの、別に締結した原告と被告間の準消費貸借契約書について書証の成立を否定した事例(東京地判平30・1・26)
運動広場及びその附帯駐車場を目的とする土地の期間満了を理由とする賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求に対し、賃借人Y市は、草木が繁茂する緩傾斜の荒地であった本件土地をグラウンドとして造成整備した費用について有益費償還請求権に基づく留置権の主張を行った事例(京都地判平30・2・14)
土地と土地上の建物の賃貸借契約が解約により終了したとして明渡しを求めたところ、建物の賃貸借契約の解約申入れに正当事由がないとしたうえで、建物の明渡しを求めることができないから、駐車場契約についての解約申入れも信義則に反して効力を有しないとされた事例(東京地判平30・2・16)
契約解除通知は特段の事情のない限り更新拒絶の趣旨を含むと解されるものの、更新拒絶が正当事由を欠くとして、明渡しと賃料相当損害金の請求が否定された事例(東京地判平30・3・19)
賃貸借契約を更新せずに終了させることを期限到来前に合意したが、当該合意に基づく明渡請求等が認められなかった事例(東京地判平30・3・22)
原告が被告に対し、賃料滞納を理由に土地の賃貸借契約を無催告解除したとして建物収去土地明渡し及び、賃料の2倍に相当する約定損害金の残金の支払を求め、裁判所が請求の全部を認容した事例(東京地判平30・3・22)
賃貸借契約の締結拒否と契約締結上の過失(東京地判平30・3・29)
配管工事への協力拒否と信頼関係破壊による解除(東京地判平30・4・5)
賃借物件の雨漏りについて、賃借人の賃料支払義務が消滅する程のものではないが、漏水による営業損害の賠償請求を認めた事例(東京地判平30・4・13)
賃料の支払方法と信頼関係破壊による解除(東京地判平30・6・5)
公営住宅法25条2項所定の通知は、明渡請求の要件ではないとして、事業主体である地方公共団体の建物明渡請求が認められた事例(神戸地判平30・10・17)
賃借人の代表者について、建物の明渡しを怠ったことを原因として、賃貸人に対する債務を連帯保証した者に対する任務懈怠責任を認めた事例(東京地判平30・11・9)
店舗とともに駐車場として賃貸されていた土地の更新拒絶は権利濫用ないし信義則違反に当たらないとされた事例(東京地判平31・1・30)
建物の賃貸人が、賃借人に対し、賃貸借契約の期間満了による終了に基づいて建物の明渡し及び使用損害金の支払を求めたが、建物の明渡しを求めるべき正当事由が認められないとして請求が棄却された事例(東京地判令元・7・5)
建物賃貸借契約において、XがYの契約違反を理由に解除し、建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求めた事案において、Yが継続的にエレベーターホール等の共用部分に荷物を置いていたことが本件賃貸借契約に違反する行為であるとして、Xの請求を全部認容した事例(東京地判令元・9・24)
高齢及び多数の症病等から転居が生命・身体に関わる事態を引き起こす懸念は社会通念上客観的にみて合理的な理由があるなどとして、建物賃借人に極めて高い自己使用の必要性が認められるとして建物賃貸人の解約告知に正当理由はないとした事例(東京地判令元・12・12)
同居人に対して支出した住宅費、生活費、引越費用等について、YのXに対する立替金支払債務ないし求償金債務が存在したとしてこれらを旧債務とする準消費貸借契約の成立を認めた事例(東京地判令2・2・21)
土地使用貸借契約の貸主を相続した者が同契約の終了に基づき借主に明渡請求をしたところ、住宅ローン残額相当額の支払と引き換えに認容された事例(東京地判令3・6・24)
第10 その他
借地借家法20条1項後段の付随的裁判として定める敷金額(最決平13・11・21)
借地権譲渡の承諾が認められず、建物買取請求権が行使された場合の買取価格の評価(東京高判平17・6・29)
賃貸借契約の交渉経過に照らし、敷引特約が一部無効であるとされた事例(大阪地判平19・3・30)
賃貸借契約が途中解約された場合の「償却残高」の算定方法(福岡高判平19・7・24)
建物賃貸借契約における更新料の約定が消費者契約法10条に該当するとはいえず、無効とはいえないとした事例(京都地判平20・1・30)
建物賃貸借契約の契約締結準備段階でなされた賃借の取りやめと賃貸人側の損害(東京高判平20・1・31)
賃貸人の説明・告知義務違反等により被った賃借人の損害額(大阪地判平20・3・18)
排除された不動産仲介業者の報酬請求権(東京地判平20・3・25)
市が、適正とされた賃料の1.23倍から1.99倍にて賃貸借契約を締結し、これに基づき賃料の支出を行ったことについての違法性(大阪地判平20・6・26)
階上の部屋の騒音等と賃貸人の責任(東京地判平20・8・28)
閉園された都市型立体遊園地を賃貸借契約解除後も不法占拠している場合の損害(大阪地判平20・8・28)
賃借人の募集業務を行った業者が、委託者であるマンション建築者の行為により被った損害(東京地判平20・9・24)
保証金の返還請求と賃借人の善管注意義務違反による損害賠償責任(東京地判平20・9・30)
賃借人の未払賃料について、賃貸人が契約解除等をせず放置していたことから、信義則上、連帯保証人の責任は法定更新後2年間が経過するまでの期間に限り認められるとした事例(東京地判平20・12・5)
もとの賃料の7倍を超える転貸賃料が、暴利行為とはいえないとされた事例(東京地判平21・4・7)
賃借人の賃料未払を理由に建物の玄関の鍵の取替えを行った賃貸人の行為につき、居住権を理由とする損害賠償請求(大阪簡判平21・5・22)
賃借人側の事情で契約期間の途中で賃貸借契約を合意解約した場合に、賃貸人が賃借人に返還すべき権利金は、契約条項を解釈した上で契約の残存期間が2分の1であることなどから権利金の半額とした事例(東京地判平21・7・30)
事業用店舗を賃借していた賃借人が、漏水が原因で営業許可が更新されなかったために損害を被ったとして賃貸人に損害賠償請求した事案で、営業利益の損害は、本件事情のもとにおいては解除のときから6か月分であるとした事例(東京地判平21・8・26)
被告の再開発事業に伴い、原告が4年間店舗の営業を停止することになった場合、被告と合意した営業補償文言の解釈が問題となった事例(東京地判平21・12・11)
賃借人に債務不履行がある場合に賃貸人が裁判手続によらずに鍵を交換するなどして、建物の使用を妨げた場合の損害(東京地判平22・4・26)
賃料額が当初の約54%に下落したとしても、借地借家法11条1項に定める賃料が不相当となったものとはいえないとされた事例(東京地判平22・5・20)
アパートの賃借人が管理会社による違法な自救行為によって被った損害(東京地判平22・10・15)
建物の立退きに関する紛争において解決金を受領した代理人弁護士が、その解決金の支払を受ける者に争いがあるとして解決金を返還しないことについての適否(東京地判平22・11・26)
賃借建物の賃借人がその保証人である者によって強制的に退去させられたこと等による損害賠償請求(東京地判平23・2・21)
賃借人の原状回復義務の有無や程度について、対象設備ごとに具体的に検討した事例(東京地判平23・6・15)
賃貸借契約書に定められた更新料の支払を約する条項が消費者契約法10条に該当し無効となるかが争われた事例(最判平23・7・15)
契約書や念書の記載を根拠に更新料の支払義務が否定された事例(東京地判平24・1・20)
土地を賃借し、同土地上で建物を所有して飲食店を経営していた店主が、マンション建築計画のため、土地賃借権及び建物の売却を打診され、飲食店を廃業して売買契約締結の準備をしていたところ、マンション建築計画が頓挫して売買契約が締結されなかった場合の損害(東京地判平24・3・5)
建物賃貸借契約において管理会社担当者らが賃料を不払した賃借人を強制的に退去させ、家財等を処分した事例において財産的損害及び慰謝料が認められた事例(東京地判平24・3・9)
契約上更新料の定めがない場合に、合意及び慣習に基づく更新料の支払請求が認められなかった事例(東京地判平24・4・26)
賃借人が底盤コンクリートを残置したまま土地を返還したことにつき、現実の損害が発生していないとして、損害賠償や不当利得返還の請求が棄却された事例(東京地判平24・7・6)
賃料債権の差押後に、賃貸人が賃借人に賃貸借契約の目的である建物を譲渡したことにより賃貸借契約が終了した場合において、特段の事情がないので、差押債権者は、第三債務者である賃借人から、当該譲渡後に支払期の到来する賃料債権を取り立てることができないとした事例(最判平24・9・4)
建物の朽廃及び賃借人が建物を賃貸人の承諾なしに大修繕をしたことを理由とする、土地の賃貸人の土地明渡請求(東京地判平24・11・28)
土地の賃貸人による借地人に対する主位的には更新料支払特約に基づき、予備的には事実たる慣習又は商慣習に基づく更新料の請求(東京地判平24・12・20)
中途解約に関する規定のある定期建物賃貸借契約において、賃借人からの解約の意思表示が同規定に違反して無効であるかどうかが問題とされた事例(東京地判平25・1・29)
既払の貸付料が適正貸付料を大幅に上回っていた場合に、過払の貸付料につき不当利得の成立を認めた事例(東京地判平25・2・28)
多数回の雨漏りによって建物に水損が発生した場合に、借主の慰謝料の発生を認めた事例(東京地判平25・3・25)
宅地建物取引業者であるYの媒介で土地建物を購入したXが、当該建物を葬祭場等として使用する目的でAに賃貸したところ、建物賃貸借契約が信頼関係破壊を理由に解除されたことから、XがYに対して、媒介契約の債務不履行ないし信義則上の注意義務違反による損害賠償を求めた場合の算定(東京地判平25・3・27)
建物賃貸借契約の更新料支払条項、契約終了後の明渡遅滞による損害賠償額の予定条項と消費者契約法(東京高判平25・3・28)
1室について管理から除外する旨の合意が成立したとして賃料回収を行わなかった賃貸建物の委託管理業者について、除外する合意は成立していないとして未回収賃料の損害賠償責任を負うが、建物所有者に4割の過失を認めて過失相殺をした事例(東京地判平25・7・16)
賃貸人が賃借人に対して賃貸借目的物を使用させなかったような場合については、賃借人はかかる使用不能期間について賃料を払う義務を負わないとされた事例(大阪地判平25・10・17)
賃貸借契約及び店舗内装設備売買契約を締結した当事者間において、売買契約の解除及び約定損害金について定める各条項は賃貸借契約が合意解約によって中途で終了した場合にも適用があるとされた事例(東京地判平25・11・12)
賃貸人の誤った説明により、賃貸物件でのレストランの開業が遅れたとする債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例(東京地判平25・11・20)
広域連合長の土地賃貸借契約締結に係る判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものではなく、契約を無効としなければ地方自治法及び地方財政法の規定の趣旨を没却する等の特段の事情も認められないため、上記賃貸借契約が私法上無効になることはないとされた事例(名古屋高判平26・5・15)
建物のサブリース契約に基づき賃貸人たる地位の譲渡を受けた者による賃借人に対する賃料請求について、サブリース契約が建物の賃貸借契約ではなく、委任契約であること、サブリース契約が解除されたことによりサブリース契約の効力が消滅し、賃貸人たる地位を失ったとして、請求が棄却された事例(東京地判平26・5・29)
建物が存続する限り賃貸借期間経過後も建物を賃借し続けるとの約束は将来の見込みを述べたに過ぎず、賃借人の解除権行使が背信行為に当たるとはいえないとして不法行為の成立を否定し、建物が存続する限り建物を借り続けるという有効な約束が賃借人との間で成立したものと誤信したために建物建築資金として金銭消費貸借契約を締結したとしても錯誤無効には当たらないとした事例(東京地判平26・8・5)
学校法人が、地方公共団体との間で病院の運営に関する契約を契約期間30年間として締結したが、契約期間満了前に契約が終了し、保証金の支払を求めた事案について、請求が認容された事例(東京地判平26・9・17)
貸室の損壊につきその一部について賃借人の過失を認め不法行為が成立するとして損害賠償請求の一部を認容した事例(東京地判平26・10・21)
区分所有権の管理組合として区分所有者に管理費等を請求した団体が、権利能力のない社団として評価するに足りる実態を備えておらず、総有的な権利義務の帰属という法的効果を受けることはできないとして、請求が否定された事例(東京地判平27・2・18)
前区分所有者が滞納した管理費等について、当該区分所有権を取得し、その後に当該区分所有権を譲渡した者、及び、現在の区分所有権者がいずれも特定承継人として債務を負担するとされ、現在の区分所有者の時効援用の主張が信義則に反して権利濫用として認められなかった事例(東京地判平27・7・16)
管理組合の管理者による管理費を滞納する区分所有者に対する建物の区分所有等に関する法律59条に基づく競売請求が認められた事例(東京地判平27・8・3)
特定の区分所有者にだけ、管理費の額を増額し、かつ、新たに修繕積立金を負担させる管理組合の決議は、区分所有者の権利に「特別の影響」(建物の区分所有等に関する法律31条1項後段)を及ぼすものであり、承諾がない以上、無効であるとした事例(東京地判平27・8・21)
マンションの区分所有者である被告の管理費等の滞納につき、今後も同様の滞納が続くおそれがあり、将来給付の訴えの利益があるとしてマンション管理組合の管理費請求全部を認容した事例(東京地判平27・11・6)
土地所有者であるXが、娘夫婦に対し、建物所有を目的とする土地使用貸借契約を締結していたところ、本件使用貸借契約締結から40年が経過し、また、娘が死亡したことなどから、その夫Yに対し、使用収益に足りる期間が経過したとして、本件使用地貸借契約の終了及びそれに基づく本件建物収去及び本件土地明渡しを求めたが、当該請求が棄却された事例(東京地判平28・3・7)
分譲マンションの区分所有者とその賃借人に対して犬の飼育禁止を認めたが弁護士費用の損害賠償請求は否定された事例(東京地判平28・3・18)
賃料保証会社による貸室の補助錠設置及び家財撤去行為に対する不法行為責任(東京地判平28・4・13)
賃貸借契約締結の交渉が打ち切られた場合に契約準備段階の過失の成立を認めたが逸失賃料相当額の損害賠償は否定した事例(東京地判平28・4・14)
原告が所有する建物を被告会社に賃貸していたところ、被告会社の従業員が賃貸物件の非常階段から飛び降り自殺をしたことで、本件建物の価値が毀損されたと主張して、債務不履行に基づく損害賠償請求を求め、請求が一部認容された事例(東京地判平28・8・8)
建物所有目的の土地賃貸借契約において、地上建物の増改築が特約で禁止する無断増改築に当たらず、借地上への杭の埋設が借地の無断形状変更には当たらないとして解除は無効であるとされた事例(東京地判平28・8・26)
マンション駐車場使用料を増額する旨の管理組合の決議が有効であることの確認請求及び、未払使用料の支払請求を認めた事例(東京地判平28・9・15)
土地の賃貸借契約を合意解除した後、土地の賃借人から賃貸人に対し、不法行為に基づく損害賠償として、借地上に建築して賃貸する予定であったガソリンスタンド施設の20年分の賃料収入等の支払を求めた事例(東京地判平28・9・28)
分譲マンションの区分所有者とその賃借人に対して、犬の飼育禁止を認めるとともに弁護士費用の損害賠償請求を肯定した事例(東京地判平28・11・22)
建物解体を免れたことが依頼人の最大の成果であるとして経済的利益を算定しこれに修正を加えて弁護士報酬を算定した事例(東京地判平29・2・17)
卓球教室の騒音と賃貸借契約上の用法遵守義務(東京地判平29・5・26)
地位承継契約及び転貸借契約の債務不履行により、同土地上での太陽光発電事業の遂行が不可能になったとして、逸失利益相当額の損害賠償を認容した事例(東京地判平29・6・22)
不動産の賃貸借契約の仲介業者が、共用部分を広告の用に供することができなかったことを説明しなかったことについて、債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求が否定された事例(東京地判平29・6・22)
建物の朽廃による賃貸借契約の終了、法定更新と更新料、鍵の返還と明渡し(東京地判平29・11・28)
国立大学法人が元職員に対して宿舎の退去に伴う修繕義務の不履行に関する損害賠償等を求めたところ、かかる請求が一部認容された事例(東京地判平30・1・23)
転借人から、転貸借契約の締結に当たって交渉を取り仕切っていた者等に対する詐欺を理由とした損害賠償請求が認められた事例(東京地判平30・1・30)
看板等を無断で設置したことなどを理由として、賃貸人から賃貸借契約の更新拒絶をされたが、賃貸人の主張する更新拒絶の正当性が否定され、法定更新が認められた事例(東京地判平30・2・2)
普通建物所有目的の土地賃貸借契約における更新料を更地価格の2.5%と算定した事例(東京地判平30・2・28)
転貸禁止及び用法遵守義務が定められていた本件賃貸借契約について、その後締結した承諾書及びその解釈により、転貸禁止条項及び用法遵守義務の条項は削除されていたとして、賃借人による転貸は義務違反を構成せず、賃借人の賃貸人に対する、転借人からの賃料収受妨害による不法行為に基づく損害賠償請求を認容した事例(東京地判平30・2・28)
本件建物居室の借主が、灯油と誤って給油されたガソリンをストーブに移して点火したためストーブから出火し本件建物が全焼したところ、借主に対する本件居室賃貸借契約の債務不履行に基づく損害賠償請求及び誤ってガソリンを給油した従業員が務めるガソリンスタンド運営会社に対する売買契約についての信義則上の付随義務違反による損害賠償請求がそれぞれ認められた事例(福岡地判平30・3・30)
建物の一部に関する賃貸借契約における「引渡し」(東京地判平30・7・2)
賃借人の費用で設置した空調機器が耐用年数を経過した場合のその更新工事の費用負担者(東京地判平30・10・11)
建物の賃借人が、本件建物を利用して自己の商品を販売することを希望する第三者との間で商品販売契約を締結し、当該第三者が本件建物を自己の旗艦店として使用収益することを可能にさせたことについて、実質的な無断転貸に該当すると評価されつつも、信頼関係が破壊されたとは認め難い特段の事情があるとした上で、相当額の立退料の支払を条件とする解約の正当事由が認められた事案(東京高判平30・10・31)
賃貸借契約の保証会社であるXが、貸室の賃借人であったYに対し、保証委託契約に基づき滞納賃料を代位弁済したことによる求償金、遅延損害金、保証委託料を請求した事案において、Yが本件賃貸借契約当初から貸室の設備に故障、破損等があり、慰謝料請求権並びに賃料の支払を拒絶する正当な理由があったとして求償金の支払を拒絶したところ、このYの主張が退けられた事例(東京地判平31・1・10)
債権者不確知を理由とする供託の効力を有効と判断し、供託金還付請求権を有することの転貸人の賃貸人に対する確認請求が認容された事例(東京地判平31・1・24)
建物の賃貸借契約に関する上下水道料金の負担割合に関する合意の有無と前訴に補助参加していた場合の前訴判決理由中の判断の効力(東京地判平31・2・28)
融資金の繰上返済の手数料の特約の有効性が争われた事案(東京地判平31・3・20)
賃貸人に対して賃借人が支払う光熱費の金額の合意が争われた事例(東京地判令元・6・24)
建物賃貸借契約の連帯保証人による黙示の意思表示による解約は認められないが、賃貸人(市)による、賃借人の生活保護廃止から2年後以降の請求を権利の濫用として許されないとした事例(東京高判令元・7・17)
建物賃貸借契約において、建物について相続による所有権移転に伴い賃貸人たる地位の承継があった場合、旧賃貸人と賃借人との間の敷金に関する法律関係は各相続人が分割承継するのではなく、新賃貸人が全部承継するとした事例(大阪高判令元・12・26)
被相続人の所有地について生前締結された賃貸借契約が租税特別措置法施行令40条の2第1項に定める準事業に該当するとされた事例(横浜地判令2・6・11)
契約更新に際し、「相当の更新料」を支払うと定めた条項は、具体的権利性を生じさせるものとはいえないとして、更新料の支払合意が否定された事例(東京高判令2・7・20)
相当額の更新料を支払う旨の合意の成立を認めたが、更新料の具体的額の協議を続行しなかったとしても異議の正当の事由にはあたらず、更新料の不払は債務不履行とならないとして賃貸借契約の解除が否定された事例(東京地判令2・7・31)
展示会の開催を目的とした公共施設の利用承認後、施設管理者から同利用承認を取り消されたため、同処分の執行停止の申立てがされた事例(最決令3・7・16)
新型コロナウィルス感染症の影響により賃貸物件を使用収益させる債務が一部消滅したとみることはできないとされた事例(東京地判令3・7・20)
農地の賃借人の行為が「賃借人が信義に反した行為をした場合」(農地法18条2項1号)に当たるとはいえないとし、さらに、知事が具体的な離作料の金額を明示することなく適正な離作料の支払を条件とすることで「その他正当の事由がある場合」(農地法18条2項6号)に当たるとして許可(同上1項)したことが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるということはできないとし、原告の請求を却下・棄却した事例(大阪地判令3・10・28)
Yホテル建て替えに伴う取壊しのため移転先で賃貸借の上、営業をしていたⅩ寿司店が、Yに対し賃料が約137万円を超えないことの確認を求めるとともに、Yによる特定区間の割り当てが賃貸借予約契約の協議義務に違反し、そのために信用毀損等の損害を被ったとして、債務不履行による損害賠償請求に基づき、損害賠償金1000万円等の支払を求めたところ、不存在確認について却下、損害賠償請求について棄却した事例(東京地判令3・12・27)
賃料保証委託契約に定められた条項が、消費者契約法10条に該当し、消費者契約法に違反するとされた事例(最判令4・12・12)
第7章 請 負
第1 解除と損害賠償
民法541条解除と民法641条解除の関係。民法641条の解除の効力が及ぶ範囲と損害額(東京高判昭59・11・28)
請負人の付随的債務の不履行を理由とする注文者からの解除が認められるか(名古屋地判平18・9・15)
建築建物の請負契約を締結した後に注文者(被告)が請負契約を解除したため、請負人(原告)が損害賠償を請求した事案において、損害について一部認容した事例(東京地判平19・8・30)
建築請負代金が定額として合意されたかどうか及び注文者が追加変更工事の指示を行ったか否かが争われ、定額であると認定された上で、諸費用(報酬額)も含む追加工事代金請求が一部認められた事例(東京地判平19・9・11)
設計監理の請負人の債務不履行は目的達成に不可欠ではないとして解除を認められなかったが、注文者による解除は認められた事例(東京地判平19・12・6)
注文者からの度重なるかつ一貫性のない要求に対し、請負人は建物建築請負契約を解除できるか(東京地判平20・8・12)
マンション建築請負契約において工事請負代金の35%相当額を違約金とする合意の効力(東京地判平20・9・18)
設計が日影規制に違反しているため建築確認がなされなかった場合の設計・工事監理業務委託契約の解除(東京地判平21・8・27)
請負工事の完成前に破産手続開始決定を受けた破産会社の破産管財人より、請負契約を解除した上で出来高相当額の請負報酬の請求がなされた場合に、注文者が残工事に要した超過費用相当額の損害賠償請求権との相殺を主張することの可否(東京地判平24・3・23)
建物建築請負契約が、他の建築業者が建物を建築したことにより履行不能になったとして損害賠償を請求した事案(東京地判平25・7・17)
被告との間で建物の請負工事契約を締結した原告が、本件契約の解除条項によれば、原告は、被告の工事着工前においては原告にやむを得ない事由のあるときは本件契約を解除できる旨定められているとして、同契約が約定に基づき解除されたとして、被告に対して、支払済みの請負代金の返還を請求した事案(東京地判平25・8・6)
未完成の建物請負契約の解除において、杭部分に関する工事及び設計業務は基礎部分の工事とは可分であるとして、基礎部分に関する解除のみを認めた事例(東京地判平26・12・24)
建築工事業者であるYに建物の新築工事を注文したXが、請負契約を債務不履行解除、錯誤無効、民法641条に基づき解除したとして、既払代金の返還を求めたことに対し、Yが本件請負契約により得られたはずの利益を失ったこと等を理由に損害賠償請求をし、Xの請求額と対当額で相殺し、その余の残額について支払を求めた事例において、Xの請求金額からYが被った損害である支払済みの経費、遺失利益の一部の相殺を認めて、本訴請求を一部認容した事例(東京地判平28・6・10)
音楽スタジオの防音工事と工事瑕疵(東京地判平29・3・31)
建物建築請負契約の解除に基づく違約金の請求に対して、説明義務違反による債務不履行解除の主張を排斥し、損害賠償請求を認容した事例(東京地判平30・2・14)
原告の父が2世帯住宅の設計・監理業務を被告に委託したものの、債務不履行を理由に契約を解除したことに関する事案であり、父から相続した原告が、被告に対して、債務不履行に基づく損害賠償請求及び解除に伴う原状回復請求として、既払代金の返還を求めた事例(東京地判平30・3・13)
報酬金額の定めのない設計業務請負契約に関し、相当報酬額を認定した事例(東京地判平30・3・29)
請負契約の中途解約について、注文者の責めに帰すべき事由によるものとして、民法536条2項を適用し、請負人からの損害賠償請求を一部認容した事例(東京地判平30・6・29)
訪問販売によるリフォーム工事契約について、特定商取引法4条各号の記載事項を欠く場合には、クーリングオフの行使期間は進行せず、消費者のクーリングオフを認めた事例(大阪高判平31・3・14)
請負業者による引渡し遅延及び杜撰な施工管理に関する債務不履行に基づく損害賠償請求が認められた事例(東京地判令元・6・25)
建築工事にかかる元請負人の下請人に対する損害賠償請求及び相殺の抗弁、並びに下請人から元請負人に対する反訴請求がそれぞれ一部認容された事例(東京地判令2・6・5)
第2 瑕疵の損害賠償
瑕疵修補に代わる損害賠償請求権と報酬支払請求権の支払関係(同時履行)(最判平9・2・14)
建築請負契約により瑕疵のある建物を建築したことが不法行為には該当しないが、瑕疵担保責任としての損害賠償が認められた事例(福岡高判平11・10・28)
欠陥住宅について、建て替え費用相当額の損害賠償の請求(最判平14・9・24)
建築請負人の都市計画法上の規制についての説明義務違反による損害額(東京高判平14・4・24)
建物の敷地の不同沈下についての建築請負人の損害賠償額(福岡高判平17・1・27)
建物の設計・監理の瑕疵と損害賠償(東京地判平18・7・27)
請負代金債権と瑕疵修補に代わる損害賠償請求権との相殺と遅延損害金の起算日(大阪地判平19・1・16)
不当なリフォーム代金の返還を求めた場合の損害額(東京地判平19・3・26)
建築請負契約における目的物の瑕疵を理由とする中間報酬の支払拒否と履行遅滞責任、建築請負契約における工事完成義務の履行不能(名古屋地判平19・9・21)
請負における瑕疵の有無、瑕疵が認められるにもかかわらず瑕疵修補請求できない場合、担保責任に基づく損害賠償請求の損害額(東京地判平19・10・25)
地方公共団体がした違法建築物除却についての費用償還請求の可否(東京地判平19・11・27)
建築設計監理の契約書作成前に建築が中止された場合の契約の成否及び設計料の算定(東京地判平20・2・13)
設計監理の請負人の設計監理の瑕疵及び監理業務の途中放棄による損害賠償責任(東京地判平20・2・27)
強度不足の建物を建築した請負人の瑕疵担保責任に関して、設計図書を交付した注文者の指図の有無を判断した事案(東京地判平20・2・27)
雨漏りによる湿度上昇やカビ繁殖により保管物に損害が生じた倉庫を建築した建築請負人の責任(東京地判平20・3・12)
建物を建築した請負人による設計変更の要請に対して、注文者から設計監理について依頼を受けた建築士がこれに応じなかったところ、後から雨漏りが発生した場合の建築請負人の瑕疵担保責任(東京地判平20・5・29)
教会建築のために土地を購入し建物の設計・建築などを依頼した者が、同土地が開発困難であるにもかかわらず、無理な開発を進め、また建物に重大な瑕疵が多数存在したことにより、同土地の売主や設計会社等に対する損害賠償(東京地判平21・3・11)
建物建築請負契約における注文者が会社の代表者と会社のいずれか、工事の完成・引渡しの有無及び建物の瑕疵による損害が争われた事例(東京地判平21・9・18)
設計事務所が再委託した建築士が耐震偽装した場合のマンションの販売業者から設計事務所に対する損害賠償額(札幌地判平21・10・29)
請負人の瑕疵担保責任に基づく損害賠償額が請負代金額に比して極めて低額である場合の請負代金全額についての同時履行の抗弁権の成否(東京地判平21・12・17)
構造設計の過誤が発覚したため、建築途中のマンションを解体して増杭工事等が必要になった場合の設計・施工監理者の損害賠償の範囲(東京地判平22・5・11)
孫請業者の工事施工に起因する瑕疵等を理由とする損害賠償請求(東京地判平22・11・19)
新築住宅について、請負人に設置上の瑕疵及び防火認定を受けていない瑕疵を認め、これら瑕疵は住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項の「瑕疵」に当たるとして、除斥期間は経過していないとした事例(東京高判平25・5・8)
Yに本件建物の外構等工事を請け負わせたXが、本件建物全体の瑕疵について、主位的に瑕疵修補に代わる損害賠償請求をする旨の合意に基づき、予備的に不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、上記合意については認めなかったものの、外構等工事に係る瑕疵については認め、請求を一部認容した事例(東京地判平25・7・19)
租税特別措置法が定める事業用資産の買換特例の利用を受任した税理士の説明義務違反による損害賠償請求が認められなかった事例(東京地判平25・9・9)
外壁タイルの剥離に伴う補修費用と不法行為責任(東京地判平27・3・17)
元請人が下請人に対して建築瑕疵を理由とする不法行為に基づく損害賠償を請求する事例(東京地判平27・6・26)
建物建築請負契約の請負人が、施工時に給水管を破損し、これが原因で注文者に損害が生じたことが不法行為を構成するとして、注文者から請負人に対する損害賠償請求が認められた事例(東京地判平27・10・8)
マンションの階下に居住する原告らの、真上の階に居住する被告ら夫婦に対する、激しい騒音等の各種不法行為を理由とした損害賠償請求及び人格権に基づく差止請求がいずれも棄却された事例(東京地判平27・11・18)
スーパーマーケット用店舗建物建設工事の発注者が工事の請負業者に損害賠償を請求したが棄却された事例(東京地判平28・4・28)
施工者が注文主に対して請負代金を請求して提訴し、注文主が施工者に対して瑕疵担保責任を請求する反訴を提起した事件で、施工者の注文主に対する請負代金請求のみが認められた事例(東京地判平28・7・28)
白あり対策工事と瑕疵担保責任(東京地判平28・8・26)
工事の瑕疵とリフォーム保険(東京地判平28・9・29)
マンションの新築工事における外壁及び玄関庇への石材取付工事につき、同工事の施工業者が、建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮するべき注意義務を怠ったとして、同施工業者の不法行為責任を肯定した事例(東京地判平29・3・31)
日常生活に支障がない程度の施工誤差及び契約で合意した性能を確保していれば瑕疵とは認められないとしながら、その余の瑕疵の存在を認めた事案(東京地判平29・11・30)
リフォーム工事の瑕疵に基づく損害賠償請求が認められなかった事例(東京地判平30・3・8)
リフォーム工事について、債務不履行や訴訟提起前の金銭支払合意等は認められないとしたものの、工事の一部に瑕疵があるものと認定された事案(東京地判平30・3・30)
X会社が、Yらの自宅(本件建物)を建築する旨の本件請負契約による不可分債務として請負残代金等の支払を求めた(本訴)のに対し、Yらが、本件建物に瑕疵があるとして、瑕疵担保責任による損害賠償等を求めた(反訴)事案において、不可分債務とし、請負残代金等の支払を認める一方、一部瑕疵を認め、結論的には請求を一部認容した事例(東京地判平31・1・11)
地震によるロッジ棟の損傷について不法行為責任が肯定された設計施工者が消滅時効を援用することについて、信義則又は権利濫用に該当するとまではいえないとして請求が棄却された事例(東京地判平31・3・13)
設計業務を受託した一級建築士が設計業務の一部である構造計算を第三者に再委託等し、同構造設計に瑕疵があり損害賠償請求が一部認められた事例(東京地判平31・3・29)
請負代金債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし、他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に、本訴請求債権を自働債権とし、反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許されるとされた事例(最判令2・9・11)
第3 工事ミスによる建物被害
建物の構造上の欠陥、耐火・防火上の欠陥につき建築請負人及び設計・施工監理者が負担すべき損害賠償額(大阪高判平元・2・17)
汚水管設備の瑕疵についての工事請負人の負担すべき損害賠償額(京都地判平4・12・4)
建築請負業者の調査・説明義務違反による損害賠償額(大津地判平8・10・15)
擁壁及び建物の基礎の工事の瑕疵について建築施工業者、設計・監理者の負担すべき損害賠償額(大阪地判平10・7・29)
ビル建築工事によって隣のビルを傾斜させてしまった建築工事業者の負担すべき損害賠償額(東京地判平15・11・11)
埋立地の買主による液状化の可能性があることを理由とする損害賠償請求(東京地判平16・2・12)
マンション室内で施工者の補修工事後も残存した瑕疵についての販売会社及び施工業者の責任(東京地判平21・2・13)
防水工事につき過失があった工事業者の賃借人(転貸人)に対する不法行為責任(東京地判平21・5・19)
契約において定められた設計目標値を満たさない場合の債務不履行に基づく損害賠償(東京地判平22・7・13)
フローリング材が特注品であるマンションにおけるリフォーム工事において、工事の際に床暖房マットの配管が損傷したため、フローリングを含めた再補修が必要となった場合に請負人に対する補修費用、工事中の転居費用等の損害賠償請求が認められた事例(東京地判平24・12・25)
隣地の建物に不同沈下・変形が生じたことにより、工事の請負人及び注文主に対して損害賠償請求をした事案(京都地判平26・9・17)
建物解体中に強風で仮設の足場等が倒壊し、隣接した建物が毀損した場合、隣接建物所有者が、解体業者及び解体中の建物所有者に対し損害賠償を行った事例(東京地判平27・4・13)
地上2階建ての幼保園の建設工事の杭打ち工事にて施工した杭が、支持層に達せず、その結果不同沈下が発生したとして、元請業者から下請け業者及び孫請け業者に対し、損害賠償が認められた事例(松江地判平28・3・31)
排水業者が施工した病院の下水管の設置により、近隣住民の下水管を詰まらせたとして、近隣住民が医療法人及び排水業者に対し損害賠償請求を行った事例(東京地判平28・4・8)
隣接地の工事による建物及び地盤の損傷(東京地判平28・4・26)
カーテンウォールから発生する騒音と建物の瑕疵(東京地判平28・6・16)
認容金額について比較的緩やかな認定がなされた事例(東京地判平29・3・6)
施工業者が行ったマンション建築工事と、隣地建物の排水管接合部の沈下・破断に因果関係があるとして、施工業者に対する損害賠償請求が認容された事例(東京地判平31・3・8)
第4 その他
ビル建設の調査・企画立案等のプロデュースの業務委託契約において、当初予定の構造、階数等の具体的条件を実施できなくなった業者の責任(東京地判平20・9・19)
県知事から建設業の許可を受けた業者に住宅建設を注文した注文主が、工事の瑕疵により被った損害について県に対して国家賠償を請求して一部認容された事例(長野地諏訪支判平21・5・13)
建築資材の製造業者が住宅業者に製造物の瑕疵に基づく修補費用を一部支払ったのちに、瑕疵の原因となった部品を製造した印刷業者に対して既払分の修補費用だけでなく修補費用の未払分につき損害賠償請求をした事例(東京地判平21・12・17)
リフォーム工事における遅延損害金約款の有効性(東京地判平22・3・11)
請負契約書が作成されていない場合の請負代金額の算定(東京地判平22・4・22)
建築設計事務所が、注文主に対して、賃貸マンションの設計監理を受任して基本設計を完了したとして設計料の支払を求め、設計契約の成否が争われた事案において、設計契約の成立が認められ、昭和54年建設省告示第1206号に従って報酬額が算定された事例(東京地判平22・6・22)
建物建築工事請負代金債権を被担保債権とする商事留置権の成否(東京高決平22・7・26)
建物の内装及び家具の設計契約書を作成せず、設計契約時に報酬額及びその時期を明確に合意しないまま設計料の支払を求めた事案について報酬合意の成立を認めた上で、設計の瑕疵による損害賠償請求と相殺し、請求を一部認容した事例(東京地判平22・7・29)
設備工事請負契約において、当事者間に請負代金額の合意が成立しているかどうかが問題となった場合の代金の算定(東京地判平22・8・26)
建築基準法違反等のある建物の建築を目的とする請負契約の効力(東京高判平22・8・30)
契約締結当時、すでに請負業務の遂行が不可能な状況にありながら、請負代金を請求・受領した建築会社の取締役に対する損害賠償(東京地判平22・12・24)
設計監理契約の当事者である建築会社のほか、監理者である一級建築士に対しても、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求がなされた事例(東京地判平23・7・29)
工事の遅延について、請負人に責に帰すべき事由がないとされた事例(東京地判平23・8・25)
工期を徒過したことによる約定違約金、及び消防法令上必要な設備工事をする義務の不履行を理由とする損害賠償請求(東京地判平23・9・8)
建物を買い受けた者による、建物の完了審査申請を行う義務の懈怠、又は検査済証の取得に代わる適切な措置に協力する義務の懈怠を理由とする建築業者に対する損害賠償請求(東京地判平23・9・26)
マンションの新築工事請負契約における工事代金減額の合意の有無(東京地判平24・3・29)
請負人が契約上の約定を根拠として工事を中止したことによる損害賠償(東京地判平24・4・25)
工事の未完成部分について工事代金を受領したものの、工事が未完成のまま倒産した請負会社の取締役に対する損害賠償請求(静岡地判平24・5・24)
工事請負人から代金支払請求権の譲渡を受けた下請業者が注文者に対して行う支払請求(東京地判平24・9・21)
開発許可申請業務に関する報酬請求(本訴)及び開発許可申請業務の遅滞による損害賠償請求(反訴)がいずれも認められた事例(東京地判平24・10・9)
注文者が、請負人に建築させた建物に瑕疵があるとして、請負人である会社及びその代表者に対して損害賠償を請求した事例(東京地判平24・11・30)
弁護士が不動産競売手続申立事件の処理を依頼された場合、受任範囲として当該不動産の入札手続事務まで受任しているか、信義則上の付随義務として入札事務手続について説明義務があるかが問題となり、いずれも否定された事例(東京地判平25・4・22)
信託不動産のプロパティマネージャーによる、アセットマネージャーに対する報酬の支払等の請求(東京地判平25・7・19)
マンションの敷地の北側に隣接する土地及び建築物を所有し、建築物をもっていわゆる賃貸経営を営む原告らが、建築基準法77条の21第1項の指定確認検査機関である被告がした、マンションの建築の計画についての本件確認処分(同法6条の2第1項)に関し、恣意的で不合理な盛土を見落として行われたものであって本件建築計画は同法56条の2に適合するものではなく本件確認処分は違法であるなどと主張して、本件確認処分の取消しを求めた事案(東京地判平25・7・19)
免震構造のマンションについて、免震構造部分に危険性のあるマンションを設計施工したとして設計施工会社に対して不法行為による損害賠償を求めた事例(東京地判平25・8・23)
請負人が工期の途中で破産した場合に、住宅完成保証契約の文言から前払金返還債務不履行による損害に対する保証債務の履行としての前払金の返還を認めなかった事例(東京地判平25・9・17)
設計監理業務委託契約において、当初の計画が建築基準法に適合しておらず、これを解消できなかった場合に、それまでに作成された設計図について債務の本旨に従うものとして報酬請求権を認めた事例(東京地判平25・10・22)
マンション管理組合の理事長が集会決議なく締結した契約の効力(東京地判平27・7・8)
Yにマンションの建築請負及び建築後のマンションの管理を委託したXが、Yは、Xに対し、虚偽・不当な勧誘を行い、説明義務を怠るなどの不法行為に及んだとして損害賠償を求めたところ、Yが賃貸事業にかかわる収支のうち、特に修繕費について不正確な説明を行ったことが信義則上の説明義務に反するとして、当該請求が一部認容された事例(東京地判平28・10・14)
弁護士報酬の金額について委任契約の有効性が争われた事案(東京地決平29・3・31)
土地仲介業者らに対し詐欺を理由とする損害賠償等を土地購入者が請求したものの認容されなかった事例(東京地判平29・7・26)
業務委託報酬の支払時期が争われた事案(東京地判平30・3・2)
「工事請負契約書」及び「注文請書」が交わされた契約の法的性質(東京高判平30・11・6)
他の会社を通じて発注された建物建築工事(本件工事)の追加工事の発注者が、本件工事を発注した会社であると認められた事例(東京地判平30・11・27)
共同住宅の建築請負契約において工事内容の変更、引渡遅延を理由に注文主が残代金の支払を拒絶し、請負人からの残代金請求が認められた事例(東京地判令元・7・5)
小学校の新築工事に係る請負契約締結に際して注文者である学校法人の理事長の不法行為(詐欺)及び妻の共同不法行為が認められなかった事例(大阪地判令3・8・24)
第8章 不当利得
共有物の占有に関する不当利得の算定(最判昭57・6・17)
建物賃借人から請け負って建物修繕工事をした者から賃借人の無資力を理由とする建物所有者に対する不当利得返還請求(最判平7・9・19)
訴訟上の和解に基づき登記費用の返還をした者から不動産の買主に対する不当利得返還請求について(東京地判平21・8・24)
所有権移転前の売買の目的物を買主が売主の承諾を得ずに賃貸したことによる損害(東京地判平21・9・25)
建物に付合したガス供給設備について民法248条に基づく償金を請求した事例(東京地判平24・10・12)
不動産の贈与契約に関する抹消登記手続請求及び財産管理に関する委任契約終了に基づく管理財産の引渡請求などが認められないとされた事例(東京地判平25・9・11)
区分所有者の1人の他の区分所有者に対する、共用部分の賃料についての不当利得返還請求が認められなかった事例(最判平27・9・18)
共有の不動産について、一部に共有者が共同で賃貸したことにより生じた賃料債権の帰属が争われた事例(東京地判平27・9・30)
商業用ビルである本件建物の4分の1の持分を有する原告が、4分の3の持分を有して同建物の管理・運営を行っている被告に対し、原被告間における本件建物の管理に伴い被告に生じた共益費等の余剰金分配合意に基づき、又は共有持分に基づく不当利得返還請求権に基づいて、ビル管理余剰金支払を求め、当該請求が一部認容された事例(東京地判平28・6・24)
不動産競売の差押え登記よりも後れて当該不動産について売買予約契約を締結し予約完結権行使をした者は競売手続における他の債権者との関係では権利は消滅するとして配当要求を行った債権者に対する不当利得返還請求を棄却した事例(東京地判平29・5・19)
有効に成立した新賃貸借契約に基づいて賃貸借契約が期間満了により終了したとして建物明渡し及び未払賃料の支払を認めた事例(東京地判平29・9・12)
前所有者が締結していた不動産管理委託契約は新所有者との間で契約上の地位の移転があったが、同契約は期間経過により更新されなかったとして、受託者の新所有者に対する報酬請求権、費用償還請求権を否定し、受託者が受領した保証金、賃料相当額等について新所有者に対する返還義務を一部認容した事例(東京地判平29・9・13)
債務不履行により金融機関から融資を受けられなかった等との主張を退け、ローン条項による契約解除により支払済の手付金返還を認めた事例(東京地判平30・1・16)
株式譲渡代金名下で金員を支出させられた者が、その金員を不正に支出させた者に対して、別件の確定判決により損害賠償請求権を有するところ、その不正に支出させられた金員で弁済を受けた者に対して、主位的に①不正に取得した金員により支払われた弁済が不当利得であるとして、不当利得返還請求を行うと共に、②上記損害賠償請求権を被保全債権として、損害賠償請求の債務者を代位して、同人から不動産所有権移転登記を経由したことを理由に、その抹消登記手続を求め、予備的に③②の不動産所有権移転登記が譲渡担保契約に基づくものとして理由があるとしても、譲渡担保権が実行され、清算金が発生したとして、上記損害賠償請求権の債務者を代位して、その清算金の支払を求めたが、①ないし③のいずれの請求も棄却された事例(東京地判平30・1・17)
専有部分に当たる電気給湯器の不具合に起因する漏水事故に関する損害は専有部分の区分所有者が負担すべき等として、原状回復のために管理組合が暫定的に修繕積立金から拠出した金員の返還を認めた事例(東京地判平30・4・26)
東京国際空港の用に供されている土地について、国の取得時効の主張が認められた事例(東京地判平30・6・29)
日本国に永住権を有しない外国人が住宅を購入する際に提携融資特約が適用されないことが消費者契約法10条又は憲法14条に違反するものではないと判断された事例(東京地判平30・11・27)
賃貸借契約における通常損耗等修繕費に関して不当利得返還請求等をすることが信義則に反して認められなかった事例(大阪地判平30・12・5)
1 遺産分割協議が無効となり改めて遺産分割が確定するまでの間、相続財産の不動産の賃料収入を収受した者に対する不当利得返還請求がされた事例
2 遺産分割協議の無効により生じた相続税の過納付部分につき、他の共同相続人に対して不当利得返還請求をした事例(高松高判平31・2・28)
地面師により詐取された預金小切手について、被詐取者から手形割引をした者に対する不当利得返還請求(東京地判平31・4・17)
賃貸借契約の目的物(建物)について、シェアハウスとしての利用に関し賃貸人の包括的な承諾があったとして無断転貸に該当しないとされた事例(東京地判令元・5・22)
宅地建物取引業法に違反する媒介報酬について規制を超える額の返還が認められた事例(東京地判令元・8・7)
担保不動産競売手続により土地建物の一括競売がなされ、法定地上権が成立することを前提に建物共有者に剰余金が交付されたが、実体法上は使用貸借である場合において、同土地建物の土地所有者兼建物共有者の不当利得返還請求が認められた事例(横浜地判令元・10・30)
実質的には原告ら兄弟が共有していた、原告の兄名義の不動産を、兄の死後その妻が他の共有者に無断で売却し売却代金を法律上の原因なく利得したとして、原告が兄の妻に対し不当利得の返還を求め、同請求が棄却された事例(東京地判令元・12・13)
不動産サブリース取引の一環として、不動産業者と個人らが締結した建物メンテナンス契約の内容変更の際に、個人らからの錯誤無効又は公序良俗に反し無効との主張が認められなかった事例(東京地判令2・1・27)
原告が被告らに対し、共有物分割請求権に基づく代金分割及び共有不動産の賃料の不当利得返還を求め(本訴)、被告が原告に対し、両者間の合意に基づく相続税調整金及び和解金の支払及び売買代金と引換えに原告持分の全部移転登記手続を求めた(反訴)事例(東京地判令2・2・3)
第9章 不法行為
第1 占有の不法行為性
不動産競売妨害の不法行為に基づく損害賠償額(福岡高判平17・6・14)
無権原占有に対する賃料相当損害金の請求の一部を棄却されるとともに、執行行為に対する不服申立てを不法行為とする損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平19・11・26)
マンション管理規約違反行為に対し、撤去・原状回復の請求が認容されるとともに、弁護士費用の賠償請求が認容された事例(東京地判平20・4・25)
通行妨害に起因する慰謝料その他損害(東京地判平21・7・9)
建築基準法42条2項のみなし道路に接する土地上の建物の居住者から右道路の敷地所有者に対してなされた、同道路内に設置された車止めやバリケードの撤去請求(東京地判平24・6・22)
縦割式(連棟式)区分所有建物の各専有部分の所有者が各専有部分の存する土地を分有する場合、一部の専有部分所有者は、他の所有者の専有部分の存する土地に対して占有権限があるか(東京地判平25・8・22)
「区分所有者が管理組合に対する費用を支払わないときは、管理組合は当該区分所有者に対し、違約金としての弁護士費用を加算して請求することができる」旨のマンション管理規約中の条項は合理的であり、当該区分所有者は管理組合に対し、管理組合が弁護士に対して支払う一切の費用を支払わなければならないとされた事例(東京高判平26・4・16)
和解契約に基づく土地の通行権が侵害されているとして、妨害排除及び債務不履行に基づく損害賠償が認容された事例(東京地判平27・1・28)
不実の登記を得た者に対する不法行為に基づく損害賠償請求(東京地判平27・2・13)
賃借人による賃借地の使用を妨害したことを理由とする不法行為に基づく損害賠償が認容された事例(東京地判平27・7・15)
留置権の要件である占有の成立を否定し、不法行為に基づく損害賠償請求を認めた事例(東京地判平28・1・18)
いわゆる暴力団排除条項によって賃貸借契約を解除し、賃貸マンションその他の明渡し等を請求した事例(東京地判平28・2・24)
2分の1の持分で共有している土地上にある建物を独占的に使用している共有者に対し、もう一方の共有者に対する不法行為責任を認めた事例(東京地判平29・8・18)
競売により本件土地建物を取得したXが、元所有者であったY1及びY1が代表者を務める法人であるY2に対し連帯での損害賠償を求めた事案において、Y1とY2法人が共同して同建物を占有していたと認められ、さらにY1は自己破産申立てをし、免責決定を得ていたが、非免責債権に当たるとして、Y1及びY2法人に対し、賃料相当損害金等の損害賠償請求が認容された事例(東京地判平30・9・20)
建物明渡請求事件において、占有者であるか否かが争われ、同建物の利用形態や投函された郵便物等から占有者であることが認定された事例(東京地判平30・10・1)
本件通路地及び本件建物土地を所有するXが、以前土地上の建物に居住していたYに対し、本件通路地にYが動産を置くなどして占有しているとして、所有権に基づく明渡しを求めるとともに、Yが立ち入ったり、動産を放置する等してXの占有使用を妨害しないよう、所有権に基づく妨害予防を求めた事案において、YがXの占有使用を妨害するおそれは高く、本件通路地にYが立ち入ることによるXの占有使用の妨害も含めて妨害予防請求権を認めるのが相当であるとして、請求を全部認容した事例(東京地判令元・11・26)
第2 工作物
工作物についての損害賠償額(東京地判平13・12・27)
土地工作物責任に基づく損害賠償額(東京地判平18・9・26)
隣地所有者が、同土地との境界付近にフェンスを設置したことに対する損害(東京地判平21・5・11)
私道上のコンクリート舗装の原状回復工事の損害(東京地判平21・5・26)
壁面に吹きつけられた石綿の粉じんが露出している本件建物の所有者兼賃貸人を民法717条1項の占有者に該当すると判断し、昭和63年2月以降において本件建物の壁面に吹きつけられた石綿の粉じんにばく露したことと悪性胸膜中皮腫の発症との間の相当因果関係、及び悪性胸膜中皮腫と自殺による死亡との間の相当因果関係をいずれも認めた事例(大阪高判平26・2・27)
屋根上の積雪が隣地に落雪することにより隣地建物を損壊する場合の工作物責任及び防雪柵の設置請求(東京地判平21・11・26)
葬儀場の営業を行う業者に対する損害賠償請求(最判平22・6・29)
補修工事において建物を損傷させたことなどを理由とする建物建替費用その他についての損害賠償請求(東京地判平22・10・1)
マンション区分所有者の承諾のない規約変更決議の有効性とその決議をした管理組合法人の不法行為の成否(東京地判平23・11・28)
区分所有者の賃借人の同居人が規約上の義務違反行為に及んだ場合において履行補助者の理論が適用されるとした事例(宮崎地判平24・11・12)
隣地に擁壁及び建物を建築されたことによる日照、プライバシーなどの被害が受忍限度を超えないとされた事例(東京地判平26・12・25)
原告が契約書の記載の一部を訂正ないし削除した行為等について、文書管理上不適切ではあるものの、原被告間の信頼関係を破壊するとまでは認められないとして、原告の被告に対する電柱の収去及び土地明渡請求が棄却された事例(東京地判平27・11・11)
特別天然記念物である樹木の倒木による隣地建物の損壊と工作物責任及び妨害排除請求に基づく伐採命令(宇都宮地判平27・12・17)
マンション管理組合等に対して、共用部分における工事を承認をしなかったことを理由として損害賠償請求がなされた事例(東京地判平28・2・24)
マンション管理組合である原告が、本件マンションの区分所有者である被告会社Y1から賃借を受けたAが設置した看板について、当該看板設置が管理組合規約に違反しているとした上で、Aを当該規約履行補助者に当たるとして、Y1に撤去義務を認めた事例(東京地判平28・7・4)
鉄塔からの落氷雪を理由とする損害賠償及び落氷雪の防止措置工事の実施を求める訴えが棄却された事例(東京地判平28・10・3)
床下に設置された給湯管の接続不良が、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵であるとして、配管施工業者の不法行為責任が肯定された事例(東京地判平29・1・27)
認知症対応型の介護サービスを提供するグループホームにおいて、認知症患者が2階窓から自ら転落した事故につき、事業者(建物所有者)に対し、工作物責任に基づく損害賠償請求が認容された事例(東京地判平29・2・15)
賃貸住戸に設置された乾燥機による出火と損害賠償責任(東京地判平29・3・27)
福島第一原発事故での放射性物質放出により福島県南相馬市内に保有していた不動産の価値が下落したとして、東京電力に対して価値下落分の損害賠償請求を行った事例(東京地判平29・10・6)
管理組合による規則変更が建物の区分所有等に関する法律31条1項後段違反に当たらないとされた事例(東京地判平29・12・7)
建物の借主が室外機、排煙管、給湯器等を設置したことについて用法違反として賃貸借契約の解除を主張した場合に、賃貸借契約を解除することはできないとした事例(東京地判平30・3・30)
火災が発生したマンションにおいて、火災報知器の警報ベルのスイッチを切っていたために火災の発見及び消火活動が遅れたことを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を棄却した事例(東京地判平30・10・23)
旅館の近傍を流れる河川に設置されたスクリーンが豪雨の際に流下物で閉塞したことにより付近が冠水し、旅館が床上浸水する被害を受けた場合に、スクリーンの設置又は管理に瑕疵があるとして、スクリーンを管理する市の賠償責任が認められた事例(京都地判令2・11・19)
夜間、交差点を左折したところ、交差点付近に設置されていた中央分離帯に車が乗り上げた事故において、交差点付近の街灯が故障していたことが、営造物の設置・管理に関する瑕疵であるとされた事例(神戸地判令3・1・22)
67歳女性が店舗内の個室トイレ内の段差で転倒し傷害を負ったとして、同店舗の運営会社に土地工作物責任が認められ、賠償責任が一部認められた事例(横浜地判令4・1・18)
第3 環境被害
日照被害についての損害賠償額(東京高判昭59・3・28)
競売不動産での殺人による減額評価(仙台地決昭61・8・1)
第二種住居専用地域において3階建てマンションが建築されたことにより日照の被害を受けたとする隣地住人への損害賠償額(大阪地判昭62・3・19)
高原の別荘地において、別荘所有者が、高層リゾートマンションの築造により眺望が阻害されたことによる損害賠償額(大阪地判平4・12・21)
工場から発生する騒音等により生活上の損害を被ったとする近隣住民への損害賠償額(最判平6・3・24)
競売不動産での自殺による不動産の減額評価(東京高決平8・8・7)
日照権侵害等に基づく損害賠償額(東京地判平10・10・16)
第一種低層住居専用地域において建築された木造2階建て建物による隣地上の家屋の日照被害についての損害賠償額(東京高判平14・11・18)
風害により住環境が破壊された場合の損害賠償額(大阪高判平15・10・28)
マンション建設に伴うプライバシー侵害等に基づく損害賠償額(東京地判平18・11・28)
九州新幹線の軌道、架線等の設置等の瑕疵により日照被害等の損害賠償が容認された事例(鹿児島地判平19・4・25)
建築主に対して目隠しの設置のみならず設置の不履行に対し慰謝料が認められた事例(東京地判平19・4・27)
マンションの階上の住民が発生させる音に対し、階下の住民からの損害賠償請求が認められた事例(東京地判平19・10・3)
新たなマンションの建築によって隣接するマンションの所有者等の眺望権が侵害されたとの主張が否定された事案(東京地判平20・1・31)
隣地において建築業者がマンション建築工事を実施したことによる各種損害(東京地判平20・12・4)
台風により護岸が倒壊し浸水被害が生じた場合の護岸の設置管理者の賠償責任(福岡高判平21・7・14)
土地上の樹木が隣地に倒木したことによる損害(東京地判平21・9・9)
マンションに用いられている建材から放散されたホルムアルデヒドによりシックハウス症候群及び化学物質過敏症に罹患したマンションの購入者による、マンションの開発業者に対する損害賠償請求(東京地判平21・10・1)
アパートの下階の住人による受忍限度を超える騒音に起因する各種損害(東京地判平21・10・29)
隣室の住民の飼犬の鳴き声による騒音に対する慰謝料(東京地判平21・11・12)
マンションの一部を使用し飲食店が深夜営業していた場合の損害(東京地判平21・12・28)
新たに建設されたマンションの施工主らに対する、既存のマンションの区分所有者による損害賠償請求(東京地判平22・4・23)
猫への餌やりを行う区分所有者に対するマンションの管理組合等からの損害賠償請求(東京地立川支判平22・5・13)
府が所有し、市に管理を委託していた土地で発生した放火を原因とする火災による延焼によって被害を受けた者による損害賠償請求(大阪地判平22・7・9)
マンションの上階からの漏水事故による損害(東京地判平22・8・25)
借家の隣家が飼育する犬の鳴き声により生活環境に重大な瑕疵があるとする賃料減額及び損害賠償請求(東京地判平23・5・19)
隣家が飼育する猫の糞尿等により悪臭が生じているとする悪臭差止め及び損害賠償請求(東京地判平23・7・29)
高層マンションの建築確認処分の取消しと建築計画が建築基準関係規定に適合しない旨の通知及び工事停止命令を義務付ける請求(東京地判平23・9・21)
マンションの住民間でなされた名誉毀損及び名誉感情の侵害による精神的損害(東京地判平23・10・13)
隣接するアパートからの排気に伴う臭気により精神的苦痛を被るとともに、排気に含まれる油分等を除去するための自宅の壁のクリーニング費用が発生したと主張する隣地の居住者による損害賠償請求(東京地判平24・3・1)
分譲マンションの階上の部屋の子供が夜中まで走り回って騒音を発生させたことによる階下の部屋の所有者(居住者)の損害(東京地判平24・3・15)
マンション隣接地へ建設された高層マンションについて販売会社及び建設会社による人格権侵害又は販売会社の説明義務違反(大阪地判平24・3・27)
建築中のマンションの近隣住民が、日照権侵害及び日照阻害とともに、圧迫感及び眺望阻害、プライバシー侵害と建物工事による振動や騒音の発生等を主張して、建築工事差止めを求めたが、請求が棄却された事例(東京地判平24・3・28)
建物の建築確認処分をした指定確認検査機関に対し、周辺住民らが、同処分には用途制限違反等の違法があるとして、建築確認処分の取消しを求めたが、請求が棄却された事例(東京地判平24・5・17)
隣接する建物の排水管の破損により建物に漏水が発生した場合における損害賠償(東京地判平24・6・18)
人格権又は環境権に基づく建設の差止請求の可否(東京地判平24・9・24)
マンション建築による風環境の悪化を理由とした損害賠償請求(大阪地判平24・10・19)
地震により発生したマンション内の漏水について区分所有者の工作物責任を問えるか(東京地判平24・11・26)
共同住宅の所有者及び居住者らと隣地建物の居住者らが、相互に嫌がらせ行為の差止めと慰謝料の支払を求めた事案(東京地判平24・11・28)
倉庫を賃借していたXが、倉庫の山側に位置する市道に瑕疵が存在することにより、大量の雨水が市道から流入した結果、倉庫の一部が浸水する事故が発生したと主張して、同市道の設置、管理者である市に対し、国家賠償法2条1項に基づき損害賠償を求めた事例(東京地判平25・3・14)
本件物件の賃貸借契約の賃借人ではない居住者(賃借人の代表取締役)が、本件物件内のディスコの騒音等により精神的苦痛を被ったとして、賃貸人に対する本件物件の賃貸借契約に伴う信義則上の義務違反による損害賠償請求が一部認容された事例(東京地判平25・4・17)
暴力団関係者が売却許可決定の対象となった土地を駐車場として利用していた事案において、民事執行法75条1項の類推適用により、売却許可決定の取消が認められた事例(東京高決平25・7・12)
同じ集合住宅の住人による嫌がらせが不法行為に当たるか(東京地判平25・8・22)
隣地から発せられる低周波音によって健康被害を受けたことを理由とする国家賠償請求が一部却下、一部棄却された事案(東京地判平25・9・20)
工事の騒音等により精神的苦痛を被ったことを理由としたマンション居住者等の損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平25・9・24)
マンション居住者(賃借人)が他の居住者のペットに噛まれ同マンションを退去した場合、退去した居住者の賃貸人はペットの飼い主に対して損害賠償請求ができるか(東京高判平25・10・10)
隣地との境界付近に繁茂した樹木を必要以上に伐採したとする隣地所有者に対する損害賠償請求(東京地判平25・10・30)
漏水事故に基づく損害賠償請求において、修繕費用、仮営業店舗費用、営業損害等の賠償が認められた事例(東京地判平25・11・20)
隣接地におけるマンション建築工事に伴う日照権の侵害及び騒音・振動被害を理由とした損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平25・11・21)
マンションの一室を所有するXが、建物の内装改修等の工事を実施するに当たり、マンションの管理組合及び管理会社から工事中止要求や妨害行為によって、これが違法に妨害されたと主張して、管理組合及び管理会社に対して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、管理組合及び管理会社が行った一連の行為に不法行為を構成するほどの違法があるとはいえないとし、請求が棄却された事例(東京地判平25・12・4)
隣接地の解体新築工事が受忍限度を超えるものとして宗教的景観、名誉、信用等の被害を理由にした損害賠償請求が認められるか(東京地判平26・1・28)
ビル利用客がエスカレーターの手すりに接触して転落死した事故について、ビル共有者及び管理者の土地工作物責任並びにエスカレーター製造業者の製造物責任を否定した原判決に対する控訴が棄却された事例(東京高判平26・1・29)
宅地造成事業により造成された道路及び宅地が陥没し、住民が転居を余儀なくされた事故につき、開発許可を行い、前記道路を管理する市の国家賠償法2条に基づく損害賠償責任及び土地を販売した業者の説明義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例(津地判平26・3・6)
漏水被害を原因として賃借人の賃貸人に対する損害賠償請求が認められるか(東京地判平26・3・18)
マンションの階下に居住するロックミュージシャンの歌声が受忍限度を超えるとして、同マンションの上階に居住する者からの慰謝料請求が認められたと共に、区分所有権に基づくマンションの階下に居住する者に対する一定の音量を超える歌声の差止請求が棄却された事例(東京地判平26・3・25)
東日本大震災の際に自動車が立体駐車場から落下して損壊したことを理由とする駐車場の賃借人による賃貸人及び設計・製造者に対する損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平26・6・27)
建物の賃貸人が、賃借人に対して虚偽の事実を告げる等して建物から退居するよう仕向けた行為について、不法行為が成立するとされた事例(東京地判平26・10・9)
マンション管理組合が居住者に対して騒音の差止め及び騒音測定器リース料の損害賠償を求めた事例(東京地判平26・11・5)
賃借人が賃貸人に対して、台風の大雨によって室内が浸水したことにより部屋を使用することができなかったことなどを理由として損害賠償を請求した事例(東京地判平27・3・25)
建物の設計・工事管理を行った会社とその代表者、建築を実施した会社の代表者に対して損害賠償等の請求がなされた事例(東京地判平27・3・25)
風力発電による騒音被害を原因とする人格権に基づく運転差止請求及び慰謝料請求(名古屋地豊橋支判平27・4・22)
高速道路の換気所から発生する低周波音と健康被害(東京地判平27・10・9)
マンションの管理組合の理事長が特定の区分所有者の名誉を棄損する内容の書面を区分所有者全員に送付したことについて違法性阻却事由が認められた事例(東京地判平27・12・3)
地下駐車場の賃貸借契約において、賃貸人に対して浸水被害に関する信義則上の説明義務違反が認められた事例(名古屋地判平28・1・21)
マンションの区分所有者による騒音発生行為が、同マンションの管理規約に違反するとして、マンション管理組合法人から当該区分所有者に対する規約違反行為の差止め等が認容された事例(東京地判平28・3・23)
新築住宅の注文者である原告らがシックハウス等を発症したことについて、建物の使用建材等又は換気に瑕疵があるとはいえないとして、施工業者の瑕疵担保責任及び不法行為責任が否定された事例(東京地判平28・3・24)
隣地で行われた宅地造成工事等から生じた振動によって精神的苦痛を被るとともに、建物に損傷が生じたとして提起された損害賠償請求が棄却された事例(東京地判平28・3・30)
マンションの専用部分に看板を掲示した行為が区分所有者の共同の利益に反すると判断された事例(東京地判平28・4・21)
福島第一原発事故での放射性物質の放出による汚染の風評で、売上が減少し、逸失利益の損害を被ったとし、東京電力に対し、原発から115㎞の場所にある栃木県大田原市所在のゴルフ場への損害賠償の支払を認容した事例(東京地判平28・7・20)
マンション復旧工事の施工会社に対する大雨による浸水被害を理由とする損害賠償請求が一部認容された事例(東京地判平28・11・8)
マンションの一部の居住者に専用使用権が設定された専用庭において、野菜を露地栽培する権利が認められるかどうかにつき判断された事例(東京地判平28・11・28)
マンションの管理組合が、管理規約に違反して民泊営業を行っていた区分所有者に対し、建物の区分所有等に関する法律57条1項に基づき民泊使用の差止め及び不法行為に基づき弁護士費用相当額50万円について損害賠償を請求し、その後被告が本件建物を売却した事案において、被告に対する使用差止めは棄却し、損害賠償については認容された事例(大阪地判平29・1・13)
保育園から発生する騒音につき不法行為に基づく損害賠償請求等を棄却した事例(神戸地判平29・2・9)
マンションの管理組合が、区分所有者に対し、その区分所有者の賃借人である台湾料理店が悪臭を生じさせ、共用部分に看板等及びゴミ箱の無断設置行為を行っているとして、建物の区分所有等に関する法律57条1項に基づき台湾料理店の使用差止めと看板等の無断設置行為について損害賠償を請求し、これらが認容された事例(東京地判平29・2・22)
昭和46年に新築された分譲マンションについて、建築確認時に分譲マンションの敷地の一部となっていた隣地の土地を第三者に売却した行為について、不法行為に基づく慰謝料請求を認めた事例(東京地判平29・4・28)
日照権侵害等を理由とする高層マンションの除去請求がされた事案(東京地判平29・6・5)
観光用庭園内の通路で転倒し、傷害を負ったという事故について、①民法717条に基づき同通路には設置又は保存の瑕疵がある、又は②同庭園の観光客らの安全を確保する義務があるにもかかわらずこれを怠ったという不法行為が存するとの両主張をいずれも棄却した事例(東京地判平29・10・6)
Xが自宅の隣地に地上13階建てのマンションが建設されたことにより受忍限度を超えて日照権等が侵害された等と主張した事案において、本件マンションは建築法令に適合したものであり、X方の生活環境が悪化したからといってXの種々の生活利益が違法に侵害されたとは認められないとしてXの請求が棄却された事例(東京地判平29・10・13)
即席麺等を製造する工場の近隣に居住する者らが、同工場から飛来する粉状の物質により受忍限度を超える被害を被っているとして、同工場を運営する会社の親会社等に対して損害賠償を求め、いずれも棄却された事例(東京地判平29・10・30)
分譲マンションの居住者が階下の居住者から度重なる粗暴な攻撃行動その他の迷惑行為を受けたとして不法行為に基づく損害賠償を求めた事例(東京地判平29・12・1)
タラソテラピー(海水を利用した自然療法)を提供するリゾート施設を運営する会社(千葉県勝浦市所在)が、福島第一原子力発電所を設置する電力会社に対し、東日本大震災に伴う同発電所の事故による風評被害によって売り上げが減少したとして、原子力損害の賠償に関する法律に基づき平成27年8月1日から平成29年7月31日までの逸失利益等の賠償を求めたところ、棄却された事例(東京地判平30・1・17)
近隣に居住する原告らが建築中のマンションの建築主及び施工会社に対して、日照権等の侵害を理由として不法行為に基づき工事差止め及び損害賠償を求めた事例(東京地判平30・11・9)
建物賃借人が、建物に大量の虫が発生したとして賃貸人に対して行った瑕疵担保責任、債務不履行責任、不法行為責任に基づく損害賠償請求が否定された事例(東京地判令元・9・20)
隣接する保育園からの騒音によって、平穏に生活する権利が侵害されたとして、損害賠償及び境界線上において騒音を到達させることの差止めを求めたがこれが棄却された事例(東京地判令2・6・18)
自治体が計画している調節池建設工事について、差止めを求めたものの請求が棄却された事例(東京地判令2・7・27)
マンションの建築主及び施工者の社会的評価を低下させる内容の横断幕及び垂れ幕の掲示行為が不法行為に該当しないとした原判決が相当であるとした事例(大阪高判令2・9・10)
マンションの居住者の人格権に基づいてマンション内の居室を暴力団の事務所として使用することの禁止が認められた事例(福岡地久留米支判令3・2・5)
生命、身体、健康についての身体的人格権と密接に関連する精神的人格権の一種としての平穏生活権に基づく安定型最終処分場の建設、使用及び操業禁止の仮処分が認められた事例(広島地決令3・3・25)
商業地域にあった幼稚園の園庭について、園児らの最善の利益を重視する原告が日照環境確保のため牧師館を解体・撤去した費用の損害賠償を認めた事例(名古屋地判令3・3・30)
地方自治体が設置した調整池の築造工事によって不同沈下が発生した場合に、国家賠償法2条1項の設置の瑕疵を認めた事例(大阪地判令3・9・9)
第4 司法書士の責任
売主の嘱託を受けた司法書士が不動産売買に基づく所有権移転登記手続の際に、不動産売買の意思確認を怠った過失がある場合、買主に対し不法行為に基づく損害賠償責任を負うとした事例(さいたま地判平19・7・18)
司法書士による売主本人確認の過誤による損害賠償(東京地判平20・11・27)
連続する2件の所有権移転登記手続を異なる司法書士が行った場合における各司法書士の調査義務(東京地判平25・5・30)
不動産登記申請手続を受任した司法書士が、登記義務者の本人確認を怠り、なりすましを看過したことについての債務不履行責任(東京地判平26・11・17)
売買契約に基づく所有権移転手続を受任した司法書士である被告には、本人確認を行うに当たり高度な注意義務が課せられているところ、これを怠ったことによる過失責任が認められ、不動産取引について相当な経験を有していた原告の過失を6割と認定した事例(東京地判平27・3・18)
土地の所有権移転登記手続を委任されていた司法書士に対して、損害賠償請求がなされた事例(東京地判平27・5・26)
不動産売買契約において登記手続とともに書類の真否の確認を依頼された司法書士について、書類の真否に関する調査確認を行うべき注意義務を怠った事実はないとして委任契約上の債務不履行は認められないとした事例(東京地判平27・11・10)
不動産売買の仲介業者、公証人及び司法書士による本人確認にかかる注意義務違反の主張を排斥した事例(東京地判平28・5・25)
司法書士の職務上の注意義務違反を理由とする賠償請求がされた事例(東京高判平29・3・29)
不動産所有者を名乗る別人との間で不動産売買契約を締結し、その代金として金銭及び小切手を騙し取られたXが、売買契約に立ち会い売主の本人確認書類の点検等に当たった司法書士の過失を主張して、当該司法書士及び司法書士法人に対し、騙し取られた金銭及び登記手続費用等を請求した事例(東京地判平29・7・19)
なりすましを疑うべき事情があったにも関わらず調査を尽くさなかった本人確認情報提供制度の資格者代理人に、過失があるとされた事例(東京高判平29・12・13)
不動産所有者Dを名乗る者から、B社、X社、C社へ順次転売する契約が締結され、DとB社から所有権移転登記の依頼を受けたY1弁護士、B社とC社の代理人として後行する登記の依頼を受けたY2司法書士が、同時に所有権移転登記の申請を行ったが、Dの書類が偽造であることを理由にいずれも却下されたことについて、Y1弁護士及びY2司法書士に対して損害の賠償が求められたところ、Y1に対する請求が全部認容されY2に対する請求は第一審では全部棄却されたが控訴審で一部認容された事例(東京高判平30・9・19)
登記申請人についてなりすましを疑うに足りる事情があり、本人確認のために更なる調査をすべき注意義務があったのにこれを怠った過失があるとして、司法書士が不法行為に基づく損害賠償責任を負うとされた事例(東京地判平31・2・26)
順次売買についての登記手続の連件申請に際して司法書士は委任関係のない登記権利者に対しても調査義務を負うと判断された事例(東京高判令元・5・30)
売買契約において所有権移転登記申請を依頼された司法書士が登記義務者の提出した運転経歴証明書が偽造であることに気づかずに本人確認情報を作成、提供して登記申請を行った点につき本人確認義務違反が認められた事例(東京地判令元・11・11)
中間省略登記の委任を受けた司法書士に対する委任者以外の第三者(中間者)からの注意義務違反に基づく損害賠償請求について差戻しとなった事例(最判令2・3・6)
調査を尽くさなかったとして別訴で過失不法行為に基づき損害賠償が命じられた司法書士が締結していた賠償責任保険につき、故意免責がされた事例(東京地判令2・7・1)
不動産の所有権移転登記手続について行われた連件申請の後件の登記手続のみを担当した司法書士について、注意義務違反が認められなかった事例(東京地判令2・10・5)
第5 その他
不動産の売主の本人確認情報を提供した弁護士につき、その後売主がなりすましの別人であったことが判明した場合に、本人確認義務違反に基づく不法行為責任が問題となった事例(東京高判平29・6・28)
賃貸借契約の賃借人X1及び同居人X2が、賃貸人Yに対し、YがX1及びX2による建物への立入りを不可能にしたこと等について損害賠償を求め(本訴)、YがX1に対し未払の賃料及び共益費等の支払を求め(反訴)、いずれの請求も一部認容された事例(東京地判平30・3・22)
設計監理業務委託契約を履行する意思がないのに注文者に報酬を先払させる等した設計監理会社に債務不履行責任及び不法行為責任が認められた事例(東京地判平30・3・28)
いわゆる地面師詐欺事件において、本人になりすました売主の売買契約の際に本人確認情報の提供及び所有権移転登記申請を行った弁護士が、住基カードの提示を求める方法以外に住所地訪問等の調査をしなかった点について注意義務違反が認められた事例(東京高判平30・9・19)
マンションの一室で民泊事業を行っていた区分所有者に対する民泊施設としての使用の差止請求及び弁護士費用の損害賠償請求が認められた事例(東京地判平31・2・26)
市が企業との間で締結した土地の無償提供に係る契約において、「将来使用する計画を放棄した部分を返還する」旨の約定の解釈が争われた事例(名古屋高判令元・7・16)
Yらの詐欺行為等により、無価値の土地を購入させられたことを理由に、不法行為に基づく損害賠償請求が認められた事例(東京地判令2・6・4)
ガソリンスタンドに進入した車両が、車体底部が路面に接触し損傷を受けたとするガソリンスタンド所有者及び市に対する損害賠償請求が否定された事例(名古屋高判令3・2・26)
トンネル設計工事につき設計業者の説明義務違反から不法行為責任を認めたが、発注者にも8割の過失相殺をした事例(大阪地判令3・3・26)
第10章 相続・財産分与
第1 相続不動産の評価時期
共有物分割に当たっての全面的価格賠償額(最判平9・4・25)
地震により建物が全損したとして地震保険付き保険契約にかかる約定保険金を請求した事案(東京地判平25・11・22)
遺産分割協議成立後に未分割の遺産が発見され、結果として一部の遺産の遺産分割協議が先行した場合において、先行協議の意思解釈により残余遺産は法定相続分に従って分割することで足りると判断した事例(大阪高決令元・7・17)
相続税対策として多額の借入を行って不動産を購入し且つ、取引価格・鑑定評価額と路線価による評価額の乖離が大きい場合、相続税の算定に当たり不動産の時価をどのように評価すべきかを判断した事例(東京高判令2・6・24)
相続財産に含まれる不動産について、財産評価基本通達の定める評価方法に基づき価額を評価することが租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかであるといえる特別の事情があり、その時価は不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて鑑定した評価額であると認めるのが相当とされた事例(最判令4・4・19)
相続税対策として多額の借入を行って不動産を購入した、取引価格・鑑定評価額と路線評価の乖離が大きいケースについて、財産評価基本通達を上回る価額に基づいて行われた課税処分が適法であると判断した事例(最判令4・4・19)
第2 特別受益の評価時期
遺留分算定の基礎となる財産を確定するに当たっての特別受益の評価(最判昭51・3・18)
遺留分減殺と相続人に対する贈与の評価(最判平10・3・24)
遺留分減殺請求における使用貸借権の評価(東京地判平15・11・17)
原告ら相続人が主位的には遺言書の無効と予備的には遺留分減殺請求権に基づき、相続人の一人に対して不動産の移転登記手続を求めたのに対し、遺言は有効と判断した上で、不動産上の登記は原告らの遺留分を侵害していると判断した事例(東京地判平24・11・16)
第3 遺留分侵害額(遺留分減殺)と不動産評価
遺留分減殺請求事件における小規模宅地減税措置がなされた土地の評価(東京地判平17・5・31)
遺留分減殺請求と遺留分請求者に対する債権の評価(東京地判平19・1・16)
先行する相続における遺産分割についての合意書面中の記載に基づき、死因贈与契約を原因とする所有権等の確認と移転登記手続請求がなされた事案(東京地判平25・9・24)
不動産の取得に関する贈与税申告に対する更正処分及び過少申告加算税の賦課決定の取消しを求めた事案(東京高判平27・12・17)
亡Aの相続人であるXが、その相続に係る相続税申告手続において、遺言執行者であったY1及び担当税理士であったY2に善管注意義務違反があり、これにより損害を受けた旨主張して、債務不履行に基づく損害賠償として、Y1及びY2に対し、連帯して、309万4900円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める等した事案(東京地判平30・2・19)
信託における遺留分減殺請求は受益権を対象とすべきであるとされた事例(東京地判平30・9・12)
第4 全面的価格賠償の額
共有物分割請求事件において全面的価格賠償の方法による分割を採用した場合の判決主文(東京高判平13・4・26)
共有物分割において分割方法として競売による分割を命じたもの(東京地判平20・7・11)
共有物分割請求事件において全面的価格賠償の方法による分割を命じた事例(東京地判平21・2・5)
建築確認検査業務委託契約の善管注意義務違反に基づく損害賠償責任(東京地判平21・5・27)
共有物分割請求において全面的価格賠償による方法を認めた事例(東京地判平24・10・17)
遺産分割前の遺産共有状態にある共有持分と他の共有持分が併存する場合において、遺産共有状態にある共有持分について全面的価格賠償の方法による共有物分割を認めた場合の賠償金の帰属(最判平25・11・29)
単独取得を望んでいないとまでは認められないとして全面的価格賠償の方法による共有物分割が相当であるとされた事例(東京地判令元・12・6)
第5 財産分与の算定評価
離婚に伴う財産分与により取得した資産を譲渡した場合の資産の取得費の算定方法(東京地判平3・2・28)
離婚事件の判決に基づく強制執行と目的物の評価の下落(東京地判平5・11・24)
離婚約1年前になされた夫婦間の建物贈与契約について、離婚に伴う財産分与であるとの被告の主張を認めず、詐害行為であるとの原告の主張を認めた事例(東京地判平24・5・15)
離婚訴訟において財産分与の計算の対象から外した不動産について、離婚判決確定後に共有関係を審理判断することに関する事例(東京地判平24・12・27)
夫婦共有財産(建物)の名義人による元配偶者に対する明渡請求が権利濫用に当たるとされた事例(札幌地判平30・7・26)
離婚給付等契約公正証書によって元夫の建物に設定された使用貸借契約の終了を理由とする元夫から元妻に対する建物明渡請求の可否については、家庭裁判所の審判ではなく、民事訴訟で審理、判断されるべきと判示された事案(東京高決平30・8・31)
財産の分与に関する処分の審判において、財産分与しないものとした財産を家事事件手続法154条2項の給付命令の対象とすることの可否(最決令2・8・6)
第11章 行政関係
第1 固定資産の評価
固定資産課税台帳の土地の価格と時価(最判平15・6・26)
固定資産課税台帳の建物の価格と時価(最判平15・7・18)
相続財産である土地の時価(名古屋地判平16・8・30)
公路に直接接していない土地の評価(最判平19・1・19)
区画整理事業地域内の土地について相続税の小規模宅地等についての特例があるか(最判平19・1・23)
阪神・淡路大震災により更地になった土地についての固定資産税(大阪高判平19・3・27)
親族間譲渡につき相続税法7条の規定する「著しく低い対価」に当たらないと認められる場合(東京地判平19・8・23)
市街化区域内の農地等の固定資産評価額の算定方法(最判平21・6・5)
行政処分の取消手続を経ることのない損害賠償請求(最判平22・6・3)
競売不動産の固定資産税の負担(大阪地判平23・2・7)
学校用地として所有している土地の固定資産税の課税(東京地判平23・10・21)
ペット霊園の固定資産税の課税(東京地判平23・12・13)
建物の建築当初の固定税台帳に登録された価格について10年以上経過した後に、その価格を不服として、その後の課税標準価格を争うことができるか(東京地判平23・12・20)
固定資産税等の課税の誤りと損害賠償(東京地判平24・7・9)
ゴルフ場におけるコース部分と山林部分の固定資産税の課税(名古屋高判平24・7・19)
固定資産課税台帳の土地の価格と固定資産評価基準(最判平25・7・12)
小規模住宅用地に該当する土地につき減税措置の特例が適用されなかったことから税金を過納付したことにより損害を被ったとして国家賠償請求がなされた事案(東京地判平25・11・5)
家屋の登記と固定資産税等の課税(最判平26・9・25)
自治会又は町会が土地の固定資産税等の納税義務者に当たるとした原審の判断を違法とした事例(最判平27・7・17)
地方税法の特例が適用されなかったために固定資産税等を過剰に納付したことにより損害を被ったとして国家賠償請求がなされた事例(東京地判平27・10・26)
課税の対象土地を取違えて、固定資産税等を課税した場合の地方公共団体の責任(東京地判平28・1・27)
過大な固定資産税等の賦課処分をしたことにつき国家賠償請求がなされた事例(東京地判平28・4・28)
固定資産税等の過納付金相当額及び弁護士費用相当額について国家賠償法1条1項に基づく損害賠償が認められた事例(東京地判平28・10・26)
相続税の申告における貸家建付地の評価について、相続税法22条に関する財産評価基本通達26(注)2の「賃貸されている各独立部分」における「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当しないとされた事例(大阪地判平28・10・26)
固定資産税等の課税標準について地方税法の特例を適用しないとした賦課決定の取消しを求めた事案(東京地判平28・11・30)
固定資産税の過剰な納付につき損害賠償請求がされた事例(東京地判平29・1・30)
所有者の異なる隣地を一画地とした固定資産評価額の決定が争われた事案(東京地判平29・2・1)
固定資産税等の課税客体の調査に航空写真を利用する方法を合理的であるとした事案(東京地判平29・3・27)
地方税法の特例が適用されなかったために固定資産税等を過大に納付したことにより損害を被ったとして、国家賠償請求がなされた事案(東京地判平29・5・10)
固定資産の価格決定に当たり特例容積率の限度の指定がされた事実を考慮すべきとされた事案(東京地判平29・9・14)
固定資産税の過納付につき損害賠償請求がされた事案(東京地判平29・12・14)
都税事務所所長による固定資産税等の賦課決定が国家賠償法上違法と判断された事例(東京地判平30・12・10)
土地所有者が3筆の土地の現況はいずれも宅地ではなく平地林であると主張して、市の固定資産評価審査委員会に対して3件の審査申出をしたところ、2件が却下され1件が棄却されたため、これらの決定の取消しを求めた事例(さいたま地判平30・12・19)
滞納処分(差押処分)が超過差押えに該当し違法であるとして、一部取り消された事例(奈良地判平31・2・21)
固定資産課税台帳の登録価格が違法であるとして争われた事案(最判平31・4・9)
徴収済み固定資産税等に関する国家賠償請求事件において、原告が固定資産税等が高いので評価を見直して欲しいと申し出た時点で「損害及び加害者を知った」ものとされた事例(大阪地判令元・6・26)
非課税である固定資産税の賦課処分であるとして取消請求がなされた事例(大阪高判令元・9・20)
固定資産税等の小規模住宅用地の課税標準の特例適用の誤りによって生じた過納金相当額(還付不能額)に係る国家賠償請求(東京地判令元・12・19)
需給事情による減点補正を行わずに家屋の固定資産評価額を決定したことに違法な点はないものとし、不動産鑑定評価額を超える部分の取消しを認めなかった事例(札幌地判令2・1・23)
固定資産評価基準違反等を主張して固定資産の登録価格の決定の違法による固定資産評価審査委員会による審査決定の取消しを求めた事例(大阪地判令2・6・18)
市が学校用地取得において支払った売買代金が正常な取引価格よりも不当に高い対価であるとして市に生じた損害を売買契約当時の市長らに対し損害賠償請求を行使すること等を求めた住民訴訟(東京高判令3・6・9)
固定資産課税台帳に登録されたゴルフ場用地の価格が評価基準の定める評価方法に従って算定されていないとした原審の判断に違法があるとした事例(最判令4・3・3)
複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における非課税とならない「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額の判断方法を判示した事例(最判令4・3・22)
第2 時効取得による課税評価
土地の時効取得による一時所得の発生時期(静岡地判平8・7・18)
第3 公物の不当占有
都道の一部が不法占有の場合の隣接者の都に対する損害賠償請求(東京地判平10・2・23)
自動販売機の道路占有による損害(最判平16・4・23)
公園・調整池となっている土地について、前所有者より譲渡担保権の設定を受けた者が地方公共団体に対して明渡し等を請求した事例(東京地判平25・11・27)
市職員らの労働組合に対する市庁舎の目的外使用不許可処分の当否が争われた事例(大阪高判平27・6・26)
地下鉄への出入口施設の設置について国家賠償請求がされた事例(東京地判平28・6・30)
国有地である土地を時効取得したとして所有権確認を求めた事案(東京地判平28・11・30)
第4 建築確認がされなかったことによる損害賠償
ホテル建設に当たり、建築確認申請を留保し、その後不受理をしたことを理由とする損害(浦和地判平7・2・24)
条例を理由に建築確認申請を2年間放置した場合の損害(広島高岡山支判平18・7・25)
建物による日照被害等を理由とする建物所有者らに対する建物撤去及び損害賠償請求並びに建築指導に当たった行政庁に対する損害賠償請求(東京地判平18・11・17)
いわゆる耐震偽装建築についての建築主事とコンサルタント業者の過失の有無と損害(名古屋高判平22・10・29)
耐震偽装マンションについて、指定確認検査機関、建築主事の責任(東京地判平23・1・26)
耐震偽装マンションについて、指定確認検査機関、自治体、国の責任(東京地判平23・5・25)
耐震偽装マンションの損害賠償の相手方(東京高判平24・2・28)
他人の土地を敷地とした建築確認申請(東京地判平24・3・13)
耐震強度不足のため取壊しを余儀なくされた分譲マンションの建築主による、建築業者、設計者及び市に対する損害賠償請求(静岡地判平24・12・7)
建築確認処分取消しの審査請求がなされている場合の不動産業者における説明義務(東京地判平24・12・20)
建物の構造計算の誤りにより損害を被ったことを理由とする県に対する国家賠償請求(名古屋地判平25・1・22)
指定確認検査機関の行った建築確認処分とこれを取り消さなかった建築審査会の裁決の取消しを求める事例(東京地判平25・2・19)
町が条例の改正を告知しなかったことによる損害賠償(東京地判平25・3・11)
地方公共団体が造成工事につき法令所定の許可申請に対する処分をしないことを理由とする損害賠償(東京地判平26・11・14)
第4の2 建築確認処分
賃貸マンションを建築するにあたり都市計画法29条1項の開発許可は不要であるとして、建築確認の取消しが認められなかった事例(大阪地判平30・3・22)
建築確認申請に係る建築物の敷地が従前の建築確認で敷地とされた土地と重複している場合において、当該申請に係る建築計画変更確認処分の取消請求が棄却された事案(東京地判平30・6・21)
第4の3 行政指導
条例の合憲性が争われるとともに国家賠償請求がされた事例(東京地判平29・11・13)
市が里道付替義務を負うことの確認請求事件(大阪地判令2・6・3)
第5 補償額の算定
都市計画事業による収用裁決及び明渡裁決を受けた者が、補償金の増額と補償金の一部に代えて替地の所有権移転又は増額分の支払を求めた事例(東京地判平20・2・6)
換地処分により取得した土地に障害物が埋まっていたことによる損害賠償請求(東京地判平22・10・29)
記録的大雨による傾斜地の崖崩れにより建物が倒壊したことによる自治体の責任(新潟地長岡支判平23・12・7)
土壌汚染による損害賠償請求(東京地判平24・1・16)
汚染された土地を購入した者が国等の立法不作為を理由に損害賠償を請求した事例(東京地判平24・2・7)
土地区画整理事業の組合員による、照応の原則に違反することを理由とする換地処分の取消請求(東京地判平24・4・24)
自治体が行った井戸の掘削事業により、地下水利用権が侵害された住民からの損害賠償請求(東京高判平24・5・9)
公共工事により住宅が傾斜したとして、地方自治体及び工事を施工した工事業者に対して国家賠償請求ないし損害賠償請求がなされた事案(札幌地小樽支判平25・10・28)
斎場の建設用地を取得するために支払った金額が適正価格を超えているとして、市が当時の市長に対しその差額を損害として損害賠償請求をした事案(名古屋高判平26・6・6)
都市計画事業のために収用委員会がした土地収用に係る損失補償額の裁決について、補償額の増額変更及び増額分の支払請求をした事案(東京地判平27・1・22)
都市計画の変更にかかる損害につき賠償請求がされた事例(東京高判平28・4・28)
地方公共団体が土地を取得する際の価格決定の適法性が争われた事案(最判平28・6・27)
農業委員会による農地の賃貸についての許可が違法であるとして損害賠償請求がなされた事例(広島高岡山支判平28・6・30)
土地収用法に基づく権利取得裁決及び明渡裁決が定めた補償金の額が不当に低額であるとの主張に対し、出訴期間を徒過した事件については訴えを却下し、出訴期間内に提起された事件については補償金の額に不合理な点はないとして請求を棄却した事例(東京地判平29・9・7)
宅地造成工事の施行者が、宅地造成等規制法による許可が必要であるにもかかわらず、違法な宅地造成工事が行われた物件を購入した場合において、販売代理をした不動産業者に対し説明義務違反に基づく損害賠償が一部認容された一方、地方公共団体が宅地造成法所定の措置を講じなかったことについて国家賠償法上の違法はないとして地方公共団体に対する国家賠償請求が棄却された事例(大阪地判平30・6・21)
土地収用の告示後に生じた賃料収入の減収についての補償(東京高判平30・9・12)
収用委員会が裁決で定めた損失補償額について、裁判所が採用した鑑定に基づき損失補償額が一部変更された事例(東京地判平31・2・5)
収用委員会がした権利取得裁決及び明渡裁決における損失の補償額を不服として、正当と主張する補償額との差額を請求した事例(東京高判令元・10・30)
東京都の住民であるXらが、東京都が中央卸売市場の移転用地を買い受ける際に、正常価格から1.37倍から1.41倍の価格で売買契約を締結したことは違法であるとして、東京都の執行機関であるY(東京都知事)に対し、補助参加人(売買契約当時の東京都知事)に対して578億円余の賠償金を請求することを求めたところ、裁判所がかかる請求を棄却した事例(東京地判令2・7・21)

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